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Channel: 山梨百名山から見る風景
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沢を登り詰めて稜線へ・・・しかしまたもや空振りの櫛形山  平成28年7月3日

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 かつてはこの山にも紫色のエビネの仲間の花が生育していたらしい。しかしそれは15年も前の話である。環境の変化と鹿の食害によって著しく植生が変わってしまった櫛形山は、その花が咲き残っている可能性はきわめて低い。しかし、そこはまず人が入ることが無いルートの無い沢の中、ひょっとしたら残っていてくれているかも知れない。わずかな可能性にかけて、またしても櫛形山の沢を詰める。


    沢の雰囲気はかなり良い。これならばひょっとしたら・・・と期待を抱きながら登る。


    やがて沢は枯れて苔とシダの茂る沢に変わる。


    フタバアオイがたくさん。


    元気の良い大きなクジャクシダ。


    コアジサイ


    この付近はハリブキが群生。これは鹿も食べないだろう。


    ハリブキの種


    苔の生した倒木とシダ。こんな雰囲気の林床にそっと咲いているのだと思うが・・・


    太古の森に迷い込んだような雰囲気。


    苔生した岩の間から水が流れ出ていた。


    その周辺はシダの天国。しかし探し物は見つからず。


    見つけたのはこの葉っぱ、カモメラン。数株花帆が出ている。


    こんな感じの森の中のどこかで生き残っていることを願う。

 上部で沢は2~3本に分かれており、その沢を尾根を越えて行ったり来たりして歩いたためかなりの時間を費やしてしまった。稜線まで3時間程度と見ていたのだが4時間半もかかってしまった。時間はもう午後3時。折角なのでアヤメ平と裸山に立ち寄ることにする。


    稜線に近付くとそこはバイケイソウの森。


    このあたりは何も生えていない。新しい熊の糞に4~5個遭遇した。


    稜線に出た。ヘトヘト。


    アヤメ平のキンポウゲお花畑。あふれんばかりに咲いている。


    テガタチドリもたくさん。


    エゾスズランは花芽を付けて頭を持ち上げ始めている。


    あと2~3週間ほどだろうか?


    昨年とは場所を変えて1株だけ発見した。


    女峰・チドリ。

 さらに裸山へ。前述のページに書いたようにアヤメがかなり復活していて驚いた。


    アヤメがかなり増えてきた。


    復活した裸山のアヤメ。


    稜線から垣間見る富士山

 予定では別の沢を下りるはずだったが時間的に無理になってしまい、普通の登山道を下りることにした。午後6時50分、車を止めた林道脇のスペースに到着。櫛形山バリアンスルートはかなり慣れたつもりだったがそれでもヘトヘトに疲れ、汗だくになった。残念ながら探し物には出会えなかったが、原始的な櫛形山の沢の雰囲気は楽しめたように思う。この山のどこかに生き残っていることを願う。木曾のえびね。

渓谷の岩壁に咲く花を探して 八ヶ岳  平成28年7月10日

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 かつては渓谷の岩壁にたくさん咲いていただろう花を探しに八ヶ岳の某谷に入ってみた。盗掘により現在は激減しており、見つけることは容易では無くなってしまっている。目撃情報をいただいているが、数はかなり少ないらしい。


    途中の草地にはアヤメが咲いていた。この辺りも鹿の食害が酷いようで、ススキと笹の野原に変わりつつある。


    ウツボグサがたくさん。


    以前からあちらこちらの山で見かけてはいたがなかなか名前がわからなかった花。カワラマツバ(アカネ科ヤエムグラ属)。


    登山道の脇に咲いていた花。イヌゴマかと思っていたが少し様子が違う。


    登山道を外れて林の中を探すとたくさん咲いていた。


    花はイヌゴマに似ているが葉の形が全く違う。ネットで調べてみるとこれはどうやらミヤマタムラソウ(別名ケナツノタムラソウ)らしい。(シソ科アキギリ属)


    普通に見かけるサワギクだがこれだけ咲いていると圧巻。


    サワギクの大群落。


    花弁が細かく切れ込んでいるこのナデシコはタカネナデシコ。


    コオニユリとミヤマカラマツのコラボレーション

 さて、尾根筋の登山道からいよいよ沢に降り立ち、岩壁を見上げながら花を探す。これからが本番である。


    イワキンバイ


    コキンレイカ、別名ハクサンオミナエシ


    トリアシショウマ


    イワシャジンがもう咲くのか?と思ったが・・・良く見れば花の形も葉も違う。


    鐘型の花冠で花柱が長く、葉はイワシャジンほど長く無く鋸歯がついている。さらに針型の萼には鋸歯がついている。これはヒメシャジン(キキョウ科ツリガネニンジン属)。


    こんな岩壁に咲いていると思うのだが・・・


    ズームをかけて岩壁を覗き込むが居ない。


    紫色の花を見つけたが、これもヒメシャジン。


    やや湿った岩壁にはクモイコザクラの葉がたくさん生着していた。


    こんな渓谷の岩壁に生着していると思うのだが・・・


    盗掘を逃れてどこかで生き残っていてくれることを願う。

 支脈の沢や岩壁も探してみたが見つからない。時間は午後4時を過ぎてしまい、撤退となる。結局咲いているのが見つかったのは一株だけだった。その岩壁も念入りに探したつもりだがこの一つだけ、しかし周辺に花を付けていない葉が数株出ていることが救いかも知れない。


    見つかったのはこの一株だけ。


    見つかっただけでも良かったのかも知れない。盗掘により激減してしまったこの美しいラン。


    この谷のどこかで元気に生き残ってくれていることを願う。

 もっとたくさん咲いていることを期待していただけに今回の花探しは敗退感が強かった。昨年数ヶ所で生育しているのを確認した御坂山塊とはだいぶ環境が違うので、この谷で元気に咲いているのも見ておきたかったのだがちょっと残念であった。


    帰り際に見たオオバギボウシと富士山。

穂先の一ッ葉のランを探しに県境の尾根へ  平成28年7月12日

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 長野県との県境の山で昨年花見隊のメンバーがホザキの一ッ葉ランを探してきた。そして先日2株が開花しているとの連絡を受けた。週末の予定は既に数週間先までいっぱいなので、たまった書類書きを夜に回して時間を空けて見に行ってみることにした。道は明瞭(なはず)なので、下山は日没後になっても大丈夫(のはず)だ。


    笹薮の登山道。ところどころに草地があって、そのあたりに咲いているはずだが・・・


    見つかったのはクモキリソウ。この季節で満開のクモキリにお目にかかれるとは思わなかった。


    ナデシコ(カワラナデシコ)


    ススキ野原の中に咲いていたアヤメ


    草むらに咲いていた白い花


    ミズチドリ。


    初見では無いと思うが、花に興味を持つようになってからじっくりと見るのは初めてだ。

 草むらをかき分けて丁寧に探したつもりだったが、探し物に出会えないうちに稜線のススキ野原に抜け出てしまった。止む無し、花見隊のメンバーにメールを送り、別メンバーに電話をかけて直接聞いてみる。どうやら場所を過ぎてしまったようだが、この先にもあったらしい。時間はもう5時、この先の稜線で見つけたとしても登って来た登山道で探す頃には夕暮れになってしまい見つけるのは困難である。戻りながら再度草むらを探してみることにする。戻り始めた頃に今年の開花を確認したメンバーから電話があり、おおよその場所はわかった。そして良く探しながら歩くと、ようやく一株発見することが出来た。


    草地の中でようやく発見。


    緑色で草むらと一体化しており、なかなか発見できない。穂先一葉ラン。


    小さな虫がたくさん付いているかのような、精巧な作りをした花。


    周辺には花を付けていない葉が何枚かあった。

 教えていただいた場所とは別の場所だったので、その後も草むらの中を念入りに探したが発見できたのはこの一株だけだった。既に時間が午後6時を過ぎてしまい、森の中は薄暗くなってしまい、探すのも容易では無くなってしまっていた。ヘッドライト点灯するギリギリの時間で下山した。

