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Channel: 山梨百名山から見る風景
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嵐の前に山へ 曲岳  平成24年9月30日

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 夕方から関東地方は台風の直撃を受け、大荒れの天候となる模様だ。しかし、朝のこの青空は何なのだろう。まだ風も穏やかで嵐の気配などほとんど感じられない。午後3時までに下山できそうな山へ、ということで、八丁峠の短絡ルートを使って曲岳に行ってみることにした。

 車を観音峠に向けて走らせるが、もう少しで観音峠というところで、大明神林道を過ぎたところで林道補修工事のために通行止めになっていた。どうやら崩落があったらしい。ここから歩いて曲岳の西側斜面を登ることも考えたが、車道歩きは疲れて面倒なので、1時間ほど余計に時間がかかるが、ここは平見城黒富士農園からの正規ルートを登ることにした。

    黒富士農園から見る茅ヶ岳山塊。まだ青空が広がる。


    曲岳・八丁峠方面に向かう。

 9時50分に黒富士農園の駐車場を出発し、案内板に従って曲岳・八丁峠方面に進む。この道は歩く人も多く、明瞭で歩きやすい道だが、峠までは意外と時間がかかる。途中の林の中には(フイリ)ヒナスミレと思わしき葉が群生しており、花の咲く春が楽しみだ。峠近くのカエデと思わしき木は紅葉する前に既に葉が半分以上落ちてしまっていた。今年の秋の紅葉はどうなるのだろうか?1時間50分かかって峠に到着した。

    この白い筋が入った葉っぱはフイリヒナスミレではないだろうか。たくさん群生している。


    峠のすぐ下の草地付近。落ち葉はたくさんだが色付いておらず、紅葉する前に葉が落ちてしまっている。


    峠に到着。短絡ルートを使うとここまで1時間とかからずに到着できる。

 峠から先は気持ちの良い樹林帯の尾根歩きとなる。あちらこちらにキノコが生えており、知識が無いので採取はできないが、おいしそうに見えるキノコも生えていた。コブを3つほど越え、さらに下山で使えそうな尾根をチェックしながら曲岳基部にたどり着く。最後の登りは見上げるような急登だが、木の根っこがうまくステップになっていてあまり危険は感じない。

    気持ちの良い尾根道を進む。向こうに平べったい山が見えるが曲岳はあれのさらに向こう。


    登山道をちょっと外れて下りられそうな尾根をチェック。その途中の草地から見上げる曲岳。


    山頂直下は見上げるような急登り。木の根がうまくステップになっている。


    曲岳山頂。
 12時30分、黒富士農園から3時間ほどで曲岳山頂に到着した。眼下に黒富士農園とその向こうに太刀岡山がひょっこりひょうたん島(知らない人のほうが多いかもしれませんが・・・)のように聳えている。天気が良ければその向こうに富士山が見えるのだが、さすがに台風が接近しているので富士山は見えない。空もしだいに黒い雲が蔽い始め、風も強まって来た。昼食をとって早々に下山する。

    ここの標柱は中央で分割して運んだらしく、金具のところで接合されている。


    黒富士と鬼頬山


    太刀岡山と黒富士農園。カラマツが少し色付いてきている。


    うまそうに見えるキノコ


    これは食べたら腹を壊しそうに見えるが・・・


    これもうまそうに見えるキノコだが・・・


    ブナハリタケだろうか?日向八丁尾根を歩いた時のリーダー小池師匠が採って来て食べたのがこれだと思う。

 空模様を気にしつつも、それほど急ぐわけでもなく下山、途中の道脇には山栗がたくさん落ちており、これを拾いながら下山する。歩きながらでもどんぶりにあふれるくらいの栗を拾うことができた。雨がパラパラと降り出した午後2時20分、駐車場に到着。着替えて車に乗り込んだ直後から本降りの雨が降り出した。

    下山した時には空はもう真っ黒な雲が覆い尽くす。すぐに本降りの雨が降り出した。

 その後雨は降り続き、風も強くなった。夜の10時ごろまで雨が降ったが、台風は足早に通り過ぎて行き、翌朝には三つ峠ライブカメラで綺麗な富士山が姿を現した。強風で山の木々の葉もだいぶダメージを受けたことだろう。綺麗な紅葉になってくれることを期待する。

紅葉の日光白根山  平成24年10月7日

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 前日の10月6日、川越市民会館で1966カルテットという女性4人グループの演奏会があった。入間に続いて聞きに行くのは2度目となるが、今回は前から3列目中央の絶好の席を確保できた。客席は空席が目立ったが、演奏は素晴らしかった。ビートルズとクイーンの曲をヴァイオリン2台、チェロ1台、ピアノ1台でクラシック調にアレンジして演奏するのだが、原曲など知らなくてもその快適なリズム、弾ける音、躍動する演奏者4人、素晴らしい出来栄えである。特に今回は客席の様子を見てプログラムを一部変更し、11月に発売するマイケル・ジャクソン・クラシックスの中から2曲を演奏したが、そちらの演奏も素晴らしかった。胸にジーンとくる感動を抱きながら、日光白根山丸沼登山口に向かう。

 沼田インターで高速を下りて食事をとった後、丸沼登山口には午後8時ごろに到着した。天気予報通り、その頃には雨が降り出した。可能ならば暗いうちに弥陀ヶ池あたりまで登り、星空を撮影したかったのだが、この雨は夜明けまで降り続いた。ようやく小雨になった朝6時、車から起き出して準備を始める。次々に登山者の車がやって来て、続々と出発して行く。6時45分、霧雨が降る中をようやく出発する。駐車料金1,000円と表示されているが、料金を徴収するのは入山ゲートのところで、実際には入山者のみ料金をとっているようだ。

    5分ほど歩いて林道終点。ここから登山道。山には雲がかかる。


    山の紅葉


    落ち葉の道  ダケカンバはだいぶ落葉してしまっていた。

 登山道は整備されているが、ゴツゴツの溶岩が露出した急斜面もある。やがて雨は止み、時折覗かせる青空を見上げて晴れることを期待しつつ道を進む。途中から見える山の斜面は紅葉が見頃を迎えているが、曇り空なので色彩がいまひとつぱっとしない。2時間少々歩いて弥陀ヶ池に到着する。池の周辺は紅葉真っ盛り、時折雲が晴れて白根山が全容を現し、弥陀ヶ池に映し出される。

    弥陀ヶ池と日光白根山


    紅葉と日光白根山を映す弥陀ヶ池


    中腹から見下げる弥陀ヶ池

(前編の続きは後日。写真のみ掲載します)

















(後編=前白根山、金精山経由で下山編に続く)

紅葉の日光白根山(後編) 五色沼〜前白根山〜金精山を経て下山

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平成24年10月7日

 菅沼登山口を朝7時前に出発したにもかかわらず、山頂に到着したのは11時半、4時間半以上もかかっている。その大半は三脚を立てて光が射し込むのを待っていた待ち時間だ。しかし、その割には撮った写真はいまいち・・・。出発の前に迷ったのが避難小屋宿泊用の装備を持って行くかどうかということだった。なにせこの日の夜はりゅう座流星群が極大を迎える頃なので、空が晴れれば日光白根山とりゅう座流星群を撮れるかもしれなかった。あいにく天気予報は曇り、この日の朝は小雨がまだ降っており、容易に晴れてくれそうには見えなかった。そこで非常事態のためにシュラフカバーだけは持って行き、食料も3食半だけ持って日帰りすることに決めて登って来た。

 日本百名山であり登り易い日光白根山は混雑することを予想してはいたが、想定以上の大混雑に少々驚きつつ、山頂では休憩せずにそのまま五色沼に下る。少し下れば到着できそうなイメージだったが意外と遠く、1時間ほどかかり、12時35分に五色沼に到着した。途中の五色沼避難小屋は新しくて綺麗な小屋だった。小屋の中も綺麗で20人くらいは泊れそう、毛布はあまり綺麗そうには見えなかったが、数枚手すりに掛けて干されていた。自分の持ってきた装備でもこの小屋ならば一晩ならなんとか過ごせそうだ。

    大渋滞の山頂待ちの行列


    五色沼に下る。こちら側の斜面には草むらが広がる。


    五色沼避難小屋。きれいな小屋で、中には毛布が何枚か置かれていた。


    五色沼と沼周辺の広場

 五色沼で昼食をとり大休憩(といっても写真を撮りながらひたすら休憩しているので全く疲れていないが)する。たくさんの人が休憩してはいるが、山頂の混雑に比べるとまだ少ない。対岸の美しい紅葉を眺めながら食事をとる。

    五色沼と対岸の紅葉


    五色沼と白根山

 ほとんどの登山者はここから弥陀ヶ池経由で下山していったが、私は水場の状況と前白根山から見る日光白根山の景色を見たくてそちらの方向に進む。水場は湧き水ではなくて五色沼に流れ落ちる沢水、水量は豊富だ。その脇を通り過ぎて急斜面を登ると五色沼外輪の尾根道に登り着く。途中で避難小屋泊りの若者と出会い、りゅう座流星群の話をすると、今晩は天候が回復して澄んだ星空になる予報だと教えてくれた。この若者も流星群を狙っているらしい。さて、どうするか?シュラフカバーの中にもぐり込んで小屋にある毛布を被れば寝るには問題無い。食料もギリギリ下山までは足りるだろう。しかし問題は眠れるかどうか・・・。ひとまずは前白根山まで登ってから考えることにする。

    水場は五色沼にそそぐ沢水。


    前白根山中腹から見る五色沼と白根山。白根山がほぼ東に位置し、星空を撮るならこの角度が良さそうだ。


    前白根山山頂。向こうは雲のかかる白根山。

 前白根山に登り着き、コンパスで角度を見るとほぼ東の位置に白根山が位置している。この角度だとちょうど白根山の上にオリオン座と冬の大三角形が昇って来るはずだ。画角的にも17mmレンズでちょうど良い。避難小屋泊りを選択するべきだったのだろうが・・・宿泊装備以上に問題だったのは睡眠導入剤を忘れてきてしまったことだ。オリオン座が昇って来るのは未明3時、2時には起床しなければならないが、寝付きの悪い私は早い時間に寝付くには睡眠導入剤が不可欠。これがないとおそらくは徹夜で撮影することになってしまうだろう。そうすると帰りの車の運転に大きな支障が出てしまう。かなり迷ったが、ここは下山することにした。帰路は金精峠経由のほうが近そうだったのでそちらに下山することにする。
 地図をあまり確認しないで、前白根山山頂の看板を見て湯元方面に進んだがどうも方向がおかしい。10分ほど歩いて地図を確認すると、この道はまさに湯元に直下りする道、金精峠に行くには五色山で左に曲がらなければならない。その先の国境平というところでまた湯元方面と金精峠方面の道が分かれている。時間を20分ほどロスし、前白根山に戻って五色山に進む。

    五色山への稜線から見る五色沼と前白根山。五色沼が真下に見える。


    五色山。ここで道は二手に分かれる。

 五色山に到着したのは午後2時50分。下山にはまだ2時間はかかるので、日没ギリギリの午後5時ごろになりそうだ。混雑した山頂が嘘のようにこちらを歩いている人はほとんどいない。出会ったのは3人のみだ。五色山山頂の看板にも湯元と書かれていた。今度は大丈夫か?地図を確認するが今度は間違いない。小休止後出発すると、今度は間違い無く、国境平の分岐に出た。

    五色山の少し先から見下ろす日光中禅寺湖。男体山、女峰山は雲の中。


    国境平到着。

 時間が時間だけに休憩せずに金精峠目指して進む。気になる看板があり、金精山付近は登山道に亀裂があるので注意するように書かれている。国境平までは新しい靴跡がついていたが、金精峠側に進むとほとんど歩いた形跡が無い。その理由は、金精山を通り過ぎてから初めてわかった。

    金精山。山頂は中禅寺湖方面の絶好の展望台になっている。


    雲がなければ男体山、女峰山、中禅寺湖を見渡す絶景なのだろう。

 金精山を過ぎると急下りになる。1本目のロープ場があり、亀裂とはこれなのか、と思ったのだがそんなに甘くはなかった。その先も急下りが続き、滑り落ちたような斜面に出くわし、そこにもロープ、さらに滑り落そうな細いトラバース、そしてロープ、ハシゴ・・・雨の後でスリップしそうだったので慎重に通過する。距離は短いが、こちらの道を歩く人が少ない理由がここでわかった。

    1本目のロープ場。こんなものか・・・とこの時は思った。


    細くて滑りそうなトラバース道、その先にハシゴ。 


    ハシゴとロープ場。左側のハシゴは折れていて使えない。


    さらに急斜面のロープ場。濡れていて滑りやすい。


    金精峠到着。左の建物は金精神社。

 午後4時15分、金精峠に到着。もう少し早く着くと思ったのだが、急斜面の通過に時間がかかった。ここから先は歩きやすい道になる。小休憩後菅沼登山口方向に歩いて行くと、出た場所は駐車場ではなくて金精トンネル側の道路だった。時間は午後5時、ちょうど西の山に陽が沈んで行くところだった。これで日光白根山一周制覇。標高差800m少々で甘く見ていたが、後にカシミール3Dで調べてみると、このコースだと沿面距離11.3km、累積標高差1,180m、中の上級くらいの行程になった。登りはかなりダラけていたが五色山を過ぎてからの帰りはかなり気合いが入った。侮るなかれ日光白根山!

