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伏見岳からピパイロ岳へ ヒダカミヤマノエンドウが咲く尾根  北海道遠征1‐?  平成25年7月7日‐9日

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 前日伏見岳とピパイロ岳コルでテント泊したが、水を取るのに苦労し、とうとう水場が見つけられず雪渓の雪を溶かして使うということになる。その日の夜は素晴らしい星空が広がったらしいが、重い荷物の背負い疲れと運転疲れで撮影する余裕など無く爆睡する。目が覚めたのは未明3時過ぎ。テントの外に出るともう空が白々と明るくなり始めており、森の空高く昇っていた夏の大三角形の輝きがもう消えそうになっていた。山梨と違って夜明けが早く、北にあるために白夜のように空が明るくなるのが早いようだ。

    未明3時半、薄明の空

 テント撤収し、5時にテント場を出発する。できれば北鳥蔦別岳か鳥蔦別岳あたりまで行きたいが、本日の行程もまたかなり長い。どこまで行けるのか?ピパイロ岳への登りには大きな雪渓が残っており、キックステップでつま先を蹴り込んで登る。雪渓脇の斜面は小さなお花畑のようになっており、黄色いスミレやシラネアオイなどが咲いていた。

    登り始めてすぐにコバイケイソウ


    黄色いスミレだが葉に毛は生えていない。トカチキスミレ。


    チシマノキンバイソウ?このあたりにはピパイロキンバイソウという特産種が咲くはずだが、鑑別ができない。


    ウコンウツギ


    大きな雪渓を登る。


    振り返って見る伏見岳


    雪渓の脇に咲いていたショウジョウバカマ。北海道のものは綺麗な薄紫色。


    雪渓脇の斜面にトカチキスミレとシラネアオイが咲く。

 その先は場所によっては背丈ほどもあるハイマツの藪。足元に道があるのだがハイマツをかき分けないと道が見えず、しかもちょうど花粉の飛ぶ季節で、服もカメラも花粉で黄色く色付くほどだ。ハイマツの切れ目にお花畑が広がり、その中にオヤマノエンドウのような紫色の花が咲いていた。近付いて良く見るとこれは・・・!

    紫色の花が混じるお花畑。


    近付いて良く見ると、葉っぱに毛が生えている。


    ヒダカミヤマノエンドウ。このあたりの特産種で、今回会いたかった花のひとつ。


    チシマフウロ


    ピパイロ岳への登り。ハイマツが道を覆う。


    ハイマツをかき分けて登る。ピパイロ岳から先もこのようなハイマツの藪だらけで、体力を消耗し時間もかかる。


    ピパイロ岳山頂。いちばん左が目指す幌尻岳。まだ行程の半分にも至っていない遥か彼方だ。

 8時20分、ピパイロ岳山頂に到着。テント場で一緒だった2人組は私たちより少し遅れて出発したが、追い抜かれ既に姿は見えない。今日は七つ池カールまで行くと言っていた。ピパイロ岳山頂は360度の展望が得られる岩の山頂で、素晴らしい眺望の場所だ。大きなお花畑こそ無いものの、山頂付近にも様々な花が咲き乱れる。

    ヒダカミヤマノエンドウと咲き残っていたミヤマダイコンソウ。向こうのいちばん高い山が幌尻岳。


    エゾツツジ


    ミヤマシオガマ

 次に目指すピークの1967m峰とのコルにはテント場があり、地図には水場も記されている。再びハイマツの藪をかき分けてグッと下るが、ハイマツの途切れたところに現れるお花畑は心洗われる美しさがある。

    次に目指す1967m峰。再びハイマツの藪をかき分けて下る。


    イソツツジと1967m峰


    途中に広がるお花畑


    ヒメエゾクワガタ(だったかな??)


    ミヤマアズマギク


    エゾツツジと幌尻岳に至る山並み

 11時半にピパイロ岳と1967m峰のコルにあるテント場に到着した。ここで水を補給しなければならないのだが、これがまた大変なことになる。北側に下る細い道とテープがあるのだが、急斜面をどこまで下るのかという激下りで、15分ほど下ったところで雪渓にでたものの、水場が見当たらない。どうやら雪渓の下に埋もれているようだ。反対側に雪渓の切れ目が見えるので、雪渓を横切ってそこまで行ってみると・・・確かに水の流れる音がする。しかし、その音がする場所はスノーブリッジが大きくせり出したずっと奥で、ヘッドライトで照らさないと見えないほど奥にある。勇気を出してスノーブリッジの下にもぐり込むが、水の流れる場所まで手が届かずに水が汲めない。止む無く、スノーブリッジから滴り落ちる水を辛抱してボトルに貯めて使うことにした。水汲みだけで1時間近くも時間を費やしてしまう。
 しかし、その水場に下りる道沿いにはシラネアオイと黄色いキンバイが咲いていた。これが特産種ピパイロキンバイソウなのだろうか?良くわからないが、撮ってきた写真を見ると2種類(ミヤマキンポウゲを入れると黄色い花3種類)が咲いていたように見える。

    15分ほど下ってようやく雪渓に出たが、水場は見当たらず。反対側のスノーブリッジの下に潜り込んでブリッジから滴り落ちる水を集める。


    ミヤマキンポウゲ(だと思う。)ガクがついていた。


    チシマノキンバイソウ?途中で見たものと同じ。


    上拡大


    もう1種類がこれ。葉の切れ込みがやや浅く、おしべが短いように見える。


    こんなところにフタバアオイ


    葉に毛の無いスミレ、トカチキスミレ。

 この水汲みでかなりの体力を消耗してしまう。先はまだまだ長い。どこまで行けるのか(続く)


(登山‐下山‐宿探し‐夕食‐入浴と洗濯の繰り返しでブログ更新の時間がありません。更新遅くてすみません。)

ピパイロ岳、1967m峰を越えて1856m峰へ ケエゾスミレ咲く尾根  北海道遠征1−?  平成25年7月7日‐9日

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 7月8日(後編)

 ピパイロ岳と1967m峰の間のコルからかなり下って雪渓から滴る水を約3リットルなんとか採ってコルに戻り、そこで食事にする。水を採るのに1時間ほどかかってしまい、出発する頃には時間はもう午後2時近くになってしまった。できれば北鳥蔦別岳まで行きたいが、このペースでは難しそうだ。その手前の1856m峰まではなんとか行きたい。その前に立ちはだかる1967m峰は見上げるような急登、しかも大きな雪渓が残っている。

    エゾノハクサンイチゲ。目指す幌尻岳はいずこ?まだ遥か彼方。


    チングルマのお花畑

 コルから少し歩き始めると、またしても黄色いスミレが出現した。近付いて良く見ると・・・今度のスミレには葉っぱの周辺に毛が生えているのが見える。葉っぱを裏返して見れば、裏に毛が生えている。これこそ、今回いちばん見たかった花、このあたりの特産種ケエゾキスミレだ。時期もちょうど良かった。

    黄色いスミレ発見。今度のスミレは葉っぱの縁に毛が出ているのが見える。


    これこそ見たかった花、ケエゾキスミレ


    葉の裏側に毛が生えているのが特徴。

 その先の1967m峰の登りにもこのスミレは結構咲いていた。そして急登を登りつくと、「1967峰」の看板が立つピークに到着した。ここはピパイロ岳同様に、あるいはそれ以上に眺望の良いピークで、名前が付いていないのが不思議なくらいだ。一休みして眺望を楽しむが、この位置から翌日に幌尻岳まで往復するのはかなり厳しい。先に進む。

    1967峰の雪渓。登山道は雪渓の中に埋もれており、左側の草むらを登る。


    1967峰までもう少し。お花畑が広がる。


    見下ろすカールとお花畑


    1967峰。高さそのままの名の看板が立っている。


    1967峰から見る尾根。幌尻岳は霞んで見えないが、左手の霞んだ三角錐が鳥蔦別岳。

 岩とハイマツの細尾根を越えて隣のピークまで行くと、その先にまた岩のピークが立ちはだかる。これを越えるとようやく1856m峰のなだらかなピークが下に見えてくるが、その先は崖のような急下りが待っていた。それを慎重に下るとまたしてもハイマツの藪だ。途中には初めてお目にかかるベニバナミネズオウ(おそらく山梨の山ではお目にかかれない)やホソバイワベンケイが咲いていた。

    ベニバナミネズオウ。山梨ではお目にかかれない。


    ホソバイワベンケイ。北海道には結構たくさんある。


    ホソバイワベンケイ


    イワヒゲ


    もうすぐ咲きそうなウスユキトウヒレン


    細尾根を越えて登り返すと、その向こうにもうひとつピークがある。これを越えるとようやく進む尾根が見えるようになる。


    無名の小ピークから見る幌尻岳に続く尾根。いちばん左が鳥蔦別岳、その右に遠く見えるのが幌尻岳、小ピークを挟んでその右が北鳥蔦別岳、そしていちばん右の低くて平たいピークが1856m峰。

 午後5時20分、なんとか1856m峰に到着した。もう隣の北鳥蔦岳まで行く元気は無く、ここでテント設営することにする。このピークは平らで、4〜5張は軽くテント設営できるなかなかの場所だった。あたりには開花直前のウスユキトウヒレンやチシマキンレイカ、ミヤマシオガマなどがたくさん咲いていた。夕陽が沈む頃には一時空が晴れて幌尻岳まで望むことができたのだが、陽が沈んだ直後からあっという間に霧に巻かれてあたりは何も見えなくなってしまった。入山前の天気予報では明日までなんとか天気が持ちそうな予報だったのだが、どうなのだろうか?この場所では携帯電話は県外で、iモードの天気予報を見ることはできない。ラジオを自宅に置いてきてしまったのは失敗だった。

    1856m峰。平らでテントを張るには適する。その先の雪渓を融かして水を採ることができた。


    北鳥蔦別岳から幌尻岳に至る尾根。


    右が北鳥蔦別岳、左が鳥蔦別岳、真ん中が幌尻岳。

 7月9日(3日目)
 深夜から雨が降り出し、朝になっても止まず風が強くなってきた。前線が早く北上し、予定より1日早く雨になってしまったようだ。おそらく明日も雨。停滞を予想して20食分(約6日分)の食料は持ってきているが、2日間の停滞は厳しい。撤退して下山することにする。テント撤収して朝6時から下山開始する。腰に巻いていた交換レンズ入りのポーチは無理矢理ザックに押し込んだが、カメラはザックの中に収まらない。タオルを巻いてその上からコンビニの袋をかぶせて首からぶら下げるが、タオルはあっという間に水浸しになってしまう。休憩するたびにタオルを絞ってかけなおすが、すぐにまた水浸しになり、ほとんど写真など撮っていられる状態では無い。前機のEos40Dは白馬岳で同じような状況になり、故障して修理に出さざるを得ない状態になってしまったが、現在使っているEos7Dはボディの防水が良いようで、モニターもシャッターも正常に作動してくれた。時間記録のために各ピークでレンズをハンカチで拭いて記録撮影だけ行ってきたが、ピパイロ岳近辺で見つけたリンネソウだけは三脚を出して撮影した。

    雨と風が吹く3日目の朝。何も見えない。苦労してここまで来たが下山することにする。


    霧と雨に霞むエゾツツジ


    ピパイロ岳山頂


    相変わらず霞の中だが、雨は小降りになり風も止んだ。


    ハイマツの下に咲き始めたリンネソウを発見。


    リンネソウ

 1966峰、ピパイロ岳、伏見岳、その他名前の付いていないピークとも登り返しがきつく、足元の見えないハイマツの藪でスリップしやすい。午後4時20分、ようやく伏見岳に到着したが、この頃には雨は上がっていた。伏見岳の下りで何度かスリップして尻餅をつきつつも、なんとかヘッドライト点灯寸前の午後7時、伏見岳登山口駐車場に到着した。登り以上に大変な下山だった。

