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Channel: 山梨百名山から見る風景
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もうひとつの注目彗星 ラブジョイ彗星  平成25年11月29日

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 アイソン彗星は残念な結果となってしまったが、もうひとつ北東の空、北斗七星のひしゃくの柄のすぐ下あたりで輝いている彗星がある。光度は3〜4等級で、11月23日に竜ヶ岳で最後に撮影したアイソン彗星とあまり光度は変わらない。未明3時前に昇って来ているので、夜明けの明るさにも邪魔されること無く観察しやすく、双眼鏡でも確認できるくらいになりつつある。カメラに装着した200mmF2.8のレンズで覗き込んでもその姿は確認することができた。これは試しに自宅前の田んぼのあぜ道から要害山の上空で輝いているラブジョイ彗星を撮影してみたものである。


    こちらはオリオン座と冬の大三角形


    音もせずに空を飛んで行く明るい光。これは人工衛星。かなり大きな衛星、ひょっとして若田さんが乗っているISS?この視野の中にラブジョイ彗星が写っている。


    北斗七星。ひしゃくの柄を伸ばした先に小さな緑色の光が見えますか?


    200mmレンズで捉えたラブジョイ彗星。尾の大きさはそれほどではないが、核の大きさは11月23日のアイソン彗星に匹敵する。


    少し視野を変えて撮影


 天体望遠鏡を使わずとも十分に撮影可能な彗星である。今後の増光に期待したい。



彗星のかけらを探して 鳳凰山(1日目)  平成25年11月30日−12月1日

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 大彗星になるとの期待が高く、天文ファンのみならず一般の人たちからも注目されていたアイソン彗星だったが、残念なことに近日点(太陽にいちばん近いところ)を通過することが出来ず崩壊してしまった。予想ではマイナス5等級くらいになるはずだったので、近日点通過後2日目の朝焼けの空の中にうっすら輝く姿が写真に写ってもおかしくは無かった。しかし、崩壊直後の等級は1等星くらいで、これからどんどん暗くなってしまうであろうから、朝焼けの空の中でこの彗星を捉えることはほとんど不可能となった。しかし・・・直径5kmもあった巨大な彗星だけに、多量のダストを噴出したはずである。彗星の核は見えずとも散らばったダストの尾がひょっとしたら見えるかもしれない。そんな淡い期待を持ちながら、東側の眺望に優れた鳳凰山にテント1泊で登ってみることにした。

 前夜は職場の仲間と私的な食事会があり、自宅に帰ったのは11時頃。この日は早朝目が覚めて自宅前からラブジョイ彗星の撮影をやっていたので寝不足、山の準備はまだ出来ていないが、まずは寝ることにする。目が覚めたのは朝5時半、それからテント1泊の荷物や食料等を準備していると、自宅出発は7時を回ってしまった。夜叉神峠登山口を出発したのは9時頃、新しいレンズ1本を加えて3本のレンズを担ぎ、氷点下15度を想定したザックの重さは20kgを超えた。出来れば、薬師岳まで行って星空を見ながら寝たいが、どこまで行けるのか??

    夜叉神峠途中から空を見上げる。もう日はだいぶ高く昇っている。


    夜叉神峠。白根三山が圧倒的な存在感を放っている。


    火事場の跡地。まだ雪は少なく、ケルンはほとんど埋もれていない。


    火事場の跡地から見る白根三山。時刻はもう午後2時近く、薬師岳までは難しそうだ。

 11月最終日なので、まだ雪の量は少なく、くるぶしは超えない。杖立峠でアイゼン装着したが、アイスバーンは無くサラサラな雪道だった。アイゼンはかえって仇になってしまい、少ない雪と石と木の根っこのミックスした道はしばしアイゼンの歯をひっかけてバランスを崩し歩きにくい。ヘバりにヘバって南御室小屋に到着したのは午後4時過ぎ、もう日が沈みかけていた。もしこの先のトレースが無ければ・・・未明に暗い中をルート探して薬師岳まで行くのは至難の技となってしまうので、このまま強行して砂払山まで行こうと思っていたが、幸いにして明瞭なトレースがあった。しかも風が無く、トレースが消える心配も少ない。今日は南御室小屋テント泊に決める。

    南御室小屋。積雪は20cmほど。本日のテントは全部で6張りほど、そのほとんどが単独登山者。


 薬師小屋までは2時間はかかる。そこから観音岳までは1時間ほどだが、雪道なのでもっとかかるかもしれない。さらに途中の撮影時間を1時間入れて観音岳5時半到着とすると、午前1時頃には出発したい。さっさと夕食をとって6時前に寝る。夕暮れの空に輝く金星だけでも撮影しようと思ったが、木々に邪魔されて金星は見えなかった。夕方5時過ぎに見上げる空には夏の大三角形が輝いていた。


    翌日の薬師小屋付近から見上げる空。凄い星空になった。あの彗星は見えるのだろうか?

(2日目に続く)

アイソン彗星のかけらを探して 鳳凰山(2日目)  平成25年11月30日‐12月1日

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 近日点を通過する際に崩壊してしまったアイソン彗星だが、放出したはずのダストの尾が見えるかもしれない、1等級ほどの明るさで残った核の残骸がひょっとしたら写るかもしれない、そんな淡い期待とロマンを求めて、冬の鳳凰山に登った。

 1日目は南御室小屋で夕暮れとなってしまい、ここでテント泊となった。夕方6時前には眠りについたが、その時の気温はマイナス10℃だった。朝は想定した通り、マイナス15℃くらいの冷え込みになると予想される。3シーズンシュラフと夏用シュラフを重ねたうえにさらにシュラフカバーをかけた3重構造の寝袋が私の冬用スタイルだ。マイナス15℃程度ならばほとんど寒さを感じないのだが、この夜は背中に寒さを感じて10時半に目が覚めた。シュラフのファスナーが少し空いていたため、そこから冷気が入り込んだようだ。ファスナーを閉め直してまた寝て、12時に起き出す。風は無く穏やかな天気だ。軽食で済ませて朝食用にはアルファ米のピラフを作ってザックの中に入れるが、持って行く荷物の詰め込みや防寒対策の服装装備やらで手間取ってしまい、出発は1時半になってしまう。

 トレースを追って暗い樹林帯の中の道をひたすら登る。砂払山まではところどころ急な登りがある。2時間近く登って視野が開け、甲府盆地の明りが見渡せるようになる。砂払山に到着した。反対側に白根三山がうっすらと見えるが、撮影するにはオリオン座と冬の大三角形の位置がまだ高い。3時40分薬師小屋に到着、テントは一張りのみ。トレースをつけてくれたことに感謝して横を通り過ぎて進む。

    砂払山から見下ろす甲府盆地の夜景。時間節約のため三脚は出さず、岩の上にカメラを置いて撮影したため、少しブレている。


    薬師小屋近くから見上げる空は一面の凄い星空。冬の大三角形を貫く天の川が見える。いちばん上の明るい星は木星。


    薬師岳山頂の岩の上に昇った北斗七星。ひしゃくの柄を伸ばした先にあるのが牛飼い座アルクトゥールス。尖った岩峰の真上に緑色に輝く小さな星がラブジョイ彗星。


    ラブジョイ彗星。薬師岳岩峰と一緒に捉えようとしたのだが、視野の中に岩が入らず。 200mm F2.8開放、3.2秒、ISO6400。

 頭上にはきらめく凄い星空が広がった。薬師小屋を通り過ぎたところで三脚とカメラをセットし、撮影しながら歩く。ラブジョイ彗星が昇っているはずなので、薬師岳岩峰の上あたりで撮影できそうな場所を探して撮影してみるとバッチリと写った。しかし、岩峰を入れた構図では200?レンズの視野には入らなかった。
 4時半、薬師岳山頂到着。二十七夜の細い月が甲府盆地の明りの向こうに昇り始めた。この景色も今回狙っていた風景だ。反対側の白根三山にはオリオン座が傾き始め、いよいよ撮影には良い時間となった。

    薬師岳岩峰に昇る二十七夜の月


    白根三山とオリオン座。 使い慣れた17‐55?F2.8レンズだが、精進湖パノラマ台で破損して以来周辺のピントが甘くなったようだ。


    白根三山に輝くオリオン座と冬の大三角形  もう1本の広角レンズに変えて撮影。

 ゆっくりと撮影していたかったのだが、あまりのんびりするとアイソン彗星が昇って来るであろう午前6時の時間に間に合わなくなってしまう。時計とにらめっこしながらギリギリの時間まで撮影して観音岳を目指す。尾根は樹林帯とは違って時折冷たい風が吹き抜ける。薬師岳から先はトレースが不明瞭となり、尾根を進むとルートを間違えたらしくハイマツの中に突入してしまう。強行突破を試みると吹き溜まりで腰のあたりまでずっぽりと雪にハマってしまう。手と膝で雪を潰して脱出し、正規ルートに戻る。そちらのルートも膝下程度の雪が積もっており、なかなか予定の時間では進めない。苦戦しつつも観音岳山頂直下には5時45分になんとか到着した。雪の斜面を入れた構図で撮影するため、山頂の30mほど下で三脚を構える。

    薄明の甲府盆地に昇る月。アイソン彗星のダストの尾は・・・見えない。


    薄明の富士山


    朝焼けの空。時間は午前6時を回った。この視野の中にいるはずなのだが・・・


    200?望遠レンズに変えてそのあたりを撮りまくるが・・・やはりいない。ちょっとピンボケ。

 薄明の空とにらめっこ、レンズを変えつつ、軌道計算した場所とその周辺を再三撮影したが、残念ながらアイソン彗星のかけらや尻尾を写すことはできなかった。日の出は6時半ごろ、その頃には反対側に雄々しく聳え立つ北岳、白根三山に朝日が射し込む。澄んだ朝の空気、撮影には申し分ない。

    もうすぐ日の出。


    広角レンズに変えて再写。やはり写らない。


    アースシャドウたなびく白根三山


    日の出。 (年賀状用のカット)


    朝日射す白根三山


    日の出再写。低空の薄雲のために白根三山は赤く染まらなかった。


    朝の甲斐駒ケ岳と地蔵岳。観音岳山頂から。


    見るものを圧倒する冬の白根三山

 朝食をとって下山しようと思い、ザックの中からピラフを取り出すと・・・凍りついてカチカチ、食べられたものではない。こんなこともあろうかと持ってきたパンを食べて下山開始する。薬師岳まではこの素晴らしい白根三山の姿を堪能しながら、ところどころ三脚を出して撮影しつつゆっくりと(というよりも疲れてピッチが上がらない!)歩く。10時前に南御室小屋到着した。

 食事をとってテント撤収するが、登って来た時と荷物の量も重さもあまり変わらない。持ってきたのはほとんどが防寒対策の寝袋と服、そしてカメラ機材だ。食事はラーメンとアルファ米の軽いものばかり、帰りのザックもあまり変わらないのだ。11時半に南御室小屋を出発。何か所かある登り返しでうんざりしたが、棒のようになった足を無理矢理動かして午後3時、夜叉神峠登山口の駐車場に到着した。疲れるには疲れたが、11月に行った丹沢檜洞丸から蛭ヶ岳のほうがもっと疲れた。