 このホザキ一葉ランは御坂山塊やこの山塊、さらに南アルプスの山々でも見ることが出来るのだが、いずれの場所も数が少なく絶滅が心配される花である。実際に今回発見した場所もすぐ脇にあったキク科と思われる花の茎は鹿に食べられた痕跡があった。保護柵で囲う必要があるのだろうが、存在がわかってしまって盗掘の餌食になる可能性がきわめて高い。良い手立ては無いものだろうか。

山岳プロガイド 花谷泰広さん写真展 「ヒマラヤキャンプ2015 ~後輩たちと喜怒哀楽を共にした日々~」を開催します。

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 2012年に登山のアカデミー賞とも言われているピオレドール賞を受賞し、乗りに乗っている花谷泰広さんの写真展が開催されます。

 花谷さんは山岳プロガイドですが、かつて山岳写真家白籏史郎先生のポーターのアルバイトをされていたこともある方で、写真撮影にもたいへん長けています。花谷さんは昨年有志の学生さんたちとチームを組んで、ヒマラヤの未踏峰ランダック(標高6,620m)登頂、およびランシャール(6,224m)第2登を果たしました。今回の写真展はこの「ヒマラヤキャンプ2015」と称して行われた若手登山家育成を目的として行われたヒマラヤ山行の時のものです。花谷さんの紹介プロフィールや写真の解説等はヒマラヤキャンプに同行した山岳ライターの柏澄子さんが全面的に書いてくださいました。私の役割は写真の画像調整とプリントアウト、全て自分のプリンターで行っています。こんなところを登れるのかというような凄い写真の数々、そして仲間との楽しい集いなどが写真と文章で綴られています。8月1日から1ヶ月間アウトドアショップエルクで開催されますので、是非お越しください。






 花谷さんの紹介(文章:柏澄子)

よく笑う人、よく食べる人、たいがいの場においてリーダー役を引き受けている人、もちろん親分肌、タフでしぶとく山に食らいつく人、優しすぎてトランプゲームが弱い人、ちょっと天然入っている人、身体能力が高い人、少年のような人、超ポジティブ思考の人、けれど意外に繊細な面もある人。

そんな花谷泰広さんのプロフィールは、コチラです。

山梨県北杜市在住。山岳ガイド。
1976年に兵庫県神戸市に生まれる。幼少から祖父や家族に連れられ六甲の山々を歩く。神戸市少年団登山教室で登山を覚え、神戸高校在学中は山岳部に所属。信州大学に進学後も山岳会(部)で登山を続ける。こうやって日々登り続けたことが、花谷の登山の根幹にある強さ。1996年、20歳でヒマラヤ登山へ。信州大学山岳会の遠征隊でラトナチュリ(ネパール・7035m)に初登頂。以来、ヒマラヤや南米、アラスカなどの海外登山を続ける。2012年にキャシャール峰の南ピラー初登攀によりピオレドール受賞。


ヒマラヤキャンプについて
主宰、花谷泰広。今回の写真展示のある2015年からスタート。
花谷は、信州大学山岳会という恵まれた母体をもち、早くからヒマラヤに通い続けてくることができた。しかもその登山の内容が未踏峰やあまり人の通わない山域での充実したものであった。一方で、現代は山岳会や大学山岳部の活動が停滞気味であり、先輩が後輩に登山を教える場が少なくなってきた。ガイド登山は充実してきたけれど、それと仲間同士の登山は性質を異にする。花谷は、自分が先輩から教わったことを次の世代にも引き継ぎたいと考えた。それはヒマラヤの登り方であり、楽しみ方であり、ひいては登山の魅力であり、登山そのものだ。それが、ヒマラヤキャンプという場。本人の自覚はどこにあるかは別として、ヒマラヤキャンプでは花谷の生きざまを、次世代の彼らは感じ取るだろう。
全国から応募したメンバーたちによって1年限りのチームを作り、月例の国内登山やミーティングを繰り返しながら、秋のヒマラヤへ向かう。
今年は、ロールワリン山域にある未踏峰へ。花谷たちが昨年、ランシャールに登った時に目にした山だ。

花を探しに南アルプスの沢へ  平成28年7月16日‐17日

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 かつてこの沢の上流には今ではほとんどお目にかかれない花が咲いていたらしく、3年後の山梨県レッドデータブック書き換えのための調査に行ってきました。景色を見れば、どこの沢かは知っている人なら一目瞭然と思いますが・・・。ハイライトシーンだけひとまず掲載します。(詳細は後日。写真多量なので3部作になる予定。)

















花を探しに南アルプスの沢へ(1日目前編)  平成28年7月16日‐17日

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 かつてこの沢の上流に今ではほとんどお目にかかれない稀少なランが咲いていたらしい。また、この沢にはここと北アルプスの某所にしか生息していないセセリチョウの仲間がいたはずなのだが、乱獲が著しく数年前の環境省の調査で絶滅とされているらしい。人がめったに入ることが無い場所ではあるが動物にとっては天国だったらしく、標高3,000m近い稜線まで鹿が出没し、徹底的な食害に遭っていると聞いた。おそらくその花が残っている可能性はきわめて低いのだが、3年後の山梨県レッドデータブック書き換え作業のための調査が行われている真最中で、調査の依頼を受けた。なにせ道の無い沢だけに、私の鈍足で稜線まで登り上げるのは容易ではないだろうと判断し、ビバークを想定してテントを担いで入山した。

 バス停から沢の入り口まで1時間ほど歩き、いよいよ沢に入るのだが、水量が多くて靴を濡らさずに渡るのは容易では無さそうだ。良さそうな場所を選んで岩飛び・・・したが岩のぬめりで滑っていきなり川にドボン。両足が膝まで浸かってしまったが転倒しなかったのが幸いだった。靴下を絞ってまた靴を履いて歩き出す。


    林道から見る南アルプスの深い谷。


    沢に入る。この先の渡渉で失敗、両膝まで水に浸かってしまう。


    濡れた靴下を絞って再出発。天気は良好、目的地はまだ遥か彼方。


    沢沿いの草むらに咲いていたホザキイチヨウラン。


    三兄弟、沢をバックに。


    倒木がゴロゴロ、石もゴロゴロ、歩きにくいが、なんとも素晴らしい沢だ。


    これは実になったシロバナノヘビイチゴの大群落。


    草むらの中にナデシコが咲いている。


    花弁の切れ込みが浅い。このあたりはまだカワラナデシコのようだ。


    紫色鮮やかなタカネグンナイフウロ。


    島状に点在するイブキジャコウソウの花にはウラギンヒョウモンがたくさん吸密に訪れていた。


    雪渓が残る。ここの通過はちょっと怖かった。


    スノーブリッジ。斜面の傾斜がきつく、間違ってスリップすると雪渓の下に滑り落ちてしまう。帰りは上の草地をトラバースした。


    シロバナノヘビイチゴ


    キバナノコマノツメ


    振り返って見る雪渓と北岳。三角錐が格好良い。


    標高を上げるとナデシコの花弁の切れ込みも深くなってくる。タカネナデシコで良いだろう。


    アサマフウロが現れ始める。このあたりから上はタカネグンナイフウロとアサマフウロが混在。


    オトギリソウと沢の流れ

 標高2,100mあたりのところで平坦地に出た。すぐ脇には支脈の沢が流れ込んでおり、水を取るにも都合が良い。北岳も見えるし、ビバークするには良い場所だ。なによりもクモマベニヒカゲという蝶が舞っているのが気に入った。ビバークするならここ、もし早い時間の下山が可能ならば小屋のある場所まで移動してテント泊だ。この場所にテントと食料を置いて荷物を軽くして先に進む。


    マルバタケブキの群落が現れ始めた。


    その中にタカネコウリンカが混在。しかしここはまだ序の口だった。


    今度はヤマガラシの大群落


    沢の中州はハンゴンソウの藪。


    見渡す限りヤマガラシ。


    今度はタカネコウリンカの大群落。


    踏まずに歩くのは困難。


    まだまだ続く、ヤマガラシ群落。


    イブキジャコウソウ群落


    水の流れの脇にはクロクモソウ。


    タカネナデシコ。その向こうに見える黄色いお花畑は?