 幌尻岳まで行けなかったことは残念ではあるが、お目当てだった特産種ヒダカミヤマノエンドウ、ケエゾキスミレ、そしておそらくはピパイロキンバイソウに出会えることが出来たので、目的の7割は達成できたと言って良い。日本百名山には固執していないので、機会があれば別ルートから幌尻岳に再挑戦したいと思っている。七つ沼カールには是非立ち寄ってみたいと思う。


 下山後はあまりにも靴がドロドロ、かつ水浸しになってしまったので、伏見岳避難小屋の前に出ている水で靴とスパッツを洗ってから出発する。時間が遅いので宿がとれるかどうか心配だったが、帯広郊外の温泉ホテルに電話したところ、朝食付きで一人9000円ほどで泊めてくれるとのこと。テントで野宿を覚悟していただけにこれはありがたい。なかなか立派なホテルで温泉も非常に良かった。温泉にゆっくりつかって足を良くマッサージしたが、かなりの筋肉痛に襲われた。

    宿泊したホテル。ここは良かったです。

そして翌日、200数十キロ離れた釧路に移動して2泊した。目的のひとつは雌阿寒岳だが、もうひとつは・・・またいつか報告することにする。(某グループの追っかけではありません。)

メアカンフスマとメアカンキンバイ 雌阿寒岳  北海道遠征2  平成25年7月11日

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 前日は帯広から釧路までの移動と1日静養したので、ピパイロ岳の疲れと筋肉痛はほぼ改善した。この日は曇り空だったが、大きな崩れは無さそうだ。釧路市内の宿泊したホテルで朝食をとって、朝7時にホテルを出発する。カーナビをセットすると、雌阿寒岳の登山口オンネトーまでは予想外に距離があり、かなり飛ばして9時半に雌阿寒温泉に到着した。本日のコースは雌阿寒温泉から山頂を経てオンネトーのほとり青年の家に下山し、エゾアカマツの森の中を通って雌阿寒温泉に戻る周回コースだ。

    雌阿寒岳温泉からの登山道入り口


    エゾアカマツの森。エゾアカマツをシラビソとツガに置き換えれば八ヶ岳の森の雰囲気に良く似ている。

 雌阿寒温泉の登山口から入山すると、エゾアカマツの森は八ヶ岳樹林帯の森に良く似ている。足元に苔の生したややじめじめした森の感じと匂い、エゾアカマツをツガとシラビソに帰れば八ヶ岳そっくりだ。こんな森にはきっとあのランが・・・しかし、北海道にもあるのだろうか?例のごとく森の中をきょろきょろしながら登って行くと、あっさりと見つけることができた。そしてキソチドリと思わしき花を撮影していると、その脇になんじゃこりゃ!というような双葉のランを発見!コフタバランに良く似ているが葉の形と茎の色が違う。まだ花は咲いていないが、おそらくこれは・・・初めて見るミヤマフタバラン。

    苔の生した雌阿寒岳エゾアカマツの森。


    やっぱりあった、イチヨウラン。


    たぶんキソチドリ。まだ開花していない。


    何だこれは?コフタバランに似ているが葉の形と茎の色が違う。


    これはミヤマフタバラン。もうすぐ花が咲きそうだ。

 他にもあるのではないかと注意深く森を歩いたが、見つけたのはこの2種類だけで、やがて森を抜けてハイマツ帯に入る。5合目あたりのガレた沢で休憩しながらその周辺を探ってみると、黄色いキンバイを発見した。ひょっとしてこれが噂のメアカンキンバイか?見たことが無いような葉の形をしている。そしてメアカンフスマらしきものも発見した。

    樹林帯を抜けてハイマツの森に変わる。


    ガレた沢で見つけたメアカンキンバイ。この先にはたくさん咲いていた。


    同じ場所でメアカンフスマ

 さらに高度を上げて行くと、6合目あたりからはこの2種類の花とマルバシモツケがたくさん咲いており、こんなにたくさん咲くものなのかとちょっと拍子抜けする。ハイマツ帯を過ぎてザレ地になった上部にもこの3種類の花はたくさん咲いていた。

    コマクサ


    マルバシモツケ


    メアカンフスマ


    見下ろすオンネトーの沼


    7合目付近のメアカンフスマ群生

 細い踏み跡をたどって真っ直ぐ登って行ったところ、正規のルートから外れて短縮してしまったらしく、私たちの先を歩いていた女性グループよりも先に8合目あたりに到着してしまった。しかし、またあっさりと追い抜かれる。9合目まで登って反対側の展望が見えるようになると、噴煙を上げる雌阿寒岳の噴火口、赤い池が見えるようになる。間もなく山頂に到着する。12時45分山頂到着、10数人の登山者が休憩して昼食をとっていた。反対側から登ってきた登山者に情報を聞き、混雑する山頂での昼食を避けて青年の家側の登山道を8合目付近まで下って昼食にした。

    赤い池と噴煙を上げる雌阿寒岳火口


    雌阿寒岳山頂


    阿寒湖と雄阿寒岳方面を望む


    青い池と阿寒富士


    青い池と噴煙

 眼前に阿寒富士が聳えるが登っている人の姿は見かけられなかった。メアカンフスマやメアカンキンバイの数はこちら側のほうが多く、コマクサもちらほらと咲いていた。ハイマツの中を覗いてみると、もうすぐ咲きそうなイチヤクソウの群落があった。

    青年の家側ルートのメアカンフスマ


    メアカンキンバイの群生


    蕾のイチヤクソウ(おそらく真直ぐな茎、たくさん付ける花から見て、カラフトイチヤクソウ)


    8合目から見る阿寒富士


    イワブクロと阿寒富士

 ハイマツ帯を過ぎて樹林帯に突入するが、こちら側の森は登って来た雌阿寒温泉側の道とは若干異なり、森がやや乾燥しているように見受けられた。ミヤマフタバランを探すがどうしても見つからず、その代わりにイチヨウランは5本ほど見つけることができた。森の中の探索でかなり時間を費やしてしまい、青年の家に到着したのは午後3時半になってしまった。

    樹林帯の中で見つけたキソチドリ(だと思う)。これがあるところにはきっとあれも・・・。


    発見!イチヨウラン。


    イチヨウラン。こちら側で4〜5本見つけた。


    開花したイチヤクソウ。先ほどのイチヤクソウほど花が付いておらず、葉脈に白い筋があり、おそらくジンヨウイチヤクソウ。


    コイチヤクソウ。花が片側に偏って咲くイチヤクソウの仲間。半寄生植物。


    森で花探しに時間を取り過ぎ、青年の家に到着したのは午後3時半。

 青年の家の脇からオンネトーの縁を回ってエゾアカマツの森に入り雌阿寒温泉までは緩い登りが続く単調な森だ。何か良いものは生えていないかと思ったのだが、何も見つからず、ただひたすらに歩いて午後4時半、雌阿寒温泉に到着した。

    オンネトーの青白い水。青空ならばもっと美しいブルーになったのだろうが。


    オンネトー周辺はハクサンシャクナゲの名所。


    アカエゾマツの森を黙々と歩き、4時半に雌阿寒岳温泉に到着。

 夕方6時半には釧路に戻りたい。駐車場でさっさと着替えを済ませてまたもや車を飛ばして釧路に戻ると、午後6時には釧路に到着できた。本日は夕方7時からのお楽しみの会が待っており、余裕で間に合った。会の後に釧路ラーメンのお店で食事していると、超偶然にもその会のメンバーとばったり遭遇した。短時間ながら話をすることもできて、良い1日となった。(機会があったら報告します。)

雷鳴轟き下山、大雪山黒岳  平成25年7月12日

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 九州から山仲間のHさんが北海道に来ており、本日は銀泉台から赤岳を経て黒岳石室の避難小屋に宿泊するそうだ。途中までの山行にはみちほさんご夫妻も同行するそうだ。Hさんは私が星空の写真を撮り始めるきっかけをつくってくれた恩人だ。我々は釧路宿泊なので大雪山層雲峡到着はどうしても午後になってしまうので、黒岳石室でテント泊して合流することで話がついた。釧路から層雲峡までは280kmほどの距離があり、しかも高速道路は全く使えずに一般道を行くことになる。朝7時半に釧路を出発し、なんとか午後1時過ぎには層雲峡に到着し、ここで昼食となる。テント泊装備と1日分の食事を詰め込んでロープウエイとリフトを乗り継いで7合目から歩き始めたのは午後3時近くになってしまう。まあ、6時までには到着できるだろうということで出発する。

    層雲峡ロープウェイ駅


    黒岳リフトとお花畑


    眼前に近付く大雪山黒岳


    7合目休憩所

 残雪の雪渓を登り、登山道脇に咲く花を楽しみながらゆっくりと登り、8合目を過ぎさらに9合目を過ぎた頃から雲行きが怪しくなってきた。そしてポツリポツリと雨が降り出す。ザックカバーをかけようかと思っていた途端に雨足が強くなり、そして頭の真上でドドーン・ゴロゴローという雷鳴が轟き出す。急いでザックカバーとカッパを上着だけ来て下山し始め、高度を下げる。あられ混じりの土砂降り状態となり、8合目あたりの木の下でひとまず雨宿りする。やがて雨足は弱まり雷鳴も遠退いたがもう登り返す気にはならず、そのまま下山した。

    雪がまだかなり残っている。


    雪渓を足跡に沿ってジグザグに登る。


    道脇に咲くチシマノキンバイソウ


    白いチシマフウロ


    9合目を過ぎて山頂まで標高差であと50mほどのところまで行ったが・・・そこで雷に遭い、下山。

 リフトとロープウェイを乗り継いで麓の駅に到着したのはもう6時過ぎ。さて、宿をどうするか?甲府を出発する前にテントやザックカバーに防水をかけ直してきたものの、これが十分では無く、特にザックカバーはきわめて防水性に欠けており、雨に降られると中のものが全て水浸しになってしまうことがピパイロ岳の帰りでわかった。おそらくはシュラフも濡れてしまっているだろう。テント泊は厳しい。層雲峡駐車場手前のペンションに空室ありの看板が出ていたのでそこに寄って交渉すると、素泊まりで一人6000円で泊めてくれるとのことで、本日はそこに泊めてもらうことにした。濡れ物の事情を話すと、部屋の中に干すための洗濯紐を準備してくれて助かった。このペンションは源泉かけ流しの温泉で、何時間もかけてお湯を溜めているそうだ。乳白色の温泉はたいへん良かった。

再度大雪山黒岳へ 北海道遠征3  平成25年7月13日

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 前日の雷雨は2時間ほどで上がり、翌朝は青空とは言えないまでもまずまずの天候となった。朝6時からロープウェイが動き出すが、1本遅れて6時20分のロープウェイに乗り、前日登れなかった黒岳を再び目指す。朝から観光バスが何台かやって来ており、連休初日の今日は混雑しそうだ。

    ロープウェイ頂上駅あたりは人がいっぱい。霧がかかっていたが・・・


    リフトに乗ると上は抜けるような青空が広がる。


    リフト頂上駅から見る雲海とニセイカウシュッペ山山塊

 リフト頂上駅まで行くと、ニセイカウシュッペ山山塊からその右手の屏風岳にかけて、綺麗な雲海が広がっていた。雲海の景色と花を楽しみながら黒岳山頂を目指す。

    雪渓と雲海


    ミヤマキンポウゲ。北海道にも普通に咲いている。


    大雪山にもにもキバナノコマノツメが咲く。


    こんなところにクモマナズナ?と思ったが、これはエゾイヌナズナ。


    エゾノハクサンイチゲ


    カラマツソウ


    チシマノキンバイソウ


    同上


    チシマノキンバイソウとカラマツソウのお花畑


    北海道にはこれがあると聞いていたが、発見!ウズラバハクサンチドリ。


    ピンク色鮮やかなヨツバシオガマ


    ピパイロ岳でも見たホソバイワベンケイ


    一株だけエゾノコザクラ

 なにせ見たことの無い花がたくさん咲くもので、興味深々に見ながら、写真を撮りつつ2時間かけて黒岳山頂に到着した。時間は9時、山頂はたくさんの登山者が休憩しており、軽装の人もいれば縦走する重装備の人もいる。それにしても良い天気だ。黒岳山頂からの眺めを一通り撮影し、速攻で下山する。

    青空が広がった黒岳山頂。


    白雲岳から北鎮岳への山並


    北鎮岳の白鳥の雪渓。白鳥に見えますか?