    薬師岳の上に出た雲。少しだけ虹色に輝く彩雲になっている。


    薬師岳から見る白根三山。薬師岳山頂は雪が少ない。


    圧倒的な存在感、冬の北岳


    仙丈ヶ岳


    富士山の上に昇った朝日。雲が増え始めたが、富士山は1日中見えていた。


 アイソン彗星のかけらは残念ながら見ることは出来なかった。しかし、ずっと再写したいと思っていた白根三山と冬の大三角形は撮影することができた。しかし・・・レンズの収差が大きくいまいちな画像と言わざるを得ない。何度登っても満足な画像を撮ることはできない。だから懲りずにまた登るのだが・・・どこの山に登っても簡単に登らせてくれるところは無い。(と思う)

地球照の月再び 大平山  平成25年12月5日

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 先月は月齢3の月を追って石割山に登ったが、雲と霞が多くて画像はいまいちだった。今回はそれよりも1日早い月齢2の月を追って大平山に撮影に出かけた。月の沈む時間は先月の撮影よりも30分ほど早くなるが、その分日没時間も早くなるので、条件的には前回とあまり変わらない。違うのは、今回は200mmF2.8という明るいレンズを使うのでシャッタースピードを早く切れること、そして画像解像度が良くなったことがある。まだ使い始めたばかりのレンズなので使いこなしているとは言い切れず、どのように写ってくれるかも見てみたい。

 午後から出かけて、山中湖に到着したのは3時過ぎ。途中の花の都公園でダイヤモンド富士になるらしく、たくさんの人が集まっていたが富士山は少し霞んですっきり見えていない。丘の上に立つマウント富士の脇を車で通り過ぎ、その先まで行くと東海自然歩道を指し示す道標が立っており、大平山ハイキングコースと書かれていた。道脇のスペースに車を止めさせてもらい、3時40分ごろから出発する。この道を歩くのは初めて、さらに大平山に登るのも今回が初めてだ。標高差は300mほどだが、地図を見ると途中に小ピークが2つほどある。

    大平山ハイキングコースを示す道標。アスファルトの道は別荘に行く道で、普段は閉鎖されている。登山道はその右脇。


    整備された登山道


    電波塔の立つ最初のピークから見る富士山

 15分ほどで電波塔の立つ最初のピークに到着する。ここからの富士山の眺めもなかなか良い。車のタイヤ跡がついた林道を下ると、今度は丸太の階段上り。登ったところでその向こうに大平山が見え出すが、折角登ったのに今度は階段の激下り。そして長い階段を登りつくと、広々とした大平山の山頂に到着する。時間にして約1時間の行程だ。

    階段登り。


    今度は下り。向こうに見えるのが大平山


    そして最後の階段激登り。


    大平山山頂。

 大平山の山頂に到着すると、三脚を立てて熱心に撮影している先客が一人。誰かと思えばUさんではないか。月と金星が接近するこの日、良い撮影場所はどこかと聞かれたのでここを紹介したところ、本当に山頂に来ていた。しかも、二十曲峠から石割山、平尾山を越えてのロングコースで、帰りもまた同じコースを二十曲峠入口のゲートまで歩くという。恐るべき体力と根性。帰りは私の来たコースを下りてゲートまで車で送ることにする。

    大平山の夕暮れ富士


    月と金星が輝き始める。


    地球照が始まる。


    200mmレンズで捉えた地球照の月。この時間に富士山山頂あたりに月がいると絶好だが、今回も20分ほど時間が早い。


    闇が広がり、富士山と一緒に地球照の月を撮ろうとするとどうしても月の露出がオーバーになってしまう。予想していたことではあるが、なかなか良い時間に合わない。

 月が富士山山頂付近に来るのは6時頃。氷点下の山上で1時間以上その時を待つ。しかし、予想通り月が富士山頂に来る時間が遅く、地球照のいちばん良い時間は過ぎてしまう。

    もうすぐ富士山頂に月がかかる。


    暗くなったところで、再度地球照の月


    縦位置でなんとか200mmレンズに納まるが、やはりゴーストが発生してしまう。


    横位置でギリギリのところまで月が来る。


    富士山頂で輝く地球照の月


    月の真ん中を飛行機が飛ぶ。飛行機雲で串刺しになった地球照の月。


    薄雲がかかる。


    富士山剣ヶ峰で輝く月


    もう半分以上沈んでいる。


    本日これまで。


 この日の大平山はポジションは良かったが、時間的には遅いことはおおよそ見当がついていた。山中湖湖畔から見上げればちょうど良い時間に撮影可能であったことも承知していたが、車で乗り付けて労せずに(といったら富士山撮影に命をかけているカメラマンの方に失礼だが)撮ることは、山を歩く私自信が良しとしなかった。歩けるうちは歩いて、低くても良いので山の上からの写真が撮りたいと思っている。カメラマンが大勢集まる場所は、以前にも書いたかもしれないが老後歩けなくなってからのためにとっておこうと思っている。

 Uさんとともに、午後7時下山。登り返しはちょっと面倒だったが、40分ほどで登山口に到着した。

富士山頂を舞うラブジョイ彗星撮影成るか? 貫ヶ岳(1日目)  平成25年12月6‐7日

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 アイソン彗星は見ることが出来なくなってしまったが、もうひとつの注目彗星ラブジョイ彗星は何度がブログに掲載している通り、200?望遠レンズで場所さえ特定できれば容易に撮影することができる。インターネットからのラブジョイ彗星軌道とカシミール3Dを照らし合わせて年末までに彗星が富士山頂を飛んでくれそうな場所はほぼ計算できた。では本当に写ってくれるのかどうか?朝霧高原から南下して静岡県富士宮あたりでも撮影は可能なのだが、ここは山梨県の山にこだわって静岡県県界からわずかに山梨側に寄った山、貫ヶ岳に足を延ばしてみることにした。

 計算上では貫ヶ岳の尾根沿いにある晴海展望台からが一番良さそうだ。彗星が富士山頂に姿を現すのは未明2時半ごろと推定される。メインの登山口は中沢集落の公民館に車を止めて登る道だが、裏側の樽峠からも行ける。夜間山行で登ることも可能だが、夜明けまでかなりの時間がある。ならば・・・荷物は重くなるがテント泊のほうが無難である。7日(土)は山梨県地方部会という会合が午後3時から夜7時ごろまで開催されるので、7日の登山は無理。となると、6日(金)午後から強行するしかない。どちらから登るか?何時から登り始められるのか?いろいろと不安があったが、以外にもあっさりと業務が終わり午後1時には出発することができた。南部町に入ったところで時間は午後3時、稜線までの距離が近そうな樽峠からの入山に決める。

 標高900mほどしか無い山塊なので鳳凰山ほどの装備はいらない。シュラフは1枚にして衣服も減らし、荷物は18?ほどまで減らす。午後3時半、樽峠登山口を出発、道標に書かれていた通り、40分で樽峠に到着した。もうすぐ日が沈む時間だ。

    樽峠登山口。車を4〜5台止められるスペースあるが、途中は中部横断道工事のためにダンプカーが行き交い、走り辛い。


    もうすぐ樽峠というところで林道に出る。この林道は工事中で車は入れない。


    樽峠。右に行くと高ドッキヨウ、左に進んで平地の段(貫ヶ岳山塊最高点)を目指す。

 樽峠を左に曲がって平地の段方面に進むと、その先は見上げるような激登りの階段道になっている。そのあたりで日が暮れてヘッドライトを装着する。標高差は200mほど、ひたすらに階段を登り、平地の段に到着したのは午後5時、もう真っ暗だ。ここで道標に従って左に曲がり、貫ヶ岳方向に進むとすぐに十国展望台に到着する。ようやく富士山とご対面である。見えてはいるがかなり低空が霞んでいる。その先は下りになり、また登り返した頂上に晴海展望台がある。午後5時40分、晴海展望台に到着。

    森に輝く月と金星。今宵の月は月齢3、まさに三日月。


    晴海展望台


    低空が霞んでいる。明日は冬型の気圧配置になるが、果たして彗星が昇る時間に霞は晴れてくれるのか?

 彗星撮影のためにわざわざこんな山の上まで来る物好きはいないだろうから、展望台のど真ん中にテントを設営させてもらう。風は無く穏やか、気温も0℃を少し下回った程度で、鳳凰山に比べると天国だ。夕食をとって(今回も毎度のインスタントラーメン)7時過ぎテントの外を覗いてみると、オリオン座が昇って来ていた。富士山の裾野には明るい木星が昇り始め、この程度の霞などものともしない明るさだ。アイソン彗星も無事近日点を通過していればこのくらい明るかったのだろうかと考えつつ星空を眺める。

    東の空に登って来たオリオン座


    霞の中に輝く木星


    西に沈んで行く三日月と白鳥座。少しだけ天の川が写る。


    200?レンズで富士山試し撮り。霞んではいるが、ひとまずは写ってくれそうだ。


 昇って来たオリオン座と木星を見たところで時間は午後8時を回った。明日は午前2時から勝負だ。さっさと寝るが・・・ここでトラブル発生。最近の構造が薄いペットボトルは不安に思っていたのだが、まさかのここで亀裂が入ったらしく、封を切っていないペットボトルの水が半分ほど漏れていた。おかげでシュラフの首に当たる部分がびしょ濡れだ。シュラフカバーを内側に入れて一旦は寝たが・・・中が蒸れて寝心地が悪い。次はカッパを着て濡れた部分はシュラフカバーで包むように丸めこんで、なんとか冷たさを感じること無く眠ることができた。

 さて、翌朝は携帯電話の目覚ましで予定通り午前2時に起床。ラブジョイ彗星はどうなったのか??(2日目に続く)
    

富士山頂を舞うラブジョイ彗星撮影成るか? 貫ヶ岳(2日目)  平成25年12月6日−7日

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 12月6日夕方5時半に貫ヶ岳晴海展望台に到着したまでは良いが、富士山は低空に出た霞の中に大部分が埋もれている。肝心の山頂周辺の空も霞んでいて星は鮮明に見えてくれない。ラブジョイ彗星が富士山頂に昇ってくる未明2時半頃、果たして空は晴れてくれるのだろうか?

 シュラフを持ってきたペットボトルの破損で濡らしてしまうというトラブルがあったが、カッパを着て寝たおかげで冷たさを感じること無くぐっすりと眠れた。未明2時、セットした携帯電話のアラームで目が覚める。テントの外に出てみると、北斗七星がひしゃくの部分を真上に持ち上げて富士山の上に昇っていた。まだ彗星は現れていないようだ。三脚とカメラをセットして撮影を開始する。


    富士山の上に昇った北斗七星


    上空は晴れたが富士山周辺はまだ霞が残る。富士山の右裾に輝く星は牛飼い座アルクトゥールス。


    西の空に傾いたオリオン座と冬の大三角形、そして木星。


    霞む富士山。果たしてラブジョイ彗星は現れるのか?

