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Channel: 山梨百名山から見る風景
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スルガジョウロウホトトギス再び 花見隊集結  平成25年9月7日

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 先週見つけたスルガジョウロウホトトギスはまだ少し時期が早かった。今週か来週が見頃だろうが、次週の3連休は既に予定があって難しそうだ。数日前に雨が降ったばかりで沢の増水が心配なのだが、今回を逃すと花見隊とともにこの花を見る機会はおそらく来年に持ち越しとなってしまう。メンバーに連絡をとってみると、7日の土曜日ならば集結できそうだ。

 朝6時、朝霧高原道の駅に集合としたが、私たちが到着したのは6時半近くとなってしまう。コンビニで買い物をして入山口の駐車場に到着したのは7時半ごろ。しかし、この時間が遅れたことが幸いして、駐車場で毛無山山塊を知り尽くした人物にお会いすることができた。私が毛無山に登るたびに確立8割でお会いするその方とは・・・ミスター毛無山、ことK田さんだ。ジョウロウホトトギスを探しに出かけた先週も、この方にお会いできればきっと情報を持っていると予想されるので会えないかと思っていたのだが、私のほうが出発が早かったようでK田さんは私の車が止まっているのは確認したそうだがルートが違いお会いできなかった。この日はちょうど出発準備中のK田さんにお会いでき、遂に毛無山登頂2,000回を達成されたそうだ。そしてこの花の話をすると良くご存じで、この日のガイドを買って出てくれた。なんと幸運なことだろうか。昨年はバスで大人数でやって来てこの花を見に来たツアーもあったそうだ。我々も11人という大人数なのであまり批判はできないが、山や花を荒らすようなメンバーでは無いことは確かだ。8時少し前に入山口を出発する。


    下山後のお楽しみに、小川にスイカとメロンを冷やして行く。


    入山口近くに咲いていたシデシャジン。思っていたよりも花は小さい。


    数日前に雨が降って増水しており、渡渉に若干苦労する。


    増水していてやや水の勢いが強いが、美しい沢の流れ。


    前回見つけた下流側の花。痛んでいるものも、まだ蕾のものもある。ここは花が遠くていまいち。


    さらに上流の群生地。咲いたものもあるがまだ大部分は蕾だ。


    スルガジョウロウホトトギス、正面から。


    前回ホトトギスの仲間と記したこの花、そうではなくてイワナンテンという、これまた珍しい花だった。(サクラスミレさんに教えていただきました。)


 先週私が見つけた場所はまだ蕾のものが多く、若干時期が早かった。K田さんは私たちが花を見ている間にさらに上流に遡上して咲いている場所を探してくれ、花見隊メンバーはところどころザイル下降しながらその場所に行って花を楽しんだ。そして、前回私が行かなかった場所(双眼鏡で探したが花を見つけられなかった場所)でちょうど満開・見頃の素晴らしい株を探してきてくれた。存分に花を眺め、撮影してこの日は十分に満足した。メンバーもここまでで満足し、ちょうどお昼ごろになったので軽食をとって下山となった。こんなに良い花を見られるとは、全てK田さんのおかげである。毛無山塊のガイドをやらせたら、この人の右に出る人はいないだろう。


    岩から垂れ下がる群生のスルガジョウロウホトトギス。


    満開、美しい。やすらぎのひととき。


    下から覗き込むスルガジョウロウホトトギス。


    沢に垂れ下がるスルガジョウロウホトトギス。


    美しい沢の流れ。


    大きな滝の脇にも咲いているが、ここには近付くことができない。


    滝の脇の岩壁に咲いたスルガジョウロウホトトギス。

 下山後、小川で冷やしておいたスイカとメロンを持ってきて、以前から計画していたスイカ割り大会を行う。トップバッターは花見隊隊長の私がやったが、遥か左に逸れた。そして4番手のトシちゃんが見事にスイカ割りに成功する。もう少し大きいスイカが欲しかったのだが、遅い時間にスーパーに立ち寄ったところ、小玉1個しか残っていなかった。しかし、甘くておいしいスイカだった。

    スイカ割り大会。4番手でトシちゃん登場。


    お見事!命中。


    手際良くスイカを切り分けるみちほさん旦那さん。


    ご苦労様でした。いただきま〜す。


    本日もハゲ見、じゃなくて花見にハゲみました。


 毛無山塊はほとんど富士山や星空の撮影のために登っていたが、このような稀少な花が咲くことを最近知り、また新たな楽しみができた。偶然だが、途中でクモキリソウ属の葉を発見、さらにK田さんに別の花の情報もいただいた。K田さんのおかげでたいへん充実した花見隊山行だった。お世話になりました。

樹海の森 富士山精進湖登山道  平成25年9月8日

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 植生豊かな富士の裾野、樹海の森を歩いてみたいとかねてから思っていたのだが、道迷いの心配があってなかなか踏み込めずにいた。樹海の森を熟知している「コブシの花の咲くころは」のサクラスミレさんのブログを見ると、精進湖登山道周辺ならばそれなりに花が楽しめてそれほど危険ではなさそうに見える。花見隊集結2日目は天神峠の富士山1合目から3合目あたりまでを散策してみることにした。

 8日の早朝は雨が降ったが、集合時間の6時には雨は上がっていた。空はどんより曇り空だが、歩けない天気では無さそうに見えた。この日の参加者はsanaeさんご夫妻、みちほさんご夫妻、るたんさん、私の6人だが、みちほさんご夫妻は夕方から予定があってお昼までには出発しなければならないという時間制限があった。散策時間、撮影時間を含めて4〜5時間とみて、6時に甲府を出発した。ところが・・・精進湖線を通って精進湖トンネルを抜けるとそこは土砂降りの雨だった。とても歩けるような雨では無い。ひとまずはどこかでお茶にでもしようということで、鳴沢村の天神峠入り口のところにガストがあったのでそこでお茶と朝食となる。雨は降ったり止んだりだが、ここでまったりしてしまい、すっかり散策する気分では無くなってしまった。しかし、9時を過ぎた頃から富士山側に青空が見えるようになってきた。会計を済ませて外に出ると、雨が止んで富士山の裾野が見えて来ていた。とりあえずは精進湖登山道1合目の天神峠まで行ってみようということになる。

    天神峠の精進湖登山道1合目。


    林の中に馬頭観音が立っている。

 峠に到着してすぐにるたんさんが奇声をあげる。道路脇の壁の上に咲くミヤマウズラを発見した。その奥の林を覗き込むとたくさん咲いているのが見える。ならば、精進湖登山道を歩いてみようということになり、ザックを背負って入山することになる。

    天神峠の林の中に咲いていたミヤマウズラ。若干時期が遅い。


    ミヤマウズラ


    登山道に入ってすぐのあたりは苔の生えたしっとりとした登山道に見えるが、その先は笹原に変わる。

 既に時間は10時近い。天神峠周辺の森は苔の生した樹海の雰囲気たっぷりの森で、森の中にはミヤマウズラが咲いていたのだが、少し進むと笹の茂る森となりミヤマウズラどころか目ぼしい花はほとんど見当たらなくなってしまった。想像していた樹海の森とはだいぶ様相が違う。笹の奥に広がる苔の森を探しながら、森に踏み込みながら花を探すが何も見つからない。みちほさんご夫妻はタイムアウトとなってしまい、1合と2合の中間あたりでお別れとなってしまった。

    樹海の森に空いていた大きな穴。落ちると這い上がるのがかなり難しそう。


    2合目でアスファルトの林道を横切ると、その先には廃墟となった建物(かつての山小屋か?)がある。


    小屋の周辺に少しだけ咲いていたミヤマウズラ。1合目よりひとまわり小さい。

 2合目でアスファルトの林道を横切り、その先に廃墟となった建物があってそこで休憩する。周辺の森を探すと一株だけミヤマウズラが咲いており、その周囲には葉だけの株が散在していた。先に進むと、ようやく笹原から樹海らしいツガの森に変わり、その中を探すが花は見つからず、あったのは不法投棄のタイヤと掃除機の残骸だった。しかし、目の良いトシちゃんが登山道脇に生えていたヒメミヤマウズラの葉を発見。1株だけ咲いていた花はもう終わっていた。

    山梨の森百選に選ばれているブナ林だが、この笹原では雰囲気が台無しだ。


    ツガの生える樹海の森。このあたりの森は想像していたよりも明るい。


    スバルラインの下を抜ける。


    富士山だけにフジアザミ。


    スバルライン脇の3合目バス停付近。

 車の走る音が聞こえ出し、やがてスバルラインが見え出す。下をくぐって少し進むと3合目のバス停に到着した。時間はもう1時を過ぎていた。本日はここで折り返すが、排気ガスを吸いながらの昼食は避けたいので、樹海の森に戻って昼食にする。下山途中で、またしてもトシちゃんが花を発見、今度はミヤマモジズリだ。以外にもスバルライン近くの土手に咲いていた、苔生した樹海の中に咲くミヤマモジズリを想像していただけに、これにはちょっと拍子抜けした。

    風に揺れるミヤマモジズリ。


    Iso感度を上げてシャッタースピードを速くしてようやくこの程度。

 登山道脇の土手を注意深く観察しながら歩いて行くと、ようやく蕾のヒメミヤマウズラを2株発見できた。1合目で見たミヤマウズラの半分ほどの大きさしかない小さな花だった。葉に入った筋がくっきりとしていて美しい。周囲に穂を出していない葉がたくさんあることから、今年はあまり咲かなかったのかもしれない。

    ようやく出会えたヒメミヤマウズラ。


    花はまだ蕾。


    筋模様が入った美しい葉。

 昼食後、下山を開始すると雨が降り出した。幸いにして土砂降りにはならなかったが、途中でカッパを着て下山した。午後3時、天神峠に到着、途中でクモキリソウ属の葉をsanaeさんが発見した。今回はあまり目ぼしいものは発見できなかったが、この樹海の森は様々な稀少植物が咲く宝庫である。また時期を見て、今度はもう少し奥まで踏み込んで歩いてみたいと思う。

丹沢の貴婦人サガミジョウロウホトトギス

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 先週はスルガジョウロウホトトギスを堪能したがそうなるともうひとつのサガミのほうも見てみたくなった。サガミジョウロウホトトギスのほうはネットで検索してみるとおおよその咲いている場所が特定できる。台風接近しており、この日を逃すとお目にかかれるのは来年になってしまう。ブログ仲間からルートの情報をいただき、ルートの無い沢登りになるため、ヘルメットとザイル、さらに今回は沢遡上時のスリップ防止のために登山靴に巻きつける藁縄を持って入山する。