    エゾツツジ


    山頂の標柱

 この日は下山後にみちほさんと合流し、夕張ヒュッテまで移動、翌日夕張岳に登ろうということになっていた。夕張ヒュッテまで行く林道が崩落の危機にあり、今年は通行止めとなっていて、ゲートからヒュッテまで7km、約2時間歩かなければならない。そのため、本日は黒岳山頂までで、昼の12時までには下山と決めていた。予定通り、11時半に駐車場に到着。その後夕張道の駅に向かう。

 

特産種とユウバリソウを求めて 夕張岳(前編)  北海道遠征4  平成25年7月13日‐14日

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 昨年までは夕張ヒュッテまで車で入ることが出来たのだが、今年は林道が崩落の危機にあり(まだ崩落しているわけではない)、年内いっぱいは林道閉鎖の予定だという情報をみちほさんの旦那様からいただいた。ゲートから夕張ヒュッテまでは距離7km、歩いて約2時間、往復で4時間もかかる。1日で夕張岳山頂まで往復するのはとてつもなく大変な山歩きとなってしまい、私の足ではとても歩けるようなものではない。しかし、この夕張岳は山頂周辺が蛇紋岩という塩基性の岩でできており、ユウバリソウをはじめとするこの山でしか見られない特産種がたくさん咲く魅惑の山である。今回の北海道遠征では絶対に外せない山のひとつに入っている。日帰りでは厳しいので前日に夕張ヒュッテ泊まりで行くことにして、みちほさんをお誘いしたところ一緒に登ることとなった。

 午前中、層雲峡から黒岳に登り、お昼ごろから夕張に移動し始めるが、思ったよりも距離が遠く集合場所の夕張道の駅(紅葉山なんとか??)に到着したのは3時近くになってしまう。それから昼食、そして夕張ヒュッテに至る林道ゲートに到着したのはもう午後4時となる。まだ駐車場には満車近い車が止まっており、準備していると続々と下山者がやって来た。ほとんどが日帰り登山者、しかも若者が大半だが、皆ヘトヘトの様子だった。中には林道が通行不能になっているのを知らず、山頂まで行けずに帰って来た女性2人組もいた。私は最初からテント泊と決めていたので、テントと1日分の食料プラス非常食をザックに詰め込んで出発する。もちろん守り刀のカーボン三脚を持って行く。林道は緩い登りになっており7kmはかなり長く感じた。午後6時40分、ようやく夕張ヒュッテに到着し、さっそく夕食をとる。

    ゲート前の駐車場はほぼ満車。我々が到着後、続々と下山者がやって来る。皆一様に「大変だった」と言う。


    ゲートからヒュッテまで7km。


    途中で見つけた寄生植物オニノヤガラ。


    夕張ヒュッテ。見えるのは現在建築中の新しい建物でまだ使用されていない。現在使われているのはあの裏側に隠れている。

 小屋番さんとお話しする機会があり、いろいろと教えていただいた。現在使用中の古いほうの建物は取り壊しが決まっており、新たな立て直しはしない予定だったという。しかし、それでは困るということで有志で集まったユウパリコザクラの会が中心となって募金活動や夕張市への働きかけを行い、なんとか新築するというところまでたどり着いたのだという。この日はユウパリコザクラ友の会の方たちと植生調査の方たちがヒュッテに宿泊されており、明日植生の調査と鹿の保護柵設置のための調査を行うと言っていた。

 さて、夕食後、私と植田さんは枯れた沢を渡った向こう側、馬の背登山口沿いのテント場にテントを設置して寝る。みちほさんは山仲間の知人が宿泊しているヒュッテで寝ることになった。足の遅い我々は(いや、遅いのは私だけだが)早朝4時半に出発することにした。その夜、ヒュッテの空には北斗七星が輝いていた。

    夕張ヒュッテに昇った北斗七星


    北斗七星。睡眠薬が効き始めてフラフラの頃に撮影したので、写りがいまいち。


 翌朝は予定通りまだ薄暗い午前4時半に出発する。冷水コースから入山し、いつものように藪の中を覗きながら歩くが目ぼしいものは何も見つからない。1時間ほど歩いた水場の脇でテガタチドリらしき花を発見。薄暗くてなかなかうまく撮れない。三脚は・・・とザックを見れば、夕張ヒュッテまで折角持って来たのにテントの中に置き忘れてきてしまった。カメラを忘れたことは何度かあるが、三脚を置き忘れてきたのは初めてだ。止む無し、今日は手持ちで撮ることに。そして帰って来てからその花を良く見れば、葉脈が目立ち縁が波打っている。これは・・・! 

    朝の夕張ヒュッテ


    冷水コースの入り口


    冷水の沢。水場がある。


    水場の脇に咲いていた花。葉の脈が目立ち、縁が波打っており、これはノビネチドリ。

 いつもはキソチドリだろうと思って見ている花が、この山では開花していた。よく見れば、キソチドリとはちょっと様子が違う。トンボソウやキソチドリの仲間は判別が難しく、図鑑で調べるだけでは良くわからない。

    キソチドリよりも背が低く葉っぱが厚くて丈夫そう。図鑑で見る限りでは、これはミヤマチドリ。


    雌阿寒岳に続いて発見!コイチヤクソウ。


    ギョウジャニンニク。若葉を少しちぎって食べたが・・・口の中が強烈なニンニク臭!

 馬の背ルートとの合流点を過ぎて進むと、シラネアオイが咲き残っていた。その先にシラネアオイ群生地があったが、既に花は終わっていた。かなり大きな群生地なので一面に咲けばきっと見事なことだろう。その先には望岳台という展望地がありそこから先は崖のような急登り。そして雪渓が残る笹原の切れ間からようやく夕張岳山頂が見えてくる。標高差こそあまり無さそうだが、まだかなり遠い。

    咲き残っていたシラネアオイ。


    シラネアオイ群生地。花はもう終わっている。


    雪渓を横切る。ようやく向こうに夕張岳が姿を現す。

 ところどころ木道の道となり、雪渓の溶けた水が流れるところには黄色い花が咲いていた。ひとつはエゾノリュウキンカ、もうひとつは・・・良くわからない黄色いスミレ。

    雪解け水の流れる木道脇に咲いていたエゾノリュウキンカ。


    良く分からないスミレ。先日ピパイロ岳手前で見たトカチキスミレにそっくりだが、夕張岳なのでこれはフギレキスミレか?


    葉の縁の切れ込みが不規則なのがフギレキスミレの特徴だが、あまり不規則ではないように見える。


    こちらはイワイチョウ。この先に大群落があったが、花は咲いていなかった。

 笹藪を進んでポンと広場に出たところが前岳湿原の入り口だった。ここからは整備された木道の道が湿原の中を延びている。そして特産種が咲くのもこれから先の道だ。湿原の花を存分に楽しみながら、夕張岳山頂を目指す。

    前岳湿原入り口


 (後編に続く)

特産種とユウバリソウを求めて 夕張岳(後編)  平成25年7月13日‐14日

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 朝4時過ぎに夕張岳ヒュッテを出発し、樹林帯の中をみちほさんとともに探しまわって見つけたのはノビネチドリ、ミヤマチドリ、コイチヤクソウなどだが、これらは夕張岳の特産種では無い。前岳湿原入り口に到着したのは午前8時半、ここまで4時間以上もかかっている。そして、この湿原から山頂に至るまでのルートが夕張岳の特産種が咲くハイライトコースだ。


    前原湿原入り口

 いきなり特産種が見つかるわけではないが、この湿原のどこかにユウパリコザクラが咲いているらしい。白いウサギギクがあるという話も聞いた。探しながら木道の道を進む。

    ウサギギクとガマ岩。白花は見つからず。


    ムカゴトラノオ


    何これ??帰って来てから調べてみると、これはハクセンナズナ。


    イワイチョウの大群落。しかし花は咲いておらず、鹿に食べられたような跡があった。


    笹原の向こうに夕張岳。


    シロウマアサツキ。蕾のものが多く、やっと咲いているのを見つけたと思ったら、その先にはどっさり。


    トウゲブキ

 短い草の生える湿地帯の中で、ピンク色の花がポツポツと咲いているのを発見した。これこそが夕張岳の特産種、ユウパリコザクラだ。しかし、咲いている場所が遠く、持って行ったレンズでは焦点距離が短く追い切れない。かつ、手持ちで撮るのでブレが生じて鮮明な画像を得るのは難しい。三脚を忘れたのがやはり痛かった。

    ユウパリコザクラが咲く湿原。この視野で4株咲いているが見えますか?


    撮影して来た画像をトリーミングしたもの。さすがに葉っぱまでは見えない。

 その先の湿原にはウサギギクがたくさん、そしてさらに圧巻だったのは見渡す限り湿原をおおうシロウマアサツキの大群落。今まで撮って来たのは何だったのかと笑ってしまうほどの大群落が広がっていた。

    ウサギギクの群落


    シロウマアサツキがたくさん。


    見渡す限りシロウマアサツキ。笑っちゃうほどたくさんあります。

 さらに進むと、やや急傾斜を登ってこの山の核心部、蛇紋岩の砂礫帯に出る。ここにはこの山の代名詞ともいうべき花、ユウバリソウが咲いている。しかし、残念ながら時期が既に遅く、穂は残っているものの白い花は散って茶色くなってしまっていた。

    ユウバリソウ。もう時期が遅く終わってしまっている。


    ユウバリソウとユキバヒゴタイ。このユキバヒゴタイも簡単に見られる代物では無い。

 ユウバリソウとともにこの場所で是非見たいと思っていたもの、いや、今回この山でいちばん見たかった花がシソバキスミレという夕張岳の特産種だった。葉っぱだけでも残っていないかと探したのだがとうとう見つけることは出来なかった。撮影して来た画像を拡大して調べたがやはりシソバキスミレは見つからなかったが、クモマユキノシタに紛れて、もう1種類、まだ見たことの無いスミレの葉を発見した。

    クモマユキノシタ


    上記画像の左端をトリーミング。タカネスミレのような円い葉っぱ、これは北海道に特産するエゾタカネスミレの葉。

 蛇紋岩の砂礫帯を過ぎて最後の急登をさらに登ると、その先には神社があり周辺はミヤマアズマギクやミヤマリンドウが咲く小さなお花畑になっていた。そこから山頂まではわずかだ。