 200mmズ−ムレンズに変えて富士山山頂付近に照準を合わせて撮影を繰り返す。計算が合っていれば山頂真ん中あたりに現れるはず。肉眼で見るのは困難なので撮影してモニターで確認してを繰り返していると、ほぼ計算通りの位置に突然ぼんやりとした薄緑色の光が現れた。ラブジョイ彗星だ。しかし、霞の中に埋もれてぼんやりとした光だけ、彗星の尾は写らない。

    200mmズームレンズに変えて富士山頂を撮影。まだ彗星は現れていない。


    山頂の右寄りのところに淡い緑色の光。ラブジョイ彗星登場。


    霞の中に埋もれて彗星の尾は写ってくれない。


    高度を上げて富士山から離れて行くラブジョイ彗星


    同上


    ようやく少しだけ彗星の尾が見えるが、これ以上は200mmレンズの視野に入らない。

 なんとか写ってはくれたが、空の透明度が悪いために画像はノイズが多くて彗星の尾はいまいち写ってくれなかった。あまり見せられるような画像にはならず、残念な結果に終わる。


    レンズを変えて追うが、やはり写りはいまいち。


    このあたりまで昇るとようやくまともに移り出す。


    霞を抜けたあたりで200mmレンズで再写。富士山山頂付近でこのくらい写ってくれると絵になるのだが・・・。

 時間は未明4時になった。まだ日の出までには時間があるのでテントに入り、シュラフに潜り込んでもう一度寝る。そして目を覚ましたのは午前6時、あたりが明るくなってもうヘッドライト無しでも大丈夫な時間となった。テントの外に出ると、水平線がオレンジ色に染まっていた。夜明けの美しい景色を楽しみながら、そのまま日の出を迎える。


    薄明の富士山


    日の出


    夜明けの富士山


    晴海展望台から見る朝富士


    200mmレンズで捉えた朝富士。やはり霞んでいる。

 日の出を迎えたところでテントに戻り、朝食をとる。早朝にここまで登ってくる登山者はいないと思うが、もしもやって来るとテントが邪魔になってしまうのでテントを撤収する。そして撮影機材と水だけザックに入れて、8時頃貫ヶ岳山頂に向けて出発する。この山に登ったのはもう8年も前のことで、記憶が薄くコース状況などほとんど覚えていない。貫ヶ岳山頂は晴海展望台よりも若干標高が低く、標高差で100m近くぐっと下ってまた登り返すが、途中の中沢集落からの合流点は見覚えがあった。30分ほどで貫ヶ岳山頂に到着する。


    向かいに見える貫ヶ岳は少し見下ろすような感じ。


    貫ヶ岳山頂への檜樹林帯の登リ。


    貫ヶ岳山頂。草むらは綺麗に狩り払われていた。


    8年前に来た時は富士山山頂が見えたが、木が伸びて今では枝の向こうに透かして見える。夏場はおそらく見えないだろう。 

 30分ほど貫ヶ岳山頂で過ごし、晴海展望台に戻る。青空が広がり、富士山の霞も次第に晴れてきたように見える。置いていった荷物をザックの中に詰め込んで下山する。この山に来たのはもうひとつ目的があって、来年1月、富士山世界遺産登録を記念して商工会連合会が主管となって山梨県・静岡県合同の食料品物産展を銀座松屋で開催することになっている。その際に、山梨・静岡県境の富士山の写真を展示したいという依頼を受けていた。毛無山塊と笊ヶ岳の画像は準備できたが、この南部町界隈の山は全く良い画像が撮れておらず、再写に行きたいと思っていたところだった。山頂付近の霞がだいぶとれて、なんとか人に見せられるくらいの富士山画像を撮ることができた。

    再び晴海展望台。富士山の霞がだいぶ取れ、良い感じの雲が巻き出した。


    PLフィルターを効かせて、晴海展望台からの富士山。山梨百名山最高峰の富士山と最低峰の白鳥山(右下)が一緒に写せるのがこの山の特徴。


    こちらは十国展望台。こちらは山梨・静岡県境から数分だけ山梨側に寄ったところに位置する。


    十国展望台から見る富士山と白鳥山


 日が昇るとあっと言う間に気温が上がり、歩くと少し汗ばむほどになる。樽峠で一休みして順調に下山し、11時半樽峠登山口の駐車場に到着。車が1台止まっていたが貫ヶ岳では誰にも会わず、おそらくは高ドッキョウ方面への登山者だろう。


 今回のラブジョイ彗星はとりあえずは写ったというレベルで、とても人に見せられるようなものではなかった。この彗星は近日点通過が2月なのでまだしばらくは楽しむことが出来る。まだまだ撮影のチャンスはあるので、スケジジュール、天候、撮影場所、そして月の位置を見合わせながら、納得の行く画像が撮れるまで挑戦してみたいと思う。 

北岳を舞うラブジョイ彗星撮影ならず 高谷山  平成25年12月16日

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 アイソン彗星が消滅し、今ではもうひとつのラブジョイ彗星の方が注目を集めている。4等級ほどの明るさで未明の空に観察されるが、夕方6時ごろの北西の空でも条件が良ければ見ることができる。今回は北岳の空を舞う夕暮れのラブジョイ彗星を狙って、夜叉神峠の近くにある高谷山という山を訪れてみた。西の空には十三夜の月が昇っており、月光に照らされた北岳とラブジョイ彗星を組み合わせるという趣向だった。

 午後3時に夜叉神峠登山口を出発する。甲府を出た頃は青空が広がり、鳳凰山がすっきり見えていたのだが、午後3時ごろになると南西の空から薄雲が広がり始めた。雲は次第に広がって肝腎の北西側、さらに全空に広がってしまう。4時に夜叉神峠到着した頃はところどころ青空が見えるものの、星空の撮影にはかなり不利な空模様となってしまった。

    さっきまで青空だったのに・・・夜叉神峠登山口出発する頃には薄雲が広がり始める。


    11月30日に歩いた時よりは雪が増えている。


    日没ギリギリに夜叉神峠到着。


    北岳の空の上にはだいぶ雲が広がっている。運良く雲の切れ間を彗星が飛んでくれるのを祈るしかない。


    隣に見える円錐形の高谷山。

 小休憩して高谷山に向かう。夜叉神峠から20分ほどの行程だが、雪が積もっているだろうから少しばかりのラッセルを覚悟していたのだが、都合良いことに踏み跡がしっかりとあってすっかり踏み固められていた。これならば夜の下山の時も迷う心配は無い。

    高谷山山頂近くから見る櫛形山越しの富士山


    同上ズーム


    高谷山山頂


    北岳側が開けており、北岳のみ良く見える。

 ラブジョイ彗星のおおよその軌道は計算してきたが、太陽軌道の範囲外を彗星が飛ぶため、カシミール3Dでは正確な軌道と時間が割り出せない。予想では5時40分ごろに北岳の右脇を舞うはずだが・・・果たして飛んでくれるかどうか?この空模様ではかなり難しそうに見える。まずは1本のレンズを135mmズームに合わせ、ピントを合わせてセロテープでしっかり固定する。これは彗星を探すために使うレンズ。もう1本は200mmF2.8の単焦点レンズで、こちらのほうが解像度が良く、撮影用のものだ。この2本を準備しておいて、5時15分ごろから彗星が飛びそうな位置を狙ってひたすらシャッターを切るが・・・全く写ってくれない。空を見上げると、夏の大三角形すら良く見えない。

    東の空に昇って来た十三夜の月と甲府盆地の明り


    135mmレンズの視野。


    こちらは200mmレンズの視野。


    そろそろこの視野に写る時間のはずだが・・・いない。星が全く写らない。


    5時半を過ぎた。しかし・・・何も写らない。

 5時50分ごろまで辛抱して撮影を繰り返したが何も写らず、あきらめて帰ろうかと思った時、200mmレンズ視野のいちばん上に微かに薄緑色の光を捉えた。これがラブジョイ彗星か?繰り返し撮影すると・・・どうやら間違い無さそうだ。しかし、空をおおった雲に阻まれてその輝きはきわめて薄く、尾は全く写らない。

    左上に小さなゴミのような点


    薄緑色の光、彗星で間違い無さそうだ。


    トリーミング画像。雲に阻まれて尾は全く写らない。


    吊尾根の上を飛ぶラブジョイ彗星

 こうしてなんとか写るには写ったが、残念ながら彗星と言えるような画像にはならなかった。広角レンズに換えて撮影してみると、空には夕暮れ時以上に雲が厚く広がっていた。これでは4等級の彗星では写らないのも無理は無い。6時半まで粘って撤収する。

    広角レンズで捉えた北岳の空。雲はさらに厚くなっていた。


    上空に輝くのはこと座のベガ。


    森に昇った十三夜の月


    夜叉神峠から見る月光の白根三山。空に見える星は右がこと座のベガ(織姫星)、左がわし座アルタイル(彦星)。


 月光で白い北岳を浮かび上がらせ、その上を飛ぶラブジョイ彗星を撮影しようという目論見は見事に失敗してしまった。彗星は毎日軌道を変え、夕暮れの空では北西から西の空に移動して行く。高谷山から北岳を彗星が舞う構図はあと1週間くらいは可能だろう。その後は夜叉神峠から撮影が可能となる。ラブジョイ彗星は12月22日ごろに近日点通過して折り返し、次第に遠ざかって行くと言われている。楽しめるのは1月初旬ごろまでと予想している。



富士山頂を舞うラブジョイ彗星 精進湖〜富士宮  平成25年12月21日

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 山梨県の山の上からの撮影を狙っていたのだが、連休中も職場に行かねばならず、未明の南部町の山からの撮影は難しくなってしまった。そこで、今回出かけたのは静岡県富士宮市白糸の滝付近。おそらく未明4時ごろに富士山山頂の左側付近にラブジョイ彗星が姿を現すはずだ。

 未明2時に自宅を出発し、精進湖線を行くと右左トンネルを過ぎたあたりから雪景色になった。路面にも少し雪が積もっている。この景色を見て行き先を変更して御坂山塊の黒岳か三つ峠あたりに変更しようかとも思ったのだが・・・10時までには職場に行かねばならないこと、雪景色はまだこれからもチャンスはあるが、ラブジョイ彗星はもう2度と見る機会が無いことを考えて、予定通り白糸の滝に行くことにする。3時、精進湖湖畔の道路から富士山を見上げると、雲でもかかっているかのように月光に照らされた富士山が白く浮かび上がっていた。精進湖湖畔に立ち寄り、しばしこの美しい月光富士を撮影して楽しむ。

    月光照らす富士山と精進湖。風が穏やかでダブル富士が綺麗に映る。


    同上


    西に沈んで行くオリオン座と愛車

 20分ほど精進湖で富士山を楽しんだ後、目的地の白糸の滝に向かう。駐車場近くに富士山の好展望地があったような記憶があるが定かではない。到着してみると、大きな駐車場は鎖で閉鎖されていて普段は有料の駐車場に止めることになるが、この時間では管理人さんはいない。もう時間は4時に近く、もうすぐ彗星が昇って来るかもしれない。急いで三脚とカメラと交換レンズを持って場所を探しに行くが、閉鎖されていた駐車場の端のほうで好位置が確保できた。さっそくレンズを焦点距離55?でセットして撮影してみるが、まだ彗星は見えていない。

    白糸の滝駐車場から見上げる月光富士


    ラブジョイ彗星はまだ現れていない。


    200mmレンズに変える。予想では山頂左側から現れるはずだ。

 しかし、待てど暮らせど彗星は現れない。時間は4時半を回った。軌道計算を間違えたのか?それとも地球から遠ざかって小さくなってしまったのか?しかし、今頃は太陽からの距離はあるものの、近日点を通過している頃のはずだ。右を狙っても左を狙ってもそれらしき緑色の光はいない。とりあえずは5時まで粘ってみようと思ったその時・・・! 4時40分、想定していた時間よりも30分ほど遅れて富士山頂にラブジョイ彗星が現れた。しかも、山頂の左側ではなくて右側、剣ヶ峰近くから姿を現した。

    4時40分、富士山剣ヶ峰付近に姿を現したラブジョイ彗星


    富士山頂を舞うラブジョイ彗星


    月光に照らされた白い富士山とラブジョイ彗星をイメージしていたが、月明かりがやや明る過ぎる。


    55mmレンズに変える。月が明るいためこの視野では彗星はかなり小さく見える。


    富士山左裾に現れた明るい星はこと座のベガ。


    富士山を照らした月齢19の明るい月。明るい星は木星。斜光線が富士山を照らすのも計算済みの撮影。

 思ったよりも月明かりが明るく、彗星はやや暗くなってしまったが、ほぼイメージ通りの撮影となった。残念なのは山梨の山の上では無かったことだ。年内中にもう1チャンスあるが、果たして行けるかどうか?そして空が晴れてくれるかどうか?

