アカンスゲ(カヤツリグサ科)
亜高山帯の湿地や高層湿原に稀に生える多年草である。葉は柔らかく線状で細く、幅 1 ~ 2㎜。有花茎は高さ20 ~ 50㎝になる。小穂は雌雄性で倒卵形、長さ3 ~ 5㎜、3~4個が離れてつく。北海道、岩手県、栃木県、長野県、山梨県に隔離的に分布しており、いずれの場所も個体数は少ない。 2018年山梨県カテゴリー 絶滅危惧ⅠB 類(EN) 2017年環境省カテゴリー絶滅危惧ⅠB 類(EN)...
View Articleスルガスゲ(カヤツリグサ科)
山地ブナ帯の樹林内急斜面や岩場に生育する多年草である。茎の高さ15 ~ 20㎝。葉は果期にも有花茎より著しく低い位置に出て、常緑で深緑色。根茎は短く叢生し、匐枝は伸ばさない。全体にヒメカンスゲに似るが、鱗片は鋭頭で、凹頭とならない。果胞は無毛で数本の脈があり、長い嘴がある。静岡県との県境の安部峠に生育すると書には書かれているが、他に西沢渓谷での生育が確認されている。 2018年山梨県カテゴリー...
View Articleシラン(ラン科)
暖地の河川の岩石地の斜面に生育する多年草である。偽球はやや扁平な円形。葉は数枚で長楕円〜長披針形。花は 4 〜 5 月頃咲き、紅紫色、時として白花を見ることもある。唇弁の縁は内曲して先は 3 浅裂し、内面に 5 個の隆起線がある。日本の分布は本州中南部~琉球。広範囲に園芸種が植えられていてしばしば目撃するが、山梨県では自生のものは少ない。 2018年山梨県カテゴリー 絶滅危惧ⅠA 類(CR)...
View Articleヤマブキソウ(ケシ科)
山地の林床に生育する多年草である。傷つけると橙黄色の汁液を出す。縮れた毛を散生し、草丈は30 ~ 40㎝。葉は互生し有柄、葉身は小葉が 5 ~ 7 枚の羽状複葉。花は茎の上部に 1 ~ 2 個つける。花弁は黄色で 4 枚、長さ2 ~ 2.5㎝。果実は 3 ~ 5㎝の線形。花期は 4 ~ 6...
View Articleツメレンゲ(ベンケイソウ科)
日当たりのよい岩上、河川の石積みの土手、また古い屋根の上に生える多年草。葉は密生しロゼットをつくる。葉は多肉質で披針形で、先端が刺状に尖る。秋になると花茎を伸ばし、高さ8 ~ 30㎝になる。花序は穂状で白色の花を密につける。花期は 10 ~11...
View Articleフッキソウ(ツゲ科)
山地の樹林下に生育する常緑小低木である。茎は地上を這い、先は斜上して茎の先に穂状に花を付ける。雄花は 分布花序の上部に多数つけ、雌花はその下に数個つく。花期は 3 ~ 5 月。山梨県では富士山麓方面に集中して生育している。 2018年山梨県カテゴリー 準絶滅危惧(NT) 2017年環境省カテゴリーなし フッキソウ 令和3年4月 忍野村で撮影 同上...
View Articleサツキ(ツツジ科)
川岸の岩場などに生育する半常緑低木。高さ50 ~ 90㎝。葉は披針形、裏面脈状に褐色の剛毛がある。花は新芽が伸び出してから咲く。花色は朱紅色で、多くの園芸種がある。花期は 5 ~ 6 月。日本の分布は関東以西で、山梨県では南部町、および南アルプスに生育地があるが個体数は少ない。 2018年山梨県カテゴリー 絶滅危惧ⅠA 類(CR) 2017年環境省カテゴリーなし サツキ 令和3年6月...
View Articleウメウツギ(アジサイ科)
山地帯の岩場に生育する落葉小低木で株立ち状になる。若い枝や葉には硬い星状毛がある。葉は対生し、卵状長楕円形で先が尖り、ふちに細鋸歯がある。葉腋から白い花を1 個下向きにつける。花期は 5 ~ 6 月。石灰岩地に多いとされるが、本県では古い安山岩地に多い。個体数は少ない。 2018年山梨県カテゴリー 絶滅危惧Ⅱ類(VU) 2017年環境省カテゴリー 絶滅危惧Ⅱ類(VU) ウメウツギ...