    西の山に陽が沈んで行く。


    出たところは道路脇。駐車場まで約5分。

 この日の夜は前述のようにりゅう座流星群極大の日だ。今までに何度か山の上でこの夜を過ごしているが、りゅう座流星群は実はあまりたくさん流れたのを見たことが無い。しかしそれでも期待してしまう流星群。車で沼田インター方面に向かい、途中の温泉でひと風呂浴びると時間はもう夜7時を過ぎていた。山上で出会った若者の情報通り、空は晴れて星空が見え始める。星空を見ながら眠るにはこの時間からでは限られた場所しか無い。そして向かった場所は・・・(次の記事に続く)
 

りゅう座流星群の夜 赤城山地蔵岳  平成24年10月7‐8日

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 日光白根山から下山し、日帰り温泉でひと風呂浴びるともう時間は夜の7時半になっていた。日光白根山で出会った若者が今晩は天候回復して凄い星空になりそうだと言っていた通り、空を見上げれば雲が晴れて頭上に夏の大三角形が輝いていた。やはり・・・日光白根山の避難小屋に宿泊すべきではなかったのか。少々後悔する。が、まだあきらめたわけではなかった。9月に一夜を過ごしたがガスに巻かれて夜景も月も不発に終わった赤城山地蔵岳、あそこならば30分もあれば登れる。車を赤城山に向かって走らせる。

 小沼の少し先にある地蔵岳登山口に8時半ごろ到着した。こんな時間なのに車が数台止まっており、登る準備をしているとその後さらに2台やって来た。何かと思えば、マウンテンバイクで山上を走り、ここで回収して帰るための待ち合わせだそうだ。今から登ると言ったら驚いていた。といっても道は良く整備されていた地蔵岳山頂までは30分とかからない。一晩中起きているわけには行かないのでテントを持って行く。10分ほど登って中腹辺りで睡眠導入剤を持ち忘れたことに気付き、取りに戻る。そして地蔵岳山頂に到着したのは午後9時50分、東の空にプレアデス星団、その下に木星が昇って来ていた。9月のガスに巻かれた時とは違い、今度は前橋から関東平野の夜景がきれいに見える。

    前橋市と関東平野の夜景


    同上(ズーム)


    夜空に流れる天の川と夏の大三角形

 テントを設営する前にまず撮影。とにかく夜景が眩しいほどに美しい。夏の大三角形と天の川のところに流星が流れるのを期待してカメラをセットし、再三シャッターを切るが全く流れてくれない。それどころか、周りの空にもほとんど流れず、結局肉眼ではひとつも流星を見ることができなかった。後に撮影画像をパソコンで見ると肉眼では見えないような極小流星が1個だけ写っていた。

    電波塔と天の川(私はNHKの回し者ではありません。)


    この位置で流星が流れるのを期待したが・・・・不発。

 やがて東の空、黒檜山の右手から月が昇り始める。今宵の月はほぼ半月、昇るにつれてあたりを明るく照らし、影が映るほどだ。テント設営して食事をとる間、カメラはオートで連続撮影にセットしておいたが、これはあっという間にレンズが結露して数枚しか撮影出来ていなかった。霧は見えないが見た目よりも湿度が高そうだ。またテントの外に出て撮影していると、気が付けば時間は深夜12時。少し寝ておかないと明日の帰りに響くので、睡眠導入剤を飲んで眠る。

    赤城山に昇る月


    夜景と月とオリオン座

 目覚ましをセットしたのは未明の4時半。この時間はオリオン座と冬の大三角形が南の空高く南中している頃で、空気が澄んでくれれば南の超低空にあのカノープスが見えるはずだ。パソコンソフトの計算上だと群馬の山からだと余裕で見える。期待しつつ予定通り4時半起床して外に出ると・・・あいにくの低空の雲。肉眼ではカノープスは確認できない。しかし、解像度の良いレンズを通してでの画像だと写ることはしばしばある。何カットか撮影して持ち帰り、パソコンで画像調整してみると・・・それらしきものが雲の中に写ってはいる。しかし本当にカノープスかどうかはもっと条件の良い時でなければ確定できない。

    薄明に南中したオリオン座と冬の大三角形と月


    別の画像で低空を拡大してみると・・・それらしき星が雲の中にうっすらと光っている。


    薄明の空高く昇った月とオリオン座と冬の大三角形

 しだいに空が明るみ、星は夜明けの空に消えて行く。そして日の出。見渡してみれば、夜間に見えていた群馬の夜景はすっかり雲におおわれていた。標高1,600mほどの山でこんな一面の雲海が見られるのも珍しい。

    赤城山の夜明け


    日の出


    赤城山地蔵岳のお地蔵さんと電波塔、そしてテント。


    前夜の夜景はすっかり雲海におおわれる。


    雲海躍動する赤城山地蔵岳

 テントに戻って食事し、横になって休んでいるともう登って来た人の足音が聞こえた。登山者の迷惑にならないように6時半にはテントを撤収する。雲海がきれいだったので三脚を担いだまま下山する。朝のテント内の気温はちょうど0℃だったが、木の階段の上にはもう霜が降りていた。

    霜の下りた階段


    小沼を照らす朝日と躍動する雲海


    雲海迫る

 撮り歩きながら1時間近くかけて下山し、7時50分に登山口駐車場に到着した。その頃には地蔵岳山頂を目指すハイカーや、マウンテンバイクを担いで登って行く人たちの姿が見られた。
 車内で2時間ほど眠り、日帰り入浴施設を探して立ち寄る。そして昼食をとり、向かった先は・・・前橋市市民ホール。そこで開催されたのは、またしても1966カルテット演奏会だ。当初は下山後時間があれば立ち寄ろうと思っていたのだが、川越公演があまりにも素晴らしく、こちらの公演もなんとか間に合わせて聴きに行こうと思っていたのだ。日光白根山の避難小屋に宿泊したとすると、おそらくはギリギリの時間になっただろうが、赤城山ならば余裕だ。流星群は不発だったが、素晴らしい演奏を2度聞けたので今回の山行はこれで良しとしよう。    

紅葉の御坂山塊 天下茶屋から黒岳  平成24年10月21日

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 雲ひとつない青空が広がった甲府盆地。しかし、まだ気温が高いのか、盆地の中には霞が残っている。甲府盆地から見る富士山もなんとなく白く霞んでいる。こんな時は富士山を遠くから眺めるのではなく至近距離から眺めたほうが良い。そこで向かった先は通い慣れている御坂山塊黒岳。だが、いつもの新道峠からのルートは簡単に登れ過ぎるので、今回は反対の天下茶屋から登ってみることにした。こちら側のルートは今回で2度目となる。

 9時半に御坂峠天下茶屋に到着すると富士山をバックに記念撮影している人たちが何組かおり、その後も続々と車がやって来る。バスから降りた7〜8人の団体客は登山者で、黒岳に向かうらしい。準備体操してさっそく登って行った。私は三脚を出して景色を撮影後、準備して10時に出発した。


    御坂峠から見る紅葉と富士


    登山道の下部はまだわずかしか紅葉していない。

 最初は急斜面につけられたジグザグの階段道。ところどころ紅葉しているがまだ始まったばかりだ。30分ほど歩いて尾根にたどり着き、左に曲がって旧御坂峠・黒岳方面に向かう。一つ目のピークを過ぎたところで眺望が開け、眼下に河口湖大橋、その向こうに富士山が見える。秋晴れの良い天気ではあるが、やはり空気は少し霞んで透明度が悪い。

    見下ろす河口湖大橋と富士山

 このあたりの標高は1400m〜1500mくらいだが、紅葉には若干早い。残念なのは夏の暑さが長引いたためか、まだ色付く前に茶色く丸まってしまっているナラやクヌギの葉が目立った。しかし、カエデやモミジはそれなりの紅葉を見せてくれそうだ。

    ナラの大木


    森の守り神  ブナの大木


    咲き残っていたトリカブト


    御坂山山頂。標高1596m。

 最初のピークから一旦下がり、また登り返して11時15分、御坂山(標高1596m)に到着する。黒岳の標高が1792mなので、あと200m登れば山頂、と思いきやそうではなく、ここから旧御坂峠までは結構下る。途中に送電線が横切るところがあるが、そのあたりは眺望が開けて眺めが良いのだが、いかんせん送電線が邪魔になって写真撮影には向かない。足元にはリンドウ(オヤマリンドウか?)が数輪咲いていた。そこから少し下がって11時45分旧御坂峠に到着する。

    尾根を送電線が横切る。向こうの中央に見えるのが黒岳。


    送電線をカットして撮影しているが、画像のすぐ上を送電線が横切っている。


    リンドウと富士山

 旧御坂峠はいにしえの道、鎌倉往還が通っているところで、かつては御坂山塊を越える主要路だったところだ。峠の茶屋という店は当に廃業して使用不能状態、少し先にトイレもあるがこれも使える状態ではない。小休止して黒岳山頂を目指す。標高差はあと300mほどだが、道標には山頂まで1時間10分と記されている。

    旧御坂峠。鎌倉往還の良い道が横切る。左が廃業している峠の茶屋。


    木の根が張り出した登山道


    中腹の紅葉と富士山


    頂上直下は若干の岩場と急登あり。

 尾根通しの明瞭な道を進むと、黒岳がどんどん迫って来る。最後の登りだけ急登、若干の岩場があるが、鎖やロープなどは無く容易く通過できる。頂上直下あたりはモミジやカエデが色付いている。そして午後1時、山頂到着、ジャスト3時間かかった。

    黒岳山頂。もう何度登ったことだろうか。その大半が撮影目的での新道峠からのルート。


    黒岳展望台から見る河口湖と富士山

 山頂は天下茶屋でバスを降りた人たちだろうか、これから新道峠側に下山して行くところだった。山頂はスルーして展望台に向かう。こちらも5〜6人の人たちが休憩しており、三脚を立てられるような状況では無かったので手持ちで撮影してさらにその先の斜面を少し下る。こちらは急斜面で休憩しにくい場所ではあるが、あまり知られていない富士山展望の絶景場所である。ちょうどツツジの紅葉が真っ盛りだったので、食事休憩しながら三脚をセットし、存分に撮影する。