 再び精進湖に戻る。冬至の頃で太陽がいちばん低い位置(南寄り)に来るこの季節、精進湖から見る日の出はちょうど富士山の裾野から昇って来る。空がすっきりと晴れ過ぎてしまった感はあるが、日の出を見るには絶好の条件だ。星の輝きがそろそろ消える朝6時少し前に精進湖湖畔に到着する。既に湖畔にはカメラマンの車がずらりと並んでいる。大きなカメラとレンズを装着して三脚を2本、3本と立てて待っている人の姿も見られ、私のカメラと三脚では少し見劣りしてしまう。まずはラブジョイ彗星を狙ってみるが、この時間ではもはや写らない。そして、この場所からでは富士山と一緒に写すのは困難と思われる。

    薄明の富士山と精進湖。午前6時を過ぎると明るい星でももうほとんど写らない。


    湖面に映るダブル富士山


    モヤが湧いて良い雰囲気となった精進湖


    湖に湧くモヤとダブル富士山


    雪を纏った三方分山に朝日が射す。こんな日にあの稜線を歩いたらさぞかし美しくて楽しいだろう。


    もうすぐ日の出。


    朝日現れる。


    冬至の頃の精進湖の日の出


 こういう撮影は年をとって山に登れなくなってからと思っていたのだが、彗星は次はいつになるのか予想がつかないために条件が良かったこの日は狙い通りに撮影を終えた。しかしまだ満足しているわけではない。山梨百名山なる山の上からなんとか富士山とこの彗星を撮影できたらと願っている。



    この季節の精進湖湖畔はカメラマンがたくさん。朝日の昇って来る位置が良い。

富士に昇る二十八夜の月、そしてダイヤモンド 年末の竜ヶ岳  平成25年12月31日

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 年末・年始は10連休!のはずだったが、そううまくは行かず、連日職場に出勤することとなる。しかも風邪をひいてしまい、徐々に悪化して山に行くような体調では無くなってしまう。喉の痛みがいく分改善した31日、この日は二十八夜の細い月が太陽の軌道に近い位置で昇って来る日だった。まだ多量の鼻汁と喀痰が出るがあまり無いチャンスなので、少し無理して行くことにする。ダイヤモンド富士の1時間半ほど前に月が昇って来るはずなので未明4時に本栖湖キャンプ場を出発する。体を冷やさないようにたくさん着込んで、ゆっくりと歩いたつもりだったが、思った以上に汗をかいてしまう。5時20分、東屋が立つ休憩所に到着しここでカメラと三脚を取り出す。


    東屋の立つ休憩地から見る未明の富士山


    竜ヶ岳に沈む木星

 山頂に向かって笹原の斜面を登って行くと、富士山中腹の山頂寄りから月が昇り始めてしまう。予想では山頂の左角あたりから出るはずだったが、それよりも下から登り始めた。山頂まで行く時間は無さそうなので途中で三脚とカメラを構えて撮影を始める。

    薄明の富士に昇る二十八夜の月


    富士山腹に昇り始めた二十八夜の月


    富士に昇る地球照の月


    夜明けが近付くと地球照の月はしだいに薄れて行く


    薄明の富士と月


    消え行く地球照


    細い月も夜明けの空に消えて行く

 月が消えたところで山頂手前の展望地に向かい、ダイヤモンド富士をじっと待つ。風が無く寒さはあまり感じない。富士山頂付近を流れて行く彩雲を楽しみつつ、40分ほど待って7時44分、ダイヤモンド富士の時間を迎える。

    展望地から見る薄明の富士山。山頂は笹が邪魔になって朝霧高原が見えないが、この場所は下まで見渡せる。


    光る富士山頂


    彩雲流れる


    もうすぐ来る!


    輝く山頂


    ダイヤモンド輝く。残念ながらフレアが出てしまった。


    レンズを変えると・・・何やら不思議な輪が写る。しかもピンボケ。


    いつも使っているCanonレンズは修理に出しているため、今日のレンズはSigma製。レンズの特性でこのように写るらしい。


    笹原を照らすダイヤモンド

 ダイヤを撮り終えて山頂は踏まずに下山する。本栖湖直下りコースのほうが下山は早いのでそちらを足早に下りたが、かなり下まで下りたところで「週遊歩道」なる道標があった。いつもならそちらに行かずにアスファルトの道に直下りだが、トレースがしっかり着いていたので歩いたことのないそちらのコースに行ってみることにする。ところが、こちらのコースはアップダウンあり、さらに沢を回り込むために想定外にコースが長く時間を費やしてしまった。1時間15分ほどかかって、9時15分、駐車場に到着した。

    コース分岐付近から見る笹原越しの富士山


    本栖湖直下りコースは立派なブナの木が立ち並ぶ。


    週遊歩道コースにあるカツラの巨木

 撮りたかった地球照の月は予定通りに撮れたが、あっさりし過ぎている気がする。もう一工夫欲しいところだろうか。まだ鼻汁と痰が多く、加湿のためにマスクを装着して登ったが、鼻の入り口には鼻汁が固まって付着していた。そして翌日からはさらに症状が悪化、静養することとなってしまう。山はほぼ休業状態の年末年始となってしまった。

新年おめでとうございます。

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 遅ればせながら新年明けましておめでとうございます。

 年始に竜ヶ岳の記事をアップロードしようとしていた時に、突然Wi-Fiルータがぷつん。電源が全く入らない状態となってしまい、自身のパソコンからネットに繋がらなくなるという事態が生じてしまいました。数日間おいてから再び電源を入れてみると、resetting…というメッセージに続いて電源が復活し、使えるようになりました。電波の悪いところで使用していたので、加熱して電源が切れたようです。そしてようやく新年の挨拶です。体調を崩しただけでなく、ネットも不調という波乱の新年となりました。

 昨年は彗星がいくつかやって来て夜の空は楽しみがたくさんでした。残念な結果に終わってしまったアイソン彗星もありましたが、これも仕方ないことだと思います。今年はあまり目ぼしい彗星は来ませんが、パンスターズ彗星(昨年のものとは別のもの)が夏から秋にかけてやって来て、5等級くらいまでは明るくなるのではないかと予想されています。もうひとつの目玉は10月8日(水)におこる皆既月食です。平成23年12月におこった皆既月食は深夜11時ごろに皆既を迎えたために富士山と一緒に撮影するには超広角レンズでなければ画角に入りませんでしたが、今回は午後8時ごろに月食のピークを迎えるため、通常のレンズで十分に撮影可能です。朝霧高原あたりが撮影の適地と考えています。

 昨年は2週間という長期夏休みを強引にとって北海道遠征しましたが、今年は無理なので例年の如く山梨の山が中心になります。近場の山でもまだ見ていない景色や花がたくさんあります。6月はおそらくかなり忙しくなるだろうと予想しています。今年もいろいろと良い景色や花、そして仲間との出会いがあることを楽しみにしています。

ラブジョイ彗星を追って 田貫湖と精進湖  平成26年1月4日

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 年始になっても未だ体調回復せず,しかしどこかに出かけてみたい.彗星は地球から遠ざかって現在6等級ほどまで光度を下げている.元日は思親山からの撮影を狙っていたが行けず,山に登る元気も無いので平地から狙ってみることにした.田貫湖あたりでそろそろ撮影できるはずだ.

 未明2時半に自宅を出発し,まずは精進湖の湖畔に立ち寄る.思ったよりも霞が広がっていて,果たしてこれで写ってくれるのかどうか??

    精進湖から見る未明の富士山.霞が多い.


    75mmズーム.このくらいならなんとかなるだろう.

 精進湖で試し撮りしてみるとなんとか写りそうなので,予定通り田貫湖に出かける.湖尻の展望デッキに行くと先客が一人.既にパシャパシャとシャッターを切っているところを見るとおそらくは私と同じく彗星目的のカメラマンだろう.さっそくカメラと三脚をセットして撮影してみると,先ほどの精進湖以上に雲が多くなっている.

    田貫湖から見る未明の富士山.さらに雲が多い.


    このあたりにいるはずだが???

 ラブジョイ彗星が飛んでいそうな場所を狙って再三シャッターを切ってモニターで確認するが,全く写ってくれない.そのうちこと座のベガが昇りはじめた.彗星の高さはほぼこのベガと同じくらいの高さで昇ってくるはずなので,ベガから水平方向にレンズをずらしながらシャッターを切ってゆくと,ようやく視野の端に捉えることができた.ずいぶん小さくなっている.200mmレンズで覗き込んでもその姿は確認することができなかった.

    ようやく視野の右上隅に彗星を捉える.


    ラブジョイ彗星,だいぶ小さくなったがまだ撮影することはできる.


    75mmレンズで富士山と一緒に撮影を試みたが・・・雲が邪魔したこともあって写らない.

 富士山と一緒に撮影しようとレンズを交換して試みたが,残念ながら捉えることはできなかった.夜明けを狙うカメラマンがぽつぽつとやって来たところでカメラを撤収,精進湖に戻る.


 この季節の精進湖は富士山の裾野から朝日が昇り,この構図がお気に入りである.先ほどは数台の車しか止まっていなかったが,6時になるともう湖畔にはずらりと車が止まっていた.ちょっと撮って帰ろうと思ったのだが,先ほどは暗くて気付かなかったのだが湖面が凍り付いて面白い景色になっていた.空も少しずつ朝焼けに染まり始めたので,防寒対策をして湖畔で日の出を待つことにした.

    日の出を狙うカメラマンの車がずらりと並ぶ精進湖湖畔.


    朝焼けに凍りついた湖面が赤く染まる.


    日の出前の空


    真っ赤な日の出を期待したが,朝日は雲間に隠れていまいち染まらず.

 時間は7時半,帰って職場に行くには少し早い.空を見ると富士山の裾野は雲が厚いが半分から上は薄い青空で,ひょっとしたら雲間から陽が射して凍りついた湖面が輝く景色が見られるかもしれない・・・.という期待を抱いて,精進山まで行ってみることにした.まだ風邪が治りきっていないので,防寒対策とマスクをしっかり装着して出発.精進山のコルへ直登する最短ルートを登る.

    中腹は雪の斜面.普段は石ゴロゴロで歩きにくいが,むしろ雪道の方がアイゼン装着すれば歩き易い.


    もうすぐ精進山のコル.上部は雪が無いが稜線まで行くとまた雪の道.


    コルの直下から振り返って見る富士山.だいぶ雲が増えてしまった.


    精進山のコル

 1時間ほどで精進山の展望台に到着した.しかし,その頃には富士山は見えるもののすっかり上空の雲が厚くなってしまい,青空は全く見えなくなってしまった.

    精進山展望台から見る凍りついた精進湖と富士山


    精進湖を見下ろす


    三方分山はもうすぐそこだが,今日はここまで.下山する.


    またの機会に.場所は良いのだが登り着く時間が悪く,なかなか良い景色を撮れないでいる精進山.