 丹沢はかなり遠いというイメージがあったが、自宅から御殿場を経て東名高速を使うと距離にして120kmほど、3時間かからずに到着できることがわかった。自宅を4時出発のはずだったが今回も寝過ごし、6時半に家を出る。入山口の駐車場には9時過ぎに到着し、装備を確認して出発する。ヘルメットを持参して入山している人の姿を数人見かけたが、おそらくこの人たちは私と同じくスルガジョウロウホトトギス目的の登山者だろう。


    沢の入り口まで「立入禁止」と書かれたルートを使う。ここから先は自己責任。


    森には丹沢らしい霧が立ち込め、小雨がパラつく。

 登山道は途中で崩落しており、「立入禁止」になっている。ここから先は自己責任で登ることになる。既に複数の入山者の足跡がついており、先客がいるようだ。崩落地はロープが取り付けられていたが、滑りそうなので慎重に通過する。沢を何本か渡るが、途中の沢に咲いていた目的の花に出会うことができた。先日見たスルガジョウロウホトトギスとほとんど区別がつかないが、こちらのほうが若干黄色が薄いような気がする。


    尾根を越えると下に沢が見え出す。何本か渡渉する。


    目的地の沢より手前の沢で発見したサガミジョウロウホトトギス。こちらの沢を登って行く人もいた。


    サガミジョウロウホトトギス


    下から見上げるサガミジョウロウホトトギス


    ホトトギスも一緒に咲く。


    沢の流れと一緒に撮りたかったが、これが限界。


    別の沢沿いに咲いていたホトトギス

 目的の沢に到着する。数日前の雨で増水を心配していたのだが、ほとんど枯れていて水はわずかしか流れていなかった。藁縄を使うほどでは無かった。沢から下りてきた人がいたので情報を聞くとすぐ上に咲いているそうだ。遡上していった人もいるらしい。沢を登って行き、見上げると手の届きそうな場所にサガミジョウロウホトトギスがぶら下がっていた。盛期は若干過ぎているが、まだ見ごたえ十分だ。


    沢の脇にロープが取り付けられていた。このあたりはやや歩きにくい。


    目的の沢に入ると、間もなくサガミジョウロウホトトギスがお目見え。


    この花は花だけでも絵になる。


    岩にぶら下がる丹沢の貴婦人サガミジョウロウホトトギス。

 さらに登って行くと、沢は枯れて水流が無くなった。支脈の分岐にサガミジョウロウホトトギスがちらほらと咲いている。さらに遡上すると、岩壁に7〜8株咲いているところがあった。ここで三脚を取り出し、存分に撮影する。周辺にはイワシャジンがちょうど咲き始めた時だった。


    まばらだが、この岩壁には10株近く咲いていた。


    沢沿いの岩壁に咲くサガミジョウロウホトトギス。


    同じ場所にホトトギスも咲く。


    咲き始めたイワシャジン。


 写真を撮っていると上から単独登山者が下りてきた。先週尾根沿いで良さそうな株を見つけたが蕾だったので今週も来てみたところ、その株は4つとも根こそぎ無くなっていたそうだ。こんな稀少な花を盗掘して行く人が未だにいるとは残念でならない。岩壁を左に巻いて越えてさらにその上に行ってみるが、花はあるもののまばらに咲いている程度で、期待していた群生には出会えなかった。さらにその上の岩壁を右に巻いたところ、その上は沢に下りる傾斜がきつくザイル無しには下りるのが難しくなってしまった。沢を覗き込むと、その先は石屑のさわになっていて傾斜がかなりきつくなっている。花もあまり咲いていなそうに見える。そのまま尾根に取り着いて主脈まで登り詰めることにする。

    枯れた沢をさらに遡上するが、花はまばらにしか咲いていなかった。


    尾根に取り着いてそのまま登り詰める。

 籔歩きトレーニングの成果を見せる時だ!と意気込んで登ったが、途中でふくらはぎが攣りそうになった。上に見える尾根まで登り着くと、そこには登山道が通っていた。その道を上に登ると主脈の道に合流し、たくさんの登山者が休憩していた。登って来た道の入り口にも立入禁止の看板が立ち、ロープが張られていた。

 休んでいる人に聞いて現在地を確認し、地図を見て下りは通常の登山道を使った。下山途中でヘルメットを持った2人連れが休憩しており、話しかけてみると私とは別の沢を登って来たそうだ。そちらにはあまり咲いていなかったそうだが、先週登った別の沢にはたくさん咲いていたそうだ。丹沢を自分の庭のように自在に歩いている人たちだった。

 午後4時、駐車場に到着した。慣れない沢登りなので時間がかかり、汗だくになった。目的の花には出会うことができたが、群生地は発見できず、イメージしていた沢や滝の流れと一緒に花を撮ることもできなかった。またいつか、別の支脈に入ってトライしてみたいと思う。

北岳山麓に咲く腐生植物ラン 平成25年9月22日

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 図鑑で北岳のどこかにこの花が咲くことは知っていたが、どこなのかは全くわからず、探すのも難しいだろうと思っていた。ところが・・・花見隊の仲間が意外なところでこの花を探してきた。しかも2種類も。そのひとつはアオキラン、そしてもうひとつがトラキチラン、いずれも人の名前がついた稀少な腐生植物のランである。虫林師匠にお話ししたところ、ちょうどツガの葉を食べる珍しい虫が発生している時期らしく、それを含めて行ってみようということになった。さらに、みちほさんとsanaeさんからも連絡が入り、同行することとなった。先日のスルガジョウロウホトトギスに続いて再び花見隊集結である。

 芦安5時半のバスに乗ることとして、その時間にバス停集合となった。朝4時に起床すると、その直後に虫林師匠から電話があった。芦安の駐車場が満車でかなり下の駐車場に案内されたとの事、バスが混んで乗れないかもしれないので今日は止めておくとの連絡だった。私が芦安駐車場に到着したのは5時10分ごろだったが、芦安小学校の下にある臨時駐車場も既に満車でその下の団地の駐車場を係員に案内された。臨時駐車場は何度か使っているが、ここまで混雑したのは初めてだ。5時20分にバスに乗り込んだが既に満杯で立ち席、私より数人後の人は満車で乗り切れず、次のバスか、乗り合いタクシーを待つことになってしまった。私も危うく乗れなくなるところだった。


 広河原のバス停に到着すると1本前のバスで出発したみちほさんとsanaeさんたちが待っていた。レベルアップ著しい花見隊だけに、このメンバーで探せばきっと見つかると確信して出発する。


    朝の北岳


    森の色に同化してわかりにくいアオキラン


    アオキラン。1週間ほど遅く、花はしおれかけている。


    エクステンションを装着して接写。

 ひとつめの課題、アオキランは登山道脇で容易に発見することができた。森の色に同化していてわかりにくいが、先頭を歩いていたみちほさんがさっそく見つけてくれた。一株見つければまわりにもきっとあるはず、と、登山道を少し外れて周辺を探すと固まってどっさり咲いている株を発見した。こちらはまだ生き生きしている。


    アオキランの群生株。写真で数えると、計11本。ちょうど朝日が当たったところで撮影。


    角度を変えて同上の群生株。

 このランは苔の生えたしっとりした環境では無くて、ツガの葉が落ちたやや乾燥した場所を好んで咲くようだ。同じような環境の森の中に入って見るとたくさん発見できたが、いずれも既に時期が遅く枯れ始めていた。それでも、この稀少なランを存分に楽しむことができた。


    別の場所で見つけたアオキラン。周辺にも散在していたが、全て枯れ始めていた。


    群生株


    これは比較的新鮮な株。


    アオキラン接写

 登山道を進み、もうひとつの課題、トラキチランを探しに行く。こちらのほうが数が少なく、図鑑や検索したブログの写真を見ると苔の生えたやや湿った場所を好むようだ。花見隊隊員が見つけたのは登山道沿い、だがもう10日も前のことなのでおそらくその場所には残っていないだろう。登山道沿い、林の中の斜面と、手分けしてツガの森の中を探す。


    登山道脇に咲いていたノコンギク。


    ミソガワソウの群落。


    こんなツガ林の中をうろうろ。しかし探し物は見つからない。


    登山道沿いも念入りに探す。


    ???


    これはサラシナショウマの実か?

 標高2200mあたりまで高度を上げて探したが、2つ目の課題、トラキチランはとうとう発見できなかった。このメンバーで見つけられないのではいたしかたない。この課題は来年に持ち越しとなる。

 広河原発3時のバスで芦安に戻る。いつもならば甲府駅前で食事会となるのだが、本日、翌日の午前と予定が入っており、今回は食事会無しで芦安解散となった。花の季節はもう終わりとなり、これからは紅葉のシーズンとなる。御坂山系から見る紅葉と富士山はなかなか美しいので、機会があればまた集結したいと思う。


 芦安の臨時駐車場に戻ってびっくり!係員に誘導されて止めた場所だというのに、駐車禁止の張り紙が車のフロントガラスに張られていた。他の車にも皆張られている。これはいったいどういうことなのか??団地の許可を得ていないということなのか?誘導された通りに車を止めてこんな張り紙をされるのはおかしいのではないか?広河原のバス案内と切符売り場の誘導の悪さといい、この駐車場の張り紙といい、山梨県側からの南アルプス入山は不愉快なことが多い。伊那側や北アルプスの対応を見習ってほしいものだ。


    係員の誘導に従って駐車したのに、この張り紙はないだろう!!