    ツツジの紅葉と富士山  黒岳展望台の少し先の斜面から撮影。


    紅葉と富士

 展望台が空いてきたところでそちらに移動してさらに休憩。混雑していた探訪台も午後1時半を過ぎると、ラーメンを食べている若者と私だけになった。午後2時、下山開始。太陽に背を向けて下山する形になるので、陽の射し込む森の良さそうな場所を探しながら歩き、午後4時10分、天下茶屋に到着した。

    双子のブナの木


    木漏れ日射す森


    隙間から見上げる三つ峠

 次週辺りから御坂山塊は紅葉真っ盛りとなりそうだ。気になるのが今日のような空気の霞だ。これも地球温暖化の影響なのだろうか。富士山が雪化粧したことだし、綺麗な紅葉と青空にくっきりと立つ富士山を眺めてみたいものだ。

紅葉の黒富士裏ルート マウントピア黒平から黒富士へ  平成24年10月27日

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 ようやく本格的な紅葉が始まった甲府市周辺の山々、予定では28日の日曜日に十二ヶ岳と節刀ヶ岳短絡ルートを予定していたのだが、天気予報では雨。天気図、雲画像からみても、まず雨になることは間違いなさそうだ。そこでその前日の27日土曜日に別の山の計画、マウントピア黒平から登る黒富士裏ルートを提案した。ゲストは6月の瑞牆山以来の豪華メンバー、sanaeさんご夫婦とみちほさんご夫婦だ。さらに相棒植田さんを加えて6人で出かけることとなった。このルートは昭文社の地図にも、国土地理院の地図にも載っていない、できてからまだ5年ほどの新しいルートである。随所にテープがつけられていて道迷いの心配は無いが、知られていないためにほとんど登る人がおらず静かな山旅が楽しめる。人の多いところが苦手な私にとってはたまらない魅惑のルートである。


    登山口のマウントピア黒平。カーナビで検索すると「甲府市役所マウントピア黒平」と出るらしい。


    マウントピア黒平駐車場に集結、本日のゲストはsanae隊とみちほ隊。

 前夜泊のみちほさんたちとは昇仙峡で合流、さらに前夜泊のsanaeさんたちとは登山口のマウントピア黒平の駐車場で合流し、8時にマウントピア黒平から出発する。道脇に栗が落ちており、まずは登山の前に栗拾いをする。コテージが並ぶ一角に黒富士を示す看板があり、その方向に進むと沢に沿って道がついている。なだらかな沢沿いの道を1時間ほど歩くと沢の終点、水場に到着する。以前にここの水を飲んだ時は雨の後だったためか、若干泥臭い印象があったが、今日は全く臭み無くおいしい水だ。


    沢沿いの道に沿って進む。何度か沢を渡り返すが靴を濡らさずに容易に渡れる。


    途中に大きな木と落葉。これは何の木??

 水場から先はガレた沢の中を進み、若干ルートがわかりにくくなるが、テープがこれでもかというくらいたくさん付けられている。もともとは沢の左側(右岸)にルートがあったのだが、2年ほど前に歩きやすいように右側(左岸)に新しくルートが作られた。マウントピア黒平の管理人さんや山梨大学山岳部の人たちがボランティアで集まって切り開いたと聞く。感謝なことである。ルートを進むと、やがて鹿の広場というカラマツ林の広場に出る。ここのカラマツはもう落葉してしまったのか、それとも枯れているのか、ずいぶんと葉付きが悪く、以前よりも林が明るく透けてしまったように感じる。小休止後、笹原の急斜面を登って黒富士峠に到着する。


    鹿の広場。カラマツの葉がもう既にだいぶ落ちてしまっていて、林が透けてしまったように感じる。


    黒富士峠。天気が良ければバックに八ヶ岳が見えるのだが、この日は雲の中。


    黒富士峠から見る黒富士。鋭く尖って格好良い。天気が良ければその左に富士山が並ぶ。

 反対側の曲岳や茅ヶ岳から見ると横長の山容に見える黒富士だが、黒富士峠から見るその山は鋭く尖って富士山をスマートにしたような格好良い姿を見せてくれる。天気が良ければその左側に富士山が並び、雪を抱いた白い富士と黒富士が並ぶ絶景を見ることができる。残念ながらこの日、富士山は姿を現してくれなかった。
 左方向に進み、稜線の紅葉を楽しみつつ、升形山の裏側を山頂に直登する。最後の岩の乗り越えが若干厄介だが、ルートには木に赤ペンキが塗られ、細い踏み跡がある。11時半、升形山山頂に到着する。この山頂からの360度の眺望は素晴らしいが、山頂が狭く休憩にはあまり向かないので、昼食は黒富士まで行ってからとることにする。


    升形山山頂と右に黒富士


    升形山から金峰山方面の眺望。金峰山は雲の中、中央の切れ立った岩場が帰りに立ち寄る撥岩(ばちいわ)。

 稜線は紅葉が見頃だが、陽が差し込まないので写真で撮るとどうしても彩度がいまひとつになってしまう。それでも、カエデやモミジの紅葉は美しく、日本百名山とは違って人が少なくゆったり静かに山を楽しめるところが良い。最後の急登を登り、黒富士に到着する。先客が3名ほどおり、食事休憩中だったのでその先の富士山展望台で大休憩、昼食となる。いつもながら、sanaeさんのザックからはどらえもんのポケットのように次々とおつまみが飛び出してくる。そしてみちほさんのザックからも。


    黒富士稜線の紅葉


    黒富士への最後の急登


    黒富士の富士山展望台からの眺望。紅葉は綺麗だったが富士山見えず。


    黒富士山頂で記念撮影


    展望岩に並んで写真を撮ってもらっているところを逆激写。

 お腹いっぱい食べて下山開始するが、その途中ヨッシ−の隠れ家、撥岩(ばちいわ、人面岩とも言うらしい)に立ち寄る。この場所は初めて黒富士裏ルートを歩いた時に道を間違えて偶然に登り着いた(というよりも強引に登った)展望場所だ。道は無いので地図に精通していないと行けない場所である。(sanaeさんのページにGPSの軌道が掲載されると思うので、そちらをご参照ください。)黒富士峠から鹿の広場に下りずにそのまま笹原をかき分けて進み、右側のピークに着いたところで左に曲がって稜線伝いに進むと岩の上にたどり着く。岩の上は数人しか入れない狭いところだが、切り立つ黒平の谷が足元に広がり、右に見える黒富士と並んで富士山が見える絶景地だ。この山域で私が最も気に入っているのがこの場所である。


    撥岩から見る黒平の谷


    黒富士  天候が良ければ左側に富士山が並ぶ。

 下山は黒富士峠には戻らず、道無き尾根を直下りする。急斜面の林の中を30分ほど歩きやすそうなところを探しながら下ると、朝登って来た登山道の脇に下り着く。この尾根を下るのはこれで3度目となるが、それでもなおひょっとしたら想定外の場所に出るのではないかという不安が2割くらいつきまとう。だが、そういうスリルもまた山歩きの楽しさだろうと思っている。


    道無き急斜面を直下り。皆さん不安に思ったのでは??おつきあいありがとうございました。

 午後4時半、マウントピア黒平に到着する。朝は会えなかった管理人さんのところにご挨拶に伺うと、大歓迎してくれ、みんなでお茶をいただいてきた。おつまみに出してくれた大根のつけものは今年採れたばかりのもので、昨日漬けたものだそうだ。シャキシャキの歯ごたえが良くとてもおいしくいただいた。さらに、明日ここでイベントがあるらしく、その打ち合わせにいらっしゃっていた地元の方から八幡芋という地元でとれるサトイモに似た芋をご馳走になった。これもツルリと皮がむけて醤油につけて食べると絶品。すっかりご馳走になり、すっかり日が暮れて真っ暗になった6時ごろ、マウントピア黒平を後にする。

 ゲストの皆さんが要害温泉で入浴している間に私は急に入った業務を片付け、8時ごろから駅前の焼鳥屋に移動して宴会となる。たぶん明日の天気は雨(と決めつけて)、11時近くまで焼鳥屋で山談義し、アルコールもかなり入ってすっかり酔ってしまう。雨で無くても二日酔いでもう歩けなそうだ。楽しい1日を過ごすことができた。

 ブログをやっていたからこそ、このようなおつきあいが出来るわけで、写真を編集したり文章を書いたりと手間はかかるのだが、それに見合うだけのおつきあいの幅が広がることをつくづく感じた。もともとは文章作成は大の苦手だったことも、かなり解消された。




 おまけ:以前に訪れたこのルートの映像


    黒富士峠から見る黒富士と白富士(平成19年12月2日)


    撥岩から見る黒富士と富士(平成19年12月2日)


    撥岩から見る黒富士と富士(平成20年10月19日 望君が同行)


    升形山から見る黒富士と富士(平成20年10月19日 望君が同行)

山上は晩秋の気配 節刀ヶ岳短絡ルート  平成24年11月4日

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 秋晴れとなったこの日、三つ峠ライブカメラで見るとすっきりした富士山が立っていた。しかし、甲府盆地から見上げる富士山は霞んでみえる。富士山を見るならば富士山に近い山のほうが良さそうだ。先週予定していたが天候不良で登れなかった節刀ヶ岳短絡ルートを登ってみることにした。

 実はこのルート、山上泊でオリオン座と月の撮影のために前日午後4時過ぎに登山口まで行ったのだが、まだ工事関係者の車が止まっており中止して帰って来た。砂防ダム工事が進行中であり、工事を行っている平日(土曜日も)は工事の迷惑になってしまうので、工事の無い日曜日限定のコースといって良いだろう。翌日は早朝から出発、と思っていたのだが、自宅で目を覚ませば時間はもう7時半。登り始めたのは10時近くになってしまう。

    工事現場の手前で「立入禁止」の車止め。ここでUターンしてその手前に車を止める。


    工事現場。かつてはここに車を止めさせてもらった。


    登山道入り口。看板が立っているが、その下には「工事中のため登山注意」の警告がある。

 工事現場は立ち入り禁止の車止めが置かれており、その手前に車を止める。工事用のルートを兼ねた登山道は入口に看板がつけられている。ロープの張られた登山道(工事道)を進むと右手の沢の砂防ダム工事が現在進行中のようで、急斜面にショベルカーが止まっていた。さらに進むと、既に工事が終了している砂防ダムを左手に見ながら、その脇を登る急登の登山道となる。かつてはこのあたりに荷揚げ用のモノレールが設置されていたが、現在は撤去されて歩きやすくなっていた。30分ほど急登の道を登ると傾斜が少し緩くなり、目指す節刀ヶ岳から十二ヶ岳への尾根が見えるようになる。休憩無しで45分ほどで尾根に到着した。尾根には新しい道標が立っており、かつては獣道のようだったこのルートの入り口はずいぶんと明瞭な道に様変わりしていた。この道を歩く人が増えたということなのだろうか。

    ロープの張られた道を進む。左側の沢を工事していた頃は物資が置いてあり歩きにくかったが、ずいぶん歩き易くなった。


    急登の登山道


    上部は傾斜が緩くなり、目指す尾根が見えてくる。テープがしっかりと付いている。


    新しくつけられていた尾根道の道標。


    尾根から見る林越しの富士山。もう大部分落葉していて、山上は晩秋の様相。


    紅葉越しの鬼ヶ岳

 一休みして節刀ヶ岳を目指す。ここから節刀ヶ岳までは30分とかからない。金山を越えて振り返りながら富士山を眺めつつ、11時15分節刀ヶ岳に到着、休憩時間を含めても1時間半はかからずに到着できた。登り始めが標高約1400mなので、標高差にして360mくらいしか無い超短絡ルートということになる。