 下山は40分ほどで湖畔に到着した.残念ながらこの日の撮影はいまいち.良かったのは日の出前の朝焼けくらいだろうか.また出かけます.

 写ば写ばに立ち寄りたかったが既に時間は10時近い.仕事を片付けなければならないので,写ば写ばの横を車で通り過ぎて行く時に栗林先生がその姿を店の中から見ていたようで,職場に着いて仕事の準備をしている時にsanaeさんから電話がかかってきた.驚いたことに,竜ヶ岳の帰りで写ば写ばに立ち寄っているところだそうだ.栗林先生から先ほど車で走っていったと聞いたらしく,近場に登っているのではないかと電話をくれたそうだ.残念ながら1時間ほどのすれ違いでお会いできなかった.星見隊メンバーはめっきり星空にのめり込んでいて撮影技術も向上著しいので,近いうちにまた召集をかけることにしたい.

「彗星年」と期待された平成25年を振り返って

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 パンスターズ彗星に始まり、今世紀最大の彗星になるであろうと期待されたアイソン彗星がやって来た平成25年は、「彗星年」として天体に興味のある者だけでなく一般の人たちも大いに期待した年だった。しかし、実際に彗星がやって来ると、発見された当初はマイナス等級までなるであろうと期待されたパンスターズ彗星は2〜3等級止まりで肉眼で見ることはほとんど困難だった。そして一番の目玉だったアイソン彗星はテレビで特別番組まで予定されたものの、近日点通過時に燃え尽きて消滅してしまった。予想外に検討していたのがラブジョイ彗星だろう。サングレーザーと呼ばれる太陽のすぐ近くを通過して急速に光度を上げる彗星とは異なり、あまり太陽に近付かずに折り返してしまうためにさほど明るくはならないことがわかっていたが、4等級ほどの明るさまで増光して長期間夜明けの北東の空に輝いた。年が明けた現在でも6等級ほどの明るさを保っている。

 彗星の撮影は昨年初めて経験したが、さすがに最初はどこを飛んでいるのか全くわからず、かなり苦労した。3月にやって来たパンスターズ彗星は日本で最初に撮影してやろうという意気込みで近日点通過2日後の3月9日に金峰山山頂から彗星を狙ったが撮影できなかった。撮影に成功したのは3月12日の帯那山からで、幸いにもその時の写真は山梨日日新聞に掲載していただいた。撮影に成功した理由は、その前日に茅ヶ岳から撮影した映像を拡大して詳細に検討したところ、夕暮れの空にうっすらとパンスターズ彗星が写っている写真があったからで、この映像を基に彗星軌道、高度、そして光度を予測して、肉眼で見えない彗星をカメラで狙い撃ちして撮影したものである。

    鳳凰山地蔵岳の脇を舞うパンスターズ彗星(3月12日 帯那山) (220mm f5, 6sec, Iso320)


    白根三山を舞うパンスターズ彗星(3月15日 三ツ峠) (115mm f4.5, 6sec, Iso1000)


    富士山に舞い降りるパンスターズ彗星(3月19日 金時山) (160mm f5.0, 2.5sec, Iso1250)


 軌道計算と時間の割り出しが出来るようになると、あとはその場所に現れるのをひたすらシャッターを切りながら待つだけということになる。次にやって来たアイソン彗星は狙いすまして撮影に出かけた。ほぼ予想通りの軌道で彗星が現れ、富士山剣ヶ峰を舞うアイソン彗星の撮影に成功した。しかし、ここで思ったことがレンズの明るさと解像度である。使用していた70-300mmレンズはズームを上げると画像が暗くなってしまい、かつ口径が小さいために解像度が悪い。彗星を撮影するには星が流れないようにシャッタースピードを早く(200mmレンズで3秒以内)しないと光が流れて彗星らしさが無くなってしまうことに改めて気付いた。そこで新調したのが200mm F2.8という単焦点レンズである。これは800gほどの軽量であるのに今までのズームレンズとは全く違う写り方をする。

    富士山剣ヶ峰を舞うアイソン彗星(11月16日 毛無山地蔵峠) (300mm f6.3, 3.2sec, Iso6400)


    アイソン彗星と獅子座流星群(11月16日 毛無山地蔵峠) (80mm f4.0, 8sec, Iso4000)


    夜明けの富士山腹を舞うアイソン彗星(11月23日 竜ヶ岳) (200mm f2.8, 2.5sec, Iso1600 新レンズで撮影)


 アイソン彗星が近日点を通過した後は鳳凰山から夜明けの甲府盆地の空に尾を引く彗星を撮ってやろうと、数ヶ月前から狙っていた。しかし、インターネットの情報を見ていると残念なことに彗星消滅のニュースが入って来た。しかし、ひょっとしたら彗星のかけらや散らばったダストが写るのではないかと鳳凰山に出かけたが失敗に終わった。アイソン彗星の画像は星見隊出動して竜ヶ岳で撮ったものが最後の画像となった。

 アイソン彗星が消滅した頃にはラブジョイ彗星が見頃を迎えていた。こちらは全く眼中に無かったのだが、自宅前の田んぼで試し撮りしてみると予想外に綺麗に写ってくれた。しかも、カメラファインダーを通して彗星を確認することもできた。そしてしばらくはこのラブジョイ彗星を追いかけることになるが、相性が悪いのかなかなか写ってくれない。できれば山の上から撮りたかったが、貫ヶ岳で失敗して以来撮影に行けず、富士山頂で捉えたまともな画像は白糸の滝付近で撮影したカットのみとなってしまった。

    ラブジョイ彗星(12月1日 鳳凰山) (200mm f2.8, 3.2sec, Iso6400)


    朝靄の空を舞うラブジョイ彗星(12月7日 貫ヶ岳) (55mm f2.8, 13sec, Iso2000)


    富士山頂を舞うラブジョイ彗星(12月21日 富士宮市白糸の滝) (200mm f2.8, 2.5sec, Iso2000)


 終わってみれば期待していた2彗星はいずれも期待したほどの大彗星にはならなかった。次はいつ来るのかわからないが、長く尾を引く彗星を一度は撮影してみたいものだと思う。


 (おまけ)
 ラブジョイ彗星は現在光度6〜7等級です。おそらく次の連休が最後の撮影機会になるのではないかと思っています。いつもは秘密で撮りに行きますが、今回は予告・・・天子ヶ岳山頂、午前4時ごろに富士山頂に彗星が現れるはずです。11日は左角から、翌日は山頂あたり・・・と、右(南側)に軌道がずれて行きますが3日間とも撮影可能なはずです。田貫湖だと山頂より左側になりますが、撮影は可能です。仕事の都合でいつになるかはわかりませんが、3連休のうちのどこかで行く予定です。

彗星を追って 極寒の天子ヶ岳  平成26年1月10日‐11日

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 ラブジョイ彗星はピーク時4等級ほどだった明るさから現在は6等級ほどまで光度を下げている。双眼鏡でも見えにくくはなったが、未だ十分に撮影することは可能である。年末・年始の休み中に富士山からやや距離を置いた南部町の山から富士山の全容とともに撮影しようという計画は体調不良と根性が出ずに果たせなかった。おそらく、今回が最後のチャンスになるであろうと思う。強烈な寒波が押し寄せ、冬型の気圧配置となっておそらくは澄んだ星空が見られるであろう3連休を狙って、予告した通り天子ヶ岳に登る。

 仕事を終わらせて午後出発し、田貫湖を出発したのは午後3時になってしまう。もう日の位置は低く、田貫湖には山の影が伸び始めている。長者ヶ岳を越えて天子ヶ岳に向かうが、長者ヶ岳までは道が良くてあまり遠く無かったと記憶していた。登山を始めたばかりの頃にテント泊の練習として初めてテントを張ったのが長者ヶ岳山頂である。ダイヤモンド富士になる日を狙って山頂泊したが、雲に遮られて富士山すら見えなかった。その次に訪れたのは南アルプス栗沢山で凍傷になり、治りかけたところでリハビリで登り、天子ヶ岳を周回して下りた。今回が3度目となる。重いテントを背負わずとも未明に山頂を目指すことも考えたが、そうするとおそらくは寒さに尻込みして登らなくなってしまう公算が高い。ならば無理してでも山頂泊を選択し、金曜日の午後から登ることにした。できれば長者ヶ岳山頂で夕暮れを迎えたいが、時間的に難しいかもしれない。

    午後3時田貫湖湖畔を出発。駐車場にはもう山の影が下りる。


    バンガローの中を抜けて稜線の東海自然歩道に抜ける。


    まだ陽の残る樹林帯の中。


    長い木の階段道。長者ヶ岳まではまだ2kmほどあり、意外と遠いことに気付く。

 思ったよりも長者ヶ岳は遠く、林の中で夕暮れを迎えてしまう。富士山を見ると中腹に雲をまとい、今シーズンでは最高ではないかという凄い焼け方をしていた。展望地を探すが良さそうな場所が見つからず、止む無し、林の中で三脚とカメラを構える。長者ヶ岳山頂ならばきっと良い写真が撮れただろうが、残念。しかもデジタルカメラの特性で、赤系統の色があまり出ないのも残念だ。

    中腹で夕暮れを迎えてしまう。


    夕暮れの富士山。もっと真っ赤に焼けていたのだが、赤系統に弱いデジタルカメラは色が出ない。


    長者ヶ岳山頂に到着したのは5時半過ぎ。もうすっかり真っ暗。


    長者ヶ岳山頂から見る富士山


    富士山の左上に輝く明るい星は木星。右側にはオリオン座が昇る。

 長者ヶ岳山頂で30分ほど休憩と撮影の後、天子ヶ岳に向かう。ここから標高差120mほど下ってまた同じくらい登り返すと天子ヶ岳に到着する。気合を入れ直して夜道を出発する。幸いにして単独登山者の足跡がくっきりと残っており、それを追いかけて道を進む。月光に照らされた雪の稜線は白く光って美しく、空気が澄んで眼下の街灯りがひときわ鮮やかに見える。こういう景色を見ながら山中を単独で歩いていると、自分が森の中に同化され、自然の一部になったような感覚を覚える。1時間ほどで天子ヶ岳山頂に到着。月光に照らされた森が綺麗だったので、テント設営の前に森の情景をカメラに納める。

    月光照らす天子ヶ岳の森


    森の上に広がる月と星の情景


    天子ヶ岳の森に昇るオリオン座


    天子ヶ岳展望台から望む夜富士。富士山頂の上に輝くのは木星と双子座。


 周辺をひととおり撮影し終えてからテント設営する。時間はもう7時半を回っていた。想定した以上に冷え込んでおり、テントの中でバーナーを焚いて暖をとり、夕食となる。外気温を腕時計の温度計で測ってみると、既に振り切っていて測定不能だった。氷点下10℃以下まで冷え込んでいるということだ。3シーズンシュラフにシュラフカバーでなんとかなるだろうと思っていたが予想以上に冷え込み、持ってきた服は全部着込んでホッカイロを張って寝るが、腰から腿のあたりが寒くてあまり眠れず、何度も目を覚ました。そして未明3時に起床する。バーナーを焚いて暖をとってから軽く食事を済ませ、3時半、激寒の外に出て三脚とカメラを構える。予想では彗星が姿を現すのは未明4時頃だ。
 