源頭に咲くイワシャジン 再び毛無山塊の沢へ  平成25年9月23日

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 スルガジョウロウホトトギスを見に行った時に、ガイドしてくださったK田さんから毛無山塊に咲く珍しい黄色い花の情報をいただいた。支脈の沢を登って行くとあるらしく、イワシャジンもたくさん咲いていると伺った。時期的にそろそろ咲き始めた頃だろう。まだ慣れない沢登りだが、行ってみることにした。

 午前中の仕事を片付けて毛無山の駐車場から出発したのは12時近くになってしまう。沢沿いの道を進み、前回まだ蕾だったスルガジョウロウホトトギスの群生地に下降してみる。見頃は若干過ぎているが、立派に花を着けてくれた。

    三たび毛無山の沢を登る。


    この日は水が澄んでいて沢の流れが美しい。


    スルガジョウロウホトトギス群生地


    立派に花を着けてくれました。


    下から見上げるスルガジョウロウホトトギス

 目指す沢はさらに上流の支脈だ。ほとんど枯れた沢だと思っていたが、入って見ると水量はさほど多くは無いが水が流れていた。


    枯れた沢と思っていたが水が流れている。


    ゴロゴロの石の上をひたすら遡上する。

 沢幅が次第に狭くなり、傾斜が増してきたところで小さな滝が何本か現れた。水量は少ないので靴を少し濡らす程度で遡上していったが、遂に、滝壺に入らなければ私の技術では遡上出来ない滝に出会ってしまう。


    このくらいの滝は難無く登れる。


    さらに谷が狭くなり、かなり奥までやって来たという雰囲気。


    そして遂に・・・この滝は滝壺に入らなければ登れない。

 両脇が崖になっているが、取り着き易そうな左側の崖に取り着いた。高さは4mほどだ。ところが、この崖は岩がもろく、手を掛けるとガラガラと崩れ落ちてしまう。崖の上の木の根っこまでなんとか手が届いたが、その先の斜面の傾斜を見て、これは登れないと判断した。しかし、今度は下りるのが大変だ。足場も手を掛けるところも岩がもろくて、いつ崩れてもおかしくない場所だ。2m滑り落ちるのを覚悟して下降し、なんとか沢まで下りた。

 あきらめて下山、も考えたが、時間はまだ2時だ。100mほど下ると左岸の尾根筋に取り付けそうなところがあったので、今度は尾根に取り付いて登る。こちらは道こそ無いが炭焼き釜の跡が点在していて登り易い。沢音を左手に聞きながら登って行くと沢に下りられる場所に出たので、再び沢筋に戻って遡上する。既に水は少量しか流れておらず、もう滝は無い。やがて水は枯れて石だけの沢になる。源頭まで登り詰めたようだ。

    尾根筋にあった炭焼き釜の跡


    沢に下降するところにも炭焼き釜の跡


    水はだいぶ細くなり、もう滝は無い。


    水は無くなり、源頭に至る。

 標高は1500mほどまで上がった。苔の生えた石の上を探すがお目当ての花は見つからない。右岸の切り立った岩に近付いてみると、そこにはイワシャジンが涼しげにぶら下がっていた。なんとかイワシャジンには出会うことができた。

    沢の源頭に咲いたイワシャジン


    岩肌に咲いたイワシャジン


    源頭の岩肌に咲くイワシャジン


    岩にぶら下がるイワシャジン


    もう少し登るとこのガレた沢も終わりそうだ。

 時間は3時半、もうそろそろ下山開始しなければ。左岸の尾根に取り付いてそこを下りて行くと・・・その先は沢に切り立った急傾斜の尾根になっていた。こんな時に限ってザイルを持っていない。いや、ザイルがあっても距離が長く、下降は難しいかもしれない。隣の尾根に取り付くことも考えたが、もしそちらも切り立っていたら・・・時間が時間だけにここで判断を誤ると山の中でビバークということもあり得る。ここは尾根を戻って沢筋に下りることにした。

 元の沢に戻ったのは午後4時。ゴロゴロの岩の上を黙々と下降し、左岸の尾根の傾斜が緩くなったところで尾根に取り付く。炭焼き釜の跡地を通過し、あとは尾根を下りて登山道に下りた。なんとかヘッドライト点灯しないで済む時間の5時半、駐車場に到着した。

    夕暮れ迫る富士山。下山途中の登山道から。


 沢を間違えたのか、それとも高度が足りなかったか、お目当ての花には出会えなかった。その花の名前はクサノオウバノギク。絶滅危惧種の花ではあるが、それほど派手な花では無い。もう1ヶ所、歩き易い場所の情報もいただいているので、今度はそちらを探してみたいと思う。

紅葉の見頃を迎えた御坂山塊 節刀ヶ岳  平成25年10月27日

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 花見隊が集結した先週、予定では節刀ヶ岳に行くはずだったが、天候不良のために別の山になった。その時は初冠雪で6合目あたりまで雪化粧した富士山だったが、翌日の雨ですっかり雪は融けてしまい、また夏の富士山に戻ってしまった。昨年は紅葉のシーズンには綺麗に雪化粧していた富士山だったが、今年は白い富士山と山の紅葉は一緒には見られなそうな気がする。

 さて、先日の台風27号で節刀ヶ岳のドウダンツツジは相当のダメージを受けたと予想されるが、ドウダンツツジを前景に十二ヶ岳越しに見る富士山はこの季節には是非とも見ておきたい景色である。何度も登っている節刀ヶ岳だが、何度登ってもこの山の景色に飽きることは無い。短絡ルートならば1時間半ほどで山頂到着できるが、紅葉を楽しむために今回は芦川から大石峠を越えてのあまり人が歩いていないコースを行くことにした。このコースは登山を始めたばかりの8年前に一度歩いただけで、久しぶりに歩くルートである。

 例の如く目を覚ませばもう日は昇り、明るくなっていた。時間は7時、またもや寝過ごす。9時45分に芦川の登山口から入山する。道標には大石峠まで2時間と書かれているが、確かそんなにはかからなかった記憶がある。林道を進み、台風で増水した沢を渡り、林道終点まで30分で到着した。ここからが登山道になるが、以前に来た時よりはルートが荒れているように感じた。渡渉点にかかっている丸太橋は朽ちていて使えないが、小さな沢なので靴を濡らさずに渡れる。そしてあとは尾根に取り付いてひたすら登るだけだ。この道はうまくジグザグにつけられていて登り易い。11時半、大石峠に到着する。台風が過ぎた秋空は青く澄んで、この時間でも富士山がすっきりと見えている。

    色付いた芦川の山。大石峠の駐車場から釈迦ヶ岳側を眺める。


    登山道入り口


    増水した沢を渡る。水が少ない時はセメントのところを渡れるが、今回は少し上で石を飛んで渡る。


    しばらくは林道歩き。RV車ならば登れないことも無いが・・・あまりおすすめできる道では無い。


    林道終点。ここから登山道だが、この先が若干荒れていて道がわかりにくい。


    駐車場に止まっていたのは私の車だけ。おそらくはまだ誰も歩いていない落葉の道。


    大石峠


    大石峠から見る富士山


    好天にリンドウも笑っているようだ。

 大石峠から先は小さなピークを2〜3個越えて稜線を進む。真面目に登山道を進む・・・わけもなく、またしても登山道の右斜面、左斜面と覗き込みながら歩く。見ておきたかったのは北側の沢を登ってこの稜線にたどり着けるような場所があるかどうかだったのだが、どうやら登り着けそうな緩い斜面があった。(登るかどうかは全く未定。)そしてもう1本、十二ヶ岳側の短縮ルートに下りられそうなテープが付いている尾根道を発見した。おそらくは林業作業の人が使っている道(といっても踏み跡はほとんど無くテープのみ点々と付いている)だろう。きかいがあったら下りてみたいと思う。
 あちらこちらフラフラしながらも、節刀ヶ岳山頂には午後1時に到着した。予想通り、ドウダンツツジの紅葉には1〜2週間遅く、台風で大部分葉が散ってしまっていた。

    節刀ヶ岳の分岐点。ここから5分ほどで山頂。


    散り残っていた山頂直下のドウダンツツジ


    節刀ヶ岳山頂。7度目くらいだろうか?何度来ても飽きることの無い景色。


    山頂の紅葉と十二ヶ岳越しの富士山


    別の場所から。前景のドウダンツツジが真っ赤に紅葉している景色には未だお目にかかっていない。


    紅葉のドウダンツツジと富士山

 1時間ほど山頂で過ごし、午後2時に下山開始する。今度は真面目に登山道を歩き、50分ほどで大石峠に到着。10分休憩して、逆光の紅葉の景色を楽しみつつ、午後4時、芦川の大石峠登山口の駐車場に到着した。

    大石峠への稜線から見るカラマツと富士山。カラマツの紅葉には若干早いが、台風で葉がだいぶ吹き飛んでしまっている。


    再び大石峠の富士山。この日は1日中すっきりとした富士山が見えていた。


    まだ午後3時を過ぎたばかりだというのに陽の位置は低い。


    色付く御坂の森


 この季節に2つ続けて台風に見舞われるとはかなり異常な気象だが、温暖化が進む中でこれからはこのような天候が毎年続くのかもしれない。災害が怖いのはもちろんだが、環境が変わって稀少な花が減少してしまうのも悲しい。温暖化を止める有効な手段があるのか、世界レベルで真剣に取り組まなければならない時期にあると思う。

再冠雪の富士山 新道峠  平成25年10月30日

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 10月19日に一度は冠雪した富士山だったが、翌日の雨ですっかり雪が解けてしまい夏富士の後戻りしてしまった。そして10月29日、再び雨が降った。この時、甲府市内の夕方の温度は12℃まで下がっていた。これならば富士山は雪かもしれない・・・。

 翌朝さっそく三つ峠のライブカメラを見ると、予想通り6合目から上あたりが雪化粧していた。この日は午前予定していた業務が中止となり、夕方の出勤でなんとかなりそうだ。富士山の絶好の展望台、新道峠に再冠雪の富士山を見に行ってみる。

 朝7時のライブカメラではすっきりした富士山が見えていたが、自宅を出発した8時半ごろにはもう空は雲でおおわれていた。右左口トンネルを抜けて芦川の谷に入ると、そこは青空が見えていた。数日前よりもさらに紅葉が進んで、山の上は見事な紅葉の景色が広がっている。10時、、新道峠駐車場に到着すると、車は1台のみだ。カメラマンはもう撮り終えた後だろう。向かいに見える釈迦ヶ岳の紅葉が素晴らしい。中腹でそちら側の撮影を行った後、新道峠の展望台に向かう。


    新道峠の登山口。夏にはこの道の周辺にレンゲショウマが咲く。


    新道峠駐車場と向かいに見える釈迦ヶ岳


    見事な紅葉となった釈迦ヶ岳

 展望台までは15分ほどで到着する。しかし・・・時既に遅く、富士山は雲隠れしている。だが、雲間から出てくれそうに見える。シンボルツリーの前で三脚を構え、じっと待つこと30分ほど、ようやく雲間から再冠雪の富士山が姿を現す。