    金山から見る富士山


    節刀ヶ岳山頂


    十二ヶ岳と富士山


    見渡す御坂山塊と河口湖。画像では写っていないが、遠く山中湖も見渡せる。

 山頂での昼食用にラーメンと水、バーナーを持ってきたがほとんど腹が減らず、お菓子だけで軽く昼食を済ませる。1時間近く存分に撮影後、十二ヶ岳方面を目指す。途中に展望の良い岩があり、そこからは十二ヶ岳の紅葉した斜面と西湖、富士山を写すことができる。鬼ヶ岳の眺望も良い。

    稜線の紅葉と富士山


    十二ヶ岳と西湖、富士山


    鬼ヶ岳  谷は紅葉真盛りだが、山頂付近は既に終わっている。


    先ほどまで居た節刀ヶ岳。カラマツの紅葉が美しい。


    十二ヶ岳はもうすぐそこ。だが、今回は登らず。

 展望岩から十二ヶ岳まではハシゴ場と長いロープ場があるが、それでも30分とかからない。しかし、この日は夕方からの予定があり、入浴と着替えの時間を考えると午後3時ごろには甲府に戻りたい。なので、今回は十二ヶ岳は立ち寄らず、ここで引き返すことにした。また春のコイワザクラやイワカガミが咲く季節にでも歩いてみよう。
 午後1時半、1時間とかからずに工事現場に到着。山だけ登るならこのルートが時間がかからずに良いが、山歩きを楽しむという意味ではあまりにも短絡すぎるという感がある。



    今回のルート。林道は登り始めの地点まで延びているが悪路。RV車で行くことをすすめる。かつ、道が細いので車の交差には十分に注意をお願いしたい。

    

富士に昇るオリオン座と冬の大三角形 雨ヶ岳  平成24年11月10日−11日

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 今年の富士山は10月にすっかり雪化粧し、富士山らしい綺麗な容姿を見せている。11月10日から12日までの3日間はちょうど雨ヶ岳の山頂からダイヤモンド富士が見られる日だ。特に11日の日曜日は山頂真ん中から日が昇る絶好の日だ。しかし、問題なのは天気だ。予報ではこの日は昼過ぎから雨。しかし、天気が崩れ始める前は狙い目でもある。ひょっとしたら、雲海の上に富士山が浮かんでくれるかもしれないからだ。何度も雲海上のダイヤモンド富士を求めて登っている毛無山・雨ヶ岳山塊だが、チャンスは何度もあったが未だに雲海上のダイヤは撮影に成功していない。今回も一発勝負、テントを担いで雨ヶ岳に登る。さらにもう一つの狙いは、東の空から昇って来るオリオン座と冬の大三角形だ。ちょうど富士山の左裾あたりから昇って来るはずで、木星が接近している今は賑やかな夕暮れの空になっている。

 当直開けて2日目なのでとても早起きなどできず、ゆっくり起きてお風呂に入り、甲府の自宅を出発したのは既に昼の12時を回ってしまう。前回は今年の2月に本栖湖側から登ったので今回は静岡側の根原から入山することにした。1時過ぎに到着したのは良いが、林道入口の駐車場手前で既に立ち入り禁止になっている。車を止められず、止む無く朝霧高原道の駅の前を右折して東海自然歩道の通る草原に入ってみたが、どうみてもかなりの距離がある。戻って根原小学校脇の細い道に入るが、ここは行き止まり。さらに戻ってガソリンスタンド脇を入ると車が止められるスペースがあった。しかし、ここはどうみても私有地だ。しかし、使われている様子はないので、その空き地の隅に車を止めさせていただく。出発は午後1時50分になってしまう。またしても、明るいうちに山頂には到着できそうもない。

    私有地と思われる空き地に車を止めさせていただく。後ろに見えるのが目指す毛無山・雨ヶ岳の山塊。


    このゲートの先に駐車場があるのだが・・・通行止め。この先で工事している場所があり、道幅が狭くなっていた。


    ここが使えると楽なのだが、当分は使えなそうだ。駐車料金ではなく協力金の徴収箱が設置してある。

 アスファルトの林道を進むと別荘地を過ぎてA沢貯水池のところで東海自然歩道と合流する。この道は良く整備されていて随所に立派な道標が立てられている。道標に従って端足峠(はしたとうげ)に進むと、急傾斜ながら道はジグザグにうまくつけられており、30分ほど登ると端足峠に到着する。時間は3時15分、1時間半弱で峠に到着した。

    東海自然歩道に出る。フェンスの向こうがA沢貯留池で、飲料水のため立ち入り禁止になっている。


    端足峠の分岐。ここから登りになる。


    端足峠から見る富士山。陽の射す角度が良く、PLフィルターがパッチリ効く。

 あまりのんびりしているつもりはなかったのだが、今日の富士山があまりにも綺麗だったので三脚を出して撮影しているとあっという間に30分も時間を費やしてしまう。この先から本番の雨ヶ岳急登が始まる。良く刈り払われた笹原の急登を過ぎさらに続く林の中の急登を登り、標高1,500mあたりのところで時間は4時半を回る。赤く焼ける富士山を期待していたのだが、ほとんど染まらずにあっさり日が沈んでしまう。もうすぐ暗くなるのでヘッドライトを装着し、午後5時ごろから点灯して登る。そして山頂直下の最後の急傾斜を空腹のエネルギー切れと闘いつつ、すっかり暗くなった午後5時45分、山頂到着した。

    端足峠付近から見上げる雨ヶ岳。すぐそこに見えるのだが、ここからが急登りの始まり。


    笹原の急登


    なかなか到着しない雨ヶ岳。まだまだ続く急登り。


    夕暮れの空。あまり染まらずにあっさりと陽が沈む。


    山頂到着は6時少し前。端正な富士山が聳える。右が駿河湾の明かり、左は河口湖の明かり。

 テント設営の前にしばし眼前の富士山と星空を眺め休憩する。一通り撮影したところでテント設営して夕食をとる。午後8時を過ぎた頃には東の空に木星が輝いているはずなので、その時間に再びテントの外に出て撮影を始める。この日は新兵器、ハーフミストフィルターを持って来た。これは、ソフトフィルターを使うと星は大きく写るが、反面山や景色がぼやけてしまうので、下の部分をシャープに写して空の星をぼかそうという発想だ。しかしながら、そのフィルターは空が白く写ってしまい、失敗に終わる。さらにもうひとつの兵器、それは手製のハーフソフトフィルターだ。これはプロテクターにフィルムを張り付けた自家製のもの。しかし、つなぎ目の部分に線が入ってしまうのではないかと心配していたのだが、どうやら大丈夫そうだ。木星が大きく輝いて写るがその他の星はいまいち、もう一工夫必要そうだ。

    天の川と夏の大三角形。これはフィルター無しの画像。


    富士に昇る木星  ハーフソフトフィルター使用。運良く流星が流れてくれたが、飛行機は邪魔。


    富士に昇るオリオン座


    木星とオリオン座  広角10?レンズ+ハーフソフトフィルター


    富士に昇る木星と冬の大三角形  富士山の真上でシリウスが輝く。今回いちばん撮りたかった画像。

 天候に恵まれたこの日は雲が流れつつも空が澄んで素晴らしい星空が広がった。久しぶりに山上での至福の夜を一人過ごした。さらにもうひとつ、新しい試みを行ってみたのだが、それは後日(といっても編集に時間がかかりそうなのでしばらく先になりそう)ご披露することとしよう。
 さて、明朝は未明3時半に起床の予定だ。ダイヤモンド富士の前に、今度は富士山の裾野から二十七夜の細い月が昇って来るはずだ。ひとまずは寝なければ。明日の好天を祈りつつ、10時半、シュラフにもぐり込んで寝る。



富士山に昇る木星とオリオン座(インターバル撮影)

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 平成24年11月10日、雨ヶ岳山頂で過ごした夜に試みた新しい撮影法がこのインターバル撮影だ。これは長時間露光撮影とは異なり、カメラをしっかりと固定して通常の星空撮影を繰り返し、それをビデオ編集ソフトでつなぎ合わせてあたかも動画のように見せる手法である。以前にふたご座流星群をこの方法で撮影したことがあったが、ビデオソフトがうまく使えず編集には失敗している。ソフトを新しくしたので今度はなんとか動画っぽく編集できるようになった。

 
 これは10?超広角レンズで撮影したインターバル撮影の映像の一部である。シャッタースピード34秒、インターバル1秒の35秒を1サイクルとして電池の続く限り(時間にして約1時間)、100枚以上の映像をつなぎ合わせて編集する。







 こちらは17?レンズでの撮影画像である。このレンズはF2.8の明るいレンズなので、シャッタースピード24秒、インターバル1秒の25秒1サイクルで撮影している。生き物のように流れ行く雲の上を木星とオリオン座が昇って行く姿が映し出されている。








 それでは、お楽しみください。「富士に昇る木星とオリオン座」初めて公開するインターバル撮影です。音楽は1966カルテットのファーストアルバム「BEATLES CLASSICS」の中から「Good Night」です。

ダイヤモンド富士ならず、しかし・・・ 雨ヶ岳(2日目)  平成24年11月10日−11日

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 富士の裾野から昇る木星、オリオン座と冬の大三角形、そして未明に昇って来る二十七夜の細月、さらにダイヤモンド富士を狙って前日の夕暮れ時に雨ヶ岳山頂に到着しテント泊した。空が澄み、薄雲が流れ行く空の上に満天の星が広がり、久しぶりの星空を堪能した。

 明けた11日の未明3時半に起床する。そろそろ富士山の裾野から月が昇り始めている頃だ。しかし・・・テントの外を見て唖然とする。前夜の星空はどこへやら、霧におおわれて真っ白な世界が広がる。富士山も、月もいったいどこへやら・・・??。気温−4℃、想定した通りの氷点下、結構寒い。テントに戻ってバーナーを焚き、暖をとりながら早目の下山に備えてシュラフやシュラフカバーを詰め込む。4時を過ぎた頃にテントの外を見てみると、時折富士山頂が霧の間から姿を現し、その上にはうっすらと月らしき影が透けて見える。それほど厚い霧では無いようで、空を見上げれば前夜楽しませてくれた木星と冬の大三角形がうっすらと透けて見えていた。数カット撮影してテントに戻り、今度は朝食を摂る。

    うっすらと見えた月と富士山頂


    霧の空に透けて見えた木星と冬の大三角形

 すっかりあきらめていた午後5時40分、再びテントの外を覗いてみると、南から東の空にかけて真っ赤に焼けていた。そして流れ行く霧の切れ間から富士山が姿を現す。見事に雲海の上に富士山が浮かんでくれた。空高く二十七夜の月が輝いている。

    霧の間から姿を現した朝焼けに立つ富士山


    朝焼けに昇る二十七夜の月


    見事に雲海の上に富士山が出た。


    雲海に立つ朝焼け富士


    雲が湧き上がり、富士山に絡み付く。

 これでダイヤモンドが輝いてくれれば最高なのだが、富士山の後ろ側にはあいにくの厚い雲がかかっている。雨ヶ岳山頂にあるお気に入りの木を前景にして三脚を固定し、その時をじっと待つ。時間は午前7時を回った。そろそろ時間だが・・・富士山頂がわずかに明るくなった程度で、ダイヤモンドは輝かなかった。しばらく見ていると富士山頂で明るくなった光こそが太陽で、雲が薄くなった富士山の右上で雲を透けて輝いていた。

    朝焼けが終わり、空は晴れたが富士山の裏には厚めの雲がかかる。


    この雲を透けて朝日が輝いてくれれば・・・念願の雲海上のダイヤモンド富士だが・・・。


    この構図でダイヤモンド富士を待つ。山頂が少し明るくなっているのが、実は太陽。ダイヤモンドは輝かず。


    富士山頂を過ぎたところで透けて見えた太陽。

 空は次第に雲が増え始めていた。富士山も時折山頂がすっぽりと雲におおわれたかと思えば、また姿を現す。午後からは雨の予報なので早々にテント撤収し、午後7時45分、下山開始する。スリップしそうな急斜面に注意しつつ、1時間で端足峠到着。A沢貯水池周辺の撮影ポイントをチェックしながらも、10時前に駐車場に到着した。