    見渡す限り、マルバタケブキの大大群落。


    これでもかというくらいの圧倒的な数。

 圧巻のマルバタケブキ大群落だが、おそらくかつてこの場所は豊かなお花畑が広がっていた場所なのだろう。徹底的な食害に遭って鹿の食べないマルバタケブキが大繁殖したことが推測される。しかしここまで凄いと・・・これはこれで良いのではないかと思ってしまう。マルバタケブキの群落を避けてその脇の斜面をさらに上に登って行くが、石屑のこの斜面は踏むと容易に崩れてしまいなかなか登らせてくれない。かなり体力を消耗し、時間もかかってしまった。


    石屑の急斜面は踏むと足元が崩れてしまい、悪戦苦闘。


    イブキジャコウソウの大群落。


    イブキジャコウソウの向こうにはマルバタケブキの大群落。


    林の脇に咲いていたクルマユリ、だが、ちょっと違う。


    花に模様が入っていない。これはフナシクルマユリ。初見です。


    一株だけトリカブト。葉の形から、これはホソバトリカブトか?


    今度は黄色と白の花の大群落。


    黄色はミヤママンネングサ、白はミヤマミミナグサ。


    ミヤマアカバナ?


    ようやく目的の場所に到着。

 あまりにも凄い景色が広がっていたので、写真を撮り過ぎた。時間がかかったうえに体力も消耗し、稜線まで抜け出る体力も時間も無い。探していた花は草地が消滅したのとともに全て無くなってしまっているようだ。ここで小休止して撤退するが、テントを置いてきた場所に戻るまでにもまたまたお花畑とその後ろに北岳が見え隠れしていたため、すんなりとは下りられない。(1日目後編に続く。)

花を探しに南アルプスの沢へ(1日目後編)  平成28年7月16日‐17日

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 南アルプスの沢に花探しのために単独で入山した。道の無いバリアンスルートの沢で距離もあるため、ビバークを想定してテント持ちで出かけた。途中の平坦地にテントや食料を置いて身を軽くして登ったが、目的地のカール地形の場所に到着したのは既に午後4時45分、これではとてもではないがテント場のある山小屋までは行けそうもない。この時点でビバーク決定である。

 人の入らない沢の中は、稀少植物こそあまり見つからないものの、ヤマガラシ、タカネコウリンカ、マルバタケブキ、イブキジャコウソウが大群落を形成していた。特にマルバタケブキの群落は規模が広く、これほどの大群落は他の場所ではお目にかかったことが無い。北岳を見るのにはこの沢は抜群の眺望で、一時雲隠れしていた北岳が再び見え隠れするようになってきた。GPSを見ながら、下りは距離が近そうな別の斜面を下る。


    脆い石屑の急斜面に悪戦苦闘したが、なんとか目的地のカールに到着した。時間は4時45分。


    かつて稀少なランの花が咲いていたというのはこのあたりのはずだが、既に草地は消滅しその花が咲くような環境では無くなってしまっていた。


    イブキジャコウソウのお花畑と見え隠れする北岳。


    シコタンソウとカール


    イワギキョウがちらほら。


    イワギキョウ


    ホソバトリカブト

 登って来た場所とは別の斜面だが、こちら側にもマルバタケブキの大群落があった。かつてはお花畑が広がっていたと思われる標高2,400m付近のこの斜面はすっかりマルバタケブキに置き換わってしまっているようだ。ヤマガラシの群落はマルバタケブキ大群落の少し下から始まり、その周辺にタカネコウリンカの群落がある。


    マルバタケブキ大群落と北岳


    同上。縦位置でフラッシュ発光。


    ヤマガラシと北岳


    沢の両脇はヤマガラシだらけ。


    圧倒的なヤマガラシ群落。


    ミヤマハナシノブと北岳 フラッシュ発光。


    雲巻く残照の北岳

 北岳の残照が消える頃、午後6時半にビバーク地点に到着した。テントを設営する。

 夕食の前に北岳を見ると月が昇っていた。夕焼けの赤く染まる空を期待したのだが、わずかに染まったのみで日が暮れた。この日は月と土星が接近している日で、近くに火星とさそり座アンタレスが輝いている空の観察には良い日だったが、この場所からだと北岳と月の位置がいまひとつであまり良い構図にはならず、また雲が多くて星の写りもいまいちだった。


    夕暮れの空に月が輝いた。


    北岳の夕焼け空と月。北岳の上に出た雲が焼けてくれると面白かったが、全く焼けずに夕闇に変わった。


    月と土星・アンタレス・火星接近。北岳から月の位置が遠いうえに雲が多くて星の移りがいまいち。

 月が右側の山裾に隠れて天の川が見えないかと期待したが、月が明る過ぎるうえに次第に雲が増えて見えそうもない。夜9時半に就眠する。

 この日に撮った写真の枚数は700枚を超えていた。これだけ撮影するとさすがに歩くのに時間がかかる。しかしそれでもなお撮り足りない気がする。もう少し三脚でしっかり固定して綺麗に撮ってあげたかったカットも多数ある。翌日天候が良ければもう一度登って、日の当たるお花畑を再写しようとも考えたが・・・足が疲れすぎておそらくは無理だろう。


    

  

花を探しに南アルプスの沢へ(2日目)  平成28年7月16日‐17日

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 1日目に沢を遡上してカール地形の場所まで登り、マルバタケブキ、ヤマガラシ、タカネコウリンカ、イブキジャコウソウの大群落を見てきた。一見の価値はある大群落ではあるが、それらはみな鹿が食べない花ばかりで、この花園は鹿の食害を受けた成れの果てを見ているのではないだろうか。目的だった2種類のラン科植物は跡形も無く、その花が咲くような環境の場所は残っていなかった。

 北岳が見える場所にテント設営してビバークしたが、期待していた星空は雲が多くて不可、9時半には眠りについた。未明2時過ぎ、テントを打つ雨音で目が覚めた。土砂降りというわけではないが、このまま降り続けると渡渉がまずいなと思いつつ、また寝て起きたのは5時半。雨は止んでいたが空模様はあまり良くない。朝食をとって周辺に咲く花を撮ってテント撤収、午前7時から下山を始める。


    深夜の雨は上がったが空模様はいまひとつ。北岳は雲がかかっている。


    タカネナデシコ。少しだけ朝日が射し込んだ。


    マルバタケブキ。下の平坦地がテント設営した場所。


    雪渓の脇は通りにくいので草むらの上部を通過。しかし今度は沢に下りるのに一苦労。


    渡渉点。あまり増水していなくて幸いだった。前日の失敗を踏まえて今回は片足を犠牲にして渡渉。

 雨が降ったので増水して渡渉を心配したが、(予定通り)片足を濡らしただけで難無く渡渉でき、対岸で足を拭いて靴下を履き変えた。林道に抜け出て長い林道歩きだ。


    花に斑が入っている普通のクルマユリ。


    紫色濃いヤマホタルブクロ。


    谷に流れ落ちる急峻な滝

 バス停に到着したが、次のバスに乗ってもその先の乗り換えで2時間近く待たなければならないので、ここはバスに乗らずに渓谷の景色や花を楽しみながら歩いて乗り換え所まで行くことにした。


    コオニユリがたくましく防護ネットから顔を出して咲いている。


    花はクルマユリに似ているが葉の出方が違う。


    キバナノヤマオダマキ


    シラネニンジンと沢の流れ


    谷を見下ろすクガイソウ


    欲張りなクガイソウ


    ?? ハギ?


