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Channel: 山梨百名山から見る風景
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カヤラン

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 主に身延町より南側の県南部に生育しているが富士山周辺での生育記録もある。梅の木や樫の木、杉の木などを好んで生育しており、普通は高い位置に生育している着生ランであるが、梅の木などでは手の届く位置に生育しているものもある。生育地は限られているが個体数は比較的多いと思っている。


    広葉樹の幹に着生したカヤラン  平成31年4月 身延町で撮影


    同上。まだ蕾だった。


    梅の木に着生したカヤラン  平成31年4月 南部町で撮影。


    同上。


    同上。別株。


    小さなランであるがなんとも言えない美しさと愛らしさがある。


    マクロ接写

 他にも沢沿いの樫の木などに着生している個体を確認しており、また杉林の中で落下してしまっていた個体をいくつか目撃している。高い位置に生育している個体は発見しにくいが、数はそれなりにあるのではないかと期待している。


コスギラン(ヒカゲノカズラ科)

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 亜高山帯から高山帯の日当たりの良い草地に生育する常緑性のシダである。北岳の他に八ヶ岳や富士山に生育しているがまだ北岳のものしか見ていない。


    コスギラン  平成30年10月 北岳で撮影。 撮影時は花なのかシダなのか全く分からず。この画像がきっかけで翌年このシダを発見できた。


    登山道沿いに生えていたコスギラン。 平成1年10月 北岳で撮影。


    岩の隙間に生えるコスギラン


    白い花のように見えるのは無性芽


    コスギランの無性芽


    葉の隙間に付いている白い貝殻のようなものが胞子嚢である。成熟すると貝殻が割れて胞子が飛び出す。


    岩の間に広がる草地を好んで生育していた。


    同上

 北岳では1ヶ所のみ生育を確認しているが個体数はそこそこにある。他の場所での生育を確認したいと思っている。

石灰岩の渓谷沿いを散策  令和2年8月9日

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 渓谷というよりは川沿いと言ったほうが良いかも知れない。前日の山梨県県南部で見たイワタバコが素晴らしく、おそらくは尾白川渓谷のイワタバコも見ごろを迎えているのではないかと行ってみたのだが、途中に居た案内員の方が既に駐車場が満車で入れないということなので、急遽行き先を変更してこちらの渓谷沿いを歩いてみることにした。一部が石灰岩地になっているこの渓谷は何か珍しい花が咲いているかも知れない。


    ここにはオウレンシダの大群落がある。


    オウレンシダは石灰岩地を好むと言われているが普通の場所でも普通に見かける。しかしこれだけの群落はあまり見られない。


    ツルデンダがあちらこちらに生えていた。


    ツルデンダ群生


    石灰岩地を好むクモノスシダも多数生育している。交雑のシダを探すが見つからず。


    トチバニンジンの赤い実


    岩峰の上に登ってみる。川を見下ろす。


    ヤハズハハコ。だが、ここは石灰岩地のはずである。


    だとすればこの花は変種のトダイハハコになるのだろうか?さほど華奢でも無いように見える。


    こっちはトダイハハコのように見えなくもない。まあ、どちらでも良い、と思う。


    カワラサイコを発見。


    蕾を確認。この場所のカワラサイコはずいぶん小さめに見える。


    カセンソウ


    用水路の有る河川敷脇を進む。


    これはイノデの仲間だが?


    かなり鱗片が厚い。部分的に中軸鱗片が圧着しているようにも見える。サカゲイノデかも知れないが確信は持てず。


    メハジキが群生していた。


    メハジキ


    途中からツルデンダからイワデンダに変わった。


    途中で林道は壊れていて車は入れなくなっていた。しかし、どこまで続くのか?