View Articleサンショウバラ(バラ科)
夏緑広葉樹林帯に生育する落葉小高木。幹は太く、枝には扁平な刺を生じ、樹高は 1 ~ 6m。葉は互生し有柄、葉身は長さ10 ~ 25㎝で小葉が 9 ~ 19 枚の羽状複葉、各小葉は長楕円形。花は径 5 ~ 6㎝で小枝の先端に 1 個つき、花弁は淡紅色で倒卵形。果実は扁球形で刺がある。花期は 6 月。フォッサマグナ要素の植物で、富士山を中心とした地域に分布している。個体数は比較的多い。...
View Articleオオビランジ(ナデシコ科)
山地帯~亜高山帯の岩場や崖地に生育多年草。茎の高さ20 ~ 60㎝。岩場や崖に下垂する。葉は披針形で先が尾状に伸びる。全体に毛がないか、わずかにある。花は濃紅色~淡紅色と変異が多い。花期 8 ~ 9...
View Article初夏の鳳凰山薬師岳(1日目) 令和3年6月18日
訳あって鳳凰山に行くこととなった。合流予定の他メンバーに先駆けて1日早い6月18日に薬師岳小屋に泊めていただき、あわやくば星空の写真を撮ろうという作戦に出る。花を見ながらのゆっくり登山ではあるが、久しぶりに登る青木鉱泉からの中道登山道は急登のうえに距離が長く、悪戦苦闘して薬師岳山頂にたどり着いた。 林道脇に咲いていたウツギの仲間。白や薄紅の花が混ざっており、これはニシキウツギか?...
View Article初夏の鳳凰山薬師岳(3日目) 令和3年6月20日
前夜は保護柵設置のために薬師岳小屋に集まった山仲間とともに夕食をとり、山・花談義で盛り上がった。翌朝は天気が回復してくれそうなので、8時半には就眠して予定通り未明3時に目を覚ます。外に出てみると霧が出ていて空はあまり見えない。しかし、夜明けの頃には回復してくると確信して薬師岳に登る。 未明の薬師岳山頂。雲が多くて富士山は隠れてしまっているが、空には土星が輝いている。...
View Article初夏の北岳を訪れる(1日目前編) 令和3年6月25日
この日は南アルプス林道バスが動き出す初日で、北岳等、南アルプスの開山日だった。しばらくお目にかかっていないキタダケソウを見たいこともあるのだが、山上に生育するイネ科やカヤツリグサ科の植物も気になっている。メンバー8人で肩の小屋宿泊予約していただき、入山する。 広河原から見上げる北岳。曇り空だが天気予報は午後から雨。夕立にならなければ降らなそうだ。...
View Article初夏の北岳を訪れる(1日目後編) 令和3年6月25日
白根御池をお昼頃に出発する。空はどんより曇り空で時折霧の中に突入して真っ白になる。途中で小雨に見舞われたためカッパを着ての登山となるが、幸いにして大降りにはならず、心配していた雷も鳴らなかった。イネ科、カヤツリグサ科の植物はまだ蕾で花期に至っていないものが多く、予想はしていたが分からないものばかりである。...
View Articleサンピラー立ち昇る北岳の夜明け 令和3年6月26日
前日は8時に寝て予定通り未明3時に目が覚めた。満月が照らしているためか窓から透かして見る外の景色が明るく見える。服を着込んで三脚とカメラを持って外に出てみる。スッキリと晴れているわけでは無いが、月光に照らされた鳳凰山や仙丈ケ岳、甲斐駒ケ岳など南アルプスの山々が姿を見せている。北岳の右側には明るい満月が雲を透かして見えていた。 未明の仙丈ケ岳と甲斐駒ケ岳 鳳凰山と雲に浮かぶ富士山...
View Article初夏の北岳を訪れる(2日目後編) 令和3年6月26日
北岳山荘を折り返してトラバース道に向かう。キタダケソウが楽しみであるが石灰岩が混じるこの登山道沿いには花だけでなく変わったシダも多く生育している。ペースが遅れてしまい他のメンバーには申し訳ないのだがじっくりと観察しながら歩いてみる。 ミネズオウ 山梨にはベニバナは無いと思っていたのだが、うっすらピンク色の個体があった。 岩間に生えるミヤマムラサキ...
View Article小雨の中の植物観察 南部町 令和3年6月30日
午前中はあまり降らないだろうと思って南部町まで足を運んだが、山の中に入ると霧に巻かれさらには小雨が降り出してしまった。この天気ではレンズに水滴が付いたり結露したりしてあまり良い写真は撮れないであろう。予定していた渓谷道は途中までで諦めることにする。こんな天気でもどうしても確認しておきたい植物があった。 林道脇に生えていた大きなシダ 裂片には鋸歯がある。...
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