 山の景色は登ってみなければわからない。天候が崩れる前、そして回復してくる時にはこのようなドラマチックな展開となることがあるのだが、ほとんどの場合は空振りに終わる。しかし、こういう景色を見てしまうと見込みが薄いのを承知でまた来たくなる。中毒のようなものだろう。

東シナ海に沈む夕陽 開聞岳  平成24年11月15日

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 職員旅行で九州へ行く機会があった。本来は香港のはずだったのだが、尖閣問題で状況が危うくなったため、6月の時点で香港旅行を中止し、九州の鹿児島・宮崎に変更となった。数年前にも九州旅行があり、その時は1泊2日で九重山に登り、さらに由布岳にも登りたいへん満足な旅行ができた。そして今回も飛行機や食事の時間との調整を行いつつ、開聞岳と韓国岳に登る計画を立てた。旅行メンバーの中に登山する者はおらず、今回は単独の登山となる。
 
 11月15日

 職場に早朝4時15分に集合し、バスで羽田空港へ。そして鹿児島空港には10時過ぎに到着した。さっそく手配したレンタカー会社に電話するが、全く電話が通じず20分ほど繰り返し電話してようやくつながり、鹿児島空港まで迎えに来てもらう。11時過ぎに鹿児島空港出発し、指宿に向かう。登山口の開聞山麓ふれあい公園に到着したのは午後1時となり、あてにしていたバーナーの燃料は手に入れる余裕無く登山口にに来てしまう。運良く公園の売店にお菓子とパンが売っており、これを買って1時20分に出発する。予定では4時ごろに山頂到着し、海に沈む夕陽を眺めてから暗い中を下山するつもりだ。初めて歩く道だが、整備された道で、傾斜がほぼ一定の渦巻状になっており、迷うところは無いと聞いた。

    かいもん山麓ふれあい公園から見上げる開聞岳。形はまさに富士山。


    これはハンカイソウか?山麓にたくさん咲いていた。


    2合目の登山口

 2合目の登山口から登山道に入ると、最初は亜熱帯樹林の中のやや薄暗い森を進む。樫の木を主体としたこの森は、私が生まれ育った千葉の森に良く似ている。5合目で一度展望が開け、大隅半島根元のあたりと長崎鼻が見渡せる。そしてまた樹林帯に入り、今度は7合目あたりで再び視界が開け、長崎鼻先端から、その向こうに大隅半島先端までが見渡せるようになる。そしたまた樹林帯、今度は9合目付近から先ほどとは反対側の薩摩半島枕崎側が見渡せるようになる。こちら側はもう東シナ海だ。

    樹林帯の中の道を行く。


    開聞岳中〜下部の亜熱帯樹林帯。千葉の森に良く似ている。


    5合目。展望所になっている。


    5合目から見る長崎鼻と大隅半島


    7合目からの展望。長崎鼻先端と、その向こうに大隅半島の先端まで見渡せる。


    8合目付近にある仙人洞


    8合目付近にあるロープ場


    9合目付近から見る薩摩半島枕崎側。こちらの海は東シナ海。

 9合目付近にはハシゴ場があり、それを過ぎると山頂への最後の急登となる。山頂手前に鳥居の立つ御嶽神社があり、それを過ぎるとすぐに山頂に飛び出す。大きな岩があり、その上からは360度の眺望が得られる。午後4時15分、山頂到着。約3時間の行程だった。

    9合目付近のハシゴ場


    山頂直下の急登。あと少し。


    直下に立つ御嶽神社


    開聞岳山頂。岩の上から標柱と池田湖を見下ろす。


    長崎鼻と大隅半島

 甲府ではこの時期、午後4時半になるともう日が沈んで暗くなってくるが、鹿児島では5時近くまで日が沈まない。影開聞岳が指宿の町に端正な形の影を落としている。しかし、夕陽の沈んで行く東シナ海側は・・・山頂の樹木に阻まれて光る海面が十分に見えない。予定では山頂で日没を迎えるはずだったのだが、ここでは夕陽に染まる海原が十分に見えないので、下山しながら良さげな場所を探すことにする。

    指宿の町に影を落とす開聞岳


    東シナ海に沈み行く夕陽。山頂からだと樹木が邪魔して海面が十分に見えない。

 9合目ハシゴ上、夕陽と海は見えるが左側斜面が近過ぎる。9合目付近の展望地は比較的良いが、もう少し眼下まで海が見えるところが良い。さらに下山するが、その先は樹林帯で展望地が全く見つからず、どんどん陽が沈んで行ってしまう。そして到着した7合目展望地、ちょうど陽が沈むところだったが、ここから見る夕陽は林の中に隠れ、残念ながら見えなかった。かくして、南シナ海にまさに沈まんとする夕陽の撮影は失敗に終わる。

    9合目ハシゴ上から見る夕陽。左斜面がまだ邪魔。


    9合目付近の展望地から見る夕陽。ここは比較的良いが、もう少し海原が広く見えるところが良い。しかし、その先には・・・


    樹林帯から見る夕陽。良い場所が見つからないまま、どんどん夕陽が沈んで行く。


    7合目展望地から見る夕暮れ。夕陽は右の樹林帯ギリギリのところに隠れてしまう。


    長崎鼻と大隅半島の夕暮れ

 初めて登る山で狙い通りの写真を撮るのはなかなか難しいものだ。角度を計算して行ったつもりだったが、狙った場所からは展望が得られなかった。それも止む無し、とにかく下山する。6時半、かいもん山麓ふれあい公園に到着すると、空には一面の星空が広がった。海抜200mにも満たない場所なのに、鹿児島南端まで来ると山梨県の標高1,500mを越えたところから見るような星空だ。ゆっくり見ていたい気持ちもあったのだが、料亭での食事会が旅行の中に組まれている。数カット撮影して宿泊地鹿児島市に向かう。

    5合目から見下ろす指宿市の夜景


    かいもん山麓ふれあい公園から見上げる開聞岳と天の川


 しかし・・・途中で旅行幹事から電話が入る。料亭は2時間の予定で8時半には切り上げるという。カーナビで見ると到着時間は8時半だ。急いでもかなり厳しい時間・・・かなり飛ばしたが料亭近傍に到着したのは8時15分。期待していた料亭「熊襲亭(くまそてい)」の食事はあきらめて、夕食は一人ラーメンを食べることになる。重ねて残念。しかし、タクシーの運転手に連れて行ってもらった「小金太」というラーメン屋、客は地元の人ばかりで味は絶品だった。これには大満足。

うろこ雲広がる晩秋の空 韓国岳  平成24年11月16日

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 職員旅行初日の宿泊地は鹿児島市城山観光ホテル、高台に建つ高級ホテルだ。早朝出発して午前中に韓国岳に登ることを考えていたのだが、前日、料亭での食事にありつけなかったことがあり、朝食はホテルで食べてから出発したい。6時に起床して大浴場のお風呂に入り、7時に朝食。だが、この朝食会場がかなり混雑しており、15分ほど待ってようやく食事にありつけた。朝からこんなに食べて良いのかというくらいに食べた後、8時にホテルを出発する。行き先は韓国岳の登山口、えびの高原だ。

    宿泊した鹿児島市城山観光ホテル。温泉の大浴場は桜島を見ながらお風呂に入れる。


    桜島の夜明け。城山観光ホテルから。

 ちょうど10時にえびの高原駐車場に到着した。有料駐車場に車を止め、まずは敷地内にある看板の地図と登山口を確認し出発する。最初はアスファルトの道を歩き、硫黄山の分岐あたりで登山道らしくなる。しかしその先も整備された道が続く。

    えびの高原駐車場。ここは有料だが、道沿いの無料駐車場もあるようだ。


    うろこ雲が空一面に広がった韓国岳。右側が山頂、左は独立した山では無く、爆裂火口の一部。


    硫黄山分岐の手前、整備された道を行く。


    3合目の標柱。1合ごとに標柱が立てられ、距離が記されている。


    4合目から見下ろすえびの高原

 石のゴロゴロしたやや急傾斜のところもあるが、丸太でつくられたステップがうまく設置されている。1時間少々で5合目に到着、小休止後、1時間ほどで山頂に到着した。標高差約500m、2時間ほどの行程だった。8合目から上は広大なミヤマキリシマツツジの群生地となっており、花期に訪れればきっと素晴らしい光景にめぐり会えることだろう。(そのかわり、たぶん人もいっぱい。)

    8合目。雪が降ったらしく、ところどころ白くなっている。


    雪を被ったミヤマキリシマ


    8合目から上はミヤマキリシマの大群落。えびの高原を見下ろす。


    大浪池とミヤマキリシマ

 12時10分山頂到着。向こうにまだ噴煙の柱を何本も上げる新燃岳と三角錐の形が良い高千穂峰が聳え立つ。この日は霞に混じって桜島の火山灰が飛んだようで、景色は霞んで見えた。地元の登山愛好家の方と山頂で話す機会があり、新燃岳が噴火した時の火山灰と噴礫で新燃岳周辺の木々はほとんど枯れてしまったそうだ。風向きで火山灰が多く降った高千穂峰側は登山道に砂礫がかなり積もったが、反面石が露出していた斜面が覆われて歩きやすくなったそうだ。風が強く体感温度は寒かったが、フリースを1枚着るだけでなんとか凌げた。

    うろこ雲流れる新燃岳と高千穂峰


    新燃岳はまだ噴煙を上げている。


    風が強く、薄い髪も逆立つ。

 山頂裏側(爆裂火口側)は鋭く切り立った崖になっており、その下に爆裂火口を見ることができる。誤って落ちたらひとたまりもない。昼食後、登山道から少し外れて爆裂火口周囲を巡る細い踏み跡を8合目付近まで歩いてみた。側面から見る韓国岳山頂はスッパリと切り落ちている。

    山頂から見下ろす爆裂火口。怖くて近付き難い。


    やや回り込んだ場所から見下ろす爆裂火口


    さらに回り込んだ場所から見上げる韓国岳山頂と爆裂火口の一部

 午後1時半ごろ、8合目付近で正規の登山道に下り、下山開始する。山頂付近でかなり時間を費やしたので帰りはあまり休憩することも無くひたすら下山、1時間ほどで駐車場に到着した。駐車場の向こう側に建つおみやげ物屋さんに行くと2階がレストランになっており、ここで登って来た韓国岳を眺めながら、宮崎牛の焼き肉を食べてゆっくり食事をとる。簡単に登れる割には眺望に恵まれた良い山だった。九重山、由布岳と同様に、九州の山はツツジが咲く季節に訪れてみたい山だとつくづく感じた。


 さて、レンタカーを鹿児島空港に戻し、国分駅までタクシーで移動、そこから日豊本線に乗って宮崎に移動した。午後6時半、高千穂見物に行っていた職場のメンバーと合流し、宮崎地鶏のお店で地鶏料理を堪能した。炭焼きもも肉は炭の香りが漂って絶品、アルコールもかなり入ってすっかり上機嫌になる。さらに、本日の宿泊地はシーガイア・シェラトングランデホテルという昨日にも増して高級なホテルだった。ちょうどゴルフのフェニックスオープン(だったか?)が開催されており、石川遼選手も同じホテルに宿泊していたらしい。上階のカクテルバーに移動してさらにもう少しアルコールを飲み、11時半に部屋に戻り寝る。充実した1日だった。