    夕張岳神社と夕張岳山頂


    ミヤマアズマギクのお花畑


    ミヤマオグルマ。これも北海道の限られた山でしか見られない。茎や葉に白いクモ毛が多く、全体が白っぽく見えるのが特徴。


    夕張岳山頂。後ろに見えるのは芦別岳。


    山頂で記念撮影。三脚忘れたので、ザックの上にカメラを置いて撮影。

 10時40分、夕張岳山頂に到着。花を見ながら登り7時間と見ていたので、予定よりも若干早く到着した。山頂で昼食をとる。夕張岳ヒュッテで出会った人たちとは別の調査隊の人たちがやって来て、情報を得ることができた。この山もやはり鹿の食害でだいぶ痛めつけられているようだ。
 
 昼食後下山開始する。湿原の中はやはり名残惜しく、帰りもいろいろと撮影しながら戻ったが、樹林帯に入るとあとは下るだけ。ただ黙々と下ったという感じだった。樹林帯の中にまだ見たことの無い稀少なランがあるという情報をいただいたが、とうとう見つけることはできなかった。午後3時、夕張岳ヒュッテに到着する。

    山頂からの下りで歩いてきた方向を望む。ずいぶん遠くまで来たもんだ。右手の白い砂礫地がユウバリソウやシソバキスミレが咲く場所。


    トウゲブキとシロウマアサツキのお花畑


    ムシトリスミレは湿地帯にたくさん咲いていた。


    やっぱり気になるこの黄色いスミレ。

 
 さて、テント撤収し、また長い林道を歩いてゲートまで戻る。調査隊の車が乗せて行ってくれないかという甘い期待もあったが、満席で林道を歩いていた私たちをあっさり追い抜いて行った。しかし、最後の最後で、林道を歩いたご褒美が待っていた。キソチドリらしき花が咲いていたその向こう側を覗いていたみちほさんが突然「あーっ」という大声を上げた。何事かと思ったらその先には・・・クモキリソウが固まって10株ほど咲いているではないか。感激!!林道歩きの疲れも吹き飛んだ。そしてここで初めて、三脚を使うことになる。

    クモキリソウの群生


    クモキリソウ


    この不思議な花の形。感激だ。

 午後6時、ゲートに到着する。車はもう数台しか止まっていない。やはり疲れた。林道を車で走っていると、道の真ん中で犬が座り込んでいる。クラクションを鳴らしても逃げる気配が無い。良く見れば、犬では無くてキツネではないか。ずいぶん人慣れしている。足に怪我を負っているようで、通る車の人に餌をねだっているようだ。可哀そうだが餌付けするわけには行かず、追っ払って道を進む。

    道の真ん中に座り込んでいたキツネ


    人なつこくて可愛いが、餌はやれないよ。

 夕張で日帰り温泉につかり、そこで夕食をとる。時間は夜の8時半になってしまった。みちほさんはこれから層雲峡まで移動して車内泊、明日黒岳とお鉢めぐりをした後にフェリーに乗って帰宅するそうだ。我々はどうするか、連休中日だけに宿がとれるのかどうか?夕張市内のホテルに電話してみると、1件目であっさりと宿をとれた。夕張温泉シューパロ、夕張駅の近くのホテルだった。なかなか良いホテルだったが、洗濯と乾燥器にかけるだけで精一杯。速攻で眠りに着いてしまった。


 夕張岳ヒュッテへの道はいずれ修理して再開するという話だった。それなりの花は見ることができたのだが、シソバキスミレが見られなかったのはかなり心残りだ。そして三脚を忘れて、きっちり撮影出来ていないこと。機会があったらもう一度この山を訪れてみたい。

(翌日はトムラウシ温泉に移動してテント泊、そして翌々日からヒサゴ沼2泊でトムラウシ山界隈に登る)

花咲くトムラウシ山へ ヒサゴ沼2泊(1日目) 北海道遠征5  平成25年7月16日-18日

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 日帰りでの登頂が難しかったトムラウシ山も,短縮ルートが出来て以来山頂ピストンの日帰り登山が主流を占めるようになってきた.しかし,周辺にお花畑が広がるこの山,それらを見ないで帰って来るにはあまりにももったいない山である.今回はトムラウシ山界隈のお花畑と景色を存分に楽しむために,ヒサゴ沼テント2泊で楽しんでくることにした.縦走するか,ピストンするかかなり迷ったが,車の回収等の手間と時間を考えて,短縮ルートから往復することにした.前日の7月15日,夕張のホテルを遅めに出発し,十勝清水で昼食をとり,トムラウシ温泉のキャンプ場にテントを張って1泊した.そして朝6時,短縮ルート駐車場に移動し,出発する.

 7月16日(1日目)

 短縮ルートの駐車場は7〜8割の駐車率で,ほとんどの人がもう出発した後だった.おそらくは日帰りの登山者が圧倒的に多いのだろう.15分ほど歩いてトムラウシ温泉からの道に合流する.そのあたりは笹が混じるツガの樹林帯で,登山道脇を探すとキソチドリらしき花が咲いていた.これがあるところには他にも変わったものがあるのでは?と探しながら歩くと,出会ったことのない小さな白い花を発見した.まだ蕾で咲いていない.

    トムラウシ山短縮ルートの駐車場


    キソチドリと思われる花


    この小さな白い花は?帰りに咲いていることを期待する.

 緩急のある登りを進むとカムイ天上というところに出るが,眺望は無い.その少し先に旧道との分岐があるが,旧道は閉鎖されている.その先は単調な笹原の道が続くが,途中から雲海の上に抜け,一面に広がる雲海の景色を見ることができた.

    カムイ天上.展望は無い.


    笹原から見下ろす雲海.右の山は十勝連峰か?

 1時間ほど笹原の道が続き,今度は沢に下りる急下りとなる.下ったところがコマドリ沢で,まだ雪渓が残っていた.踏み跡に従って進んで行くと雪渓の上に右に曲がる赤ペンキのサインが施してあり,ここからは雪渓の登りとなる.かなり長い雪渓が続き,雪渓が終わると今度は岩ゴロゴロのモレーンの道,さらにハイマツの急登と続き,登りついたところで前トム平という平坦地に到着する.ここに着いてようやくトムラウシ山の全容が見えるようになる.

    コマドリ沢雪渓に書かれたペンキサイン


    霧の立つコマドリ沢雪渓を登る.どこまで続く,この雪渓?


    今度は岩ゴロゴロの道,さらにハイマツの急登.


    前トム平直前のお花畑.イワブクロとチシマキンレイカ.


    チシマキンレイカ


    前トム平

 前トム平から見るトムラウシ山はもうすぐそこに見えるのだが,登山道はこの先一旦トムラウシ公園という湿地に一旦下がり,さらに左側(南側)に大きく巻いて南沼から登るように着いている.見た目よりも山頂はかなり遠い.まずは南沼を目指す.

    トムラウシ公園に下りる手前から見るトムラウシ山.雲が巻いている.


    トムラウシ公園.公園の中を綺麗な水が流れ,チングルマやエゾノコザクラ,エゾノツガザクラなどがたくさん咲く.


    トムラウシ公園から見るトムラウシ山.

 トムラウシ公園の雪渓を過ぎてその先の南沼までの斜面は,様々な花が一面に咲くお花畑になっていた.すっかり足が止まってしまう.

    ベニバナミネズオウとエゾノハクサンイチゲ.


    チングルマのお花畑


    コマクサ


    真っ赤な色のコマクサが一株.


    マルバシモツケ


    一面にイワヒゲの咲く斜面


    チングルマとエゾノツガザクラ


    チングルマのお花畑と南沼のテント場.


    南沼の分岐点とトムラウシ山.

 南沼のテント場に到着したのは午後2時になってしまう.トムラウシ山を越えてヒサゴ沼まで行くことも可能なのだが,ここからヒサゴ沼まではまだ6kmもある.そしておそらくはこの先も花がいっぱい,ということを考えると,山頂を後回しにして山裾を北沼に行くルートをとることにした.思った通り,この先の北沼に至る山裾ルートは美しい雪渓と花の咲く素晴らしい景色が待っていた.

    お花畑と雪渓.おそらく雪渓の下は小さな沼になっているのだろう.


    キバナシャクナゲの群落


    ミヤマオグルマ


    北沼

 北沼を過ぎると一旦岩ゴロゴロの急下りとなる。その先は木道の整備された道が現れ、ハイマツとお花畑の中に岩が混じる美しい場所や、日本庭園と呼ばれる自然に出来た庭園のようなところが続々と現れた。(天候いまひとつだったので、このあたりの画像は3日目の帰路でお楽しみください。)

    エゾオヤマノエンドウ


    ウスユキトウヒレン


    雪渓と池と岩と高山植物が織り成す日本庭園

 木道を過ぎてまた急下りとなって、ヒサゴ沼への分岐点に到着する。ヒサゴ沼へはモレーン帯を過ぎた後に雪渓の下りとなり、最後のところは急傾斜となっているため、真直ぐは下りずの大きくくの字を描いて池まで下りた。さらに雪渓の残る斜面をトラバースして横切り、午後6時ヒサゴ沼避難小屋とテント場に到着した。花や景色は存分に楽しめたがやや長い行程だった。

    ヒサゴ沼分岐点。


    先行する5人組のあとを追いかけるように歩く。この先が急下りとなり、そこで追い抜く。


    ヒサゴ沼避難小屋(左)とトイレ。トイレは旧型の貯留タンク式ポッチャントイレ。


 ヒサゴ避難小屋はツアーの団体客や数組のグループが宿泊しているらしくかなり混雑していた。空いていれば小屋泊りも考えたが、混んでいるので予定通りテントに泊まることにする。テント設営し、夕食を食べている頃にまたしても夕立となり、雷こそ鳴らないものの雨となった。テントの防水が不十分なことは先日のピパイロ岳で承知していたので、テント内の荷物はビニール袋に仕舞い込み、シュラフにはシュラフカバーをかけた。

 雨は1時間ほどで上がり、その夜は星が輝いた。眠る前に三脚とカメラをセットし、対岸の山の上を天の川が立ち上がる様子を連続撮影するようにタイマーをセットしてから眠りに着く。しかし、下山後にパソコンで映像を開いて見ると、20分ほど撮影した後はレンズが結露してしまっていて、天の川が立ち上がるところまでは写っていなかった。

    夕立が去った空に星が輝く。雲が光っているのはその向こうに沈み行く月があるため。


    天の川。あと1時間撮影できていれば真直ぐに立ち上がる天の川が写ったであろうが、この後はレンズが結露して写っていなかった。


 明日は化雲岳、五色岳を越えて五色ヶ原あたりまで往復したいが、全ては明日の天気次第だ。朝起きてから考えることにする。

花咲くトムラウシ山へ ヒサゴ沼2泊(2日目)  平成25年7月16日‐18日

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 前日トムラウシ山短縮ルートから入山し、花と景色を楽しみながら12時間かけてヒサゴ沼に到着し、テントを張った。夕方雨が降ったものの1時間ほどで上がり、夜は空に星が輝いた。さて、この日はいかにして、どこまで歩くか?予定はほぼ未定、全ては天候にかかっている。

 7月17日(2日目)

 朝4時半に目を覚まし食事をとる。そして外に出てみると、雲ひとつない快晴の青空が広がる。さっそくカメラと三脚を取り出してヒサゴ沼と沼に映る山と雪渓を撮る。なんと美しい朝なのだろうか。今日は遠くまで歩くのを止めてお花畑周辺をぶらぶらして撮影に没頭することに決めた。歩かないので植田さんとは別行動にしてもらうことにした。

    朝のヒサゴ沼


    ヒサゴ沼南東側


    雪渓と山を映すヒサゴ沼

 一通りヒサゴ沼周辺の景色を撮り、5時40分、他のグループに一足遅れて出発する。まずは化雲岳に向けての雪渓登りだ。大きな雪渓が1時間ほど続くが、こちらは撮影モードで三脚を手に持ちながら、あちらこちらで撮影しながら登る。