    新道峠展望台(第一展望台と書かれている)から見下ろす河口湖


    じっと待っていると・・・雲間から富士山が姿を現し出す。


    山頂が姿を現す


    雲湧く再冠雪の富士山


    姿を現したのは10分ほど。そしてまた雲の中。

 予定では黒岳まで登るつもりだったが、富士山はあまり期待できなそうだ。ならば紅葉の森を楽しむためにあちら側の山へ。途中から見た釈迦ヶ岳の紅葉が素晴らしいので、そちらに登ってみることにする。

紅葉真っ盛り 御坂山系釈迦ヶ岳  平成25年10月30日

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 3日前よりもさらに紅葉がすすみ、御坂山系の山は紅葉真っ盛りとなった。新道峠から見る釈迦ヶ岳山頂から山腹にかけての紅葉は目を見張るような美しさ、ここ数年で一番良いのではないだろうか。尾根には雲が巻いてしまったが、紅葉を楽しむならば少しくらいの霧ならば問題無い。すずらんの森駐車場に車を止めて、通い慣れた釈迦ヶ岳に向かう。


    林道の紅葉


    山腹の紅葉


    尾根道


    落葉と紅葉


    色付く森


    見上げる紅葉と青空


    紅葉の隙間に垣間見る釈迦ヶ岳


    紅葉の向こうに釈迦ヶ岳迫る


    山頂近くの紅葉

 歩き始めた頃には稜線のあたりに雲が巻いていたのだが、稜線に着いた頃には雲が晴れ青空が見えるようになっていた。モミジやカエデが多いこの稜線は赤や黄色の紅葉、黄葉が素晴らしい。存分に撮影を楽しみつつ、1時間45分ほどかけて山頂に到着した。時間は午後1時半、あまり期待していなかった富士山だが、雪を纏った山腹が姿を現していた。見下げる芦川の谷の紅葉が素晴らしい。待っていれば富士山頂も見えてきそうだ。そしてまた、昼食をとりながらひたすら待つ。そして遂に、再冠雪の富士山が姿を現す。


    釈迦ヶ岳山頂。富士山頂はまだ雲隠れ。


    ツツジの紅葉


    見下ろす芦川の谷の紅葉。今年は私の知る限りではいちばん美しいと思う。


    山頂の夫婦地蔵と紅葉の黒岳


    夫婦地蔵と再冠雪の富士山


    同上


    ツツジの紅葉と富士山


    向こう側の尾根はこの季節陽が当たりにくく、折角の紅葉が映えない。


    釈迦ヶ岳山腹の紅葉と芦川の谷


    尾根の紅葉と御坂の山々。右から黒岳、三つ峠、本社ヶ丸。

 結局1時間半も釈迦ヶ岳山頂で過ごしてしまう。今年の紅葉は素晴らしく、もう少し居たい気分だったが、夕方5時までには職場に戻りたい。午後3時下山開始し、1時間弱で駐車場に到着。

 ここ数年来で最も美しい今年の御坂山塊の紅葉、おそらくは私が登山を始めてからの8年間でいちばん良いのではないかと思う。2週間ほどは楽しめるだろう。その後にはブナの紅葉、カラマツの黄葉とまだまだ楽しみが続く。おすすめの御坂山塊。

紅葉の丹沢 檜洞丸から蛭ヶ岳周回(1日目)  平成25年11月2日

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 近そうだがなかなか行けない山、丹沢山系。早起きが苦手な私にとって、早朝から日帰りで丹沢の山に登ることはとてつもなく難しい。そこで、神ノ川から入山して1泊で檜洞丸から蛭ヶ岳を周回する計画を立てた。業務が心配だったが、1日(金)までにはなんとかなりそうだったので、入山2日前の31日に青ヶ岳山荘の宿泊予約をとった。

 何故に檜洞丸か?蛭ヶ岳まで行くことも可能だが、11月2日は檜洞丸山頂で夕暮れのダイヤモンド富士が見られる日だった。この山の界隈から見る夕暮れダイヤは以前から狙ってはいたが、なかなか日程があわずに来られないままになっていた。天気予報では晴れだったが、なにせ海からの湿った風で雲が巻き易い丹沢の山、果たして夕暮れダイヤが見られるのかどうか?

 山梨病院6時集合し、Uさんと2人で出発する。中央道を藤野インターで降りて神ノ川に着いたのは8時ごろ、以外と早く到着した。ここには綺麗な公共トイレが設置してあるが、神ノ川ヒュッテの駐車場は有料で、皆ゲート前の路上に車を止めている。既に7〜8台の車が止まっていたが、その列の間に止めさせてもらう。この神ノ川からは犬越路に至る東海自然歩道、ヤタ尾根を経て檜洞丸手前の笹ヶ峰に至る道、そして反対側の袖平山、姫次を経て蛭ヶ岳に至る3本の登山道が分かれている。今回は東海自然歩道を通って犬越路を経て檜洞丸に至る道を行く。

    神ノ川ヒュッテ。この横を通って登山道に入る。


    この沢沿いに道が通っている。橋を渡って右側(左岸)を登る。


    再び橋を渡って対岸へ。ここから尾根に取り付く急登となる。


    崩落地があり、ルートが変更されているらしい。しかし、この先にも道標とテープがたくさん付いている。


    枯れた沢を登る。


    もうすぐ犬越路。紅葉の登山道。

 ヤタ尾根経由よりも1時間ほど余計に時間がかかる犬越路ルートを選んだのは、新しくなったという避難小屋がどんなものか見たかったこと、それと大室山への縦走路の様子を見ておきたかったことがある。話に聞いていた通り、犬越路避難小屋は新しくて綺麗で、トイレもあり、小屋の中はピカピカに掃除されていた。水場が無いのが難点だが、快適に過ごせそうな小屋だった。

    犬越路。向こうに見えるのが避難小屋。


    犬越路避難小屋の中。ピカピカに掃除されている。熊避けのバクチクまで置いてあった。

 10時10分犬越路到着し、ここで30分ほど大休憩。昼食には早いが、荷物軽量化(といっても小屋泊りなのでさほど重くはないが)ここで持ってきたコンビニの弁当を片付ける。予想していた通り、山の上は雲で覆われていて眺望が悪く、富士山は全く見えそうに無い。谷間の紅葉が見事だが、陽が射し込まず写真に撮るといまいちの色調になってしまう。

    これから進む檜洞丸への尾根道。雲がかかっている。


    谷間と山腹の紅葉が見事だが、陽が射し込まず色が生えない。


    丹沢らしいブナの森


    散り残っていたブナの紅葉


    綺麗な紫色の花一輪。ミヤマシャジンか?


    赤い実の成る木。何の木??

 丹沢には綺麗なブナの森が広がるが、先日の台風の影響か、残念ながら稜線のブナの葉はほとんど散ってしまっていた。道が良く整備されているというイメージの強い丹沢だが、このルートは何本か長い鎖のある崖登りのようなところがあった。大コウゲというピークの手前はかなりの急登になっている。そして、その周辺には5枚の葉が付いたツツジが紅葉しており、これこそがこのあたりの名物、シロヤシオツツジだろう。

    鎖場。ハシゴ場と混ざって何本か連なってある。


    大コウゲ手前の岩と紅葉


    大コウゲ山頂付近のブナの倒木。気象の厳しさがうかがえる。


    霧につつまれたブナ林


    ヤタ尾根分岐。向こうに立つ小屋は登山道整備の方のための小屋。


    笹ヶ峰山頂の巨木


    鎖場とゴヨウツツジ(シロヤシオツツジ)の紅葉

 笹ヶ峰を過ぎたところで、木道の階段の工事が行われていた。それも、一人で黙々と作業をしている。その先には新しい階段が伸びており、大変な労力だったことだろう。頭が下がり、「ありがとうございます」とお礼を言って通過させてもらう。相変わらず雲が巻き、当たりは真っ白で何も眺望が利かない。富士山はどこにあるのだろうか?午後2時、檜洞丸山頂に到着する。しばらく山頂をうろうろしていたが、晴れてきそうもないので山頂直下にある宿泊地青ヶ岳山荘に入って休むことにする。

    山頂に続く木道の階段。まだ整備されたばかり。


    檜洞丸山頂で記念撮影。霧で霞む。


    宿泊地青ヶ岳山荘。

 
 青ヶ岳山荘は小屋の中に掘りゴタツがあるファミリアルな小屋だった。おかみさんが一人で切り盛りされているが、いろいろと面倒を見てくれる60才くらいの男性の方がいて、小屋のお手伝いさんかと思ったら常連のお客さんだった。10年間、毎月のようにこの小屋に来られているそうで、丹沢の山のことを知り尽くしていた。ルートの事、水場の事、撮影場所の事など、この方からいろいろとアドバイスをいただき、たいへん参考になった。そしてダイヤモンド富士になる夕方4時過ぎ、一緒に山頂の向こう側の展望地に行き、三脚を並べてダイヤモンド富士を待ったが、雲を透かして一瞬太陽が姿を現したのみで富士山は姿を現すこと無く日が暮れてしまう。

    山に雲が巻き、富士山は雲の中。下界では青空が見えているのかもしれない。


 小屋に戻って夕食となる。配膳や片付けは少しだけ手伝わせていただいた。そしてコタツで暖をとりながら宿泊客の人たちと山談義、花談義が始まる。沢登りや冬山を普通にこなすハイレベルのお客さんもいた。いろいろ教えていただいた男性は、私と同業の医療関係者、薬剤師さんと聞き、たいへん驚いた。

 翌朝は4時前に起床して再び山頂から富士山、そしてオリオン座と冬の大三角形を狙ってみたいと思う。天気予報が変わり、明日は晴れそうだ。期待して8時に寝る。

檜洞丸の夜明け 丹沢2日目  平成25年11月3日

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 檜洞丸山頂直下の青ヶ岳山荘に宿泊して初めて知ったのだが、この「青ヶ岳」という山の名前は檜洞丸の別名で、山北町側では檜洞丸、道志村側では青ヶ岳と呼んでいたのだそうだ。山頂の看板には両方の名前が書かれていた。青ヶ岳山荘の建物が青いのはそれを意識したわけでは無くて偶然だそうだ。