    シデシャジンが1株


    石灰岩地なのでメヤブソテツを期待したがあったのは普通のヤブソテツ。

 標高1,000mを越えるあたりまで行ってみようと思ったのだが石がゴロゴロしている歩きにくい草むらの林道がずっと続いており、標高900mあたりまで行って時刻は4時を過ぎた。心が折れてここまでで撤退する。


    見たかったイチョウシダには出会うことが出来た。


    石灰岩の岩壁に生育するイチョウシダ


    青々としたイチョウシダ


    線状のソーラス


    こちらは山盛りになっていた。

 どこか尾根に取り付ける道があるのではないかと期待していたのだがそれらしいところは見当たらず。地図で見てみるともっとずっと先まで行くとひょっとしたらルートがあるかも知れない。どこまで石灰岩地が続いているのかは不明なので、岩も含めて周辺をじっくりと探索してみたいと思うのだが、かなり時間がかかりそうである。

フウラン

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 2018年版山梨県レッドデータブックから新たに登場したランである。山梨県では県南部に生育しており、常緑針葉樹や柿の木、シダレヤナギなどの幹に着生している。生育地での個体数は比較的多い。


    フウラン 令和1年7月 南部町で撮影。 常緑針葉樹の枝に着生していた。


    望遠撮影


    さらに望遠撮影


    同じ木に着生していた別株


    別株


    シダレヤナギの木に着生していたフウラン


    令和2年7月 南部町の同じ場所で撮影。


    太い枝に着生した株


    シダレヤナギの幹に着生した株。この日は天候が悪く画像がいまひとつ。


    令和2年7月 身延町で撮影


    同じ株を別角度から撮影。

 常緑針葉樹の大木に多くの個体が集中して着生しているが、その他の木にはまばらにしか生育していない。大木が老化や気象条件などで倒れてしまわないことを祈っている。

椹池(韮崎市)の水辺に咲く花たちとその周辺に咲く花たち  令和2年8月10日

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 本日も暑い。出かけるのを止めて自宅で涼んでいようかとも思ったのだが折角の休みにどこにも行かないのはもったいない。出発時間がだいぶ遅くなってしまったが、そろそろ咲いているであろう椹池のサワギキョウを見に行ってみる。それと、昨年見つけたナガエミクリはイガグリ状の実しか見ていないので、どんな花が咲くのか見てみたい。望遠レンズをザックに入れ、双眼鏡を片手に昼の12時ごろから探索を始める。


    青空を映す椹池


     サワギキョウが咲いている。


    ちらほらと訪問者がやって来る。


    サワギキョウは7部咲きといったところだろうか。


    個体数はそれなりにあるが、なかなか一斉にパッとは咲いてくれない。


    サワギキョウとナガエミクリ


    サワギキョウ


    ナガエミクリ


    イガグリ状の実を付けている。


    別の場所。ここではカンガレイが一緒に生えている。


    満開のカンガレイ


    ナガエミクリの花が咲いている。


    超望遠レンズで撮影。白い線香花火のような花。


    別株。なかなか綺麗な花である。


    こちらでは2本の花と実が並んでいた。


    超望遠レンズで拡大撮影。

 椹池は池の中だけでなく周辺の山の中にもいろいろな貴重な植物が生育している。ぐるりと巡ってみる。


    イヌガンソクの大きな葉。


    秋に出る胞子葉が出始めていた。


    アオフタバラン


    周辺を散策してみると群生していた。


    ミヤマウズラはもうすぐ咲きそうである。


    期待していたジンバイソウはまだ蕾だった。


    数はそこそこにあるのだが、根元の部分の葉が小さい。良く見ると食害に遭っているようである。

 いちばんの目的だったナガエミクリの花はやや遅かったもののなんとか見ることが出来た。風があまり吹かず揺れなかったおかげで1,140㎜超望遠レンズでの撮影が可能となった。数年前に見たアギナシを探しているのだが昨年は見つからず、今年も確認出来なかった。少し遅い時期に咲くので、時間がとれるようならば9月に再訪できればと思う。