    キリンソウ


    石灰岩質の岩に咲いていて白っぽかったのでトダイハハコかと思ったが・・・


    やはりヤハズハハコだろう。


    久しぶりに見る小ぶりなナデシコ


    シナノナデシコ


    キツリフネが少し


    今日の北岳はずっとご機嫌斜めだった。

 途中で小雨が降り傘を差したがすぐに雨は止んだ。林道を歩きながらバス2台に追い抜かれ、1台は満席だったが後から来たバスはかなり空いていた。本来のバス時刻とは違う時間に走って行ったので、おそらく臨時のバスが出たのだろう。バス乗り換え場所に到着し、痛い足を抑えて乗ったほうが楽だったかとちょっと後悔したが、いろいろな花を見られたことだし、これで良しとしよう。バス時間の20分前に到着したが、ジャンボタクシーが次々に出ているらしく、5分待ちで乗ることが出来た。

 

羽・蝶・のラン三昧  御坂山系  平成28年7月17日

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 今年は八ヶ岳の谷にこの花を探しに行ったが、見つかったのは1株だけで寂しい思いをした。比較的簡単に登れる御坂山塊の某山では手厚く保護されていて見られるのは確実だが、昨年探索した別の山の花がどうなっているのかずっと気になっていた。南アルプスの沢から下りて来たばかりで足が痛いが、この日を逃すともう今年は時期が過ぎてしまって見られなくなってしまうだろう。ゆっくり歩けば(いつも以上に・・・)、登れる・・・かな??

 標高差200mを1時間かけて登ってひと休み。やっぱり足が痛いがなんとか行けそうだ。その後はさらに失速して40分に1回休憩しながら登ってなんとか現地に到着した。少し遅いのでは?と予想していたが、まだ見頃の花が残っていてくれた。


    若干遅かったが・・・


    まだ見頃の花も残っていてくれた。


    羽・蝶・のラン


    岩場の草地に咲く可憐な薄紫色の花。


    草に隠れてひっそり咲いている株


    高い岩の上で見下ろしている株。

 この場所は昨年に比べると若干数が減っているような気がする。花を見たらなんとなく元気が出た気がした。さらに上にある岩場を訪れてみる。


    5株固まって咲いていた。この場所は昨年よりも増えている。


    心安らぐ美しい花。


    ここにも固まって5株くらい。


    おそらく御坂山塊最多の花付きの株だろう。

 さらにもう1ヶ所、今度は崖を下った谷の岩壁に咲いているので、慎重に進む。


    この株は崖の先に咲いておりこれ以上近付けない。


    よじ登るとその上にも咲いていた。

 この場所の株は昨年とほぼ同じくらいだった。さらに登り返して別の岩壁にもあるのだが・・・時間が午後4時近くになってしまい、ここで撤退する。帰り際に最初の岩壁の下を覗き込んでみたところ、そこにも数株咲いているのを発見できた。全体的にはおそらくは昨年と同程度の株数だと思う。おそらく隣の山周辺の岩場にも咲いている可能性が高いと思われるが、そちらの調査は来年にしたいと思う。

キバナノショウキラン観察会 富士山麓他  平成28年7月23日

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 昨年富士山麓をこの花を探して歩いてみたが、花期のちょうどど真中であったにもかかわらず発見することが出来なかった。今回は植物観察会が開催されたのでそちらに参加させてもらうことにした。

 まずは富士山の樹海の森を訪れる。


    コイチヨウランはまだ蕾。と思ったが周辺にはちょうど見頃の株が多数あった。


    まだ蕾のコイチヨウラン。


    こちらは開花していた株。


    接写してみると、通常は唇弁が全縁のはずなのだがこの株はややギザギザしていて、ハコネランに近いような形をしている。

 お目当てのキバナノショウキランを手分けして10人ほどの参加者で探すが、全く見つからず、どうやら今年は外れらしい。運良く斜面に横たわる倒木の脇を覗き込んでみたところ、1株だけ発見することが出来た。若干痛んではいたが満開状態、見られただけでも良かった。


    ようやく出会えたキバナノショウキラン。


    若干痛んでいるが、咲く環境がおおよそわかったので、来年はもっと出会えると思う。


    シャクジョウソウ


    同上。


    木に着生するヤドリギだが、これはホザキヤドリギ。山梨県では絶滅危惧種。


 樹海の中で昼食をとった後、静岡県の湿原に移動する。山梨県にはあまり湿原が無く、ここで見る花はほとんど知らない花ばかり、特にカヤツリグサの仲間はほとんど名前も知らないものばかりだが、この観察会はレベルが高く、知識が豊富な方が多いことには毎回驚かされる。


    静岡県の湿原に移動。黄色い花は・・・??


    チダケサシ(乳茸刺 ユキノシタ科チダケサシ属)。 チダケ(乳茸)というキノコをこの茎に刺して運んだことが名の由来。


    ヌマトラノオ(サクラソウ科オカトラノオ属)。 オカトラノオに比べて花穂が直立し、葉が細い。


    ミズチドリ(ラン科ツレサギソウ属)


    まだ咲いていないサワギキョウ。意外と数は少なかった。

 そしてここから先は全く会話について行けないカヤツリグサの類の花たち。


    沼地で良く見かけるが名前を聞くのは初めて。カンガレイ(カヤツリグサ科フトイ属)。


    良く見れば面白い花。葉の脇から花が咲いているように見えるが、実は葉では無くて三角形の茎。


    これもたぶん、普通に見ているのだろうが・・・アブラガヤ(カヤツリグサ科クロアブラガヤ属)。


    漠然と眺めていると上と同じもののように見えるが、良く見ると花の付き方が全く違う。


    ヒメマツカサススキ or コマツカサススキ(いずれもカヤツリグサ科クロアブラガヤ属)。

 カヤツリグサ科は最近、属の分類が変わったらしく、図鑑のものとネット上のものでは属分類が異なっており、情報の新しいインターネットの記載を使用したが、花の名前も分類も間違っているかも知れない。ご指摘いただければ幸いである。

 今回も自分の知識と実力の無さを思い知った観察会であった。まあ、植物学者になりたいわけでは無いので焦らずゆっくり知識を付けて行きたいが、そんなに流暢にやっていると覚えるより忘れるほうが多くなってしまうのかも知れない。





櫛形山再訪  平成28年7月24日

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 この山を訪れるのは今期何度目になるのだろうか?もう7~8回訪れているように思う。バリアンスルートの花探しでアヤメ平まで至っていないことが多いが、それでも4度目のアヤメ平となる。7月3日に訪れた時はアヤメ平はキンポウゲの黄色いお花畑になっており、さらに裸山では復活した多数のアヤメに出会うことが出来た。保護柵の効果は確実に現れており、アヤメを含めて植生は確実に回復している。おそらく今回はキンポウゲが終わりマツムシソウやクガイソウの紫色のお花畑に変わっているはず、そしてまだ満開のところを見ていないアオスズランが咲いている頃だろう。山岳連盟の植物観察会の時に見たオオヤマサギソウらしき葉のその後がどうなっているかも気になる。花仲間を誘って今回は池の茶屋からの新道を時計回りに周回した。


     林の中はバイケイソウが満開。


    鹿の食害後に残った花と思うと残念だが、咲いた花はとても綺麗だ。


    マルバタケブキとウラギンヒョウモン。これも鹿が食べない花。


    時計回りだと、もみじ沢に急降下する。ここから先は登りが続くが、傾斜は緩い。


    サルオガゼが着生したカラマツの森を進む。気持ち良い。

 オオヤマサギソウの葉らしきものを見つけた場所に到着した。たくさんあったはずの葉を探すがなかなか見つからない。ようやく何株か見つけたと思えば・・・ほとんどが鹿に食べられた後で、花はひとつも咲いていなかった。ガッカリ、これは勝手に網で囲って保護するしか無いのではなかろうか?そのうちに生えなくなってしまう可能性が高い。


    オオヤマサギソウと思われる花。穂の上部が食べれれていて花が咲かない。


    こちらは葉も茎も食べられている。残念。


    まだ少し早かったタカネフタバラン。


    アヤメ平の保護柵に到着。柵の外と中は植生の違いが明らか。

 アヤメ平に到着。予想していた通り、キンポウゲのお花畑にはクガイソウがたくさん咲いていた。その先にはマツムシソウ、コウリンカ、コオニユリなど、様々な花が咲いている。お昼の12時をとっくに過ぎているが、空腹も忘れてこのお花畑に見入ってしまった。


    クガイソウのお花畑。この場所は7月初旬キンポウゲの黄色い絨毯が広がっていた場所。


    コウリンカ


    コオニユリ


    マツムシソウの群落


    もうすぐ咲きそうだが、何??