    山頂に立つ道標には檜洞丸・青ヶ岳2つの山名が書かれている。


 さて、前日の夕暮れダイヤモンド富士は不発に終わってしまった。天気予報では最初は本日のほうが悪いという予報だったが、前日予報が変わって本日は晴れの予報となった。予定通り未明3時半ごろに起きて小屋の外に出てみると、空は雲が架かっているらしく、星は全く見えない。しかし、眼下に街灯りが見えていた。ひょっとしたら富士山が見えているかもしれない。淡い期待を抱きつつ、山頂に登って空を見上げると、頭の上に雲を透かして明るい星が見え始めた。光度、位置からして木星だろう。一瞬だけオリオン座と冬の大三角形が見えたが、2カット撮ったのみでその後は姿を現さなかった。

    青ヶ岳山荘前から見る山北町側の夜景


    こちらは山頂から見る道志側の夜景


    妖艶な木の枝が伸びる


    頭上に輝いた木星。右下に見えるのはおそらくおおいぬ座シリウス


    一瞬だけ姿を現したオリオン座と冬の大三角形。木の中にオリオン座が隠れている。

 山頂向こう側の富士山展望地に行ってみると、うっすらと三角錐が見える。撮影してみると、やはり富士山だ。空には雲がかかって星は輝かないが、富士山は全容を現している。

    向こうにうっすらと見える三角錐、撮影してみると富士山。


    前日ダイヤモンド富士を狙った場所から見る富士山


    左裾野に見えるのは御殿場の明り。愛鷹山の山容が格好良い。


    富士山の真下に広がる街灯りは山中湖。湖面が少しだけ見えている。

 5時半ごろになると肉眼でもはっきりと富士山が見えるようになってきた。その頃に小屋番と間違えた男性の方とUさんがやって来て、3人並んで富士山を撮影する。朝陽が当たって富士山が輝く瞬間を期待していたのだが、東の空を雲がおおい、陽は射し込んでくれなかった。6時、カメラ撤収し小屋に戻る。

    山並の彼方の富士山


    同上、ややズームで。


    晩秋の富士


    うっすらと朝焼けの東の空


    山頂のブナ巨木


 青ヶ岳山荘に戻ると、既に宿泊客の大部分の方は出発した後だった。蛭ヶ岳山頂を越えて丹沢山方面に行かれる方が多いようで、かなりのロングコースとなる。我々も蛭ヶ岳を越えて姫次、袖平山から神ノ川に下りるコースなので、結構長い。予想していたよりも天気は良さそうだ。朝食をとって出発する。

紅葉の丹沢 檜洞丸から蛭ヶ岳へ(2日目)  平成25年11月3日

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 未明4時から檜洞丸山頂に行き、朝の6時を回る時間まで富士山に朝日が射し込むのを待ったが、残念ながら陽は差さなかった。6時15分ごろに青ヶ岳山荘に戻ると、宿泊客の大部分はもう出発した後だった。パンで軽く朝食を済ませ出発する。本日は蛭ヶ岳を越えて姫次、袖平山を経て神ノ川に下山するややロングコースだ。

 蛭ヶ岳はすぐそこに見えるのだが、急下りの後にいくつかピークを越えて行かなければならない。距離にして4.6?、コースタイム3時間ほどだ。さほどたいしたことはないコース・・・のはずだった。


    青ヶ岳山荘から見る蛭ヶ岳(左)


    階段激下り


    紅葉の向こうに見える蛭ヶ岳


    下ってまた階段の登り


    前方に立ちはだかるのは臼ヶ岳(ぶながたけ)

 丹沢の道は良く整備されていて、道標がしっかりと付いており道も明瞭、急傾斜には階段やハシゴ、鎖がしっかりと備わっている。しかし、このコースの良さがかえって仇になってしまったようで、歩幅を狭くしてピッチを落として歩く私にはこの階段のステップ幅は緩傾斜、急傾斜にかかわらず相当な足への負担となり、寝不足も相まって臼ヶ岳への登りの階段ですっかり体力を消耗してしまった。それでもなお、折角の紅葉と富士山が姿を現しているこの素晴らしい景色、三脚を出して撮影せずにはいられない。


    臼ヶ岳中腹から見る富士山と檜洞丸


    臼ヶ岳山頂への階段。傾斜は緩いが体力は相当消耗した。


    臼ヶ岳山頂の道標。実際にはここを右側に少し行ったところのほうが高く、そちらで写真を撮る。


    臼ヶ岳山頂から見る檜洞丸の山並と富士山


    臼ヶ岳から見る富士山


    これから登る蛭ヶ岳

 9時、臼ヶ岳を出発。この先が蛭ヶ岳への急登となる。鎖が連続する急斜面だ。階段で体力消耗し、いつになく息があがる。しかし、高度を増すごとに位置を変えて檜洞丸の上に並ぶ富士山の眺望は素晴らしく、振り返っては写真を撮りつつ山頂を目指す。傾斜が緩くなったところで最後の階段が待っていた。またまた息が上がってヘトヘトになり、10時40分、コースタイムより1時間ほど遅れてようやく蛭ヶ岳山頂に到着した。


    眼前に迫る蛭ヶ岳


    鎖場


    鎖場の連続。


    振り返って見る紅葉の稜線と富士山


    檜洞丸と並ぶ富士山


    見上げる紅葉の蛭ヶ岳


    檜洞丸と富士山


    神ノ川側の紅葉の谷。真ん中に見える山は大室山。


    ユーシン側の谷の紅葉。向こうにうっすらと見えるのは箱根の山々。


    山頂裏側から見る檜洞丸の上に立つ富士山

 山頂はまずまずの混雑だったが、休憩テーブルを確保でき、昼食となる。水5リットルを担ぎ上げてくれたUさんに水を分けてもらい、ラーメンを作って食べる。そして、山頂の神奈川県最高峰の標柱を挟んで、富士山をバックに記念撮影する。


    神奈川県最高峰で記念撮影

 11時半、蛭ヶ岳山頂を出発し、姫次に向かう。5年ほど前にもこのルートを歩いているが、その時は姫次側の階段は壊れていて歩きにくい個所がいくつかあった記憶がある。しかし今回はすっかり綺麗に修理されていて、延々と階段道が続く。相当な費用をかけて造ったであろうこの階段と木道、登山者の安全を確保することもあるが、もうひとつは登山によって道が荒れて植生が変化してしまうことを防ぐ目的があることを途中の看板に書かれていた注意書きで知った。確かにこの方法ならば道がえぐれて幅が広がってしまうことや、側副ルートが出来て山が荒れてしまうことは防ぐことができる。階段登りは大変だが、山を守り自然を守るためには辛抱しなければならない。それよりも、自分自身の体力をつけなければならないことを痛感した。


    姫次側の階段道


    樹林帯の中も階段が続く。


    途中から見る檜洞丸と富士山。今度は檜洞丸の右手に富士山。


    見上げるモミジとカラマツの紅葉。


    原小屋平。前回は雷で停滞しここまでしか来れず、ここでテント泊ビバーク。向こうに下りると水場がある。


    姫次手前から見下ろす谷の紅葉と富士山。犬越路の向こうに富士山が見える。


    姫次。休憩ベンチがあり、カラマツの紅葉が美しい。


    姫次から見る富士山

 午後1時20分、姫次到着。ベンチはいっぱいなので写真だけ撮って袖平山に向かう。神ノ川側に下りる人は少なく、袖平山の休憩ベンチはおそらく独占できる。30分ほどで袖平山に到着し、やはり誰もいない。休憩後、いよいよ最後の神ノ川への下りとなる。ところどころ急傾斜の通過しにくい場所があった記憶がある。


    休憩ベンチのある袖平山。山頂はカラマツ林を少し登ったところだが、まだ行ったことは無い。


    袖平山裏側から見る紅葉の尾根と富士山。これから下山する尾根で、先に見えるピークが風巻きの頭。


    風巻きの頭の休憩所。ここへの登り返しがちょっときつい。


    風巻きの頭から急傾斜500mを下りると橋に出る。これを渡って林道に至る。


    林道にようやく到着。正面に見えるのが風巻きの頭。

 鎖の付いた崖のような急傾斜を下った記憶があったが、ルートが変わったのか、傾斜がきついところはあるものの、ロープや鎖場は無く普通の道だった。樹林帯の中の単調な道、紅葉は美しかったが他にあまり見るものは無かった。4時15分、林道に到着、ヘッドライト点灯ギリギリの4時40分、駐車場に到着した。かなり疲れたが、1日中富士山を見ながら歩くことができた、ラッキーな1日だった。


 道が良く整備されているというイメージの強い丹沢、まさに良く整備されたルートだったが、思ったよりもアップダウンが激しく、鎖場やハシゴ場が多数あった。階段は疲れるが、何よりも自分自身の体力の無さを痛感した。

富士山頂に沈む地球照の月 石割山  平成25年11月6日

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 月齢3の月が南西の空に沈むこの日、石割山に登るとちょうど富士山頂の右隅に月が沈むはずだ。仕事が早く終われば行きたいと思っていたところ、午後1時には片付いた。Uさんに電話すると文化洞トンネルから入山して十二ヶ岳と鬼ヶ岳を越え、もうすぐ根場に下山するところだそうだ。バスで文化洞トンネルまで戻る予定だそうだが、石割山に誘うと行くとの事なので、根場の駐車場でUさんを拾って石割山に行くことにした。石割神社からでもなんとか間に合いそうな時間ではあるが、日没に間に合わせるために最短距離の二十曲峠から登ることにする。こちらからならば山頂まで1時間とかからない。

 ところが、二十曲峠の林道を進むと、2.6?手前で工事のため通行止めの看板が立っていた。住居のある方のみ通行可で観光や写真目的では通行できない。ならば・・・30分ほど余計に時間がかかってしまうが、林道を歩くことにする。午後3時40分、出発。黙々と林道を歩き、4時20分に二十曲峠に到着した。ちょうど富士山の裾に陽が沈んで行くところだった。

    通行止めになっている林道


    もうすぐ二十曲峠。影が長く伸びる。


    二十曲峠到着。富士の裾野に夕陽が沈んで行く。


    同上


    日没後の夕焼け

 二十曲峠は写真家たちの大勢集う場所で、バイオトイレが新しく設置されたばかりだ。水場もあったのだが、現在水は止められていた。既に日が沈んでしまったので、30分もすれば月が輝き出す。トイレ休憩後、急いで山頂に向かう。一度休憩を入れたが40分ほどで山頂に到着した。時間は5時10分。まだ夕焼けの空が残っている。そして、雲の切れ間から三日月が姿を現す。