今度こそ・・・未の刻の高層池に咲く白い花  令和2年8月10日

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 先日も訪れたばかりの高層池であるが、探していた花の蕾と思わしきものが池の中に顔を出しているのを発見した。200㎜望遠レンズでは全く撮影できないような遠い位置に咲いている。そしてこの花は咲く時刻がおおよそ決まっていて、未(ひつじ)の刻、つまり午後の2時から3時ごろに咲く。甘利山椹池での散策に予定していた以上に時間がかかってしまい、もう午後3時近くになってしまった。咲いてくれているだろうか?双眼鏡を片手にザックの中には570㎜望遠レンズと2倍エクステンダーを詰め込んで見に行ってみる。


    今年3度目の訪問となる高層の池。今度こそは・・・。


    葉と一緒に白い花らしきものが浮かんでいる。


    570㎜望遠レンズを取り出す。間違い無さそうだ。


    やっと見る事が出来た。探していたヒツジグサ。


    さらに1,140㎜望遠。純白の花。


    こちらはまだ蕾である。


    半分近くが水の中に浸かっている花。


    別株


    トリーミング


    岸に一番近い位置で咲いていた花


    トリーミング

 3年ほど前から情報を収集して探していたが、椹池は何度探しても見つからなかった。こちらの池が怪しいとは思ってはいたが探しに来たのは今年になってからである。やっと念願だったヒツジグサに出会うことが出来た。

 もう1種類、地味な花が咲いていた。


    細長い葉が浮いている。


    何やら棒のようなものが突き出ている。


    どうやら花のようだ。


    おそらくヒルムシロの花と思われるが、オヒルムシロ、フトヒルムシロと見分けるには水中の葉を見なければならないらしい。


    トリーミング。地味な花である。

 4時ごろまで撮影に熱中していたが、その時間まで花は咲いていてくれた。満足して撤退である。


    奇跡的にギンヤンマが写り込んでくれた。

夏富士の眺望 甘利山から千頭星山へ  令和2年8月15日

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 本日も猛暑日となる天気予報である。早いうちに登って・・・と一応は考えるものの、夜更かしの私は早朝に起きることが苦手である。それでも朝6時に目を覚ましたものの、ネットを見たりといろいろやっているうちにあっという間に時刻は7時を過ぎてしまう。結局甘利山グリーンロッジの駐車場に到着したのは9時になってしまい、9時半から歩き始める。もう陽が高く昇り暑くなり始めていた。


    甘利山展望台から見る夏富士。久しぶりに見る青空に立つスッキリした富士山である。


    ツリガネニンジンはもう終わりかけ。


    コオニユリ


    ダケカンバと富士山


    青空と甘利山山頂

 青空が広がって富士山が見えてくれたことは良いのだが、10時を過ぎるととにかく暑い。何もしていなくても額や首から汗が流れ出る。双眼鏡片手に目的のシダを探すのだが全く手ごたえ無し。甘利山はよくぞこれだけ囲ったというくらいに保護ネットでお花畑を囲ってあり、植生がだいぶ回復したように見受けられる。ただ残念なのはネットの網目が邪魔して花が十分に見えないこと、そして覗き穴が無いので写真撮影が出来ないという難点がある。櫛形山裸山のように写真が撮影できるくらいの覗き穴を設けてくれるとありがたい。


    大汗かきながら千頭星山に向かう。奥甘利山付近から見る甘利山山頂(左側)と富士山。


    マルバタケブキと目指す千頭星山。すぐそこに見えるのだが・・・なかなか着かないのが山というもの。


    マルバタケブキと富士山


    同上。雲隠れしてしまった富士山が現れるまで20分ほど待った。


    マルバタケブキの花


    奥甘利山から見るマルバタケブキ畑と富士山


    ノコンギク


    大西峰のピークを越えて千頭星山の稜線から見る富士山。


    山頂までは笹原の緩い登りになる。目ぼしい花は見つからず。


    山頂直下から見る八ヶ岳の眺望。八ヶ岳はほぼ北側になるので、夜中に星を撮ると・・・グルグル廻る星空になるはずだ。


    千頭星山山頂

 千頭星山は10数年前の登山を始めたばかりの頃に職場の仲間たちと来たことがあるがそれ以来だと思う。さほどきつかったという印象は無いが、今回は登山よりも暑さでバテた。探していたのはオオバショリマというシダであるが、かつては山梨県絶滅危惧種に入っていたシダである。北岳に行くとこれでもかというほどに群生しているので、現在は入っていない。こちらの山にもある(あった?)らしく、北岳に行けないのでこちらでじっくりと観察しておこうと思ったのだが残念ながら発見できなかった。