    ヒサゴ沼雪渓と朝日


    彼方に浮かぶニペソツ山


    遥かに続く雪渓


    雪渓上部から望むトムラウシ山

 雪渓が終わると今度は両側にお花畑が広がる木道の道となる。一足遅く出発したのが良かったようで、あまり人に出会うこと無く存分に撮影が楽しめた。

    化雲岳に至る木道とお花畑


    木道脇に咲いたエゾノハクサンイチゲ


    エゾノハクサンイチゲのお花畑


    エゾコザクラ。後ろの白い花はキバナシャクナゲ。


    エゾノツガザクラとトムラウシ山


    自然に出来たチングルマの花壇


    チングルマとトムラウシ山


    化雲岳山頂付近のヨツバシオガマ


    化雲岳山頂

 7時半、化雲岳山頂に到着。この頃にはもう既にトムラウシ山には雲が巻き始めていた。陽が昇り気温が上がり、どうやら朝の天気はそう長い時間持ってくれそうに無い。山頂でブラブラしていると三脚を担いだ青年が登って来た。雲が湧きあがって来たので撮影を急いでいるようだったが声をかけると、地元の写真愛好家で私と似て夜中に星空を撮ったり景色や花、さらにヒグマやナキウサギ、野鳥なども撮影されているかなりハイレベルな方だった。持っているカメラもEos5D mark?、かつティルトレンズというほとんどマニアしか使わないレンズを使用していた。撮影場所や花情報、さらには明日の天気予報まで携帯電話のワンセグで調べてもらって教えていただき、すっかりお世話になってしまった。なんとなく私と同じような匂いがして楽しかった。化雲岳先にある広大なチングルマのお花畑を案内してもらい、そこで別れて私は先に進んだ。

    広大なチングルマのお花畑とトムラウシ山


    こちらは大雪山側。(旭岳はギリギリで写っていない)


    エゾノツガザクラのお花畑

 化雲岳の先を下って行くと下に沼地が見え出し、木道が通っていた。その湿原の周辺は凄いお花畑になっており、そこには今回の北海道遠征で是非見たかったホソバウルップソウの群落があった。もう時期が遅いと聞いていたのだが、場所によってはちょうど見頃のところもあって、この場所で完全に足が止まった。

    沼地周辺に広がるエゾノハクサンイチゲとホソバウルップソウのお花畑


    ホソバウルップソウとエゾノハクサンイチゲ


    ホソバウルップソウ群落。黄色い花はチシマノキンバイソウ。


    ホソバウルップソウ。八ヶ岳のウルップソウとは全く別物に見える。咲いている環境も八ヶ岳は乾燥した砂礫帯の中に咲くのに、こちらは湿原の周辺を好んで咲いている。


    クモマユキノシタの群落


    ヨツバシオガマともう終焉のホソバウルップソウ


    リシリリンドウ


    こちらはミヤマリンドウ。上との違いわかりますか?こちらは大きな花びら(裂片)の間にある小さな花びら(副片)が外に開くのに対して、上のリシリリンドウは開かずに花の中心部を塞ぐように付きます。


    またもや黄色いスミレ発見。この葉っぱはジンヨウキスミレ。後に出会ったプロガイドさんに聞いたところ、大雪山では普通に咲いているらしい。

 ここまでで既にあたりには霧が巻いてしまい写真撮影には不向きな状況となってしまった。植田さんはどこまで行ったやら??とりあえずはその先の五色岳まで行ってみることにする。五色岳周辺はハイマツにおおわれていて花は咲いていなかった。11時過ぎ、五色岳到着するが、当然の如く植田さんはいない。さて、どうしましょうか?ひとまずは山頂で休憩する。

    ハイマツの切れ目から見る五色岳


    五色岳山頂

 ガスが巻いて視界が悪く、五色ヶ原に行くのは止めてヒサゴ沼に戻ることにした。下山し始めようとした時に、何故か歩いて来た化雲岳側のルートから植田さんが現れた。どうしたことかと思ったら、ルートを間違って天人峡側ルートに入ってしまい、途中で会ったプロガイドさんと話をしていて間違えたことに気付いたらしい。ということで無事に合流し、ヒサゴ沼に戻ることになる。

    化雲岳に至る木道の道


    化雲岳山頂付近に咲いていたエゾルリソウ。先ほどのカメラマンに教えていただいた。


    エゾコザクラのお花畑

 化雲岳を過ぎてヒサゴ沼雪渓にさしかかったところで2人組の登山者が霧の中を雪渓から戻って来た。視界が利かず雪渓の上の足跡も不明瞭で戻って来たそうだ。私は朝登って来ているので行けるだろうと思い、2人を先導して歩くことにした。目印の岩を過ぎて足跡らしきものをたどって真直ぐに雪渓の斜面を下る。視界はほとんど10mほどしか利かず、途中で右に曲がるはずだったのでそれらしきところを右に曲がって進んだところ、その先の雪渓は籔で寸断されていた。どうやら間違えたようだ。少し戻ると、私たちの足跡をたどって後ろから3人組のパーティーが付いて来ていた。7人で地図とコンパスを広げてルートを探るが、まとまらず、ひとまずは引き返そうということになった。そして少し戻ったところで今度は5人組のパーティーが我らの足跡をたどって下りてきた。そのうちの一人は救世主、地元のプロガイドさんだった。我々の足跡をたどりながら、これは間違っているのではないかと思っていたようだ。ガイドさんたちのグループの後ろについて藪を左側にひとつ回り込むと、その先に露出した登山道の階段があった。その先の雪渓を下り、無事にヒサゴ沼避難小屋にたどり着くことができた。プロガイドさんの凄さを改めて知った。そしてルートの情報や花の情報もいただいた。

 時間はまだ午後2時を少し回ったところだったが、この日はもう歩くことを止めてテントの中でおとなしく過ごした。霧が晴れた時に道に迷った雪渓を見上げてみると、下りるはずだった雪渓の上にもう1本大きな雪渓の帯があった。曲がるところの高度を間違えたようだ。自分の感などあてにならないものだと思った。


 さて、翌日はテント撤収して下山だ。あまり悪くはならないとの天気予報だが、山の天気はわからない。もし悪天候ならばトムラウシ山山頂は登らずに迂回して下山するつもりである。

花咲くトムラウシ山へ ヒサゴ沼2泊(3日目)  平成25年7月16日−18日

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 雲海が広がった3日目、下山です。(本文はまたいたつか。)


    3日目の朝


    雪渓登り


    さらばヒサゴ沼。次はいつ会えるか・・・


    岩とハイマツの庭園


    ミヤマリンドウ


    日本庭園の木道


    日本庭園


    日本庭園とトムラウシ山


    モレーン帯を行く


    北沼とトムラウシ山


    迫るトムラウシ山


    青空を映す北沼


    トムラウシ山山頂


    記念撮影


    山頂の岩と雲海


    雲海広がる十勝縦走路


    南沼テント場から見上げるトムラウシ山


    南沼のお花畑


    エゾノツガザクラ


    前トム平。雲が湧く。


    前トム平のチシマギキョウ群生


    前トム平からコマドリ沢雪渓へ


    コマドリ沢雪渓激下り


    埋もれる標柱


    開花しておらず。これはアリドオシラン。

樽前山のタルマエソウ 北海道遠征6  平成25年7月19日

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 北海道遠征も最終日となったこの日は夕方7時半苫小牧東発のフェリーで新潟に渡る予定である。しかし、北海道に来てこの方に会わずして帰るわけには行かない。トムラウシ山に登る前日と下山後に連絡をとる。その方とは・・・平成22年10月に北海道を訪れた時に樽前山と札幌岳をご案内していただいたブログ仲間のtarumae-yamaさんだ。今回は恵庭岳あたりに行きたかったのだが、トムラウシ山下山後の私の体調が悪過ぎた。前日は札幌市街のホテルに泊まったが、登山疲れと運転疲れがどっと出て、ホテルに到着するともう出かける元気も無くグッタリ。ススキノにくり出す元気など全く出ず、風呂に入ってすぐにベッドに倒れ込むように寝てしまった。翌朝も疲れが抜けず、手足と顔がむくんでいるような感覚がある。おそらくはこうなるだろうと予想して、前日の打ち合わせできつい登りのある恵庭岳は避けてタルマエソウが見頃を迎えている樽前山を指名した。7合目まで車で行ける登り易い山だが、それでも登れるかどうか、一抹の不安があった。

 朝9時、札幌場外市場に行ってお土産を買い、11時半に樽前山7合目の駐車場でtarumae-yamaさんと待ち合わせする。平日だというのに駐車場はほぼ満車に近い。12時少し前に出発するが、案の定tarumae-yamaさんのピッチに全く付いて行けない。風不死岳(ふっぷしだけ)分岐あたりでは軽い吐き気を催し、ペースダウンしてもらってなんとか稜線の大岩のところまで登り、そこで昼食をいただく。tarumae-yamaさんの奥様が準備してくれたハスカップの漬物が入ったおにぎりをいただき、水を思い切り飲んでようやく若干体調が改善し、ピッチは上がらないものの歩けるようになった。

    樽前山7合目駐車場。平日なのに満車近い。


    支笏湖を望みながら反時計回りに樽前山周回する。


    モウセンゴケ。湿地帯に生えるものかと思っていたが、この山には普通に生育している。


    寄生植物オニノヤガラ。数本発見。


    タルマエソウ(イワブクロ)と樽前山。こちら側からは樽前ドームは見えない。


    タルマエソウ

 5時までに下山すればフェリーには十分間に合うので、時間はたっぷりある。この先は樽前ドームと見頃を迎えたタルマエソウを見ながら花三昧で歩く。標高1,000mほどしか無い山なのに、ここは森林限界を越えた八ヶ岳硫黄岳界隈を歩いているような雰囲気がある。

    満開のタルマエソウと樽前山ドーム


    イワギキョウ


    タルマエソウとドーム


    まずは西山に登る。


    西山山頂近くに咲いていたイワギキョウ


    コケモモの群落


    西山山頂。草むらの中を覗きながら歩く2人はまるで花見隊。

 西山山頂から東山(樽前山山頂)にかけての稜線は海を望むことができる。樽前山は苫小牧市に属しており、海からは近い位置にある。そのため海風が吹き海雲が発生しやすく、しばしば山は霧におおわれる。あっという間に霧に囲まれたかと思えばまたすぐに晴れる。

    海雲が湧く樽前山


    タルマエソウと樽前山とtarumae-yamaさん。


    噴煙を上げる樽前ドーム。しかし、平成22年に来た時よりはおとなしい。


    途中で寄り道。この山にコマクサがたくさん咲いているが、これは誰かが持ち込んだものらしい。増殖の勢いが凄くもはや駆除は困難と思われる。


    樽前山山頂

 午後3時45分、ゆったり歩きでなんとか山頂に到着した。この山を知り尽くしているtarumae-yamaさんのご案内だったので、花を余すことなく楽しむことができた。しかしコマクサがこれほどたくさん咲いているとは驚いた。かつては登山道から見えなかったらしいが、今では登山道から覗き見られる位置まで広がっている。今後の植生の変化が心配である。

 お世話になったtarumae-yamaさんに別れを告げ、苫小牧東港に向かう。6時前に到着し、余裕でフェリー乗車に間に合った。2週間という長期休暇はもう退職するまではとれないかもしれない休暇だった。幌尻岳を除けばほぼ予定通りの山に登ることができ、充実した2週間だったと思う。

きっとある 釈迦ヶ岳  平成25年7月26日

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 御坂山塊の山々には様々な稀少植物が咲く花の宝庫であることを今年になってから改めて知った。そしてトレーニングか体調を確かめる時にもっぱら登っている釈迦ヶ岳にも珍しい花が咲くことを某花見隊のブログから知った。その珍しい花はもう既に終わってしまっているだろうが、もうひとつ、まだ蕾だった得体の知れない花は何なのか?そして来年のために珍しい花が咲いている場所も確認しておきたかった。


 特徴的な葉の形をしているその花は、葉を探して歩くことになる。空模様がいまひとつで薄暗い林の中は花が探しにくいが、左右の草地の中を覗き込みながらゆっくりと歩く。

    ウスユキソウは結構ある。


    シュロソウ。あまり気にしていなかったが、結構咲いていた。


    咲き始めたばかりのシュロソウ


    ママコナ。これは年々数が減っている。

 そして発見、やはり花は終わってしまっているが、クモキリソウ属の葉っぱ。クモキリソウかジガバチソウのいずれかだろうと思われるが、来年の花のシーズンが楽しみだ。周辺を捜したがこの2株しか見つからなかった。さらにその先を探すと、気になっていた花が咲いているのを見つけた。咲いた花を見ても何だかわからない。背丈10cmほどの白い花、キソチドリのようだが、それにしては背が低く花が緑色ではない。

    発見!クモキリソウ属の葉っぱ。どんな花が咲くのか、来年が楽しみ。


    もうひとつのお目当てがこれ。キソチドリ?八ヶ岳で見たものはもっと背が高くて緑色の花だった。


    エクステンダーで接写


    もう一株発見。


    ??