    向こう側に見える鉄塔が山頂。もう少し。


    石割山から見る夕暮れの富士山。雲間から月と金星が姿を現す。


    その後富士山は雲に巻かれて姿を消してしまう。

 肉眼で見ると三日月だが、カメラで捉えるとある一時だけ月の欠けている部分が白く写ることがある。これは地球照という現象で、地球の反射で照らされた月の欠けた部分がカメラでは写し出される現象である。露出を明るくするとこの地球照の部分も白くなってしまうため、富士山と一緒に撮れるのは夕暮れのほんの30分ほどである。雲隠れしてしまった富士山だが、再び姿を現すのを信じてシャッターを切り続ける。

    雲間から再び姿を現した富士山


    そして再び雲の中。露出オーバーだと地球照は白くなってしまう。


    富士に輝く月と金星

 富士山頂付近に月が近付いたところでレンズを70−300?ズームレンズに変えて山頂の部分だけを狙う。しかしこのレンズは性能が悪く、月の反射のゴーストが出てしまう。こんな時は月の明るい部分をど真ん中に持ってくると比較的抑制できる。

    ズームレンズで捉えた月光照の月と富士山。しかし、ゴーストが出てしまっている。


    月を真ん中の構図に、さらにうっすら雲がかかってゴーストが抑制された。


    富士山頂に沈みかけた月


    半分ほど沈む


    地球照の部分だけ見える


    月が沈んだ後、雲が輝く。

 頭上には白鳥座と夏の大三角形、それを貫く天の川が昇っていた。富士山の左側、金星の少し左あたりを夏の天の川が流れているはずなので狙ったが、霞と街灯りで天の川は写らなかった。これにて本日は終了、ヘッドライト点灯して夜道を下山した。


    雲巻く富士山。天の川は写らず。飛行機が頻繁に飛び交う。


    雲巻く富士山と金星


 地球照の月を撮るには月齢3の月(三日月)が最も適していると思うが、季節によって、また月の軌道によって日没時間と月の見え方が違ってくるため、富士山と地球照の月を同時に写し込むには綿密な計算が必要である。今回は若干月没が遅いだろうと思っていたのだが予想通り、富士山は暗くなってしまった。その差は約15分。なかなか思い通りには撮らせてくれない。


黄葉のカラマツと富士山 八丁峠から曲岳へ   平成25年11月8日

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 甲府市の紅葉はあっという間に高度を下げ、要害山や興因寺山、湯村山などの低山が色付いている。おそらくは1500mを越える山ではもう終わっている頃だろう。そろそろカラマツの黄葉が見頃を迎えているかもしれない。比較的空気が澄んで富士山が姿を現している午後、甲府市北部の山に行ってみた。時間的に最短で行ける場所、八丁峠北側の短絡ルートを使って曲岳を目指す。この山の山頂から見る太刀岡山と富士山は絶景で、しかも西向きの山並なので午後のほうが光の角度が良い。

 途中の観音峠には2〜3台車が止まっていたが、八丁峠登山口には車は無かった。おそらく山頂独占できるだろう。超人気の茅ヶ岳の隣山だというのに、曲岳・黒富士・升形山の山塊は静かである。午後2時、出発。テープに従って登り、10分少々で八丁峠に到着する。


    八丁峠短絡ルートの駐車場


    テープとペンキサインあり、道は明瞭。


    黒富士農園からの正規ルートだと1時間以上かかる八丁峠だが、短絡ルートだと15分ほどで到着できる。

 あとは小コブを2つ3つ越えて曲がり岳最後の急登を登れば、簡単に登り着くことができる。2時50分山頂到着。急いだわけでもないが、1時間かからずに到着した。


    山上はもう晩秋の気配。葉がほとんど散ってしまっている。


    迫る曲岳


    稜線のカラマツはもう散ってしまっている。


    曲岳最後の登り、見上げるような急登。


    曲岳山頂

 山頂に立つ山梨百名山標柱は中央部で金具で接合されており、木にくくり付けられている。倒れたり、朽ちてしまっているのではないかといつも心配して登って来るのだが全く問題なし。歩いて来た稜線の広葉樹はもう散ってしまっていたが、裏側に見えるカラマツは見頃を迎えていて、黄色い絨毯のようになっていた。

    曲岳裏側に見えるカラマツの黄葉。遠く見える左側の平らな山は横尾山。右側の黒っぽい山は天狗山界隈(だと思う)。

 山頂直下に展望岩があり、ここからの景色がこの山のハイライトである。カラマツの黄葉と太刀岡山、その左上に見える富士山のバランスが絶妙だ。光が斜面を照らすのは午後なので、この山は午後のほうが良い。

    展望岩


    展望岩から見る景色。下に見えるのが黒富士農園。


    カラマツの黄葉、太刀岡山、そして富士山


    太刀岡山と富士山


    こちらは黒富士。この界隈はもうすっかり落葉している。


 黄葉には若干遅かったが、残っていたカラマツ黄葉越しの太刀岡山と富士山を眺めることができた。この界隈のカラマツ黄葉もあと1〜2週間ほどだろう。さて、明日は・・・。

黄葉の観音峠から金ヶ岳へ  平成25年11月9日

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 前日八丁峠短絡ルートから曲岳に登った際に、山頂裏側(金峰山側)のカラマツ黄葉が素晴らしかった。そこでこの日はこのカラマツ黄葉の眺めがいちばん楽しめそうなルート、観音峠から金ヶ岳南峰に至るルートを歩いてみることにした。紅葉ハイシーズンで大混雑する茅ヶ岳・金ヶ岳山塊にあって、このルートは地図上破線の急登ルートになっており、歩く人が少なく静かな山歩きが楽しめる。中腹にある船首岩という展望台は観音峠から奥秩父山塊に至る山並の紅葉を存分に楽しむことができる絶景地である。

 朝8時観音峠に車を止めてスタートする。止まっているのは私の車だけだった。天候は曇り、富士山の眺望は期待できなそうだ。電波塔の脇を通り抜け、鎖場を2本越えて岩を登ると、30分ほどで船首岩に到着する。

    観音峠から見上げる。正面はルート途中のピーク、金ヶ岳南峰はその右に平べったく見える山。左の木に隠れているのが茅ヶ岳。


    ルート途中にある首無し地蔵。本来の観音峠はここだったが、古(いにしえ)のルートは荒廃してしまっている。


    鎖場1。鎖が無くても登れるが、下りは使わないと下りにくい。


    鎖場2


    2本目の鎖を越えると南側の眺望が開ける。谷の紅葉と太刀岡山(左)、茅ヶ岳(右)。


    上に見える岩が船首岩。


    船首岩直下の登りはちょっと登りにくい。


    船首岩。成るほど、確かに船の舳先のようだ。向こうに見えるのは曲岳。

 船首岩はこのルート最高の展望地で、岩の上からの眺望も良いが足場が安定せず、その一段下にある岩の上のほうが安心して眺望を楽しめる。カラマツの紅葉が見頃を迎えており、金色の絨毯の頭だようだ。

    観音峠から奥秩父山塊側の紅葉。金色の絨毯。


    観音峠電波塔と金峰山


    こちらは南側の眺望。中央左寄りに霞んで見えているのが太刀岡山、その右上にうっすら富士山が見えていたのだが、写真では消えてしまった。


    見下ろすカラマツ紅葉


    瑞牆山と金峰山


    こちらは八ヶ岳

 この先は急傾斜と岩尾根が続く。ルートはしっかりしているが、やや歩きにくいところもある。さらに倒木で道がふさがれているところが1ヶ所あり、上側を巻いて通過する。

    残っていた紅葉


    奇妙な岩


    急登と鎖場


    さらに続く鎖場


    急登、足元注意


    見えてきた金ヶ岳


    こちらは茅ヶ岳。左側にうっすらと富士山。(トーンカーブを操作)


    倒木、この先も倒木数本あり、ルートが塞がれていた。上に巻く。

 金ヶ岳南峰への最後の急登を登り、茅ヶ岳からの道と合流する。数人の登山者がここで休憩していた。右に進んで金ヶ岳北峰に到着、時間は11時だった。4〜5人の登山者が休憩していた。ここで昼食をとり、ゆっくり休憩する。空はさらに雲が増えだしたが、その雲の中に一時だけ富士山が姿を現した。

    茅ヶ岳からの道と合流。


    金ヶ岳北峰到着。時間は11時。真面目に歩けばこれほど時間はかかりません。


    西側(明野側)の谷の紅葉。もう終焉。


    茅ヶ岳の上に一瞬の富士山。

 紅葉ハイシーズンの前にやっておきたかった茅ヶ岳標柱整備だったが、時期を逸してしまった。今回ニスや黒ペンキ、紙ヤスリなど道具はザックの中に詰め込んできた。しかし混雑するこのシーズンだけに、山頂で標柱をいじっているほどの余裕があるのかどうか・・・。南峰から茅ヶ岳に向かう下りで20人ほどの団体とすれ違った。茅ヶ岳の混雑具合を聞くと、食事休憩するスペースが無くてこちらに移動してきたそうだ。そんな中でスプレーニスを散布したらそれこそ顰蹙(ひんしゅく)ものである。あきらめて南峰に戻り下山する。

 帰りは旧観音峠のお地蔵さんのところから東側にいにしえの道を辿って下りてみた。(西側は以前に下りたことがある。林道のかなり手前に下り付いてテクテクと長い林道を歩いた記憶がある。)なんとなく道っぽいのがあり、やがて明瞭な道に出たと思ったらその道はすぐに笹の藪の中に消えてしまった。適当に斜面を下りるとまた笹籔、しかし、その中を縫うように細い道が通っており、背丈ほどの笹をかき分けながらその道を辿ると・・・ポンと林道に飛び出た。10分ほど林道を歩いて観音峠の駐車場に到着した。おそらく、本来の古い道は笹が生い茂ってもう歩けなくなってしまっているのだろう。


 今回のルートは鎖場や急傾斜があるものの、金峰山や太刀岡山、富士山の眺望が存分に楽しめる眺望の良いコースである。ルートは整備されているとは言えないがあまり迷うところは無く、中級者ならば問題無く歩ける道である。人が少なく静かな山歩きが楽しめる私好みの道と言える。この日も出会ったのは一人だけだった。