 山頂で休んで給水を十分にとって下山である。


    午後3時を過ぎても富士山が良く見えている。暑いのに雲が出ないこんな日は珍しい。


    道路脇にコバノギボウシが咲いていた。

 保護柵の中には面白い花が眠っているかも知れないが保護柵の外では目ぼしい花は発見できなかった。とにかく暑かった。

ヒトツボクロ

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 広葉樹林の林床ないしは針葉樹と広葉樹の交雑する林床にひっそりと生えているランである。葉は緑色ないしは黒緑色で、裏側は濃い紫色をしている。細くて長い茎の先に小さな花を何個も付ける。茎が長いうえに花数が多く、風で揺れるために撮影には苦労する。分布域は広いが生育地は限局的である。個体数は比較的多い。


    平成28年6月 富士山麓で撮影。


    同上。この場所は地肌が乾燥化して数が減っているように見える。


    平成30年6月 茅ヶ岳で撮影。 この場所は個体数が少ない。


    同上


    平成30年6月 甘利山で撮影。


    同上。 生育地は極限られている。


    令和1年6月 精進湖近傍で撮影。


    風が穏やかで撮影し易かった。


    マクロ接写。真っ直ぐ、ないしは少し上に曲がった距がピンと伸びている。


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ヒメスギラン(ヒカゲノカズラ科)

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 亜高山帯の苔の生えた岩の上を好んで生育するシダである。奥秩父山系に生育しているが、三ツ峠にも生育していたという文献がある。葉は針状に細く、高さは5~10㎝くらい、群生せずに点々と生育している。個体数は少ない。


    ヒメスギラン 令和1年11月 奥秩父山系の渓谷沿いで撮影。


    2~3回分枝して針状の細い葉を出す。コスギランに比べて華奢である。


    くちばし状のものは無性芽である。


    別株


    別株


    同日に別の場所で発見した株


    苔の上を好んで生育している。


    豪雨の後で砂利が付着しているが、上部の貝殻上の白いものは胞子嚢である。成熟すると割れて胞子が放出される。

 別の渓谷での生育情報もあるのだが発見できなかった。三ツ峠の個体も探索に行ってみたいと思っているが発見には苦労するだろう。

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チャセンシダ(チャセンシダ科)

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 その名の通り、茶色い軸を持つ常緑性のシダである。山梨県では主に身延町、南部町の県南部に生育している。寺院の石垣の間や林道沿いの石垣の上、岩壁などを好む。軸の両脇に狭い翼を付ける。イヌチャセンシダは裏側にも翼を付けるところが違う。生育地での個体数はあまり多く無い。


    チャセンシダ 令和2年2月 身延町の林道脇で撮影。


    軸の両脇に狭い翼を付ける。


    令和2年3月 身延山の寺院で撮影。


    この場所は個体数が多い。


    裏側に付着する線状のソーラス


    線状のソーラス。


    令和2年4月 身延町の林道脇で撮影。


    同じ株を別角度から撮影。


    軸の裏側には翼が無い。

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田んぼに生えたオモダカとサンショウモ 甲府市下積翠寺町  令和2年8月16日

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 早朝から町内会の盆送りなる行事が催され参加してきた。午前8時には撤収作業を終えて解散となったが既に気温が上昇し始めて暑い。昨年我が家の隣の家の田んぼでオモダカを発見し、周辺の田んぼにも普通に生えているのを見て廻って来た。これは絶滅危惧種だと思っていたら単なる田んぼの雑草であることが分かった。隣の家の田んぼは無農薬で栽培していることを知っていたのでひょっとしたらと思ってもう1種類別の植物を探してちょっと立ち寄ってみた。すると・・・やはりあった。今度こそ絶滅危惧種のシダ(浮草)である。