 これで九州の日本百名山は残すところ阿蘇山と屋久島宮之浦岳の2つとなった。いつ行けるかは全く分からないが、今回のようなとりあえず頂上に登って来るような登山では無く、良い季節にじっくりと登ってみたいと願う。

流れなかったしし座流星群 帯那山  平成24年11月18日

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 職員旅行で九州から甲府に帰って来たのが17日の夜9時ごろだった。その頃には降っていた雨は止み、次第に空は晴れつつあった。この日の夜はしし座流星群が極大を迎える頃だ。天気予報の雲画像を見ても未明には空が晴れて澄んだ星空が見られそうだ。しかし・・・旅行疲れもあっておそらくは起きるのは困難だろう・・・と思いつつ、深夜12時ごろに眠りに就く。しかし、目覚ましをかけたわけでもないのに未明4時前に目が覚める。外に出てみれば空が澄んで満天の星空、東の空を流星がひとつ横切っていった。まだ眠いには眠いが、折角目を覚ましたのだからこれは行くしかないだろう。富士山が見えてしかも簡単に行けるところといったら、我が家からだと帯那山がいちばん近い。オーバージャケットにオーバーズボンの冬山装備を着込んで出発する。

 未明4時半、帯那山山頂に到着する。風が強くて寒いが、おかげで空が澄み、西に傾き始めた冬の大三角形を天の川が貫いているのがうっすらと見える。富士山を入れての流星撮影を狙っていたが、南東側の空はこの時間は何も目立った星が無く地味な空だ。かつ、低空に霞があり、富士山もあまり鮮明では無い。そこで、南西側の空に輝くオリオン座と冬の大三角形に狙いを定め、三脚固定してインターバル撮影(撮影24秒、インターバル1秒の25秒1サイクル)を試みる。時間にして約40分間撮影し続けたが、その中に写っていた流星の数は・・・0。全く流れてくれなかった。その間に空を眺めていたが、やはり全く流れない。

    帯那山から見る富士山と甲府の夜景。南西側の空は目立った星が無く地味。右上ギリギリに輝くのがおおいぬ座のシリウス。


    オリオン座と冬の大三角形。木の間に輝くのは木星。この位置で40分間のインターバル撮影行うも、流星は1個も流れず。

 明るみ始めた東の空にひときわ明るい金星が昇り始めた。そちら側に移動して同じく明け行く空のインターバル撮影を試みるが、こちらも全く流星流れず、かつ露出オーバーで金星の輝きはあっという間に朝の光の中に消えてしまった。

    東の空に昇った金星とアルクトゥールス。  


    夜明けの空に消えて行く金星

 強風、かつ氷点下の朝なのに低空はなんとなく霞んでいる。富士山も見えるには見えるがスッキリとしてはいない。ここ数年、空気が澄んだように見える日でもこのような景色の日が多いように感じる。強風で落ち葉が巻き上げられて飛んで行くところを狙って何度もシャッターを切ったが、なかなか難しいもので、ただのゴミか虫が舞っているようにしか見えない。すっかり日が昇った午前7時、撤収。自宅に戻って寝なおす。

    夜明けの富士山と甲府盆地


    木枯らし吹く  といってもただのゴミか虫のようにしか見えない。


    夜明けの富士山


    朝日射す


    帯那山の晩秋


 自宅から手軽に行けるので何度も星空の撮影を試みている帯那山だが、満足な写真を撮れたことがほとんど無い。標高1200mほどでは高度が足りず、甲府盆地にかかる霞の中からまだ抜け出せないのだろう。星空を撮影するなら、少なくとも高度1500mは必要なのだろうと思う。
 

霧氷の黒岳 平成24年12月23日

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 1ヶ月ぶりの山行となる。年に数回訪れるスランプ状態、折角空が晴れて星空が見やすくなった季節だというのに全く歩きたくない。こんな時は山に行きたくなるまで歩かないことにしている。週末は深夜までインターネットとオンラインゲーム、ゆっくり起きてまた寝てのグータラ生活をしていると、そのうち登りたくなってくる。といっても、難しい山は不安があるのでまずは行き慣れた御坂山塊から登り始めるのがいつものパターンだ。

 少しばかり雪が降った数日後、雪景色が見たくなった。未明に竜ヶ岳の登山口まで行ったが、途中の精進湖から見る富士山には雲がかかっていた。登山口から東の空を眺めてみたが、雲は晴れそうに無くあきらめて自宅に帰る。その翌日、すっきりとはしないものの、富士山が見えるようになってきた。夕暮れの富士山を狙って黒岳に向かう。
 新道峠への林道は既に閉鎖されており、峠まで歩くと1時間ほどかかり、さらに山頂までは1時間半、計2時間半ほどかかってしまう。既に時間は午後2時20分、夕暮れには間に合わない。そこで、夏に登ったどんべい峠側の直登尾根を登ることにする。ちょうど2人下山して来た人を見かけ、トレースの心配も無さそうだ。登り始めから雪道なので軽アイゼン装着して出発する。

    スズラン峠駐車場から見上げる黒岳。山頂付近が白く霧氷になっているのが見える。


    林道脇のスペースに車を止める。正面に見える谷筋の左側に登山道があるが、看板は立っていない。

 アイスバーンにはなっておらず、快適に歩ける。心配した足の疲れもほとんど感じず、1ヶ月サボってもいつもと同じ感じで歩けそうな気がする。いつもなら、訳のわからない脇道を探して歩く御坂山塊だが、今回は真面目に(?)登山道をひたすらトレース通りに歩く。これは帰りにまた同じコースを戻る際、おそらく夜になっているのでトレースを明瞭にしておきたいという意味もある。

    どんべい峠側からのルートとの合流点。左が登って来た横道、真直ぐ行くとどんべい峠に出る。


    冬の空。

 トレースがあったおかげでルートは容易に見つけ出すことができた。もし無かったら・・・きっと強引に直登していたところだろう。山頂直下まで行くと少しだが霧氷の森になっていた。そして日没迫る午後3時50分、黒岳山頂に到着した。足跡がたくさんあるが、さすがにこの時間には誰もいない。

    山頂近くの霧氷。向こうに見えるのは釈迦ヶ岳。


    雪の黒岳山頂。陽が西に傾く。

 山頂から黒岳展望台へ向かう道には霧氷のかけらが落ちていた。上を見上げれば木の枝に霧氷が付いている。そして展望台に到着すると・・・だいぶ散ってしまってはいるがまだ枝先に霧氷の華が残っていた。久しぶりの山行でこんな景色が見られるとはラッキーだ。

    霧氷の華が散る登山道


    霧氷の木々


    黒岳の霧氷と富士山


    霧氷に昇る月

 残念ながら富士山は霞んでいてすっきりとは見えてくれない。日没を過ぎて河口湖の町明かりが灯り出した午後5時まで展望台で過ごしたが、すっきりとした夜景にはなりそうもなく、まだ足元がかろうじて見えるうちにヘッドライト点灯して下山開始する。登りながらつけたトレースと月明かりのおかげで下山道は明瞭、休まずに一気に下り、40分ほどで駐車した林道に到着した。

    夕暮れの富士山  氷点下に冷え込んだがすっきりと見えてはくれない。


    同上  河口湖の町に明かりが灯り始める。


    林道脇の駐車スペース。月明かりで木の影が長く延びる。


 なんとなく登れそうな気がするが、まだ気力も体力もいまひとつ。年末年始はどうするか、日当直の予定もこの時点ではまだ未定だった。近場の山でテント泊して年を明かそうと考えている。

クリスマス会 旧羅漢寺跡の道を羅漢寺山へ  平成24年12月24日

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 午後からスマイルスマイルコンサートという演奏会が催される予定あり、仲間たち6人で行くことになっていた。場所は甲斐双葉ふれあい文化ホールという比較的新しいホールだ。ゲストが凄い。司会が宮本文昭さん(世界的に有名なオーボエ奏者。宮本笑里のお父様)、ピアノ三浦友里恵さん(イギリス王室音楽大学を首席で卒業された売り出し中のピアニスト)、二胡のチェンミンさん(テレビドラマ風林火山のテーマ曲奏者)、そしてヴァイオリンが川井郁子さん(ストラディバリウスの奏者、大ファンです)と、山梨県にこれほどのメンバーが来ても良いのかというくらいの豪華メンバーが集結する。楽しいクリスマスイヴになりそうだ。

 その前に・・・折角山仲間のメンバーも集まることだし、コンサートの前にプチ山行を計画した。近場で短時間で登れる山、かつ、いざという時は下山が容易な山として、羅漢寺山を選んだ。ここならばロープウェイを使えばわずか5分で下山できる。普通のルートでは面白みが無いので、ここは昭文社の地図には載っていないルート、旧羅漢寺の寺跡がある道(ほぼ廃道状態でかなり荒れている)を登ることにした。

    昇仙峡駐車場。真後ろの山が目指す羅漢寺山。


    羅漢寺に行く橋を渡って対岸に行く。


    対岸の道を北上する。以前に歩いた時はもう少し籔っぽかった気がするが、草が枯れているためか歩きやすくなっていた。

 朝7時、メンバー5人が職場の前の駐車場に集合し、車2台で昇仙峡に向かう。昇仙峡駐車場に車を止めて8時20分に歩き始める。まずは遊歩道を南下して吊り橋を渡って羅漢寺に行く。ここから川沿いの道を北上すると枯れた沢筋に突き当たり、その右岸を枯れ沢に沿って登る道がついている。最初は道らしきものがあるが、途中で道は焼失し、沢の中のゴロゴロした石の上を適当に登るようになる。沢筋に入って30分ほど歩いたところで、右手に大きな丸い岩が見えてくる。その岩の下は洞窟のようになっており、地面は整地されたかのように平らになっていて、寝泊まりできそうな空間が空いている。

    眼前に丸い大岩が迫る。


    岩の下には寝泊まりできそうな洞窟のような空間がある。


    道はいずこへ??沢の中のゴロゴロした石の上を適当に登る。

 道は全く不明瞭となり、沢の中を適当に登って行くと、ところどころ道の痕跡らしきものがある。さらに沢伝いに登って行くと、寺門の跡らしき石の積まれた跡が目に留まるようになる。さらに登って行くと、平らになった広場の向こうに古代遺跡のような石積みが出現する。これが旧羅漢寺跡だ。

    石積みの跡が見え出す。


    広場の向こうに旧羅漢寺跡


    寺跡の前で記念撮影

 その先の道も引き続きかなり荒れている。沢筋を登って行けば良いと思っていたのだが、右側(沢の左岸)にピンクテープがついており、沢筋の道が消失していたのでそちらに登ってみると、人が歩いたとは思えないような急斜面を登り、その先はなんとなく道らしき痕跡、さらに進むと尾根筋にたどり着いたものの、その先はゴツゴツの岩が並ぶ難路になっていた。左手に鎧岩という岩が見え、どうやらこの道は鎧岩を経由して山頂に向かうルートらしい。一人ならば登ったかもしれないが、初心者もいることだし、ここは戻ることにした。
 沢筋に戻って登ると、道は崩れて倒木でおおわれているが、倒れた木にピンクテープがついていた。その崩落地を過ぎると再び道が見えてきた。今度は明瞭でテープもついている。最後のやや急なジグザグ道を登り着くと、白山側から来る尾根道に登り着いた。時間は午後11時、余計な道に迷い込んだために1時間近く時間を費やしてしまい、予定よりだいぶ遅くなってしまった。

    白山側から来る尾根道に到着。


    眼前に見える鞍掛岩

 小休憩後、ロープウェイ方向の道では無く鞍掛岩に登る尾根直登ルートを登る。ルートの途中から先ほど道を間違えたところから見た鎧岩が見え、そちらに行く明瞭なルートがあった。おそらく先ほどの尾根を強引に登っていればここに出たのだろう。15分ほど登って鞍掛岩の上に出た。広い岩の上は眺望が良く休憩には適している。昼食をどうするか迷ったが、小休憩後山頂を踏んでロープウェイ駅まで戻り、そこで昼食をとることにした。