 2時間ほどかけて山頂に到着。富士山どころか向かいの黒岳山塊にも雲がかかりはじめている。夕立に見舞われそうな空模様だ。急いで下山し、40分で登山口に到着した。

    山頂に咲いていたホツツジ


    釈迦ヶ岳山頂の夫婦地蔵。空模様が悪い。


    気がつけば笛吹市の新しい標柱が立っていた。

 季節を変えて何度も登っている御坂山塊の山々だが、富士山の眺望だけでなく植生もたいへん豊かな山域であることを改めて知らされた。きっとまだ他にも見たことのない植物がたくさん生育していることだろう。環境の変化や鹿の食害で絶滅してしまわないことを祈る。

コマクサ咲く八ヶ岳硫黄岳から横岳(前編)  平成25年7月27日‐28日

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(写真枚数が多いので前編・後編の2部に分けてお届けします)

 7月26日の夜、北海道の土産話が聞きたいということで久しぶりにヨッシー隊のメンバー6人が集まって夕食会を開いた。写真を見たかったようだが、新病院に移転後自分で自由に使える部屋が無くなってしまい、プリンター等の写真関係のセットアップが出来ておらず現在写真プリントはほとんど出来ない状態になってしまっている。旧病院内にあった写真コーナーも新病院移転後は無くなってしまっている。壁に自由に壁掛けピンが打てないこと、デザインの問題等いろいろあるようで、再開の話はあるものの全く進んでいない。そういうことで集まったメンバーの皆様には申し訳なかったが、写真は無しの雑談と愚痴の会になった。
 メンバーの一人が夏休みをとって明後日から1泊2日で仙丈ヶ岳に行くという話題になった。しかもわざわざ長野側戸台側からバスに乗るという。花の終わっているこの季節に何故に仙丈ヶ岳?八ヶ岳ならコマクサが満開の頃だという話をしていたところ、一緒に行くはずだった友人から都合悪くなって行けなくなったというメールが届いた。ではどうするのだということになり、最終的に八ヶ岳に行くことになった。しかも私と植田さんが着いて行くことに。当直疲れがまだ抜けていないので早立ちは避けて27日ゆっくり出発、赤岳鉱泉宿泊でおいしい食事をいただき、翌日硫黄岳・横岳を越えて南沢から下山というプランを立てた。

 27日は10時に職場駐車場に集合する。メンバーは3人、まずは赤岳鉱泉に電話を入れて予約すると、あっさり部屋がとれた。美濃戸まで車で入り、12時半に出発、赤岳鉱泉に向かって北沢の林道を進む。もちろん花を探しながら歩くが、かつて咲いていたクリンソウの姿は無く、イチヤクソウ以外は目ぼしいものは何も見つからなかった。

    林道終点。ここから登山道。止まっている車は赤岳鉱泉関係者か林業関係者の許可車両。


    林道脇に咲いていたイチヤクソウ

 橋を渡り北沢沿いの登山道に入るとさっそく植田さんが花を発見。未だに判別ができないキソチドリらしきラン科の花が数本咲いていた。形は先日釈迦ヶ岳で見つけたものとほとんど同じだが、ここに咲いているものは花が緑色をしている。そしてその先で偶然発見した花は・・・一見した時はイチヤクソウかと思ったのだが、近付いて良く見れば花の形はイチヨウランにそっくりだ。最近図鑑のラン科植物ページを再三見ているので、すぐにその花とわかった。それは、超稀少な植物、コイチヨウランだ。

    発見!キソチドリ(だと思う)


    別株


    イチヤクソウほどの背丈と花の大きさしかないこの花は・・・コイチヨウラン。


    コイチヨウラン。1株しか発見できず。もう2度とお目にかかれないかもしれません。


    テガタチドリ。赤岳鉱泉周辺の草むらには結構生えていた気がしますが、今回見つけたのはこの1株だけ。


    赤岳鉱泉手前の草地。ほとんど雑草の草ばかり。ここも鹿の食害か?

 午後3時50分、赤岳鉱泉に到着。団体客が何組も入っており混雑してはいるが、4人分の布団に3人で寝ることができたので寝場所にはゆとりがあった。夕食は5時半からということで、それまでの間に外を散歩したりお茶を飲んだりして過ごすが4時過ぎあたりからぽつぽつと雨が降り出す。そして夕食時間の5時半になると土砂降りの大雨になった。夕立なので止むだろうが、明日の沢沿いの道は大丈夫なのかと心配するほどの雨だった。1時間ほど降って雨は小降りとなった。

    テント場と赤岳鉱泉。ぽつぽつと雨が降り出し、その後土砂降りに。テントの人はちょっと大変だっただろう。


    食事が豪華なことで知られる赤岳鉱泉。この日の夕食は牛ステーキ。ご飯とスープはおかわり自由。激おいしかったです!(今回の目的のひとつはこの豪華な夕食です。)


 翌朝は可能ならば硫黄岳山頂で日の出を迎え、写真を撮りたかった私は、夕食後すぐに睡眠薬マイスリーを2錠服薬した。5時半山頂として逆算して未明3時には赤岳鉱泉を出発したい。1錠で4時間、2錠で6時間眠れることは今まで星空の撮影のために使用した経験からわかっている。6時半には眠りに就いたので、おそらく目が覚めるのは深夜1時ごろだろう。

 そして目が覚めたのは・・・時間通り深夜12時半。窓の外を見ると星も月も見えない曇り空のようだ。布団の中で2時まで横になり、周りの人を起こさないようにそっと布団から出て洗面所に行き、歯磨きと洗顔後準備して2時半に赤岳鉱泉を一人で出発した。霧に巻かれた登山道を道迷いに注意しながら登り、赤岩の頭手前あたりで夜が明け始めて明るくなりヘッドライトを外す。うまくすれば雲海の上に抜けられるのではという期待も空しく、霧に巻かれて何も見えない。予定通り5時10分、硫黄岳山頂に到着した。

    霧に巻かれた赤岩の頭分岐点。4時45分通過。


    何も見えない硫黄岳山頂。5時15分。


 折角暗い中を登って来たのにこの天候では写真にならない。自然が相手だけにこればかりは仕方無い。赤岳鉱泉で作ってもらった朝食弁当を石室の脇で風を避けながら食べていると、西の空が明るくなり青空の下に御岳山と中央アルプスが一瞬姿を現した。消えたかと思うとまた姿を現し、次第にその山容がはっきりと見えるようになる。そして遂に・・・(後編に続く)。

コマクサ咲く八ヶ岳硫黄岳・横岳(後編)  平成25年7月27日‐28日

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 前日赤岳鉱泉に宿泊し、日の出に間に合うように未明2時半に出発、5時過ぎに硫黄岳山頂に到着したは良いが、霧で何も見えない。朝食をとりながら休憩していると5時半過ぎから東の空に青空が見え始め、時折中央アルプスと御岳山が姿を現すようになってきた。そして次第に雲が晴れ始め、遂に中央アルプスの山並がずらりと姿を現す。そしてさらに、流れ行く雲の間から赤岳と阿弥陀岳が姿を現した。

    5時20分、霧に巻かれて何も見えない。


    5時38分、西の空に青空が広がり、御岳山と中央アルプスが姿を現す。


    西の空から次第に雲が晴れ始め、山並が見えるようになる。


    遂に姿を現した赤岳(左)と阿弥陀岳(右)


    雲湧く赤岳と横岳


    夜明けの空


    朝日射す阿弥陀岳と南アルプス(甲斐駒ケ岳と仙丈ヶ岳)


    北八ヶ岳、天狗岳と蓼科山


    全容を現した南八ヶ岳の山並

 6時を過ぎた頃から続々と山頂に登山者がやって来た。そのほとんどが夏沢鉱泉側からの登山者だった。そして6時半ごろに仲間の2人が山頂に登って来た。朝食はまだだというので、硫黄岳山荘のところで待っていてもらうことにして先に行ってもらう。三脚を撤収して硫黄岳山荘に向かうが、途中で写真を撮っていてレンズの異変に気付く。霧の影響でレンズの中が結露してしまった。もう1本のレンズは大丈夫なのでそちらに付け替える。

    硫黄岳山頂付近に咲いていたコゴメグサ。レンズが結露して画像が霞んでいる。もう1本の17‐55mmレンズに変える。

 
    硫黄岳山荘付近から見上げる横岳と赤岳


    硫黄岳山荘付近のコマクサ群落。株は小さいが数はたくさんある。


    チシマギキョウと阿弥陀岳


    イワツメクサと硫黄岳


    コマクサ群落と阿弥陀岳

 硫黄岳山荘周辺はコマクサがたくさん咲いている。そしてその先の横岳に至る砂礫の中もほとんどコマクサだらけだ。鹿の食害対策のために電流柵が張りめぐらされて保護されている。よくぞこれだけの範囲を囲んだものだと感心させられる。

    保護柵内のコマクサ群落


    こちらは電流柵内のコマクサ群落。見渡す限りのコマクサ。


    白花のコマクサ一株。向こうは硫黄岳。


    ハクサンシャクナゲ。


    混雑する硫黄岳の稜線


    ムカゴトラノオ


    綿毛になったツクモグサ


    団体さん数組重なったらしく、大混雑の横岳山頂。ここを避けて休憩する。


    静かになった横岳山頂。

 渋滞していたカニの横ばいで団体さんの通過を待ちつつ、横岳山頂には9時半ごろに到着した。大混雑していた山頂を避けてその先で休憩していると、10分ほどで山頂は静かになった。その後はさほど大人数のグループと出会うことも無く、花の写真を撮りながら稜線歩きを楽しむ。ウルップソウやヤツガタケキスミレはもう終わってしまっているのだが、黒くなったウルップソウの花を見る限りでは、今年はたくさん咲いたようだ。

    チョウノスケソウも綿毛になるようだ。


    もう散ってしまったウルップソウ


    今年はたくさん咲いたようだ。


    ムシトリスミレの群生。かなりたくさん咲いていた。


    イワオウギ


    地蔵の頭への下りにイブキジャコウソウ。

 地蔵の頭に11時半ごろ到着する。ここから行者小屋までが地蔵尾根の急下りだ。2度登っているがいずれも残雪期で、見上げるような雪の階段登りだった記憶がある。下ってみると傾斜はきついが道は良く整備されている。次第に山は雲に巻かれ始め、雨が降り出すがすぐに止んだ。行者小屋まで下りてここで昼食にする。