    隣の家の田んぼに生えていたオモダカ。


    オモダカ。絶滅危惧種だと思っていたので残してくれとお願いしておいたら、綺麗に残してくれていた。


    しかしこれは絶滅危惧種のアギナシと違って田んぼの雑草であることが分かった。


    アギナシの実。隣の家の人に間違いを伝えなければならない。


    あっさり見つかったこの浮草。小さいほうでは無く葉の大きいほう。


    今度こそ絶滅危惧種である。


    サンショウモ。浮草ではあるがこれはシダの仲間である。


    葉の表面はまだら模様が入っている。胞子嚢がどこに付いているのか見るのを忘れた。

 サンショウモは準絶滅危惧種で最近増えていると聞いている。積翠寺を流れる相川沿いはホタルの保護のために農薬を使わない耕作が推奨されており、おそらく周辺の田んぼを探しても容易にサンショウモに出会えるのではないかと思う。周辺の探索を含めて、胞子嚢は後日(あるいは来年?)確認してみたいと思う。どんどん増えると、これもただの田んぼの雑草になってしまうのかも知れない。

ホテイラン

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 亜高山帯の針葉樹林の林床に咲く赤紫色の美しいランである。山梨県で確認されているのは南アルプスおよび前衛の山の極限られた場所である。個体数は少なく、生育する斜面の乾燥化により減少の傾向にある。富士山麓にも生育していたらしいが現在では確認出来ない。八ヶ岳の長野県側には生育地があるが山梨県側では発見されていない。


    ホテイラン  平成30年5月 南アルプスで撮影。


    同上  森の妖精の名にふさわしい可憐な容姿


    個体数は少ない


    平成30年5月 南アルプス前衛の山で撮影


    同上  この場所の個体数はきわめて少ない。


    かつては林道脇でも観察できたらしいが、現在では急峻な尾根を登らなければ見ることが出来ない。

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サカネラン

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 広葉樹林帯、主にブナの林床に生育する葉緑素を持たない菌従属栄養植物である。花は淡黄色ないし黄褐色で房状に多数重なって付く。富士山を中心に杓子山周辺、御坂山系など比較的広い範囲に生育していると思われるが生育地での個体数は少ない。櫛形山でも発見されている。


    平成25年5月 東部富士五湖地方で撮影。 初めて見た時は何だか分からなかった。


    同上


    平成26年5月 同じ場所で撮影。


    個体数はあまり変わらず、少なかった。


    平成27年5月 南アルプスで撮影。


    個体数は少なく、まだ蕾だった。


    平成27年6月 御坂山系で撮影。 もう終わりかけていた。

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イヌチャセンシダ(チャセンシダ科)

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 チャセンシダに良く似た常緑性のシダで、分布域も県南部で重なっている。生育環境が異なり、イヌチャセンシダは渓谷沿いの湿った岩の上を好んで生育している。チャセンシダと比べて葉柄がやや太くて折れやすいこと、葉が全体に大きいこと、先端部に無性芽を付けることが良くあるなどの点で異なるが、決定的な違いは葉柄の裏側にも翼を有し、計3枚の翼があることである。生育地での個体数は少ない。


    イヌチャセンシダ 令和2年5月 南部町で撮影。


    イヌの名が付いているが個体数は少ない。


    この個体はさほど大きくは無く、葉の大きさや葉柄の太さではチャセンシダとの区別は出来なかった。


    斜め方向から見ると葉軸の上面側と下面側の翼が見える。


    裏側をマクロ接写しトリーミング。軸の裏側にある翼が見え、これがチャセンシダとの違いである。

 まだ1ヶ所でしか生育を確認しておらず、引き続き探索したいと思う。

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山梨県の絶滅危惧のラン科植物一覧

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 2018年版山梨県レッドデータブックに登録されている絶滅危惧のラン科植物は以下の通りである。

山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR)