富士山剣ヶ峰に昇るアイソン彗星 毛無山地蔵峠  平成25年11月16日

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 予想されていた光度よりも2等級ほど暗く推移しているアイソン彗星。予定では今頃肉眼でも確認できるくらいまで明るくなっているはずだったのだが、未だ5等から6等級の明るさで、性能の良い双眼鏡でなければ見えない明るさだ。しかし、200?以上のズームレンズを使えばもう撮影可能な光度になっているはずだ。赤道儀で追尾せずに風景を含めて1カットに収めたい。富士山頂を舞うアイソン彗星を捉えるため、アストロガイドとカシミール3Dの2つのソフトを使って彗星軌道と通過時間を綿密に計算する。その結果、11月16日(土)未明4時、毛無山地蔵峠で富士山剣ヶ峰付近、翌17日(日)は毛無山山頂付近で同時刻に山頂やや右寄りを通過することがわかった。天気予報では16日は晴れ、17日は午後から崩れそうな微妙な予報だ。テント泊で3日間入山していれば2度楽しめるわけだが、どうしてもやらなければならない仕事が入ってしまったため難しくなってしまった。そこで、勝手知ったる毛無山、深夜から登って撮影することにした。好条件となる16日の未明を狙って、毛無山地蔵峠に向かう。

 夕方7時半に寝て11時半に起床。夕食を食べて深夜12時に自宅を出発する。コンビニに寄ったり、ガソリンを積んだりとやっているとあっという間に時間は過ぎ、麓の毛無山駐車場到着は深夜1時半になってしまう。1時50分出発、地蔵峠までは昼間で2時間ほどの行程、さらに展望台まで10分かかるので、時間的にかなり厳しい。渡渉が4回ほどあるので足元に十分注意しながら夜道を急ぐ。水場のある場所まで休憩せずに歩き、1時間半で到着。小休憩しその先の急登を息咳切って登り、1時間55分で地蔵峠に到着した。展望台には4時5分前に着き、ギリギリ時間に間に合った。沈みかけた月に照らされた富士山が肉眼で確認できる。まずは17‐55?広角レンズで3カット撮影、まだ彗星は登っていなそうだ。70−300?ズームレンズに変えて最大300?で富士山頂を撮影してみると、2カット目で剣ヶ峰の左脇に緑色の光が写る。さらにもう1カット、今度は明らかに緑色の光、尾はあまり伸びていないように見えるが、明らかに彗星だ。5秒以上の露出をかけると星が流れて写ってしまうため、Iso感度とシャッタースピードを変えながらひたすら撮る。

    地蔵峠から見る夜富士


    剣ヶ峰に緑色の光が現れる。


    剣ヶ峰に昇るアイソン彗星


    まだ尾はあまり成長していないように見える。


    どんどん富士山から離れて行く。ズームを変えて撮影。


    そろそろ月が沈んだ頃か?富士山が暗くなる。


    富士山の脇にもうひとつの光が現れる。おとめ座のスピカ、1等星。


    おとめ座スピカとアイソン彗星

 ズームレンズでは追えない位置まで彗星は富士山から離れてしまい、広角レンズに変更する。こちらのレンズは星空撮影のために購入した全域F2.8の明るいレンズで、こちらのほうが星は明るく写ってくれる。彗星は小さくなってしまうが、こちらのレンズのほうが彗星の尾は良く写るように思える。

    広角17?で撮影。うっすら彗星と尾が見える。


    ズームをかける。うっすらと彗星の尾が延びる。

(続きは後日。)

おとめ座スピカとアイソン彗星を追って 未明の朝霧高原  平成25年11月19日

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 光度を少しずつ上げてきたアイソン彗星だが,明るい月の影響でしばらくは観察しにくい期間が続く.しかし,11月18日,19日とおとめ座スピカの近くを飛ぶアイソン彗星は是非ともカメラに収めておきたい.特に18日はしし座流星群の極大直後であり,流星群とスピカ,彗星の3つが同時に楽しめる極上の日だ.

 ということでアイソン彗星とスピカの軌道を綿密に計算し,富士山の中腹から昇って山頂で薄明を迎えそうな場所をシュミレーションすると,朝霧高原道の駅の山梨県側に寄ったところが良さそうだ.11月18日、眠い目をこすりながら未明3時に起床し朝霧高原に向かう.ところが,精進湖トンネルを抜けたところで見る富士山は・・・見えない.月明かりに照らされて美しい三角錐が見えるはずだったのだが,薄白く見えるのは雲がかかっているということなのだろうか.とりあえずは予定地まで行って星空撮影の設定でシャッターを切ると・・・完全に雲に巻かれている.時折雪の積もった山腹が写るが,山頂は全く姿を現さずスピカも見えない.朝6時前にあきらめて撤退する.

   11月18日の朝霧高原の様子.富士山は姿を見せず,まさに朝霧.左上の星は牛飼い座アルクトゥールス.

 懲りずに翌日も2時半に起床する.昨日の失敗を踏まえてまずはネットで富士山ライブカメラをチェックすると,三ツ峠,本栖湖とも月光に照らされた富士山がバッチリと見えている.2日連続はさらに眠いがこれは行くしかないだろう.少し早く到着したので,まずは精進湖湖畔に立ち寄る.車が10台ほど止まっており,皆富士山の裾野から昇る朝日を待っているようだ.風が少なく,幻想的な月光ダブル富士山が撮れた.

    精進湖の月光ダブル富士山

 朝霧高原の撮影予定地に移動する.空には北斗七星と牛飼い座アルクトゥールスが昇っているが,おとめ座スピカはまだ昇っていない.昨日よりも200mほど山梨県側に移動し三脚を立てようとすると,道路脇でなにやら大きなものがゴソゴソと動いている.恐る恐る近づくと,可愛そうに車と衝突したらしい雄の大きな鹿だった.もう虫の息だ.また車に引かれそうな場所だったので歩道まで引きずり上げたが,間もなく息を引き取ってしまった.
 三脚を構えて待っていると富士山頂には雲が巻き始めた.その雲間を透かしておとめ座スピカが昇り始めた.その下にアイソン彗星がいるはずだ.肉眼では見えないので,モニターで確認しながらひたすらシャッターを切る.

    すっきりと晴れた朝霧高原.北斗七星と牛飼い座アルクトゥールスの曲線の延長上におとめ座スピカがある.(春の大曲線という)


    雲の上に現れたおとめ座スピカ.その上の筋はしし座流星群


    高度を上げるスピカ。そろそろアイソン彗星がみえるはずだが・・・。


    雲の間に光る小さな光、アイソン彗星登場。


    雲の上に緑色の小さな光。月光が明るいためやはり見えにくい。

 液晶モニターで彗星を確認したところでズームレンズに交換する。先日の地蔵峠からの撮影でシャッタースピード4秒以上に上げると彗星が流れて写ってしまうことがわかったので、Iso感度を上げて2秒から4秒以内でシャッターを切る。

    富士山頂に昇ったおとめ座スピカとアイソン彗星


    同上


    同上


    同上


    ズームを変えて撮影


    空が明るみ始め、次第に彗星は朝の空に消えて行く

 スピカと彗星が高く昇ったところで広角レンズに交換するが、その頃にはもう彗星はほとんど写らなくなっていた。やがて水平線が赤く染まり始め、星は夜明けの空に消えて行く。星が消えた頃に、日の出を待たずに撤収し、そのまま職場に出勤した。

    薄明の朝霧高原。まだ星が少しだけ輝いている。


    薄明の富士山


    毛無山塊に沈む十五夜の月


    朝焼けの空


    山頂に巻いた雲が輝く。本日はここまで、撤収。


 満月の月明かりがあっても彗星は写ってくれた。まだ尾は小さいが、これから光度が上がって来ると期待される。今週末は水星、土星とアイソン彗星が接近し、さらにエンケ彗星もその近くを飛ぶ。良い景色が見られると良いのだが・・・。

水星と彗星接近 星見隊出動 竜ヶ岳  平成25年11月23日

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 思ったほど光度が上がっていないアイソン彗星だが、撮影は可能なことは前回証明した。さらに太陽に近付いて光度を増すが、その代わりに高度が下がって朝のほんの一瞬で夜明けの空に飲み込まれてしまう。パソコンの計算上では朝霧高原からの撮影はそろそろ難しく、少し高いところに登って見下ろさないと撮影は出来なくなりつつある。今回登る竜ヶ岳だと中腹から彗星が昇り始め、おそらくは15分ほどで朝の光の中に消えて行くと予想される。ひょっとしたら撮影できないかもしれない。そのような難しい条件の中で、花見隊改め星見隊が早朝本栖湖のキャンプ場に集結し、竜ヶ岳を目指した。

 集合時間は23日の未明2時半。土曜日の早朝なので当然の如く皆寝不足である。1時間ほど登った中腹の休憩ベンチのところで星空撮影の練習をする。ここで初めて知ったのだが、ズームレンズが一体となっているsanaeさんやみちほさんが愛用しているコンパクトカメラは、Iso感度の設定は手動で可能だが、感度を上げるとシャッタースピードが最大で2秒になってしまい、10秒ほどの露出が必要な星空撮影には対応出来ないということが判明した。Uさんが使用しているマイクロ一眼レフはこれらの設定ができるために星空を撮ることができる。いろいろと設定を変えてやってみたが、月明かりに照らされた富士山の撮影もままならない。この場所での練習時間でかなりの時間を費やしてしまい、気が付けばもう時間は4時を過ぎている。山頂まではまだ1時間ほどかかるので、急がないと彗星の撮影に間に合わなくなってしまう。先に出発させてもらい、休憩せずに黙々と山頂手前の撮影予定地に急ぐ。

     ベンチのある中腹の休憩地から望む月光富士


    山頂手前の笹が切れている場所が今回の撮影地。朝霧高原の街灯りが見下ろせる好展望地。


    西の空に傾いた月とオリオン座

 撮影地に到着した頃にはもう水星が昇り始めていた。今日と明日は水星とアイソン彗星が接近する日だ。もうすぐ彗星が昇って来るはずだ。広角ズームレンズで撮影していると、10分ほどで彗星が写り始めた。やはり肉眼では見えない。この日は新しく購入した200mmF2.8のレンズを持って来たので、その写り具合も見てみたい。試し撮りしておけば良かったのだが、そんな余裕も無く、この場所で初めてカメラに装着、初めてシャッターを切る。

    富士山の左裾野に水星が昇る


    ズームを変えてふと見れば・・・5合目の明りのすぐ上に尾をたなびかせているアイソン彗星が見え始めている。


    富士山裾野に昇った水星と彗星。尻尾の長さは成長し、少し広がっている。


    200mmレンズで捉えた水星と彗星。中央の明りは富士山5合目。


    富士山腹を舞うアイソン彗星


    水星と彗星


    あっという間に夜明けの空に消えて行く


    水星は見えるが彗星はもう見えない。


    薄明の富士山

 わずか20分ほどの彗星ショーだった。後から来た星見隊メンバーは我々(私とUさん)のいる場所がわからなかったようで、山頂まで行ってしまったようだ。カメラ機材撤収し、山頂でメンバーと合流する。西側に綺麗なアース・シャドウが出現し、やがて雪を纏った南アルプスを赤く染めて朝日が射し始める。

    山頂で記念撮影。寒いです!