     未明の富士山。右上に高く昇っているのは牛飼い座アルクトゥールス、富士山頂に小さく輝くのは彗星を探す目安となるヘラクレス座ラスアルゲティという星。


    200mmレンズで捉えた富士山頂。右に昇るのがラスアルハゲという星。同じ高さで左に彗星が姿を現すはず…と思ったら既に富士山白山岳の脇に彗星が登場していた。


    富士山白山岳の上に姿を現したラブジョイ彗星


    富士山頂を舞うラブジョイ彗星。かなり小さくなったように見える。


    同上


    62mmズームだともうほとんど見えないほどに小さい。


    頻用する17?だとほとんど写らない。左手に昇って来たのはこと座のベガ。

 彗星が富士山から遠ざかった頃に再び森の中に入ってみる。木星が北西の空に沈んで行くところだった。頭上には北斗七星と春の大曲線が高く昇っていた。寒さを忘れてすっかり撮影に没頭し、2時間もテントの外にいた。風が吹かなかったためか、あまり寒さを感じなかった。薄明の始まった5時半、テントの中に戻る。

    天子ヶ岳の森の星空。中央低空に輝く明るい星が木星。


    頭上に昇る北斗七星と春の大曲線


    水平線が明るみ始め、薄明の始まった富士山

 朝食をとって暖をとって夜明けを待つ。夕食の時に誤ってこぼした水がテントの隅でカチカチに凍りついていた。水平線が赤く染まって来たところで再びテントの外に出て日の出を待つ。昨日の夕暮れのように赤く染まるのを期待したが、この場所では日の出の角度が悪く、富士山の斜面にはあまり朝日が当たってくれなかった。

    日の出前の富士山


    日の出。この季節は天子ヶ岳からだと富士山に朝日が当たらない。

 7時半、テント撤収し下山開始。ゆっくりと山を楽しみながら歩く。長者ヶ岳の先で田貫湖休暇村に下りる道があり、まだ歩いたことがなかったのでそちらを歩いてみた。こちらも整備の行き届いた道だった。これならば、夜中に歩くにも問題は無さそうだ。田貫湖のダイヤモンド富士は何度か撮影したが、まだ撮れていない山上からのダイヤモンド富士も見てみたいと思う。

    朝の天子ヶ岳の森


    長者ヶ岳から見る富士山


    田貫湖湖畔から見る富士山


    同上(いつもダブルダイヤモンド富士を撮影しているのがこのあたり。)


 ラブジョイ彗星を追うのはおそらく今回が最後になると思う。山上からの撮影にこだわったが、結局富士山と一緒に最もまともに撮れたのは富士宮市白糸の滝付近から見上げたカットだった。貫ヶ岳、天子ヶ岳と2つの山上から彗星を狙ってわかったことだが、富士山の裏側にある御殿場から相模原、厚木、さらに川崎・横浜といった都会の町灯りが明る過ぎるために、山上から見るとその明りが富士山頂を越えて広がってしまっている。そのために、山の上から撮ると富士山頂付近の空の明るさに彗星の輝きが薄くなってしまっているようだ。むしろ見上げる富士山で光害の少ない空を狙ったほうが彗星は撮り易いのかもしれない。   

霧氷の進藤峠と黒岳  平成26年1月19日

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 前日の夕方見た三つ峠ライブカメラでは,三つ峠は真っ白な霧が巻いていた.強い寒波が押し寄せている影響でかなりの冷え込みが予想される.朝にはきっと霧氷が出来ているに違いない.狙い目のこの日,御坂山塊から富士山を狙ってみることに決めていたが,どこに行くか?三つ峠は狙い目ではあるがおそらく人がいっぱいだろう.ならば,ホームグラウンドの黒岳に行ってみることにする.新道峠への林道が冬季閉鎖されているこの季節はカメラマンが少なく心置きなく撮影が楽しめる.

 まだ薄暗い朝6時に自宅出発し,芦川すずらんの森に至る林道に入ると雪が積もっていた.先行した車のタイヤ跡があり,先に進むと釈迦ヶ岳登山口の手前で軽の4輪駆動車が立ち往生していた.道が広い場所だったので脇を通り過ぎて通過すると,今度は自分の車がスリップして道を進めない.薄雪の下の道がアイスバーンになっていて緩い坂なのに上れないのだ.バックしながらアイスバーンのわだちから抜け出そうとしたのだが,ハンドルを切ってもスリップしてそのまま真っ直ぐ下がってしまう.30mほど後戻りしたところでようやく脱出できた.さて,どうするか?広い路肩に車を止めて釈迦ヶ岳という手も考えたが,アイスバーンのわだちを踏まずに路肩に近いところを加速して通過すると,なんとか通過できた.どこまで行けるのか?停車してしまうともう発進出来なくなりそうなので,止まらずにそのまま進むとなんとかすずらんの森の広い駐車場までたどり着くことができた.その先の林道はアイスバーンでは無くて普通の雪だったので,新道峠林道ゲートの近くまで進んで手前の広場に車を止めた.既に時間は8時近い.

 ゲート脇を通過して新道峠に向かう.1時間弱かかるので,もはや日は高く昇り始めている頃だろう.気温は氷点下10℃まで冷え込んでおり,頬に当たる空気がピリピリと冷たい.見上げる稜線の上は朝日を浴びて白っぽく光っており,どうやら予想通り霧氷が広がっているようだ.

    新道峠林道ゲート手前の道.


    新道峠の駐車場.トレースはしっかりあるが,新しい足跡は無し.


    新道峠から見る八ヶ岳(左)と奥秩父山塊(右)を従えた釈迦ヶ岳

 1時間弱で新道峠に到着した.期待していた通り,霧氷の景色が広がっていた.すっきりとした富士山が目の前に聳え立つ.新しい踏み跡は無く,どうやら私が本日初の訪問者らしい.誰もいない新道峠を独占,存分に写真を撮らせてもらった.


    霧氷の新道峠と富士山


    同上


    新道峠第1展望台から見る富士山


    青空に広がる霧氷


    新道峠第2展望台


    第2展望台のシンボルツリーと富士山


    シンボルツリーは残念ながら霧氷になっていなかった.


    十二ヶ岳方面を望む


    日の位置はもう高い.

 1時間ほど新道峠の景色を楽しみ,黒岳に向かう.トレースはあるが,ところどころ風でかき消されている.そんな場所でも雪は脛のあたりまで,ラッセルというほどではない快適な雪道歩きだ.黒岳への最後の登りにさしかかったところで,下山のことを考えてアイゼンを装着.山頂まで新しい踏み跡は無かったが,山頂に到着すると御坂天下茶屋からの登山者と思われる単独登山者の足跡がついていた.

    破風山


    トレースのかき消された稜線に木の陰が伸びる.


    山頂直下.夏はお花畑になっている場所だが,冬は雪原に立ち並ぶブナの木が美しい.


    ブナの森の向こうに立つ富士山


    黒岳山頂.新しい足跡がひとつだけあった.


    黒岳展望台からの富士山.風に煽られてこちらの霧氷はもう終わってしまったようだ.

 山頂の展望台で昼食をとり,30分ほど休憩する.間もなく単独登山者が一人二人とやって来る.展望台をあとにして山頂に行くと,7〜8人の団体登山者がやって来たところだった.ほとんどが中高年者,ほとんどが天下茶屋からの登山者だった.北側のどんべい峠に下りるルートを一気に下る.こちら側はやや雪が深く,ところどころ膝下くらいまでの積雪があったが,柔らかい雪できわめて快適.1時間ほどで駐車場に到着した.


 冬の御坂山塊は今回のように霧氷の景色と冬富士が楽しめる日が数回訪れる.1日で終わってしまう景色だけに,なかなか週末にうまく当たってくれない.前日や当日に行く先を決めて行けるのは地元ならではの利であろう.



夕暮れの富士を眺めに 釈迦ヶ岳  平成26年1月27日

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 風が無く穏やかな青空が広がったこの日、午後になっても甲府盆地からすっきりとした南アルプスと八ヶ岳の山並を望むことができた。冬とは言え、風が吹かずにこれほど空気が澄んでいる日は珍しい。時間は午後1時を過ぎたが、近場の山ならば今からでも登れそうだ。富士山を眺めるなら御坂山塊が良いが、黒岳は先週行った。車を走らせながら行く先を考え、登山口に一番早く到着できそうな釈迦ヶ岳に行くことにする。

 先週は林道で苦労したが、数日間暖かい日が続いてアイスバーンが解けていることを期待したのだが、またしても途中で車がバックしているところに出くわす。先行していた車が昇れずにチェーンを装着しているところだったそうで、あきらめて戻って来たそうだ。その先は相変わらずのアイスバーンの坂だ。少し加速して坂に侵入する。アクセルを踏むとタイヤがスリップするが、止まったら最後バックして戻るしかない。ポンピングアクセルでなんとか登り切り、釈迦ヶ岳の登山口に到着した。車を回して路肩に止めようとしたが、これがまた大変なことになる。切り返してバックした際にハンドル操作不能となり、車が斜めになった状態でわだちをズルズルと車が滑って落ちてしまう。ハンドルも効かず、態勢を立て直すこともできずに斜めのままで20mほどバックしてようやく氷の解けた路面となり、そこで車を回して路肩に止めた。登山よりもスリルのある運転となってしまった。

    アイスバーンの道。車の後方20mほど先から斜めになったまま車が滑り落ちてきた。

 そんなことがあって、出発は午後2時40分ごろとなってしまった。登山口からしばらくは登山道になっている林道歩きだが、ここもアイスバーンになっていて歩きにくいため軽アイゼンを装着した。ところが、10分も歩かないうちに日当たりの良い場所になり、そこは雪が解けて無くなっていた。コンクリートの道を歩きにくいアイゼンを装着したままテクテクと歩く。稜線までは雪はまばらにある程度だったが、積もった落葉の下には氷の塊が埋もれていた。

    登山道となっている林道もアイスバーンの道。アイゼン装着するがすぐに雪は無くなる。


    林道から見上げる釈迦ヶ岳。上にも雪は少なそうだ。


    斜面の雪はまばらだが・・・


    積もった落葉の下には氷の塊がゴロゴロしていた。


    1時間ほどで稜線に到着。

 稜線に出ると再び雪が積もっていたがさほどの量では無かった。雪と岩のミックスをトレーニングのつもりで登るのを期待していたのだが、この先の岩場は日当たりが良く、全く雪は着いていなかった。1時間40分ほどかかって、午後4時20分、山頂に到着した。新しい踏み跡はあったが、既に誰もいない静かな山頂だ。

    ロープ1。


    ロープ2.いずれも雪無し。ちょっと残念。


    こんなところにサルオガゼ。


    山頂到着。もう日が陰り始めている。


    山頂から見る富士山


    山頂の夫婦地蔵。もうすぐ日没なのに富士山はすっきりと見えている。


    同上


    先週お邪魔した御坂黒岳


    夕暮れ迫る富士山


    夏は岩ゴロゴロの山頂も冬は雪で平らになって、テントを張って寝られる。(双子座流星群の時にここにテントを張って一夜を過ごしたことがある。)

 日没迫る午後4時40分を過ぎた頃、風がぴたりと止んだ。西から湧いて来た雲がほとんど動かずに富士の裾で止まっている。時間が止まったかのようなこのひととき、自然と自分が一体化したようなこんな瞬間を皆さんは経験ことがあるだろうか?映像や言葉では表現できないようなこの感覚、これこそが私が山に登る一番の目的なのかも知れない。足元が明るいうちにさっさと下山、と思ったのだが、「もう少しゆっくりして行きなよ」と山の神様に引きとめられているようだった。