 ミスズラン(2005山梨県CR 2017環境省CR)
 シラン(2005山梨県CR 2017環境省NT)
 キソエビネ(2005山梨県CR 2017環境省CR)
 ホテイラン(2005山梨県CR 2017環境省EN)
 ユウシュンラン(2005山梨県CR 2017環境省VU)
 オノエラン(2005山梨県CR 2017環境省-)
 ホテイアツモリ(2005山梨県CR 2017環境省CR)
 アツモリソウ(2005山梨県EN 2017環境省VU)
 キバナノアツモリソウ(2005山梨県EN 2017環境省VU)
 ハコネラン(2005山梨県CR 2017環境省VU)
 カキラン(2005山梨県CR 2017環境省-)
 トラキチラン(2005山梨県CR 2017環境省EN)
 アオキラン(2005山梨県DD 2017環境省CR)
 ツリシュスラン(2005山梨県CR 2017環境省-)
 ハクウンラン(2005山梨県CR 2017環境省-)
 フガクスズムシソウ(2005山梨県CR 2017環境省VU)
 セイタカスズムシソウ(2005山梨県EN 2017環境省-)
 アリドオシラン(2005山梨県CR 2017環境省-)
 フジチドリ(2005山梨県DD 2017環境省EN)
 コハクラン(2005山梨県DD 2017環境省CR)
 ヒロハトンボソウ(2005山梨県CR 2017環境省VU)
 シロウマチドリ(2005山梨県CR 2017環境省VU)
 オオヤマサギソウ(2005山梨県EN 2017環境省-)
 ウチョウラン(2005山梨県CR 2017環境省VU)
 クモラン(2005山梨県- 2017環境省-)
 キバナノショウキラン(2005山梨県EN 2017環境省EN)

 以上 26種


山梨県絶滅危惧ⅠB類(EN)

 マメヅタラン(2005山梨県- 2017環境省NT)
 ムギラン(2005山梨県DD 2017環境省NT)
 キンラン(2005山梨県EN 2017環境省VU)
 コアツモリソウ(2005山梨県EN 2017環境省NT)
 クマガイソウ(2005山梨県EN 2017環境省VU)
 ツチアケビ(2005山梨県VU 2017環境省-)
 ハクサンチドリ(2005山梨県EN 2017環境省-)
 イチヨウラン(2005山梨県EN 2017環境省-)
 セッコク(2005山梨県DD 2017環境省-)
 コイチヨウラン(2005山梨県EN 2017環境省-)
 マツラン(2005山梨県- 2017環境省VU)
 ベニシュスラン(2005山梨県- 2017環境省-)
 ムカゴソウ(2005山梨県EN 2017環境省EN)
 スズムシソウ(2005山梨県VU 2017環境省-)
 コクラン(2005山梨県CR 2017環境省-)
 フウラン(2005山梨県- 2017環境省VU)
 ノビネチドリ(2005山梨県EN 2017環境省-)
 サカネラン(2005山梨県VU 2017環境省VU)
 コケイラン(2005山梨県VU 2017環境省-)
 オオバナオオヤマサギソウ(2005山梨県- 2017環境省CR)
 ツレサギソウ(2005山梨県EN 2017環境省-)
 ヤマトキソウ(2005山梨県EN 2017環境省-)
 ニョホウチドリ(2005山梨県VU 2017環境省NT)
 カヤラン(2005山梨県EN 2017環境省-)

 以上 24種


山梨県絶滅危惧Ⅱ類(VU)

 エビネ(2005山梨県VU 2017環境省NT)
 ギンラン(2005山梨県VU 2017環境省-)
 サイハイラン(2005山梨県NT 2017環境省-)
 アオチドリ(2005山梨県NT 2017環境省-)
 カモメラン(2005山梨県VU 2017環境省NT)
 オニノヤガラ(2005山梨県DD 2017環境省-)
 テガタチドリ(2005山梨県VU 2017環境省-)
 ジガバチソウ(2005山梨県VU 2017環境省-)
 ヒメムヨウラン(2005山梨県VU 2017環境省VU)
 タカネフタバラン(2005山梨県EN 2017環境省-)
 ヨウラクラン(2005山梨県- 2017環境省-)
 ミズチドリ(2005山梨県VU 2017環境省-)
 ヤマサギソウ(2005山梨県VU 2017環境省-)
 ヒトツボクロ(2005山梨県EN 2017環境省-)