    キソチドリだと思うが、距が非常に長い。


    ここにもシナノキンバイが咲く。初めて登った8年くらい前にも見たような気がする。


    トモエシオガマ


    保護柵の外で6月に見つけたものは鹿に食べられてことごとく消失していたが、柵の中のこの花は元気いっぱい。


    エゾスズラン


    接写。紫と緑の混じる不思議な感じの花。


    柵の中ではこの花も元気に咲いていた。


    オオヤマサギソウ。薄緑色のクリオネが舞うような花はなんとも言えない美しさがある。

 予定時間を1時間ほどオーバーして、午後1時半アヤメ平の避難小屋前で遅い昼食となる。これだけのお花畑を見れば足が止まって当然だが、以外にも登山客は少なかった。花好きな仲間たちばかりが集まったので、花談義が絶えない。ゆっくり休んでから裸山と山頂を経由して池の茶屋に戻った。


    裸山到着。


    アヤメはすっかり終わり、マツムシソウが咲いていた。3年前に比べるとマツムシソウが減ってアヤメに置き換わりつつある。


    藪の中にホザキイチヨウラン。こんなのを見つけられるるたんさんの目がうらやましい。


    櫛形山山頂で記念撮影


    心配していた天候も1日中晴れて富士山もちらりと姿を見せてくれた。

 わずか3週間でがらりと姿を変える櫛形山のお花畑は何度訪れても目を楽しませてくれる。8月に入ると今度はシモツケの赤紫色の花がお花畑を賑わせていることだろう。8月、時間がとれれば、再訪するかも知れない。

   

花谷泰広ヒマラヤキャンプ写真展 いよいよ始まりました。  平成28年8月1日

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 山梨県北杜市在住の山岳プロガイド花谷泰広さんの写真展がアウトドアショップエルクでいよいよ始まりました。

 このヒマラヤキャンプは、昨年10月選抜された有志の大学生とともにトレーニングを積み、ヒマラヤの山でキャンプを張ってランダック、ランシャールという6,000級の山に登った時の記録画像です。花谷さんは学生の時に先輩に連れていってもらったヒマラヤの山々の思い出が強く残っており、山の素晴らしさを後輩たちに伝えたいこと、そして若いクライマーたちを育成して行きたいという思いでこのキャンプを行っています。今年も既に6人のメンバーが選出され、毎月集合してヒマラヤキャンプに備えてのトレーニングが行われています。


    7月31日夕方、展示が終了。8月1日から1ヶ月間開催されます。


    会場風景


    こんなところに登れるのかという凄い写真の数々。


 作品を何点か紹介します。解説は全て山岳ライターの柏澄子さんに書いていただきました。


    【ランダック】エベレストが見えた!

 世界最高峰のエベレストは、どこから見ても威風堂々とした大きな山である。ひときわ高いだけでなく、どっしりと大きい。この日、キャンプ1を出発し、氷河に上がってから振り返ると、エベレストが見えた(写真中央)。山頂からわずかに雪煙をたなびかせており、秋の気配がただよう。

    

    【ランダック】ヒマラヤ襞を行く

 このような氷雪壁をトラバースしていくのは、ヒマラヤらしいところ。花谷が先行したあと、蒲澤と塩谷が続く。初のヒマラヤのふたりにとっては、かなり手ごわく、緊張が強いられるセクション。
     



    【ランダック】帰路で振り返って見る鋭鋒ランダック




    【ランシャール】頂上へ

 長い1日のはじまり。ヘッドライトを灯して出発。まずはコルを越え、ベースキャンプのあるクーンブ山域からロールワリン側へと入っていく。



    【ランシャール】夜が明ける山々

 ロールワリン側にあるドラムバウ氷河に降り立った。標高4500~5000mほどにある長大なこの氷河は、6000m級の山々に囲まれており、普段から風が強くスケートリンクのように硬かった。夜のとばりに閉ざされ蒼かった山々に、昇った日が差し込み、だんだんと明るくなっていくなか、ランシャールに向けて、氷河を行った。



    【ランシャール】目前に迫るランシャール山頂


 柏澄子さんに書いていただいた花谷泰広さんのプロフィール、およびヒマラヤキャンプの説明が以下のパンフレットです。




 パンフレットに掲載した写真はカトマンズで仲間たちが集まった時のもので、花谷さんは左から2番目、その後ろにいるのが栗城史多さん、右から2番目の女性が谷口けいさんです。凄いメンバーが揃っている写真です。


 日本にいるとまずはお目にかかることが無い凄い山並がずらりと並ぶ景色です。是非ともお越しください。

富士山麓の植物観察会 ~午前の部~  平成28年8月7日

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 今年3回目となる富士山周辺の植物観察会に参加させていただいた。前回参加したキバナノショウキラン観察会にお会いした人たちや昨年お会いした人たちとも再開することが出来、何かファミリアルな感じでの観察会となった。

 まず案内していただいたのは広大な草原が広がる富士山の裾野で、開放される日が限られており、私は初めて訪れる場所だった。この手の草地はほとんどの場合、鹿の食害で酷い状態になっていることが多いのだが、ここは特殊な場所であるが故に鹿の食害が少ないようで、様々な草原の花に混じって他では見ることが出来ないような稀少植物が咲いていた。何よりも、オオバギボウシがたくさん咲いていることにまず驚いた。


    広大なススキ野原と草地が広がる。


    コオニユリ。向こうには富士山の眺望。


    カセンソウ


    キキョウ。この花は数が激減しており、山梨県では絶滅危惧種に入っている。


    ヒキヨモギ(ゴマノハグサ科 ヒキヨモギ属)。これも絶滅危惧種(DD)に入っている。


    ネジバナ(別名モジズリ)がちらほら。


    そして以前から見たかった花、ムカゴソウ(ラン科 ムカゴソウ属)。


    草むらの中に隠れるように咲いていたが、思っていたよりも背が高い。


    花はまさしくランの花。唇弁が3裂していて真ん中が短く、緑色のカゲロウのような花。


    そしてこれが今回の一番の目的の花、マツバ(の花)ニンジン(アマ科 アマ属)。


    キキョウと一緒に咲いたマツバの花。右側にも花が散った株が3~4本ほどある。


    花は基本的に下から咲き、1日1輪だけ午前中に咲いて午後には散ってしまう。上部にあるのはこれから咲く蕾。

 この変わった咲き方をする花は絶滅危惧種の上位にランクされており。おそらく山梨県ではこの草地でしか見ることが出来ない貴重な花である。

 場所を移動して別の花を観察に行く。この花も絶滅危惧種上位にランクされている花で、小さな花なので踏まないように足元に注意しながら花を探す。


    時期的にまだ早いのではないかと思っていたが、もう満開になっていた。


    立ち入りが制限されているこの場所は比較的数が多い。


    小さな花、ヒナの巾着(ヒメハギ科 ヒメハギ属)。

 予想していたよりも遥かに鹿の食害が少なく、様々な花たちが咲いているこの草原を見てほっとした。鹿の食害が著しい山梨県にもこのような草地がまだ残っていてくれたのはたいへん嬉しかった。

 昼食をとって午後からは樹海の森に入る。    



富士山麓の植物観察会 ~午後の部~  平成28年8月7日

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 午前中は草地の植物観察を行い、午後から樹海の森に移動する。次なる目的の花はツリシュスランであるが、今回観察するツリシュスランは樹海の中でも特別に大きな株である。かなり遠くて高い位置に着生しているため、300㎜天体望遠レンズとエクステンダーを持って行く。


    大株のツリシュスラン。300㎜望遠レンズでようやくこの程度。


    さらに2倍のエクステンダーを装着して600㎜で撮影したツリシュスラン。5本出たのは初めてらしい。


    角度を変えて撮影。


    トリーミング画像。唇弁は上向きだが、曲がらずに真直ぐ下方に伸びれば下向きということになるのだろうか?