    アース・シャドウの広がる日の出直前の南アルプス


    朝日に染まる白根三山と鳳凰山

 富士山腹からの日の出にはまだ少し時間があるので、先ほどまで彗星を撮影していた場所に移動する。朝霧高原が見下ろせるこちらの場所のほうが眺望が良い。寒い中を、おやつを食べながら日の出を待つ。

    本日の星見隊は全員三脚持参です。


    朝日射す御坂山塊。右側に見える湖は西湖。


    日の出。だが、何か変。レンズに氷の薄膜が張り着く。


    レンズを綺麗に拭いて再写。


    霜の下りた笹原に朝日が射し込む。

 日の出を見たところで撤収し、下山する。足元は霜がザクザク、そして次々と登山者がやって来る。連休だけあってかなりの登山者が訪れそうだ。駐車場に到着すると、広い駐車場に7割ほどの車、ダイヤモンド富士以外の季節でこれほど車が止まっているのは初めて見た。

    あずまやが立つ休憩所で、なんとなくダイヤモンド富士。


 下山後は、私は仕事があるので一旦職場に行き、他のメンバーは夕食の食材の買い出しに行ってくれた。そして午後1時過ぎ、写真家栗林先生が経営されている喫茶店写ば写ばに集合して昼食(午後の軽食)と、本日の反省会と情報交換会(ただのおしゃべりの会)を行う。そして精進湖のほとりにあるキャンプ場に移動し、テントを設営、今夜のねぐらを確保する。明日は河口湖マラソンが開催されるためか、今までに見たことが無いようなキャンプ場の混雑ぶりだった。

 先ほど軽食を食べたばかりだというのに午後4時半ごろから今度はテントの中で夕食おしゃべり会が始まる。本日の夕食メニューは鳥鍋。sanaeさんがカセットコンロや土鍋を持ってきてくれ、Uさんが甲州地鶏を仕入れて来てくれた。こんなに食べられるのかと思うほどの量だったが、この鳥鍋の味が絶品!!さすがにうどんまでは食べきれなかったが、7人前で用意した食材を6人で完食!おなかいっぱいになり、6時半夕食会はお開きとなる。アルコールも入って心地良く、あとは寝るだけ・・・というところだが、星が降るほどにきらきらと輝いていたので、寝る前にちょっとだけ星空撮影のレクチャーをする。その頃にはのぞむ君も到着し、三脚とカメラを担いで星見隊は精進湖湖畔をうろうろ。果たして皆さんは星空をうまく撮れたのでしょうか??

    精進湖湖畔から見上げる夏の大三角形と天の川


    精進湖の夜富士


 さて,明朝は3時半出発,三方分山パノラマ台を目指します.

アイソン彗星を追って 星見隊(見えない隊?)再出動 パノラマ台から三方分山へ  平成25年11月24日

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 昨日の早朝水星と接近したアイソン彗星は今朝も水星の近くを舞っている。さらにこの日は土星が接近し、さらにさらに、光度を上げているエンケ彗星も接近している。おそらくは200mmレンズの視野の中に納まると予想されるが、富士山と一緒に写し込むことは困難である。本日狙うは接近した水星、土星、アイソン彗星、エンケ彗星をひとつの視野で撮影すること。果たして2つの彗星ゲットなるか?

 かなり冷え込んだ精進湖湖畔の夜だったが、ダウンジャケットを着込み、シュラフにシュラフカバーをかけたおかげで全く寒さを感じることなくぐっすり眠れた。レンズも新調したことだし、昨日の竜ヶ岳からの撮影から予想すると、絶対に撮れると期待に胸ふくらませて、予定通り未明3時半に精進湖を出発し、撮影予定地のパノラマ台に向かう。

    中腹の展望地から見る夜富士。精進湖湖畔は霧が巻いていたが、高度を上げるとバッチリ富士山が見えている。

 5時パノラマ台到着。さっそくカメラと三脚をセットして撮影を始める。もう富士山の裾野に彗星が姿を現している。私の計算ではアイソン彗星が見え始めるのは5時17分ごろ、5時40分にはもう見えなくなっているだろう。まずは広目に撮影して彗星の位置を確認し、その後200mmF2.8に変えて狙い通りに撮影・・・できるはずだったが。。

    富士山裾野に昇り始めた水星


    上が水星、下が土星。このあたりにいるはずなのだが・・・??


    200mmF2.8に変えてみるが、やはり写らない。


    広角レンズに変える。この視野には絶対にいるはずだが、パソコン上で再三探したが写っていない。


    夜明けが迫り、空が明るくなる。


    惑星の明るさも夜明けの空に消えて行く・・・


    薄明の富士。もはや彗星を捉えることは困難。

 いろいろとやってみたが、とうとうアイソン彗星を撮影することはできなかった。帰宅後、パソコンで彗星の位置を確認したところ、水星と土星の並びからだいぶ富士山側に寄ったところを飛んでいたようで、水星のすぐ下あたりを飛んでいると勘違いしていた私の記憶違いだったようだ。しかし、写っていてもおかしくない視野で撮影している画像をチェックしてもやはりアイソン彗星は見えず。おそらくこの日の撮影は困難だったと思われる。同じ目的で撮影に来ていたかなり写真に詳しいカメラマンが1人いたので、どうだったか聞いたが、前日は朝霧高原で撮ったが今日はやはり見えなかったと言っていた。おそらく今後は12月に入って近日点を過ぎた後でなければアイソン彗星を見ることは困難なのだろうと思われる。

    パノラマ台で記念撮影。私は既にすっかりテンション下がってます。


    精進湖をおおった朝霧


 前夜寒さであまり眠れなかったのぞむ君はここで日の出を待って下山するという。アイソン彗星が撮れなかった私はすっかり意気消沈し、予定していた三方分山に登る気力はすっかり失せてしまったが、まだ山頂を踏んだことが無いというみちほさんに連れられて三方分山山頂を目指すことになる。

    朝日が射し込む登山道。皆さん速いです〜! いや、私が遅過ぎるだけ。


    精進湖をおおった朝霧に射し込む朝日が綺麗だった。精進山の展望台から見ればきっと良い景色。少しピッチが上がる。


    精進山の展望台から見る精進湖と富士山。時既に遅し、朝霧は大部分消えてしまっていた。


    迫る三方分山。山頂はあの山を越えたその向こう。またテンションが下がる。

 メンバーから遅れに遅れ、さらに後続の登山者にも軽く追い抜かれ、8時半、やっと三方分山山頂に到着した。もう太陽は富士山の山頂近くまで昇っていた。大休憩、朝食をとる。


    富士山の上に昇った朝日。木の枝で太陽を隠してやると減光されてフレアが若干抑制される。写真家栗林先生の技法をパクったもの。


    山頂で記念撮影

 下山は女坂経由で紅葉の残りを楽しみながらゆっくりと下りた。今年の紅葉はこれで最後だろうと思う。


    おそらくは今年最後の紅葉。


 前日も立ち寄らせていただいた喫茶店写ば写ばに再びお邪魔し、ここでランチとなる。パスタやピラフのセットはサラダとケーキとコーヒーが付いて950円。しかもどれもうまい!これでこの値段は超お得と思う。さらに写真家栗林先生の富士山写真がたくさん楽しめる、超おすすめの喫茶店である。この界隈に行かれる時は是非とも立ち寄ってほしい店である。

 2日目の彗星は不発に終わってしまった。次は12月に入ってから、5日過ぎあたりから見頃になってくると予想される。彗星の光度、尾の大きさによっては、また突然の星見隊出動ということになるかもしれない。今後もこの彗星を追うので、ご期待いただきたい。

宇宙衛星から見るアイソン彗星

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 AstroArtsアイソン彗星特設サイトから最近の情報を追ってみると、「21日から25日にかけてダスト放出が劇的に減少した」「核が消失して大量のダストが放出されたらしい」との報告を見かけました。しかし、太陽観測衛星のカメラが撮影した映像を見てみると(AstroArtsアイソン彗星特設サイトから入れます)アイソン彗星は消失しておらず、順調に増光しているようです。


    11月23日午前5時29分


    11月24日午前5時29分  パノラマ台で観察できなかった日の映像です。


    11月25日午前5時29分  地球軌道の内側に入ったようです。すぐ下にいるのはエンケ彗星と思われます。


    11月26日午後0時49分  順調に増光しているように見受けられます。

 これらの映像を見る限りではアイソン彗星は順調に太陽に近付いて光度を上げているようです。近日点を通過後、12月4日ごろから観察が可能になってくると思われます。大きな尾を伸ばした大彗星になっていることを期待します。
    

アイソン彗星 残念な知らせ

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平成25年11月29日 アストロアーツ天文ニュースに記載された記事から抜粋したものです。

【2013年11月29日 NASA】

 「29日朝(日本時間)に太陽に最接近したアイソン彗星は、太陽からの強烈な熱を受け、彗星の核の部分がほぼ消えてしまったとみられている。12月以降に明け方の空で長い尾を見ることは、かなり難しくなった。」



    11月29日 0時18分の衛星画像。これでは太陽を無事通り抜けたように見えるが・・・


同記事から抜粋

 「太陽観測衛星SOHOやSDO、STEREOから送られてきた画像によれば、アイソン彗星の核(氷や塵の塊)は、残念ながら消滅してしまった可能性が高いとみられている。最接近から数時間後の画像には明るい部分も見えているが、これは核ではないということだ。コマ(核を取り巻くガスの部分)や尾は残っているとみられ、彗星がすべてなくなってしまったわけではないが、今後明るくなったり長く伸びた尾が見えたりする可能性は小さいだろう。」


 残念ながら12月5日以降の尾が伸びた彗星を見ることは難しそうだ。
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