 以上 14種


山梨県準絶滅危惧種(NT)

 ホザキイチヨウラン(2005山梨県NT 2017環境省-)
 ミヤマモジズリ(2005山梨県NT 2017環境省-)

 以上 2種


山梨県情報不足(DD)

 キンセイラン(2005山梨県CR 2017環境省VU)
 ナツエビネ(2005山梨県DD 2017環境省VU)
 ミズトンボ(2005山梨県DD 2017環境省VU)
 ショウキラン(2005山梨県DD 2017環境省-)


 見てきた植物は随時更新して行きたいと思っているが、完成するのはいつになることやら??


渓谷に咲くオオキツネノカミソリ 塔岩川  令和2年8月16日

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 本日も猛暑日になる予報で朝から暑い。町内会の行事を早朝に終えて近所の田んぼの草を見て自宅に戻り、エアコンの効いた部屋で一休みする。窓から外を見るとギンギンに暑そうである。散策に出かけるには勇気がいるような暑さだが、見たい花はたくさんあり、折角の休みを何もしないと後で後悔することになってしまう。水を多めに持って、そろそろ咲いているであろうオオキツネノカミソリを見に行ってみることにする。林道歩きが長くさらに渓谷道は崩落していて使えず自力で遡上することになる。バテるのは必至だが花は見たい。午後1時に林道ゲートを通り過ぎて探索に出発する。


    2種類のイタチシダが並んで生えている。左が葉の柔らかいリョウトウイタチシダ、右がオオイタチシダである。


    リョウトウイタチシダの鱗片は真っ黒でやや幅が広い。


    オオイタチシダの鱗片は細くて基部は袋状に白っぽくなっている。シダのことは何も分からなかった1年前とは大違いである。


    小型のイノデだが何イノデ?


    鱗片はやや幅広で密生


    中軸中央部の鱗片は毛のようになっている。ソーラスは見えず。おそらくは普通のイノデと思われる。


    ため池のような湿地に生えていたヘラオモダカ


    近付いて撮ろうかと思ったのだが泥沼に靴が沈んでしまい近付けず。


    渓谷を遡上して現れたオオキツネノカミソリはもう半分散っていた。


    もう1ヶ所の大株は満開の見頃だった。


    オオキツネノカミソリ。ジャストミート!暑いが見に来て良かった。


    角度を変えて撮影。


    キツネノカミソリよりも雄しべが長くて花がゴージャスに見える。


    この上にも葉があったのを昨年見ているが花は確認出来ていない。


    ここからが本番の沢登り。右手に見える丸太につかまって滝を登る。


    岩に付着していたフクロシダ


    ハクモウイノデ


    イワタバコはもう散っていた。


    本日最大の難関の滝。昨年は左側を強引に登ったが・・・今年は巻くことにした。この滝の周辺にあったはずだが、いくら探しても見つからず。


    さらに上流まで登ってみたが全く手応え無し。

 時刻は午後4時を過ぎ、ここまでで引き返すことにした。滝の近くに2ヶ所ほどあったはずのオオキツネノカミソリはどうやら崩落したか、あるいは台風で流されてしまったようである。昨年は滝を巻いたら増水していて下りられずに見つけられなかったが、今年も見つからないところをみると、昨年見に来た時にはもう無かったのかも知れない。別の場所で元気に咲いていることを願いたい。

 キツネノカミソリは山梨県絶滅危惧種Ⅱ類に登録されており、北杜市では数ヶ所で群生が見られるらしい。一方、このオオキツネノカミソリは登録されておらず、おそらく山梨県での存在自体があまり知られていないのではないかと思う。別の渓谷も調査に行ってみたいとは思っているのだがなかなか時間がとれない。ヘトヘトになって5時半に林道ゲートに到着した。

アオチャセンシダ(チャセンシダ科)