 まだ咲き始めたばかりで、満開になるのは3~7日後になりそうだ。

 場所を移動して別の稀少なランを見に行く。こちらもまだ時期が早いのではないかと思ったのだが、ちょうど見頃になっていた。


    林床に咲いた小さな白い虫が飛ぶようなラン。


    ハクウンラン。ちょうど見頃。


    昨年も同じ場所を訪れているが、時期が遅く数株しか発見できなかった。


    こちらは茎が茶色のタイプ。


    密腺があるとか無いとか? オオハクウンランではないかという議論があったが・・・


    私には全くわからない話。

 レベルの高い人たちが集まるこの観察会では相変わらず私が知らない宇宙語が飛び交っている。基本的なことが分かっていない私には会話に入ることさえ出来ない話題もある。この先、そのようなハイレベルにまで持って行けるのかどうか?おそらく無理だと思う。それよりも、これらの稀少植物が咲く環境がこれからも保たれて行けるのかどうか、咲き続けることが出来るのかどうか、そして私たちに何が出来るのかということのほうに興味がある。

ツリシュスラン再訪 富士山樹海の森  平成28年8月10日

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 先日の植物観察会ではまだ咲き始めだったツリシュスラン、暑い日が続いているのでそろそろ満開になっているのでは?と再訪してみた。


    きわめて大きな株だが、位置が遠くて撮影はかなり難しい。Borg300㎜レンズでようやくこの程度。


    エクステンダー2倍を装着して600㎜で撮影。今度は解像度とブレに問題が生じる。


    トリーミング。花は8部咲きといったところか。現在の装備ではこれが限界と思われる。


    角度を変えて600㎜で撮影。


    トリーミング画像。

 日が当たりそうな午前中に訪れたが、微妙に花には日が当たってくれず、わずかに日が射した画像は白飛びが起きてしまっていてむしろ花はボヤけてしまっていた。高いところに居る着生植物の撮影は難しい。

 ついでにベニカヤランの場所にも立ち寄った。こちらも春に何度も訪れているが、満足に撮影できたものはひとつも無かった。


    カエデの幹に着生しているベニカヤラン、別名マツラン。


    陽が当たってくれると速いシャッタースピードで撮影できるため、ある程度ブレは軽減される。


    トリーミング。まだバナナのような長い種にはなっておらず、固くて丸い蕾がいくつも着いているように見える。

 今期のこの界隈の着生植物撮影はこれで終わりになるだろう。また来年。

危機的な状況に陥っているヒナノキンチャク  平成28年8月10日

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 先日の植物観察会で訪れた草地のヒナノキンチャクは既に満開を迎えていた。例年ならば8月中旬から下旬ごろと見ていたのだが、今年は早く咲いたようだ。あちらに咲いているならばきっとこちらの山も・・・。さらにまだ開花している花を見ていない寄生植物が咲いている頃だろう。

 春先に聞いた情報では草地の中を横切っている作業道に重機が入って道が拡張され、斜面がだいぶ削られていると聞いた。そちらの状況がどうなっているかもかなり心配である。現地を訪れてみると、一見したところではいつもとあまり変わっていないように見える。


    作業道脇に咲いたヤマハッカ(シソ科 ヤマハッカ属)


    ここには数が激減している稀少な蝶、姫シロ蝶が生息している。


    フクシマシャジン


    白いツリガネニンジン


    イヌゴマ(シソ科 イヌゴマ属)


    キセワタ(シソ科 メジハギ属)。これは山梨県では絶滅危惧種。


    カセンソウ(キク科 オグルマ属)


    オオバギボウシが咲く草原。


    花数は若干減って来ているようにも見えるが、大きな変化は無いように見える。

 草むらの中をガサガサと探していると、下からお~いと呼ぶ声が聞こえる。誰かと思えば、ななんと、みちほさんご夫妻だった。先日私がアップしたヒナノキンチャクを見て、避暑を兼ねて山梨まで来られたそうだが、こちらも連日35度を超える猛暑日続きで、山の上でも30度近くまで気温が上がっている。とても避暑などど言えるレベルでは無い。一緒に本日お目当ての花を探して歩く。


    踏み跡らしきものをかき分けて草地に入ると、ありました、お目当ての花オオナンバンギセル(ハマウツボ科 ナンバンギセル属)。


    さながら真っ赤な口紅をつけたおばばの唇。花冠裂片に鋸歯があるのがオオナンバンで、ナンバンのほうは全縁。


    こちらは色が控えめでナンバンのようにも見えるが、花冠には鋸歯がある。


    本日一番の大株。蕾のものもあるが、大部分終わっている。

 さて、問題のヒナノキンチャクが咲く場所の近くまで来たが、まず目に付いたのが作業道が連日のゲリラ豪雨で大きく溝が出来てしまっていること、そして、おそらくはこれが重機が入って道が削られたと聞いていた場所なのだろう、ヒナノキンチャクが咲いていた道脇の斜面が削り取られてしまっている。そのあたりを探してみたが、例年観察していた場所ではもはやほとんど発見出来なかった。


    作業道に大きな溝が出来ていて、斜面が削り取られている。例年この道脇の斜面でヒナノキンチャクを観察していたが、今年は見当たらず。


    削られた作業道脇の残ったところにわずかにヒナノキンチャクが残ってくれている。


    ギリギリで削られずに残っているが、雨で崩れたら終わってしまいそうだ。


    ほんの一角だけ、かろうじて残ってくれていたヒナノキンチャク。きわめて危機的な状況に陥ってしまった。

 ここは地元の業者さんたちがワラビを採取する山で、地権者の利益が優先されるためにこのような事態が起きてしまう。おそらくはこのような貴重な植物がこの場所に咲いていることなど知る由も無いだろう。削られて無くなってしまったものは取り戻すことは出来ないので、出来ることと言えば種を採取して環境の良さそうな場所に播いてやることくらいだろうか。今後のことを考えなければならない。


ペルセウス座流星群流れず 三ツ峠  平成28年8月13日ー14日

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 昨年のペルセウス座流星群も三ツ峠山荘に1泊で狙ったが星空は現れなかった。今年も昨年に続いて三ツ峠山荘泊りで流星群の撮影に出かけた。山登りにデビューしたいという同僚とそのお子さんがおり、三つ峠山荘の中村さんにもいろいろと相談したいことがあったのでちょうど良い機会だ。最近の空は夜になっても星が見えないことが多く、雲画像では雲が出ていなくとも富士山や山の上にはどうしても雲がかかってしまう。当初から空模様を心配していたのだが、晴れてくれれば良いのだが・・・。午後1時から御坂側から最短ルートを使って花を楽しみながら三ツ峠に登る。


    ハナイカダは黒い実が成っていた。


    ミソガワソウかと思っていたが、これはイヌヤマハッカか?テンニンソウに混ざって咲いている。


    ノブキ(キク科 ノブキ属)


    テンニンソウの中にマルバタケブキが1本


    ジャコウソウ(シソ科 ジャコウソウ属)。萼や茎に毛の生えたアシタカジャコウソウというのが御坂山塊にはあるらしい。


    アザミの同定は難しいが、これはホソエノアザミか?