    鞍掛岩と南アルプスの眺望


    鞍掛岩の上は眺望が良く、休憩に適している。


    山頂への登り


    祠の立つ弥三郎岳(羅漢寺山最高点)


    山頂で記念撮影

 時間があれば山頂裏から仙我滝付近に直下りする難ルートをザイルを使って下りる予定だったのだが、既に時間は12時を回っている。コンサート開場時間は午後2時半なので、ここはロープウェイを使って下山することとし、山頂駅で急いで昼食をとって下りることになる。12時45分の便に乗り、やや急ぎ足で仙我滝遊歩道を下り、午後1時25分、駐車場に到着した。

    山頂直下から見る茅ヶ岳から黒富士の山塊


    荒川ダムと金峰山


    ロープウェイ山頂駅で急いで昼食


    山頂駅テラスから見る富士山。山梨百名山標柱は何故かここに立っている。

 3時の開演時間ギリギリになるかとやや焦ったが、病院に戻り、さらに女性1人は着替えてからコンサート会場に向かっても開場時間の2時半には余裕で間に合った。ゲストの3人とも素晴らしい演奏で、あっという間の2時間だった。一人5曲ずつの演奏と最後に3人でクリスマスソングを演奏していただいたが、もっとゆっくりと聞いてみたい演奏ばかりだった。川井郁子さんは川越のコンサートにも行かせていただいたが、今回はあの時にも増して体調が良さそうで、弓の弦が切れるほどの熱演をされていた。期待していた映画「北のカナリアたち」のテーマ曲が聞けなかったのはちょっと残念だったが、機会があればまた聞きに行きたい。

新春の日の出 茅ヶ岳(前編)  平成24年12月31日−平成25年1月1日

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 12月28日の仕事納めの夜は雪が降った。甲府の町中も薄く雪化粧し、年末年始は白い雪山の風景が甲府市周辺の中・低山でも楽しめると期待した。ところが、その2日後の雨で雪はすっかり融けてしまい、山々の雪景色も消えてしまった。金ヶ岳から白い茅ヶ岳と富士山を並べて撮ろうという数年来の構想を抱いており、金ヶ岳山頂での年越しを考えていたのだが、この構想は不発となってしまう。

 とりあえずは茅ヶ岳まで、ということで12月31日、テントを担いで出かけるが、出発があまりにも遅過ぎ、深田公園駐車場に到着したのは午後2時20分になってしまう。山頂までは私の遅足と重い荷物ではどう頑張っても2時間半はかかる。日没を過ぎた時間にようやく茅ヶ岳山頂に到着する頃だろう。駐車場では既にテントを張って寝床の準備をしている人たちがおり、早朝登って来るのかと思ったら既に登って来たので明日は帰るだけだという。他に駐車している車が数台、山頂で新年を迎える人たちは多くても2組くらいだろうと予想した。

    深田公園駐車場。向こうに停車している車の脇にテントが2張。

 1ヶ月間サボった後のテント山行だけに、18?ほどの荷物の重さが堪えるのではないかと心配していたが、以前と全く変わらない感触、あまり重さを感じない。ただひたすら歩き、1時間少々かかって3時半に女岩到着する。相変わらず崩落の危険のため女岩は閉鎖されている。この先の急登を登ると、その先の茅ヶ岳の森は落ち葉が降り積もり、くるぶしから上くらいの落ち葉のラッセルになっていた。

    女岩付近。相変わらず崩落の危険あるため、立ち入り禁止になっている。


    落ち葉が降り積もり、ラッセル状態になっている茅ヶ岳の森。

 いつもならば倒木のある森のところで三脚を構えて撮影してから登るのだが、この日は小休憩のみで斜面を登る。なんとか富士山に残照があるうちに展望地まで行きたかったのだが、息咳切らせて登った甲斐無く、山頂直下の展望地に到着したのは富士山の残照が消えた直後だった。折角の夕焼けに染まったピンク富士だったのに数分足りず、残念だ。

    夕暮れ迫る富士山。稜線に登る斜面から撮影。


    夕暮れの富士山。 山頂直下の富士山展望地に到着した時には富士山の残照は終わった後だった。


    同上

 風が吹いたおかげで霞が飛んですっきりした富士山が甲府盆地越しに見える。山頂だと少しばかり木に邪魔されるため、町明かりが灯るまでここで待つことにする。しだいに暮れ行く空、灯り始めた盆地の明かり、夕暮れの空のグラデーション。何度も見ている景色だが、何度見てもこの景色は美しい。

    暮れ行く空と灯り始めた甲府盆地の明かり


    夕景の富士と甲府盆地

 富士山展望地で40分も時間を費やし、山頂に登り着いたのは午後6時半になってしまう。もうすっかり真っ暗だ。金ヶ岳へのトレースを見ると、雪が降った後は誰も歩いていないようで、新しいトレースは無い。今日は金ヶ岳はあきらめて、茅ヶ岳山頂で年を越すことにする。2年前の早朝に登った時には3〜4張のテントがあったが、今年は私一人だけで山頂独占だ。
 テント設営し、夕食を撮った後、外に出てみると東の空からオリオン座と冬の大三角形が登って来ていた。西を見ると、八ヶ岳の左側に白鳥座が沈んで行くところだった。西側は若干雲と霞がかかって、天の川はうっすらとしか見えてくれなかった。それにしても、いつも思うのだが八ヶ岳スキー場のナイター照明は星空を撮影するには明る過ぎる。驚かされたのは山頂の方位版の下で金色に輝く動物の目、タヌキか何かと思って近付いてみれば、猫だった。こんな寒い季節に山頂に猫がいるとはびっくりだ。餌を差し出しても近付いて来ないところを見ると野良猫のようだ。おそらくは捨て猫、可哀そうな気がした。

    登って来たオリオン座と冬の大三角形


    すっかり暮れた空と眩しい甲府盆地の明かり

 午後7時40分過ぎ、奥秩父山塊の右端、北東の空から月が登り始める。星の輝きは半減してしまうが、山々を撮影するには絶好の月だ。月光に照らされて南アルプスの山々が浮かび上がる。そして月で照らされた山頂の雪が白く輝く。

    奥秩父山塊から昇る月


    月光に浮かび上がる南アルプス


    金ヶ岳と八ヶ岳。 オレンジ色の光は八ヶ岳サンメドウズスキー場の明かり。左手の緑色の光は富士見パノラマスキー場。


    月光照らす茅ヶ岳山頂


    おおいぬ座と甲府盆地

 西の空に沈み行く白鳥座や、おそらくは見えたであろうカノープスとシリウスのインターバル撮影を試みたのだが、氷点下10℃を下回る気温のため電池が数分で凍りついてしまい、全て失敗に終わる。一応カメラの防寒対策はしてはいるが、さらに強い対策を考えなければならない。
 未明に南アルプスに沈んで行く冬の大三角形とオリオン座、さらに初日の出の輝きを想像しつつ、10時、2枚重ねたシュラフの中にもぐり込んで寝る。(後編に続く)

新春の日の出 茅ヶ岳(後編)  平成24年12月31日−平成25年1月1日

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 強風がゴーゴーと吹き荒れ、氷点下10℃を下回る寒い夜だった。シュラフ2枚にシュラフカバーという3重の寝袋にくるまって寝たが、肩のあたりが寒くて目が覚めた。時間は午前3時。バーナーを焚いて暖をとった後、テントの外に出てみると前夜東から昇って来たオリオン座と冬の大三角形は西に傾き、南アルプスの山並の上で輝いていた。そのすぐ上には月齢18日の明るい月が輝く。南アルプスの右端には明るい木星が沈んで行くところだ。西に傾いた月は、今度は金峰山をはじめとする奥秩父山塊を照らしている。

    南アルプスに輝くオリオン座と冬の大三角形


    沈み行く木星


    月光の茅ヶ岳山頂と金峰山

 一旦テントの中に戻り、早目の朝食をとる。そして東の空が明るみ出した午前6時前に再びテントの外に出る。月光に照らされた山頂、明るみ始めた東の空のグラデーションとオレンジ色に染まり行く水平線。夜明けの美しい風景が広がる。(が、かなり寒い!)

    月光の茅ヶ岳山頂と明け行く甲府盆地


    薄明の南アルプス


    山頂のテントと金ヶ岳


    薄明の空と金星


    薄明の富士と甲府盆地

 6時を過ぎた頃、まだ薄暗い中をヘッドライト点灯して若者4人が登って来た。寒さを凌ぐためにテントを持ってやって来て、さっそくテント設営していた。その後も数人御来光を見るための登山者がやって来て、日の出の頃には約10人ほどの人が集まった。若者4人は今年で3年連続茅ヶ岳に登っているそうで、標柱の話をすると2年前にもその話を聞いたことがあると言っていた。そう、2年前の元日、私はこの山頂にいた。その時にも彼らに会っていたということなのだ。
 南アルプスの上に月が傾き、きれいなアース・シャドウが出た。そして7時を過ぎた頃に、たなびく雲の間から新春の日の出を迎える。綺麗には綺麗だが・・・あまり感動しない。この山からだと富士山までの距離が遠く、写真としてはいまひとつだ。頸椎と左腕故障のためにあまり難しい山には登れなかった2年間、特に冬の山は2シーズンほとんど登っていない。今年は行けるのだろうか?3月にはパンスターズ彗星、12月にはアイソン彗星という大きな彗星がやって来る。標高2,000mを越える山の上からこの彗星を見てみたいものだと願っている。

    南アルプスに輝く月


    南アルプスに棚引くアース・シャドウと沈み行く月


    新春の日の出


    同上

 7時半、テントに戻って本日2度目の朝食を軽く済ませ、テント撤収、8時半に下山開始する。若者4人のテントからは良い匂いが漂ってくる。鍋をやっているようだ。挨拶して別れるが、来年は大晦日から山頂テント泊すると言っていたので、今度は向こうの金ヶ岳にテントを張ろうと相談して来た。空はすっかり晴れてすがすがしい青空が広がった。下山途中でこれから登って行く登山者に何人も出会った。中には子供連れの人たちもいた。相変わらず人気の高い山だ。ツクモグサの咲く頃に、標柱整備を兼ねてまた登ることになるだろう。

    日が昇り、下山開始。


    茅ヶ岳ツイン・タワー。また整備に来ます。


    冬の茅ヶ岳の森


    同上


    澄んだ冬空

 冬季のテント泊装備は防寒対策のためにどうしても重くなってしまうが、今回思ったことは1泊程度ならばあまり問題無く登れそうだということだ。ピッチは上がらないものの、茅ヶ岳程度ならばほとんど疲れないで登れる。今年こそは、かつて毎年の恒例だった雪の鳳凰山と金峰山に登れれば良いが・・・と思う。

新春のダイヤモンド富士を求めて 竜ヶ岳3連登(その1)

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 新春にダイヤモンド富士が見られることで多くの登山者が訪れる竜ヶ岳。もう何度も登っているが、今回どうしても欲しかった画像はダイヤモンド富士のカットでは無く、連続撮影で撮った映像をつなぎ合わせて作る動画だ。2月にスライド上映会をやろうと職場のメンバーたちと相談しており、日程を詰めているところ(おそらくは2月9日の土曜日になると思われる)である。その際に、おそらくは見たことが無いであろうダイヤモンド富士の映像、特に山頂が輝き出してチカッと光り出すあの感動的な景色を表現できたらと思っている。


 平成25年1月2日‐3日

 テント泊で登るような山ではないのだが、極大に1日早い四分儀座流星群が観察できるかもしれない。さらに、雨ヶ岳からは見えなかったカノープスが駿河湾の上で輝いているのが見えるかもしれない。星空の観察も兼ねて、さらに冬山トレーニングも含めてテント装備を担いで午後4時半に本栖湖キャンプ場を出発する。