    残照の山頂と黒岳。左は三つ峠。


    南アルプスの左脇に赤い夕陽が沈んで行く。至福のひととき。


    南アルプス北部の山並。右から甲斐駒ケ岳、鳳凰山、北岳、間ノ岳、農鳥岳。


    展望台に場所を移動する。夕暮れの南アルプス。


    残照の富士山。この後少し風が吹き始め、富士山はあっという間に雲の中。

 三脚を畳んでヘッドライトを装着し、5時10分過ぎに下山を開始する。尾根分岐点ですっかり日が暮れてヘッドライトを点灯する。林の中から見上げる空にはひときわ明るい木星が輝いていたが、それもすぐに雲の中に隠れてしまった。6時5分、駐車場に到着。ポンピングブレーキを踏みまくって加速しないように運転し、無事帰宅できた。


 先日甲府駅前の焼鳥屋で以前から顔見知りの方と隣り合わせで話をする機会があった。その方も時々山に登っている人だが、ひょんなことから妖精の住む森の話になった。これはスライド上映会の時にこのテーマで厳冬の大室山ブナ林の中にテント泊して撮影に熱中した時の話だったが、本当に妖精か山の神様が住んでいるような空間に入ったことがあるというような話をしたところ、その方も山の林の中、神社の森の中でそんな経験をしたことがあるといことだった。時間が止まっているような、恐れつつも温かさがある空間、妖精とも魔物とも神様とも違う何かがいる、というよりも包まれている感覚というのが同じ見解だった。きっと、読者の皆さんにも同じような感覚を体験している方がいらっしゃるのではないだろうか?ちなみに単独で入山した時しかこの感覚を味わったことが無い。

月と金星が接近した朝 精進山から三方分山  平成26年1月29日

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 二十八夜の細月と明の明星金星が接近して昇って来るこの日を1ヶ月ほど前から狙っていた.平日なので撮影に行けるかどうか不確定だったが,午前中なんとか時間を空けることができた.未明2時半に目覚ましをかけて起きるが,ウトウトしていると3時を過ぎてしまう.急いで準備して精進湖に向かうが,湖畔から歩き始めたのは4時半になってしまう.月はまだ昇ってきていないが,さそり座の胴体までが富士山の左脇に昇って来ていた.精進山のコルに直登するやや急な道を黙々と登る.5時に精進山の展望台到着を予定していたが,とてもではないがそんな時間には到着できない.中腹で月が昇り始めてしまい,予定地に到着したのは4時25分,55分かかって到着したことになる.

 この日は月と金星が接近しているだけでなく,さそり座の尻尾のところを横切る天の川が月のすぐ上に見えるかもしれない絶好の撮影日だった.明るい月だと天の川の輝きが消えてしまうので,両方を一緒に撮影するには二十七夜か二十八夜の細い月でなければ写ってくれない.1年のうちで撮影のベストは2月か3月ということになり,あまりチャンスはめぐって来ない.

 撮影予定地に到着すると,富士山の裾野からもうだいぶ離れて月が昇っており,その左脇にはひときわ明るい金星が輝いていた.さそり座はもう富士山の山頂を越えている.残念ながら天の川は位置が低く,夜明けの明かりに混じってしまっているのか肉眼ではわずかにしか見えない.

    富士の裾野に昇って来た二十八夜の月と金星.富士山の上に雲のようにかかる白い霞が天の川.


    修理から帰ってきた17‐55mm F2.8レンズ.今度は周辺のピントのボケが直っており,新品の時と同じように写る.


    精進湖の夜景と富士山


    次第に空が明るみ始め,天の川は消え星の輝きも薄くなって行く.


    薄明の富士山と精進湖

 風がほとんど無くそれほど冷え込んでもいない.オーバージャケットを持っていったが,ダウンだけでも凌げるくらいだった.富士山と月と金星,そして眼下に見える精進湖を日が昇るまでひたすら撮りまくる.

    地球照の月と金星


    同上 55mmズーム


    精進湖と地球照の月


    この月も夜明けの明かりの中に次第に消えて行く.


    夜明けの空に消えて行く二十八夜の月


    もうすぐ日の出


    午前7時,富士の裾野から朝日が昇る


    同上


    朝日に照らされたパノラマ台方面


    夜明けの精進山展望台

 朝日が昇ったところで三脚をたたみ,三方分山に向かう.この先の下りは踏み固められたアイスバーン状態になっていたが,道脇の踏まれていない雪を踏んだり,木につかまったりしながら慎重に通過する.アイスバーンは日陰のところだけで,三方分山の登り斜面には雪は無かった.8時,三方分山山頂に到着する.気温が高いためか,まだ朝だというのに富士山は少し霞んでいた.

    三方分山への道は日陰のところがアイスバーン状態.


    もうすぐ山頂


    午前8時,山頂到着.山梨百名山標柱は朽ちて倒れそうだ.


    三方分山山頂から見る富士山


    富士山はもう霞んで見える.

 山頂で朝食をとり,8時半に下山開始.9時女坂を通過し,小休止して一気に下山し,9時40分駐車場に到着した.遅い出勤となるが,この日は応援の先生がいるので午前の業務はお任せになっている.この日はそのまま当直の業務が待っていた.


 この季節は早朝に夏の天の川が昇ってくる季節で,霞が増える4月前までで月明かりが無い日が天の川を撮影する絶好の機会となる.2月初旬に雨ヶ岳からこの天の川を狙ったことがあったが,その時も夜明けの明かりに天の川がかき消されて写らなかった.富士山山頂を流れる天の川を撮影するならば,2月中旬頃からパノラマ台,あるいは竜ヶ岳から毛無山の山塊が撮影の適地となるだろう.

樹氷輝く三ツ峠  平成26年2月5日

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 以前から狙っていた三ツ峠の樹氷の景色だが、週末に良い日が当たることはきわめて稀で、登っても樹氷の景色は見られても富士山が出なかったり、既に時が遅かったりと、ツツジの季節も含めて全く相性の悪い山だった。しかし、今回は・・・!

 前日の午後から降り出した雨は夕方には止んだ。甲府市内から見上げる北側の帯那山は上部が見事に雪化粧した。御坂山塊はまだ雲が巻いていた。明日は天候回復の予報、しかも冬型の気圧配置で気温が低く、樹氷や霧氷の景色を見るには絶好の条件が揃った。久しぶりに前日から気分が高揚する。9時半には寝て、未明2時40分に起床して三ツ峠を目指す。

 いちばん心配だったのが林道だが、幸いなことに新雪でわだちがしっかりと着いていて、アイスバーンにはなっていなかった。さらにゲートが閉鎖されておらず、登山口の駐車場まで入ることができた。が、まだ4時半だというのに駐車場は既に満車状態で、少し戻った路肩に車を止めるが、雪で脱出不能になるのを警戒して何度も車を前後に走らせてしっかりとタイヤ回りを固めた。出発は4時50分ごろになってしまう。あわよくば天の川の撮影もと思っていたが全く間に合いそうも無い。軽アイゼン装着して黙々と山頂を目指すが、星の輝いている時間に登り着くことはとうてい出来ず、日の出20分ほど前の6時半、なんとか富士山が撮影できる場所まで到着した。

 富士山は霞んでいるのではないかと心配したが、鮮やかな朝富士が立っていた。そして尾根を見て唖然とした。登山道から見上げる森の木にはあまり雪が着いていなかったが、想定していた以上に真っ白な樹氷の景色になっていた。雪が積もっただけでは無くて霧氷も着いているようだ。山頂へは向かわず右手の展望台に行くと、既に先客のカメラマン1人が撮影の準備をしていた。横に入れてもらって撮影させてもらう。


    午前5時45分ごろの見上げる空。夜明けの明りに星の輝きが消えて行く。右に見える塔が御巣鷹山。


    展望地に到着。すっきりとした富士山、そして目を見張る樹氷の尾根。


    樹氷と夜明け前の富士山


    間もなく富士山に朝日が当たり始め、ピンク色に染まる。


    朝日に染まる富士山


    樹氷の木々にも陽が射し始める。


    朝日射す樹氷と富士山

 隣にいたカメラマンの方は何度も三ツ峠に撮影に来られているベテランの方で、もう少し先に良い展望地があるというので案内していただき、そちらに移動する。既に先客のカメラマンが2人三脚を構えており、もうそろそろ撮影を終えるところだった。その場所はまだ本格的な登山を始める前に三つ峠に登った時に一度だけ来たことがある展望地で、ロッククライミングの練習場となっている場所だった。こんな場所があったことなど、すっかり頭の中から消えていた。

    展望地から見る樹氷の尾根と富士山


    樹氷と富士山。なかなか見られなかった景色に感動する。


    輝く樹氷と富士山


    三つ峠山頂と樹氷の景色

 存分に撮影させていただき、三脚を担いだまま山頂目指して移動する。時間は7時半となり、未明から朝の景色を撮影にやって来たカメラマンたちはもう大部分下山していった。積雪は20cmほどだろうか、吹き溜まりでは膝あたりまでずっぽりとハマる。どちらの方向を見てもこの日の三つ峠の景色は素晴らしく、あちらこちらを歩きまわって写真を撮りまくった。黒岳から連なる御坂山塊の雪景色が素晴らしく、この日の御坂の山はどこに登ってもきっと素晴らしい景色にめぐり逢えたことだろう。

    裸山と御巣鷹山


    裸山から見る樹氷と富士山。右手の山小屋は三つ峠山荘。


    樹氷輝く三つ峠


    霧氷の木


    樹氷と朝日


    樹氷と富士 山頂ふもとから。


    樹氷の尾根と富士山 中腹から。三つ峠の定番の風景。


    三つ峠山頂。風が強くかなり寒い。涙がまつ毛に凍りついた。


    山頂から見る富士山


    雪化粧の美しい御坂山系と南アルプス。中央のこんもりした山が最高峰黒岳。

 御巣鷹山も行こうと思っていたのだが、腹の具合が悪くここまでで下山することにした。公衆トイレは冬季閉鎖になっており使用できなかった。早朝は賑わっていた三つ峠はこの時間になると登山客がまばらにやって来るだけでむしろ静かだった。9時下山開始、40分で駐車場に到着。先週同様、この日も当直業務が待っている。

    先客がいて入れなかった三つ峠山荘下の展望地。


    新たな登山者がぽつりぽつりとやって来る。三脚担いだカメラマンの姿はもう無い。


 何度も登っている三つ峠だが、なかなか良い写真が撮れずダメダメダメのダメ三っつ峠だったが、ようやくリベンジすることができた。他の山でもこれほど素晴らしい樹氷の景色に出会ったことは数回しか無い。次はツツジの季節に良い景色が見られたらと思う。

豪雪の山梨県、雪化粧の甲府盆地を望む 湯村山から八王子山  平成26年2月9日

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 20年ぶりとなる平成26年2月8日の大雪は、夕方一旦止んだものの再び降り出し、未明まで降り続いた。甲府市内で45cm、河口湖では60cm以上の豪雪となった。明けた2月9日は風も穏やかで温かな日差しが降り注いだ。庭や幹線道路に出るまでの道を雪かきしなければとてもではないが安全に車を走らせることはできない。午前中は10時過ぎまで雪かきに追われる。

 御坂山塊が雪景色を楽しむには良いかもしれないが、とてもではないが登山口まで車が入れないし、時間ももう遅くなってしまった。いちばん近い場所で甲府盆地と富士山が望める場所といったら、八王子山(千代田湖の湖畔にある山)だろう。曲がりくねった傾斜のきつい千代田湖への道はとても車で昇れる気はしないので、麓の緑ヶ丘運動公園から歩くことにする。