    地蔵の頭。横岳はもう雲におおわれている。


    地蔵尾根激下り。こんな金網の柵はあっただろうか?記憶に無い。


    行者小屋で昼食。おでんを注文したがタイミングが悪く、まだダシがしみ込んでいなかった。

 午後1時50分に行者小屋を出発して北沢の道を下るが、こちら側の登山道周辺に広がる森は苔が生い茂る豊かな森だ。きっと凄いものがある!と目を凝らして森の中を覗き込みながら歩くと、鳳凰山で見て以来となるコフタバランを発見した。コイチヨウランがあるのではと探したが発見できなかった。なんとか天気は持ってくれて、午後5時、美濃戸に到着した。

    南沢で見つけたコフタバラン


    コフタバラン(別株)


 夏の恒例で登っている横岳だが、ほとんどがウルップソウ目的だ。2008年に登った時のウルップソウが大当たりで、時間を忘れて撮影に没頭し、帰りは雷雲に追いかけられながら急いで下山した記憶がある。その季節はまだコマクサが咲き始めたばかりの頃で、いつかコマクサ満開の季節に行ってみたいと思っていた。今回は突然決まった八ヶ岳登山だったが、ちょうど見頃の時期に訪れることができた。想定外にたくさん咲いていた。それ以上の収穫がコイチヨウランだったと思う。また会うことができるかどうか・・・たくさん咲いてくれることを願う。

富士山麓の森 その後 アオフタバラン他  平成25年8月8日

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 今年になってからもう4回ほど訪れている富士山麓の森はホテイラン咲く八ヶ岳南麓の森と並んですっかりお気に入りの場所となった。クモキリソウは北海道遠征の時期と重なってしまいとうとう見られなかったが、そろそろアオフタバランが見頃を迎えている頃だろう。ちょうど花見隊のみちほさんが行ってこられたばかりでメールを送ってくれ、比較的良く眠れた当直明けの午後に行ってみることにした。

 林道脇の広場に車を止めて歩くと、林道脇の土手は鹿の踏み荒らした足跡がたくさん走り、かなり傷んでいた。貴重な花たちは大丈夫なのだろうか?道脇にあったアオフタバランを探すと・・・咲いている。ほぼ満開だ。図鑑で見た通りの緑色の小さな花だ。

    林道脇に咲いていたアオフタバラン


    ウバユリ

 コアツモリソウのその後の様子を見にそっと森に入る。曇り空だとこの森は夕方のように薄暗く、小さな葉を踏みつけないように足元に注意して進む。コアツモリソウは花が散って細長い種になってしまっているもの、種も落ちてしまっているものがあった。小さな森の妖精は鹿の食害にはあっていないようだ。その周辺にはアオフタバランもたくさん咲いている。

    コアツモリソウその後


    種になっている。


    アオフタバラン


    アオフタバランの群生


    アオフタバラン接写

 その後のスズムシソウやクモキリソウの様子も見に行ってみる。葉っぱは虫に食われているものもあったが、ほとんどは健在、クモキリソウの株もしっかり咲いてくれたようだ。

    スズムシソウその後。こちらの株は無傷。


    クモキリソウその後。隣の株は虫か鹿に食べられて花がまともに咲かなかったが、こちらはしっかり咲いたようだ。

 そしてまた見たことのない新しい花の芽を発見した。あと2週間もすれば咲きそうだが、これはいったい何だろうか?甲府に戻ってから図鑑と写真をにらめっこすると、これはヒメミヤマウズラという花だ。10株ほど発見した。

    またまた見たことのない花と遭遇。


    ヒメミヤマウズラ。あと2週間もすれば咲きそうだ。


 訪れるたびに新たな発見がある富士山麓の森。また新しい花と遭遇し、開花を待ってまた見に行くことになりそうだ。

レンゲショウマ咲く御坂黒岳  平成25年8月17日

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 暑い、とにかく連日の猛暑の甲府盆地。車の温度計は連日のように40℃を越えている。下手に近場の低山などに行こうものなら、暑さでうだってしまいそうだ。南アルプスに行くだけの時間もとれない。ならば、得意の夜登山、も考えたがそれだけの根性が出ず星も出てくれない。八ヶ岳以来、3週間も山歩きしていないと、さすがにヤバいのでは・・・と思って来る。そこで、近場の山をまだ朝の涼しいうちに登ってお昼ごろに下山、という手段をとることにした。早起きは苦手だが当直が無かった今週は比較的元気なので、なんとか起きられるだろう。

 昨年もこの時期に訪れている御坂山系黒岳の森だが、レンゲショウマがたくさん咲き、オクモミジハグマで吸密するアサギマダラが飛び交う自然豊かな森だ。日向坂峠(どんべいとうげ)側からの登山道沿いにもレンゲショウマがたくさん咲くのだが、今回はほとんど人の入らない西側に派生する尾根を直登する。おそらくはレンゲショウマがたくさんあるはずだ。朝5時起き、7時を少し過ぎた頃から登り始める。

    林道を歩き始めるとさっそくアサギマダラがお出迎え。


    こちらのキアゲハは眠っているのか、カメラを近付けても全く動かない。


    すずらん峠への登山道から黒岳の森に入る。

 標高1500mあたりのところで登山道を外れて尾根に取り着く。道は無いのだが草籔ではなく、普通に歩ける。レンゲショウマらしき葉っぱはたくさんあるのだが、花はほとんど着いていないし、咲いた様子も無い。全てがレンゲショウマでは無く、トリアシショウマが半分ほど混ざっているようだ。まばらに咲いているレンゲショウマを見つけたが、1〜2週間時期が遅く、もう花が痛んでいるものや散ってしまっているものが多い。

    トリアシショウマが半分ほど混じる。


    まばらにマルバタケブキが咲く。


    ポツリポツリと咲くレンゲショウマはやや時期が遅い。


    レンゲショウマの群生だが、ほとんど花の咲いた様子が無い。ハズレ年なのか、それとも咲かないのか、あるいは鹿の食害か??


    咲き残っていたレンゲショウマ


    逆光のレンゲショウマ

 獣道を頼りに森を右に左にさまよいながら登って行く。ヤブレガサと思っていた葉っぱはどうやらモミジガサだったようで、たくさんの花茎を長く伸ばしていた。不思議なのは食害らしきトリカブトの花芽だ。毒草だと思うのだが、場所によってはほとんど食べつくされている。

    モミジガサの大群落と花茎


    モミジガサの花。もうほとんど散って痛んでいる。


    食害と思われるトリカブトの花芽。

 山頂まであと10分ほどのところで日向坂峠側の道と合流する。そのあたりから花の様子が少し変わり、ハクサンフウロ(カイフウロ?)やオクモミジハグマ、テンニンソウ、フシグロセンノウなどが咲き、吸密するアサギマダラが舞っている。

    ハクサンフウロ(カイフウロ?)


    テンニンソウで吸密するアサギマダラ。


    シュロソウが登山道脇に咲く。


    山頂に咲いたフシグロセンノウは今年は大当たり。


    何アザミでしょうか?フジアザミ以外はほとんど区別できません。


    黒岳山頂。

 展望台に行くと、この季節にしては珍しく富士山が見えていた。時間は9時45分、気温は約20℃、さほど暑くは無く、快適だ。軽食をとって30分ほど富士山を眺めて下山する。富士山が見えているので、すずらん峠側のルートを下山し、花と富士山が一緒に写し込める場所が無いかどうか探しながら下ったが、残念ながら良さそうな場所は見つからなかった。

    黒岳展望台から見る夏富士


    下界は今日も猛暑日だが、空の上を流れる雲は秋の筋雲。


    マルバタケブキ。バックに富士山は写し込めず。


    再び逆光のレンゲショウマ。尾根筋よりもこちら側のルートのほうがたくさん咲いていた。


 11時過ぎに下山したが、車の温度計は既に30℃を指していた。山上の気温もおそらくは午後になるとそのくらいの温度になると思われる。猛暑の中を歩くのは肥満体形で大汗をかく私にとってはかなり辛い。

『山と花と星の奏でる写真展』開催します

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 ブログ上で少しだけ予告していた写真展をアウトドアショップエルクで開催します。この会場をお借りしての写真展は今回で3回目となります。全て夜の写真です。






 山梨の山に登った帰りにでも、また、山に登らない方でもお気軽にお立ち寄りください。

見頃を迎えたミヤマモジズリとビランジ 茅ヶ岳  平成25年8月18日

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 前日の黒岳と同様に気温の上がる時間を避けて早朝から茅ヶ岳に出かけた。といっても、5時起床で登り始めたのは7時過ぎ。大明神林道まで車で入り、短絡したので順調に登れば10時には山頂に到着できる。が、通いなれた茅ヶ岳、通常のルートでは満足しない。今回は良くルートを間違えて直登してしまい、引き返して来る登山者が多い道(といっても道は無い)を、故意に登ってやろうと思う。果たしてどこに出るのやら?ひょっとしたら、そろそろ見頃を迎えるであろうミヤマモジズリが群生しているところを発見できるのでは?という期待もあった。

 女岩側のルートを進むと、入ってすぐのところに咲き始めたばかりの小さな白い花を発見した。このあたりは何も咲いていないだろうと決めつけていたのでいつもはノーマークの場所だが、登山道脇すぐのところに咲いていたのですぐに目に留まった。先日の富士山麓の森で発見したミヤマウズラだ。(ブログではヒメミヤマウズラと記載しましたが、いずれもヒメが付かないミヤマウズラです。訂正します。)登山道両脇にたくさん咲いていたが、咲いていたのはこの付近だけで、その先では見かけなかった。

    発見!ミヤマウズラ。ラン科の植物。


    たくさん群生していたミヤマウズラ


    同、接写。


    フシグロセンノウがポツリポツリと咲く。

 女岩は崩落が進んでおり、現在も立ち入り禁止になっている。が、状況を確かめに立ち寄らせてもらう。右側の崩落はあまり無いようだが、左側はまだ崩れているようで、さらに崩落しそうな岩が露出している。まだ立ち入り禁止の解除は難しそうだ。夏場だけあって水は細いが十分に流れていた。

    女岩の水場付近。こちら側の崩落はあまり無さそうだ。


    一方、左側は崩落した岩が積み重なっており、上部には今にも崩れそうな岩がむき出しになっている。

 登山道に戻り、急斜面を登る。後ろから来た女性に先を譲ったが、その女性が良く登山者がルートを間違える真直ぐ登るコースに入り込んでしまっていた。後ろを追いかけて本来の登山ルートを教えてあげるが、このルートこそが本日私が登ろうとしているルート(といっても道は無い)だ。良く間違える人がいるので一時テープが張ってあったのだが、無くなってしまったようだ。目の前には大きな岩が立ちはだかり、真直ぐ進むには難しそうだ。右側に巻く獣道があったのでそちらに進むが、当然の如く途中で道は無くなる。岩を巻いて上に登ると急登の尾根になっており、それをひたすら直登する。上の稜線が見え始めたところでまた大きな岩があり、どちらに巻こうか考えながら近付くと、その岩の下には明らかな道(と思われるもの)が通っていた。おそらくは古い林業作業道だろう。それを右に進むとあっさり尾根にたどり着いた。その尾根も道は不明瞭なのだが、何度か歩いている祠のあるピークから下るルートなので、容易に場所がわかった。予想では祠のあるピークに直登するだろうと思っていたのだが、だいぶ東側に登り着いてしまった。祠ピークに向かって尾根の斜面を登ると、あっさり到着した。時間は9時45分、右に回り込んだことと、途中の草むらでうろついていたため、だいぶ時間がかかった。残念ながら目ぼしい花は見つからなかった。