    ソバナがたくさん。


    元気なカイフウロ(フウロソウ科 フウロソウ属)


    この季節の三ツ峠といったらこれだろう。レンゲショウマ。まずまずの咲き具合。


    トモエシオガマ


    シュロソウ

 幼稚園の年長さんの子供を連れての登山だったが、予定通り2時間ほどで三ツ峠山荘に到着した。あいにくの曇り空の上にガスがかかってしまい、眺望は全く得られない。山頂は翌朝に行くこととしてさっそく休憩モードに入る。中村さんには植物保護のことではいろいろと相談にのってもらっており、危機的な状況に陥ってしまったヒナノキンチャクについても報告した。まずは種を蒔くことだろう。

 日が暮れる前にお風呂に入らせてもらって夕食になる。この日は夜の9時半ごろに接近した火星と月が富士山の上にやって来る日だったが、夜になっても全く空が晴れる様子が無く、明日の未明に期待して夜8時過ぎには寝ることになった。

 未明3時半、目覚ましはかけていなかったが目が覚めた。窓から外を覗いてみると・・・ちらりと星の輝きが霞を透かして見えるが、富士山の姿も富士吉田の町灯りも見えない。カメラを持って外に出ると、東の空にオリオン座が見え隠れしているがとても流星群を観察できるような空では無い。一旦あきらめて山荘に戻り、体制を整えて山頂に行ってみることにする。


    未明3時半の景色。ちらりと町灯りとわずかに町灯りが見える。富士山は見えず、流星群の観察はあきらめる。


    夜明け前に山頂に登る。


    ガスが切れると眼下は雲海が広がり、向かいの尾根に滝雲が流れ込んでいた。


    隣の御巣鷹山の電波塔が雲に浮かんでいる。


    雲に浮かんだ御巣鷹山電波塔


    夜明けが近付くにつれて富士山が見え隠れし始めた。


    滝雲と富士山


    雲海の彼方に霞む富士山


    同上


    雲海の間にちらりと見える山は黒岳。


    広角レンズで捉えた風景。


    山頂の日の出


    日の出の頃にはもう富士山は雲に覆われてしまい、その後姿を現すことは無かった。

 一緒に来た同僚と子供が山頂に到着した頃にはもう富士山は雲の中に隠れた後だった。

 御巣鷹山側にあるレンゲショウマを見に行こうとした途中でカメラが電池切れとなってしまった。交換電池2本持って来たので問題なしと思っていたのだが、充電したと思っていた2本の交換電池のいずれも充電し忘れたようで、カメラが起動しない。電池を温めてもこすっても電源が入らず、撮影はここであきらめる。山荘に戻って朝食をいただき、しばしまた中村さんと花の情報交換をして8時45分ごろから下山し、10時過ぎ、駐車場に到着した。

 ペルセウス座流星群は今年も撮影出来ず、電池切れなどもあって消化不良な山行になってしまった。しかし、同行した同僚とお子さんは初めての山と山小屋泊りで満足してくれたようだった。幼稚園の年長さんなのに、ソバナとカイフウロ、レンゲショウマの名前はしっかりと覚えてくれたようだ。    




    

夜叉神峠から高谷山新道を周回の予定だったが・・・失敗。  平成28年8月18日

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 夜叉神峠から高谷山を経て夜叉神トンネルの脇に出る新道が切り開かれたのはもう5年くらい前になると思う。以前から歩いてみたいと思っていたがなかなか機会が無く、偶然に時間が空いたこの日、歩いてみることになった。

 短時間だが仕事を片付けてから出発したので、夜叉神峠登山口を出発したのは12時半くらいになってしまう。台風が通り過ぎて午前中は青空が広がり、気温はどんどん上昇してその頃の甲府盆地はもう気温が35℃くらいまで上がっていた。夜叉神峠登山口もかなり暑く、バス停横の水場から流れ出る水が熱湯と化していた。


    登山道脇に咲いていたシデシャジン


    キバナアキギリは大部分終わっていた。


    フシグロセンノウ。以前に比べるとずいぶん減ったように思う。


    マルバタケブキで吸蜜するキアゲハ


    イヌトウバナ(シソ科 トウバナ属)だと思う。


    ママコナの大群落。これはあまり鹿が食べないらしい。


    圧巻のママコナ。苞(花柄の根元に付く葉のような部分)に鋸歯があり下唇の2つの班紋が黄色いことから、シコクママコナと思われる。


    コフウロ(フウロソウ科 フウロソウ属)


    コフウロの花


    峠の近くに咲いていたのは良く似ているが葉が3深裂(根元まで裂けない)しているゲンノショウコ(フウロソウ科 フウロソウ属)。


    ノアザミ(だと思う)。


    笹に飲まれそうなタチフウロ


    マツムシソウが1輪


    夜叉神峠。雲が湧いて白根三山は見えず。

 通常ならば1時間少々の行程だが、この日は暑くてバテたうえに体調が悪く、2時間近くかかってようやく夜叉神峠に到着した。空模様が次第に悪くなり、少しずつ雲が迫ってきており、天気予報通りに雨になりそうな気配だ。昼食をとって小休憩して高谷山に進む。


    高谷山のカラマツ林。おそらくこれは植林。


    登山道を隔てた反対側はミズナラを中心とした広葉樹林。こちらが本来の姿だと思う。


    夜叉神峠から見ると尖った急峻な山のように見えるが、こちら側の登山道はさほど傾斜はきつくない。


    高谷山(1,842m)到着。夜叉神峠から30分ほど。


    木の隙間から北岳が見えるのだが、この日は雲の中。

 小休止して桧尾峠に向かう登山道を下りる。こちら側は夜叉神峠側と違ってかなりの急下りである。途中からはロープ場やハシゴ階段のある細尾根になっており、少しばかりスリルが味わえる。途中から左に分かれる新道が出ていると聞いていたのだが、なかなか見つからない。標高差150mほど下りたところの小ピークで尾根が2方向に分かれており、その右側の尾根が夜叉神トンネルに向かって伸びているので、そこが分岐点だろうと思っていたのだがその場所には新道は無かった。その先は桧尾峠だが、そこまで行くと2本の谷を渡らなければ夜叉神トンネルにはたどり着けないはずだ。もしもその先で道が見つからないと・・・リカバーして高谷山に戻るのにかなりの時間を費やすことになる。下調べが不十分過ぎた。ここで撤退して高谷山に戻ることにした。


    高谷山から桧尾峠、桃の木温泉ルートは、急傾斜の上にロープやハシゴ階段や細尾根のあるスリルがあるルート。


    ここにはイワカガミの葉がたくさんある。


    ギザギザした大き目の葉から見て、これはヤマイワカガミ。花の時期には白いイワカガミが咲いているのだと思う。

 午後4時10分に高谷山に戻り着き、夜叉神峠の正規ルートを下山する。ルートの真ん中あたりで雨が降り出したかと思ったら次第に雨脚が強くなり、駐車場まであと10分ほどというところで本降りの雨に変わった。カッパを着て下山するがさらに雨足は強まり、駐車場に到着した頃にはバケツをひっくり返したような豪雨になっていた。帰りの道路は川のように水が流れ、路肩が良く見えなくなってしまっていたが、幸いにして私の車の前をバスが走ってくれていたので助かった。甲府まで戻ると、こちらはさほど酷い雨では無かったようだ。判断を間違ってこの豪雨の中を道迷いしていたら大変なことになっていたかも知れない。

 後にネットで新ルートを調べてみたところ、引き返した地点より先にある桧尾峠でルートが分かれており、夜叉神トンネル近くの護岸工事を行った斜面あたりが一部崩落していて通行が難しくなっているらしい。ヤマイワカガミが咲く頃に再訪できればと思う。


    今回見たかったのがこの花。


    猫招きの草。


    赤紫色の花が可愛らしいが、接写すると猫というよりは牙を持った虎のようだ。


    大きな株があったが、まずいことに鹿に食べられている。稀少な花だけに生き残ってくれれば良いのだが・・・。

富士山の上に輝く月を撮影に行くが・・・  高指山  平成28年8月18日‐19日

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 来年の9月に山梨大学が主幹で鼻科学会なる全国学会が甲府市で開催される。そのポスターの画像を撮影するために、夜明けの富士山と月の位置をカシミール3Dとステラナビゲーターでずっとチェックしていた。撮影場所は山梨県内からで、山梨県らしい景色と富士山を追い求めている。8月18日の朝、高指山から見る富士山が一番良さそうだったのだが、この日は天候不良で富士山は見えず、翌日の朝を狙って高指山に撮影に行く計画を立てた。火星、土星、アンタレスが接近していることだし、未明に西に傾いた夏の大三角形も良さそうだ。テントを担いで山頂泊と考え、夕方6時ごろに山中湖に到着した。ところが、昼間は晴れていた空が一変し、真っ黒な雲が富士山周辺を覆い始め、ついには小雨が降り出してしまった。予定変更、山中湖湖畔で車中泊することにして車内を寝られる体制に整えた。すると夜の8時ごろになると、雲が晴れて星が見え始めた。間もなく東の空から月が昇り始めた。これならば山頂泊で大丈夫なのではないか?ということで、ザックにテントを詰め込んで8時半から高指山山頂を目指して登り始める。