 運動公園の駐車場は除雪作業の真っ最中だったが、雪の少ないところに車を止めさせてもらう。出発は11時40分になる。日差しが暖かく、雪はどんどん融け始めていて歩道は半水たまり状態になっていた。


    緑ヶ丘運動公園の駐車場とこれから歩く湯村山〜八王子山の尾根。


    一段上にあるゲートボール場。30〜40cmほどの積雪。


    既にトレースはしっかりとついている。雪が融け出してズルズル状態。

 遊歩道にはもうしっかりとしたトレースがあるが、足跡を見るとほとんどが長靴の足跡だ。融け出したズルズルの雪道には長靴のほうが有利かもしれない。このままトレースを追えば湯村山にたどり着くが、それでは面白くない。折角の雪だし、ここは遊歩道を離れて湯村山山頂に直登する鉄塔コースを、雪を踏みながら登ることにする。コースを外れて雪の斜面を登って行くと、5分くらい登ったところで反対側の斜面から登って来たトレースに合流してしまう。こちらは登山靴の靴跡。大きな足跡の中に小さな足跡が付いているところをみると、男女2人組だろう。このトレースはその上を走る遊歩道に合流していたので、その先はトレースの無い斜面を歩き易いところを探して登るが、ところどころ黄色いペンキサインがついており、適当に登ったつもりでもどうやら登山道に沿って歩いているようだ。40分ほど歩いて湯村山山頂に到着する。


    遊歩道を外れて雪の斜面を登るが、間もなく反対側からの登山者のトレースに合流した。


    林の隙間から見る白い甲府盆地


    鉄塔の下をくぐる。


    上部は岩のゴロゴロした斜面。右上に見える石垣が遊歩道で、先行したトレースはここで遊歩道に合流していた。


    遊歩道を歩かずそのまま湯村山まで直登する。雪は脛のあたりまでで、楽しむには快適な積雪量。もうすぐ山頂。


    休憩所の立つ湯村山山頂。

 朝は見えなかった富士山だったが次第に雲が晴れて姿を現した。雪化粧した甲府盆地の向こうに富士山が立つ。できれば雪の着いた木を前景にしたかったが、気温が上がりこの時間にはもうほとんど樹氷の姿は無くなっていた。


    湯村山から見る雪化粧の甲府盆地と富士山


    同上

 トレースの無い山頂裏側のルートを回って遊歩道と合流し、今度は八王子山を目指す。こちらにもしっかりとしたトレースがあるが、遊歩道の階段を避けるように階段脇にトレースがついており、ここは階段道のど真ん中を・・・ということでトレースを使わずに雪を踏んで階段の真ん中を歩く。途中でスコップを担いで下りてきた人とすれ違った。先に進むと、下りの急階段のところはつまずかないようにきれいに除雪されていた。


    トレースのある遊歩道に合流。


    トレースは階段の右側についていたが、これを使わずに階段のど真ん中を歩く。


    振り返って見る湯村山


    ここは踏まれた昇りの階段道


    林越しに見る白い甲府盆地


    こちらは急下りの階段道。きれいに除雪されていた。


    途中の休憩所。右側に見えるのが目指す八王子山。


    雪の斜面と八王子山


    甲府市内の低山でもこんな雪景色が見られる日もある。


    八王子山への昇り。日当たりの良いこの斜面は雪が融けて水が流れ落ちる。


    八王子山と休憩所。もう雪は大部分落ちてしまっている。

 なかなか出会うことの無い湯村山界隈の雪を存分に楽しみながら、登山道を外れて右に左に散策しながら歩いたため、普通ならば湯村山から1時間少々で到着する八王子山まで2時間もかかり、展望地に到着した。この場所は春に訪れると山桜が尾根を彩り、その向こうの甲府盆地越しに富士山を望むことが出来る絶景地だ。夜景も素晴らしい。気温が上がって霞が出てしまったが、白く雪化粧した甲府盆地の向こうに富士山が全容を現していた。


    休憩所から見る雪化粧の甲府盆地と南アルプス


    雪化粧の湯村山と甲府盆地


    いつか見たいと思っていた白い甲府盆地と富士山


    八王子山山頂に立つ神社。


    裏側の千代田湖と茅ヶ岳山塊。千代田湖から登るとここまで20分とかからない。

 山頂の向こう側にもう1ヶ所素晴らしい展望台がある。そちら側に行ってみるが、急傾斜の道は雪が緩くてスリップし易い。トレースはしっかりとあったが、こちら側はやや雪が深く歩きにくい。展望地は策を越えた向こう側、岩から落ちたら命の保証は無いので、足場をしっかりと踏み固めて岩の上に登る。ちょうど甲府駅前のビルが立ち並ぶ向こう側に富士山が立つこの展望台からの景色は、この界隈で写真撮影には最も適した場所だと思っている。


    展望地に到着。右手の岩の上が眺望に優れているが、反対側は崖になっていて落ちたらひとたまりもない。


    岩の上から見る雪化粧の甲府盆地越しの富士山。なかなかこれほどの積雪になることが無く、ようやく出会えた景色。


 帰りは車道をひたひたと歩いて駐車場に戻ったが、こちらの道は除雪されてはいるものの日蔭では路面が凍っていてかなり危険な状態だった。タイヤの滑り止めを装着している車が3台に1台くらい見られたが、それでも明朝はかなり危険な思いをすることだろう。私の住む積翠寺町も坂道を登るため、この日はタイヤ館に寄って滑り止めを購入し、装着して帰宅した。

 めったに無い大雪だけに、雪かきなどで大変な苦労をした人がたくさんいるかと思うが、こんな時だからこそ楽しめる山歩きと景色がある。

渡邊玉枝さん講演会のご案内

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 私の勤務する社会保険山梨病院の検査部が主管で学術集会が開催されます。その中の特別講演が女性最高齢でエベレスト登頂を達成され、植村直巳賞に輝いた渡邊玉枝さんです。富士山ネイチャーガイドもされている渡邊さんの熱い山への思いが聞かれることと思います。私も聞きに行く予定です。





 ポスター写真の依頼を検査部から受けたのが昨年の11月だったと思います。検査部では世界遺産登録となった富士山の写真を考えていたようですが、渡邊玉枝さんという素晴らしき登山家のポスターなので、日本第2の高峰、山岳登山要素の高い北岳を推薦させていただきました。この写真はポスター作製を考えて平成25年12月、鳳凰山に登った時に空の青さを強調して撮影して来たものです。1ヶ月ほど前にもう出来上がっていましたが、ブログ掲載が遅れてしまい申し訳ありません。きっと熱く素晴らしい講演会になると思いますので、山好きな方、山に興味のある方、お手隙の方、是非是非ご参加ください。


 さて、しばらくブログ更新しておらず、2月14日の大雪でどこかで遭難しているのではないかと思われている方がいるやもしれません。実は、あの雪の日の朝、千葉の実家の母が急逝しまして、当面は山を休もうと思っています。体調不良等で登っていないわけではないのでご心配無用です。3月下旬、法要のために再び千葉に行きますが、時間が許せばあちらの山や渓谷の様子などお届けできるかもしれません。

樹氷の三ツ峠再び  平成26年3月15日

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 5月の写真展に向けてそろそろ画像データを集めないと間に合わなくなってしまう。今回のテーマは「山上を彩る花たち」で、山上のお花畑や高山植物を中心とした画像を約30点出展の予定である。今回は私だけの写真では無く花見隊のsanaeさんやみちほさん、そして三脚マンの画像もお借りして、大雪山、飯豊山、尾瀬ヶ原から白馬岳まで、東日本から北海道にかけての主要な山の風景を、西嶋和紙の独特な凹凸のある和紙にプリントしてお届けする。おおよその分担が決まったので、緊急に花見隊召集をかけ、山梨にお越しいただいた。

 母を亡くし、四十九日法要までは喪に服して山は控えようと思っていたのだが、ちょうど1ヶ月が過ぎ、歩かないでいるのも自分自身の健康に悪い。花見隊メンバーがわざわざ来てくれることだし、当初は登山では無くて標柱整備という名目で茅ヶ岳を考えていたが、前日の天候、気圧配置、ライブカメラ映像を見て、狙い目は御坂山塊がベストと判断した。そして、前日夕方に連絡をとり、三つ峠に行き先を変更した。残念ながらみちほさんは15日は都合つかず16日からの合流となってしまい、sanaeさん、としちゃんと私の3人で三つ峠を目指すことになる。

 日の出を見るには朝4時までに駐車場を出発しないと間に合わないが、そんな早い時間に起きられる自信は全く無く、早朝3時に目覚まし時計をかけて起き出し家を出る。三つ峠駐車場に4時過ぎ到着すると、ちょうどsanae隊が出発の準備中だった。深夜遅くに到着して車内泊したそうだが、ほんの数時間しか寝られなかったそうだ。4時半ごろに出発。おそらく日の出には間に合わないが、真っ青な空に立つ富士山は期待できそうだ。積雪は50cm以上あるものの、トレースがしっかりしていてほとんど沈まない。日の出を過ぎた6時25分ごろに展望地に到着する。雪を真っ白に纏った富士山が青空に立っている。


    三つ峠の登山道上部。もう既に夜が明けている。


    展望地に到着。休憩ベンチはすっかり雪の中。


    白雪の彼方に立つ富士山


    三つ峠の展望台。


    期待していたほどの霧氷にはならなかったが、それでも十分に綺麗。


    霧氷と青空に立つ富士山

 前夜は少し雪が降ったようだが、残念ながら期待したほどの霧氷や樹氷にはなっていなかった。しかし、豪雪の影響で真っ白に雪を纏った今年の富士山は例年に無く美しい。そして晴れ渡って空気が澄んだこの青い空。1時間ほど展望台付近でこの素晴らしい眺望を楽しんだ。


    雪原と富士山


    岩肌が見えない真っ白な富士山


    三つ峠山頂


    たっぷりの雪

 山頂へは行かないつもりだったのだが、御坂山塊の後ろ側に見える南アルプスが美しく、さらに展望の利く山頂にも立ち寄ってみることにした。


    三つ峠の尾根と富士山


    山頂間近。


    直下から見る富士山


    御坂山塊を一望。その向こうにはずらりと南アルプス。


    御坂山塊と南アルプス。今日の眺望は抜群。


    山頂から見る雄大な富士山


 素晴らしい眺望を存分に楽しませてもらい、10時頃から下山開始する。順調に下山したのは良かったが、駐車場に到着するとsanae隊の車の真ん前にワゴンの軽自動車が止まっていて車が出せない。キーがつけっぱなしになっていたので、運転して移動しろということなのだろう。車に乗り込んでエンジンをかけようとすると・・・モーターが回らない。バッテリーがあがってしまっているようだ。除雪工事に来ていた人が手伝ってくれてケーブルでバッテリーをつなげようとしたが軽ワゴンのバッテリーの位置がわからず、あきらめて人力で押して車を移動させ、ようやくsanae隊の車を出すことができた。本日のいちばんの労働だったかもしれない。三つ峠の小屋の方の車らしいが、バッテリー切れの車を置いて行くのは反則なのではないだろうか。

 その後、私は仕事を片付けに一旦職場に戻り、午後喫茶店写ば写ばで待ち合わせして午後3時に再合流する。今日は夕方にもうひとつ、良い景色が見られるはずなのだが、果たしていかに・・・??

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