    前方に大穴の空いた岩が立ちはだかる。右に巻いたが、左に巻いたほうがおそらく楽だっただろう。


    見上げるような急斜面、その上にはまた岩が立ちはだかるが、岩の下に明瞭な道が走っていた。


    廃道となっているルートの途中にある、祠の立つピークに到着。


    周辺の草むらは珍しい花が咲きそうな雰囲気があるのだが、見つけたのはシュロソウくらい。


    見上げる茅ヶ岳。朝の冷え込みが少し強くなったためか、ツツジとナナカマドは若干紅葉が始まった。


    展望岩から見る曲岳・黒富士山塊。金峰山は雲の中。

 このルートの途中に今回目的としているミヤマモジズリが咲いていることは確認しているが、なかなか良い時期に当たらず撮影は出来ていない。他にもあるのではないかと探しながら歩くが、いつもの場所以外では発見できなかった。まだ咲き始めたばかりの株がひとつ、その他は蕾だったが、例年よりはたくさん咲いてくれたようだ。葉っぱを良く見れば、確かにホテイランやアオフタバランに似たラン科の葉っぱだ。

    ミヤマモジズリ。ちょうど咲き始めたところだが、場所が悪く撮影が難しい。


    こちらはまだ蕾のミヤマモジズリ。

 三脚を立てるのが難しい場所で、かなりの時間を費やしてしまう。登り始めの頃はおそらく先頭を歩いていたはずなのだが、既に団体客を含めてかなりの人が登って行った。正規の登山道に合流し、その途中でも咲いているのを見つけたことがあるので探しながら登って行くと、3株咲いているのを発見した。この場所も三脚がうまく固定できず撮影に苦労する。悪戦苦闘していると、登って来た女性に「このあいだ八ヶ岳で会いました」と声をかけられた。北沢でコイチヨウランの撮影をしている時に通りかかった女性2人組で、風貌と三脚と撮影に熱中している姿ですぐにわかったそうだ。山梨県在住でエルクの常連さんであることも知った。きっとまたどこかで会うだろう。

    この山にも御坂山系同様、シュロソウがたくさん咲く。


    ミヤマモジズリ、3株プラス蕾1株。全ては写し込めず。


    ミヤマモジズリ接写。ピントいまいち、というよりも風で揺れてうまく撮影できず。接写は難しい。

 予定していたよりも1時間以上遅れ、11時半にようやく茅ヶ岳山頂に到着した。山頂にはあふれんばかりの人、標柱の無事を確認して休憩せずに尾根道を下る。途中のガレ地に咲くビランジを見に行く。ちょうど見頃を迎えており、たくさん咲いてはくれたが、さすがに暑い日が続いているだけあって花は焼けて少し痛んでいた。まあ、元気に咲いてくれて良かった。

    茅ヶ岳ツイン・タワー。ニスが剥げ始めており、そろそろメインテナンスが必要そうだ。


    ビランジ満開。


    今年は結構咲いてくれました。

 12時40分に下山したが、この時間には気温がかなり上がっており、車の温度計は30℃を指していた。籔歩きをしたこともあって汗だく、下着を脱いで絞ると汗がぼたぼたと滴り落ちた。何度か訪れている茅ヶ岳のミヤマモジズリとビランジ、今年はきっちりと見ることが出来た。さらにミヤマウズラという新しい花との出会いがあり、暑かったが存分に楽しめた山行となった。

貴婦人スルガジョウロウホトトギスを探しに毛無山山塊へ  平成25年8月31日

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 ジョウロウホトトギスの名を初めて聞いたのは今年の6月、御坂山系の某所にカモメランを探しに出かけた時のことだった。同じ目的で静岡からやって来られた4人連れの方と情報交換をしている際にこの花の名前を初めて聞いた。かなり珍しい花だということはわかったが、咲いている場所は全く想像がつかなかった。

 あまり入山したことの無い丹沢山系の地図を見ていたら、その地図の中に「サガミジョウロウホトトギス」の名前が入っていた。そして仲間のブログを開いて見ると、見事な写真が掲載されていた。さらに別の日に撮影された「スルガジョウロウホトトギス」の写真も載っている。さらにこの名前で他の人のブログを探してみると・・・沢登りする人のブログに「毛無山山系」と書かれていた。どこの沢かは記されていないが、入山場所が書かれていたので、そのあたりをホームグラウンドとしている私にはある程度の場所の予測ができた。そして毛無山塊の美しい沢を撮った古い写真を念入りに調べてみるとそれらしき葉っぱが写っている。沢登りは得意ではないのだが、花を見るためならば・・・水に浸かるのを覚悟の上で、ザイルとヘルメットを装備して毛無山塊の沢に行ってみることにした。


 朝4時に起床したが、甲府は夜も暑くて寝苦しく、汗だくだったので風呂に入ってから出発。入山口は7時になってしまう。山頂に向かういつものルートでは無くて沢筋に向かう。登山道(らしきもの)はついているが、沢を高巻いているので場所によってはザイルで下りなければならない。双眼鏡を片手に川底の岩を念入りに探しながら歩いて行くと、滝の脇の岩壁にそれらしき葉っぱを確認した。良く見ると先端に細長い蕾が付いており、咲き始めたものは黄色く色付いている。間違いない、探しているスルガジョウロウホトトギスだ。ザイルで滝壺に下降しても近付ける場所では無いので、対岸で自身の体をザイル確保しながら、狭い斜面に三脚を固定して撮影を試みる。


    最初に見つけたのはこれ。ホトトギスの葉だが既に花は散っており、上向きに花を付けていることから探し物はこれでは無い。


    滝の脇の岩を見るとそれらしき葉っぱが垂れ下がっている。


    300mmズームレンズで拡大して撮影してみると、まだ蕾だが黄色味がかった花が下向きに付いている。


    別株。黄色い蕾がぶら下がっている。間違いない、スルガジョウロウホトトギスだ。

 滝壺は難しいので別の場所から沢筋に下降して対岸の岩壁を見てみると、手は届かないもののすぐ近くで咲いている花を見つけた。

    岩壁に咲くスルガジョウロウホトトギス


    ズームで捉えた花。この株はもう終わりかけているが、他はまだほとんど蕾。


    ヤマホトトギス。これは道沿いにたくさん咲いている。

 滝を遡上するのは困難なので、道に戻って滝を大きく高巻いて滝の上に出る。滝の直上の岩にも葉があったがまだ咲いていない。さらにその上流に向かい、沢に下降して遡上する。ちらほらと葉は見かけるが咲いておらず、双眼鏡で念入りに探すと崩落した岩ガレの向こうに群落を発見した。落石が怖いのでヘルメット装着し、その場所に近付いて見ると、蕾を付けた群落に出会うことができた。たくさんあるがまだ咲いていない。可哀そうなのは、沢沿いは気象条件や落石が多いためか、蕾を付けたまま茎で折れて落下しているものが散在していた。

    沢を遡上する。雨が少なく水量が少なく、ほとんど靴を濡らさずに遡上出来た。


    蕾のスルガジョウロウホトトギス


    こちらもまだ固い蕾。


    群落に出会えたが、花はまだ1〜2週間早い。

 さらに遡上を続けるが、途中に名も無い綺麗な滝が次々に出現する。そのたびにザックからカメラと三脚を取り出して撮影するので、全く先に進まない。小滝を右側(左岸)に巻いて登ったところ、そのすぐ上で道が通っていたので沢沿いを双眼鏡で覗きながら道を進み、下り易そうなところでまた沢に下りる。谷は次第に浅くなり水量も少なくなってきた。そのあたりはもうジョウロウホトトギスが好みそうな岩壁があまり無く、双眼鏡で探しても全く見つからなくなった。道と沢が近接したあたりで遡上をあきらめ、昼食にする。

    名も無い綺麗な小滝が流れ落ちる。


    次第に谷が浅くなり、岩壁が無くなって来た。


    水量もだいぶ少なくなる。


    この上にはもう無さそうだ。昼食をとって下山する。

 予定では富士山が見えるあたりまで登るつもりだったが、暑くて汗だく、しかも慣れない沢登りは疲れた。時間は12時、標高差も距離もさほど稼いではいないが、目的のものは発見したので本日はここまでとした。

 下山して着替えて車に乗り込むと、ポツポツと雨が降り出した。通り雨だったが、ちょうど良い時間に下山したようだ。場所はわかった、咲いている時にもう一度訪れてみよう。   

「山と花と星の奏でる夜の風景」写真展開催中

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 9月2日夕方、会場のアウトドアショップエルクでの展示が完成し、いよいよ写真展始まりました。さらに4日の午後、追加で最近撮り歩いている稀少植物の写真を一挙35点ほど展示してきました。夜の風景だけでなく、花が好きな方にもお楽しみいただける写真展となっています。花の写真はちょっと変わった展示をしておりますので、ご一見ください。私の写真が目的でお越しくださった方も居り、「酷評ノート」なる自由落書き帳に感想や質問などを書き込んでいただき、それに対するお返事やコメントをそのノートの中に書き込ませていただきました。山に登る方でも、登らない方でも、ご来場大歓迎です。




    エルク写真展 展示風景


 展示している作品を数点紹介します。


    雲海を照らして昇る月

 9月の鳳凰山観音岳で撮影したものです。二十七夜の細い月がオリオン座と冬の大三角形に接近して雲海の上に昇って来たところです。晴れた夜だと甲府盆地の明りが輝き過ぎて星の輝きが半減してしまうところですが、この日は静かな雲海が一晩中広がり、光害を消してくれました。山小屋を予約してありましたが、夕食をいただいただけで結局小屋で寝ること無く、一晩中山の上にいました。




    空架ける天の川

 甲斐駒ケ岳六合石室から撮影したもので、中央下に見える山は仙丈ヶ岳です。所属山岳会のメンバーに連れられて日向八丁尾根という籔尾根を歩いてようやくたどり着いた六合石室。クタクタに疲れましたが、その日の夕暮れは最近なかなか姿を現さない天の川が空に架かりました。頭の真上を横切るMilky Wayの白い帯は疲れを和ませてくれました。




    富士に昇るオリオン座

 毛無山塊雨ヶ岳から見る富士山です。この山はあまり有名ではありませんが、朝霧高原を真下に富士山を裾野まで見ることができる絶好の富士山展望台です。11月の空気が澄んだ夜、流れ行く雲の上にオリオン座が昇って来ました。星を輝かせながら、かつ山の景色をぼかさないように撮影するため、ハーフ拡散フィルターを自作して撮影した作品です。




    山上のミツバツツジと梅雨の合間の富士山

 花を前景に入れて星を撮る試みは何度か試していましたが、人に見せられるような作品は撮れていませんでした。なかなか良い場所と条件が揃わないことがありますが、撮影技術もかなり難しいものがあります。そんな中で、唯一お見せできる作品かと思います。まずは手前にあるミツバツツジにフォーカスを合わせます。そしてまずフラッシュ発光して撮影しますが、普通に発光すると明るくなり過ぎるのでハンカチやティッシュペーパーを重ねて光量を調整して撮ります。即座に遠景の富士山にフォーカスを合わせなおし、30秒程度の露出で遠景と星を撮ります。2段階フォーカス撮影と呼んでいるこの撮影手技、まだ完全にマスターしたわけでは無く、試行錯誤しているところです。
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