 中腹まで行くと霧雨が降り始めた。空を見上げると雲の切れ間から星が見えている。9時半、山頂に到着した頃には霧雨に小雨も混じるようになり、富士山は全く見えない。テントを設営するが、雨は降らないと見ていたのでフライシートを持ってこなかったため、当然の如くテントの中は結露して水浸しになってしまう。テントの中だというのにカッパを着て一夜を過ごすこととなる。


    霧雨と小雨の高指山山頂。富士山は全く見えず。


    雲を透かして見える月。星も時々姿を現していた。

 9時半ごろに富士山の左側に接近した火星・土星・アンタレスが輝いているはずだったのだがこれでは撮影は困難だ。天気予報と雲画像を見る限りでは未明から晴れてくれそうなので、明朝を期待して10時半に寝る。

 未明3時半に目覚まし時計の音で目が覚める。外を見ると・・・霧雨だがだいぶ小降りになっている。残念ながら富士山は見えないが、軽く朝食をとって再び外に出ると月が見え始めていた。日の出までにはなんとか回復してくれそうに見える。


    未明4時半の空。雲が多いが青空も見える。


    やがて月が見え始めた。


    4時45分、雲がだいぶ晴れてきた。日の出は5時2分ごろ、もう少し!


    4時54分、笠雲を被った富士山が姿を現し始めた。


    よし、なんとかなりそうだ。とこの時は思ったが・・・。


    富士山の後ろ側にうっすらとアースシャドウが出ている。日の出目前、しかし雲が増えてきた。


    ちょうど日の出の頃だが、残念ながら富士山は雲に覆われてしまった。


    その後はさらに雲が増えて富士山は2度と姿を現すことは無かった。


    残念、撤収。

 ポスター用には縦位置で山中湖・富士山・月と良い位置に収まってくれたとおもうのだが、この雲では富士山の裾野が見えず、富士山なのかどうかが判別できず残念ながら使い物にならない。またの機会に月の位置を見て狙ってみたい。


    この周辺にはヒオウギという稀少なアヤメの仲間が咲き、手厚く保護されている。


    保護ネットの中で咲いたヒオウギ。鹿の食害を逃れるためには仕方ないのだが、これでは受粉出来ないのではないか?と疑問を持ってしまう。


接近した土星・火星・アンタレスと富士山 石割山  平成28年8月26日

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 土星・火星・アンタレスが8月中旬に接近し、8月24日には縦一直線に並ぶという天体現象が起こったのだが、あいにくの天候のうえに当直だったためこの現象を見ることは出来なかった。26日の夜にはもう一直線では無くなってしまうが、明るい3つの星が並んで見える夜空は是非とも見てみたい。大きな台風10号が南の海上で迷走しながら接近しつつあるが、そのためか雲画像を見る限りでは26日の夜は晴れてくれそうに見える。富士山ライブカメラ映像を見ても、夕方になるにつれて富士山にかかっていた雲が晴れて行くように見える。先週の高指山は不発だったが、今度は天の川の撮影が出来るのではないだろうか?テントを担いで石割山に登る。

 今回は撮影目的なので、石割山最短ルート、二十曲峠から山頂を目指す。午後5時に出発し、日没直前の午後6時山頂に到着した。こちら側のルートは目ぼしい花は無いだろうと思っていたのだが、以外にもいろいろと咲いていた。


    二十曲峠から最短ルートを使って石割山山頂へ、いざ出陣。


    テンニンソウとハンカイソウがはびこるこちら側のルートはもう目ぼしい花は残っていないだろうと思っていた。しかし以外にも・・・


    ツリフネソウ


    カワラナデシコ


    ハナイカリ


    レイジンソウ


    シデシャジンまである。


    ヤマジノホトトギス


    カセンソウ??


    ノアザミ??


    テンニンソウがはびこる山頂裏側の草地だが、かつてはお花畑が広がっていたのだろう。こうなってしまうと、もはや復活は困難と思わざるを得ない。

 日没にはなんとか間に合って山頂に到着した。二十曲峠はどこかの写真クラブのメンバーが集っているらしく、話し声が聞こえていたがこちらは誰もおらず山頂を独占である。夏にしては珍しく空が晴れている。これならば天の川が見えるかもしれない。


    日没前に山頂到着。夕空に面白い雲が浮かんでいる。


    ポスターを意識して縦位置で撮影したが・・・いまいち。


    夕空を流れて行く雲。


    陽が沈み、そろそろ星が輝き出す頃だ。

 思ったよりも澄んだ夕空になってくれた。これならば星が見えるだろう。ただ問題なのは山中湖の湖畔で何かイベントをやっているらしく、空を照らすサーチライトが何本も夜空に光の線を描いてグルグル回っている。ちょうどそのあたりは天の川が現われる位置になる。あの明かりが消えてからでないと天の川を撮影するのは難しい。何時に終わるのだろうか?


    山中湖に霧がかかり始め、空には星が輝き出した。左手の明かりが山中湖のイベントで空を照らすサーチライトの明かり。


    大きな雲が通り過ぎて行く。左上の雲が白く光っているのはサーチライトで照らされたため。


    光跡で人文字を撮影するには良い場所なのだが・・・


    8月も下旬で富士登山のピークを過ぎた上に弾丸登山が規制されているため光跡はいまひとつ少ない。


    霧が増え、山中湖は雲海におおわれた。折角の景色なのに、何度撮っても飛行機がカットできない。


    富士山の左上、弱い『く』の字型に輝いているのが上から土星、火星、さそり座アンタレス。いずれも赤みを帯びた輝きを放つ星たち。


    3つの赤い星が富士山に近付いてきたが、富士山にかかった雲が晴れない。左上にはうっすらと天の川が映っているが、サーチライトが邪魔をしている。


    ようやく富士山山頂が見えた。接近した土星・火星・アンタレスと夏富士。

 深夜9時半ごろ、ようやくイベントのサーチライトの明かりが消えた。真夏にしては空は澄んだほうだが、低空には霞が出てしまった。おかげで山中湖と富士吉田の町灯りが覆われて星が見やすくなってくれたわけだが、もう少し低空まで澄んでくれるとありがたかった。それでも、空を見上げると肉眼でもはっきりと夏の大三角形を貫く天の川が見えている。土星・火星・アンタレスが富士山に沈んだ後はひたすらこの天の川の撮影に没頭する。

 
    霧の山中湖と天の川


    広角レンズで捉えた富士山と天の川


    富士山に立ち昇る天の川

 予定ではテント設営して朝まで撮影と考えていたのだが、一晩中シャッターを手動で切り続けるのは大変でタイマーリモートコントローラーが必須である。ところが、入れたと思っていたコントローラーがカメラ機材用のバッグの中に入っていない。さてどうするか?天の川が富士山頂から右にずれてしまい、縦位置では入り切らなくなってしまったところで時間は深夜11時を過ぎ、ここで撤収することにした。


    下山後、二十曲峠から見る富士山。だいぶ雲が増えてきた。

 イベントのサーチライトは想定外だったが、8月にこれだけの星空を見ることが出来たのは久しぶりである。特に霧の多い山中湖界隈は冬でも星空を見るのはなかなか難しい。大収穫だったと思う。

 帰宅して寝ようかと思ったのだが、夏の夜のこんな星空はそう滅多にお目にかかれるものでは無い。山中湖は雲海に沈んでいたが、その向こうの三国山や鉄砲木の頭のピークは雲海の上に頭を出していた。あちら側に回り込めばひょっとして山中湖に沈んで行く夏の大三角形と天の川が見られるのでは・・・? うまくすれば夜明けの赤富士が撮れるかも・・・?? という思いを抱き、パノラマ台に行ってみることにする。(鉄砲木の頭に続きます。)     
      
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