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 石灰岩地を好む高山性の常緑性シダである。2018年版山梨県レッドデータブックでは山梨県で確認されているのは北岳のみである。チャセンシダに似ているが小型で中軸は羽片と同じく黄緑色をしている。生育地での個体数は比較的多い。


    アオチャセンシダ  平成30年9月 北岳で撮影。 シダの知識がほとんど無い頃に撮影したもので、どれを見てもキタダケデンダに見えた。


    令和1年8月 北岳で撮影。 不覚にもカメラの電池切れでスマホで撮影したもの。


    同上。 8月のアオチャセンシダは新鮮で青々としている。ソーラスはまだ未成熟だった。


    令和1年10月 北岳で撮影。 


    同上。 常緑性のシダであるが10月になると部分的に枯れてくる。


    同上。 成熟した線状のソーラス。


    平成30年10月 北岳で撮影。


    同上。 さらに成熟するとソーラスは山盛りになる。

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スギラン(ヒカゲノカズラ科)

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 渓谷沿いの広葉樹の上や岩に着生する常緑性のシダである。高い位置に生育していることが多く、群落をつくらないために発見するのが難しいシダである。個体数は少ない。富士山麓と山梨県東部で生育を確認しているが、富士山麓のものは平成27年に見て以来見つからない。


    スギラン 平成27年7月 富士山麓で撮影。 その後何度か探しに出かけているが見つからない。


    平成30年7月 山梨県東部で撮影。 200㎜望遠レンズではこの程度の大きさにしか撮れない遠い位置に生育していた。


    上記のトリーミング画像


    令和1年7月 同じ個体。 今度は570㎜望遠レンズを持って行き撮影した画像。これでも望遠が足りない。


    上記のトリーミング画像


    令和2年7月 同じ株。 今度はエクステンダー装着して1,140㎜望遠で狙ってみたが、前方の枝が伸びて全容は見えなかった。

 個体数が少ないうえに見つけにくく、なかなか思うように撮影させてくれない手強いシダである。もう少し撮影し易い場所が無いかと探索中である。

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マメヅタラン

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 山地帯の谷間に生えている広葉樹を好んで着生しているランである。葉の形はシダの仲間のマメヅタに酷似しており、花が咲いていない時期は見分けるのが難しい。山梨県では県南部に生育しており生育箇所は少ない。


    マメヅタラン 平成30年5月 南部町で撮影。 シダ類のマメヅタに酷似している。


    トリーミング画像。小さな花芽が多数出ている。


    平成30年5月 再写に行く。今度は満開である。


    別の幹


    望遠撮影


    トリーミング画像


    令和1年6月 同じ木。昨年以上にたくさん花を付けてくれた。


    別の幹


    トリーミング画像。マメヅタランの花。

 他にも生育している木があるはずだが、私が見たのはこの場所1ヶ所のみである。遠い位置に着生しているので撮影が難しく、もう少し撮影し易い場所を探せればと思っている。

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オオクボシダ(ウラボシ科)

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 渓谷沿いの湿った岩壁を好んで生育する常緑性のシダである。富士山麓では苔の生えた木の幹に着生している。時として群生しているが、個体数は少ない。


    オオクボシダ 令和1年9月 西沢渓谷で撮影。 


    同上。大きさは約5~10㎝ほどの小さなシダである。


    葉は深裂して全縁である。茶色い細い毛が生えている。


    ソーラスは羽片の付け根近くに1個ずつ付着する。


    マクロ撮影


    令和1年9月 西沢渓谷の別の場所で撮影。


    まだ未熟な緑色のソーラスが付着している。


    令和1年11月 瑞牆山で撮影。


    ズーム


    この場所は数個体しか発見できず。他の場所にも生育している可能性が高い。


    令和2年7月 富士山麓で撮影。 他にもっと多く着生している木を目撃したことがあったが、最近は見かけていない。

 小さくて見つけにくいシダであり生育地での個体数は少なく、探しにくい。しかし、探索すれば広範囲に生育している可能性があると思われる。

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