    駐車場に止まっている車は数台のみ。テント泊の人はいないようだ。


    新しく道路が通ったために入口がややわかりにくくなった竜ヶ岳。夜だと迷いそうだ。

 中腹の石仏がある休憩所に着いた頃にはもうすっかり日が暮れて木星が空高く昇り、オリオン座と冬の大三角形が昇り始めていた。残念ながらすっきりした空では無く、薄い霞がかかったような空で富士山はすっきり見えてくれない。流星が流れるのを期待しながら、空を見上げつつ登るが、全く流星は流れてくれない。山頂近くの道は凍りついて一部アイスバーンになっていたが、なんとかアイゼン装着せずに登り、午後7時半に山頂到着する。

    富士に昇る木星とオリオン座  石仏のある休憩所から撮影。


    同上。こちらは新しく開発した手製ハーフ拡散フィルターを装着した画像。木星が大きく輝く。

 山頂では強い風が吹き、ゴーゴーと鳴っている。気温は氷点下8℃まで冷え込んでいたが、この程度は想定内なのであまり寒さを感じない。一通り周辺の星空を撮影後、風を避けるために山頂の木の陰にテント設営する。そして今度は流星群の放射点のある北極星側を狙ってカメラをセットする。山頂の木と絡めて撮影を試みるが、強風で木の枝が揺れてしまい、なかなか良い場所が見つからない。その間にオリオン座の近くを火球と言っても良いくらいの大きな流星がひとつ流れて行った。インターバル撮影(連続撮影)を数回試みたが、いずれも10分と持たずに電池が凍り付き撮影が止まってしまう。張り付け式のホッカイロや充電式電気カイロも持って行ったがほとんど役に立たなかった。50コマほど撮影した中には残念ながら流星は1個も写らず、肉眼で見たのも2個のみだった。

    富士に昇る冬の大三角形とオリオン座  富士山は霞におおわれて不鮮明になってしまう。


    カシオペア座と北極星  風が強く木の枝が揺れる。


    同上  揺れない太い木のところにポジションを変えるが、流星は流れず。飛行機ばかり。

 一旦テントに戻り夕食をとって休んでいると、外が明るくなってきた。テントの外に出ると月が昇り始めていた。半月に近い明るい月が富士山の裾から昇るが、相変わらず富士山は霞んでいる。オリオン座が高く昇った10時半過ぎ、駿河湾の上にあの星が輝いていないかどうか探すが、低空に霞が広がっていて肉眼では確認できない。しかし、撮影した画像を見てみると・・・オレンジ色に輝く星、カノープスが写っていた。予想通り竜ヶ岳からだとカノープスが見えるのだが、空気が澄んだ日でないと南の低空に昇るこの星を見るのは難しそうだ。

    富士の裾野から昇る月。霞がかかって不鮮明なうえにハーフ拡散フィルターが付けっぱなしだった。


    駿河湾に昇るおおいぬ座シリウスとカノープス  見えますか?富士の右裾、町明かりの霞の中に輝く星。

 さて、この日の撮影はここまで。テントに戻って11時に就眠する。この時の気温は氷点下9℃まで冷え込んでいたが、シュラフ2枚にくるまるとこの程度の気温ならば快適に寝ることができた。そして朝4時に起床する。月光に照らされた富士山の上を雲が形を変えながら次々に流れて行く。夜明けが近付くにつれてあたりが明るみ始め、富士山の上では笠雲が大きくなったり小さくなったりを繰り返している。その様子を6時ごろからひたすらインターバル撮影する。途中でメモリーカードがいっぱいになって交換し、引き続きインターバル撮影するのだが・・・

    未明の月光富士  富士山の上を雲がどんどん流れて行く。


    薄明の月光富士


    富士山上の笠雲が大きくなったり小さくなったりと、形を変えて行く。しかし、その後の画像は・・・


 日の出前の6時半にはもう登って来た人が1人。7時になるとさらに数人、ダイヤモンド直前の7時半には30人以上の登山者が集まり、山頂には三脚がずらりと並ぶ。ダイヤモンドを待つ中で、私一人だけタイマーを使ってひたすらシャッターを切っていた。あいにく、7時過ぎから富士山の裏側に雲が広がってしまい、太陽は出たものの輝くダイヤモンドにはならず、霞んだ日の出になってしまった。

 雲の流れが面白かったのでそれなりの撮影はできただろうとひとまずは連続撮影の目的を達成したつもりで下山した。しかしその後、最後に使った4GBのメモリーカードデータを誤って消去してしまうという大ミスを犯してしまう。パソコンに取り込んだつもりだったのだが、まだ取り込んでいなかったのだ。これでダイヤモンドを含めた約1時間分の連続撮影データが全て吹き飛んでしまった。止む無し。これはきっともう一度登って来いということなのだろう。くじけることなく、後日再び竜ヶ岳に登ることにした。(その2に続く)

新春のダイヤモンド富士を求めて 竜ヶ岳3連登(その2)

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 新春の2日から3日にかけて竜ヶ岳で一夜を過ごしたが、3日の朝はダイヤモンド富士にはならず、そのうえ撮影データを誤って消去してしまうという大失敗を犯し、肝心なところはお見せ出来なくなってしまった。竜ヶ岳ダイヤモンド富士の残すチャンスは5日と6日のみ、翌週の週末になると日の出は富士山頂から外れてしまう。


 平成25年1月5日

 天気予報と天気図、雲画像を検討し、富士山が見える確率が高そうなのは5日の土曜日だった。早朝3時半に起床し出発。ところが、精進湖に到着してみると富士山頂には雲がかかっていて富士山全容は見えない。しかし、ひょっとしたら雲の切れ間から太陽と富士山頂が見えてくれるかもしれないという期待を持って、かつ、おそらくこれが今シーズン最後のチャンスだろうという思いで竜ヶ岳に登る。


    精進湖から見る未明の富士山。車のボンネットにカメラを置いて撮影。これでダイヤモンドが見られるのか?でも空には星が・・・

 しかし、夜が明けるにつれて空の様子が見えてくる。北側は空が見えるが東から南、さらに西にかけては雲が広がっている。中腹の休憩所のある展望地に着いた頃にはすっかり明るくなっていたが、富士山の半分から上はすっぽり雲の中だ。ダイヤモンド富士はほぼ絶望的だ。雲間から一瞬だけでも出てくれないかとわずかな期待を抱いてひとまずは山頂を目指す。しかし、7時を過ぎても全く富士山頂は姿を現す気配無し。本栖湖湖畔からの直登ルートと合流するところで朝7時半、あと10分ほどでダイヤモンドの時間だが、全く期待できないのでここで折り返して中腹でダイヤの時間を迎える。雲間がわずかに光ったのみでダイヤモンド富士は不発に終わる。

    休憩所のある展望地から見る富士山。これではダイヤは・・・後ろで帰ろうかという人の声が聞こえた。


    御坂山塊に射す朝日。向こう側は雲の隙間から陽が射している。


    八ヶ岳側はかろうじて青空が見える。


    富士の裾野に光が広がっている。ちょうどダイヤモンドの輝いている頃だろう。


    雲間が一瞬光ったのみでこの日のダイヤモンド富士は不発。

 天気図からして明日も同じような空かもう少し悪い空模様と予想される。これで上映してみたかったダイヤモンド富士のインターバル撮影動画はおあずけになってしまったとこの時は思った。これから2月に入ると、今度は毛無山山塊でのダイヤモンド富士の季節になるのでまた向こうで撮影すれば良い。1,700m以上ある毛無山塊のダイヤモンドは竜ヶ岳よりもずっと綺麗だ。だが、早朝に登るのが難しいことと、氷点下15℃まで冷え込む寒さ対策、さらに雪の対策が必要となり、どうしてもテント泊になってしまう。

新春のダイヤモンド富士を求めて 竜ヶ岳3連登(その3)

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 空にはきれいな星空が広がった。1月5日の朝はいまひとつの空模様でダイヤモンド富士は不発に終わってしまったが、夜になると空が晴れてすっきりした星空が見えてきた。予想したよりも雲が南下せず、南西側の雲の切れ目がちょうど山梨県にかかってきたようだ。しかし、この空もそう長くは続いてくれないだろう。明日はダイヤモンド富士が見られるだろうか。目覚まし時計を午前3時半にセットして寝る。


 平成25年1月6日

 目覚まし時計の音で朝3時半に目を覚ます。パソコンで本栖湖ライブカメラの映像をチェックすると、月光に照らされた富士山の姿が映し出されていた。今シーズン最後の竜ヶ岳ダイヤモンド富士撮影のチャンス、神様からの贈り物だ。機材をチェックしてさっそく出発する。そして本栖湖キャンプ場から5時に登り始める。

    薄明の富士山。休憩所の立つ展望地から撮影。こんなに澄んだ空は久しぶりだ。


    すっきりと姿を現した富士山。

 前日より30分ほど早く登り始めたのでまだ薄明のうちに中腹の休憩所に到着した。澄んだ空、明け行く水平線の中にすっきりとした富士山が立っていた。私と同じように頑丈な三脚を担いだカメラマンがすぐ後に到着した。撮影の談義をしていると、山頂の手前に富士山の裾野まですっきり見える展望地があると教えてくれた。竜ヶ岳山頂は笹の背丈が高く、富士の裾野や朝霧高原の景色が見えないのが難点だ。ジグザグの道がついた斜面を登り切り、傾斜が緩くなったあたりで笹原の切れ目に土の斜面が広がっているのを容易に発見できた。登山道を逸れてそこに行ってみると、抜群の富士山の眺望が得られる場所だった。幸いにして他には誰もいない。

    朝日射す御坂山塊  西湖には霧が湧いている。


    本栖湖と八ヶ岳・奥秩父山塊


    山頂左斜面が輝き出す。空に流れるのは飛行機雲、邪魔です。

 三脚を構え、構図を決めてダイヤモンド富士の約10分前(7時37分ごろ)からインターバル撮影を開始する。あとは全てカメラとタイマーにおまかせで、その間に朝食のパンをちぎって食べながらダイヤを待つ。いつもならばこの時間から構図を変え絞りと露出を変えながらシャッターを切りまくるのだが、この撮影だと構えてそのままなので、あとは待つだけだ。ただし、露出を間違えると全てが全く使いものにならない画像になってしまう。果たして、出来上がりはいかに???

    輝く山頂


    ダイヤモンド富士の始まり。山頂がチカッと光る瞬間。(インターバル5秒でシャッター切り続けた中の1カット)

 7時過ぎから空に薄雲が出始めてしまい、かつ、飛行機雲がなんとも邪魔。絞りF9で撮影したが、もう少し絞っても良かったのかもしれない。ダイヤの輝きがいまひとつ、雲の影響もあったが、若干ボヤけたダイヤになってしまった。これをビデオ編集ソフトでつなぎ合わせて動画に編集すると・・・流れ行く雲と次第に光り出す富士山山頂、そしてダイヤモンドの輝き、まずまずの予定した通りの映像に仕上がった。(こちらはまた後日公開します。)

    竜ヶ岳のダイヤモンド富士?


    同上?


    竜ヶ岳の笹原に差す朝日。この場所はなかなかの好展望地。

 なんとか新春のダイヤモンド富士撮影に成功し、満足して下山。この日も山頂は踏まなかった。予想通り、次第に空には雲が広がり出した。本栖湖の駐車場に到着した頃には空は薄雲におおわれ、青空ではなくて白い空に変わっていた。


    下山途中で見る富士山。空には雲が広がり出す。霧氷になるとこういう木々を前景に良い写真が撮れそうだが、光の入る角度がいまいち。
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