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山梨県の絶滅危惧の花たちとその現状 ~三ツ峠勉強会②~

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 三ツ峠での高山植物勉強会の続きである。今回は着生植物と腐生植物について記載する。特に2018年レッドデータブック書き換えで2種類の着生ランが新たに登録され、絶滅危惧DD類(情報不足)だったムギランがⅠB類になったのでそれらの画像を提示する。

 フガクスズムシソウ(絶滅危惧ⅠA類):富士山麓の広葉樹林の木の上に生育している植物。空気湿度が生育する上で大きく関与しており、霧が発生し易くて雨の多い樹林帯を好む。大部分がツガの植林帯になっている富士北麓だが、その中に残っている広葉樹林の森にわずかに生育している。


    フガクスズムシソウ(富士北麓) 苔の生えた高い木の上に生育している。


    形はスズムシソウに良く似ているが別物である。

 ツリシュスラン(絶滅危惧ⅠA類):フガクスズムシソウと同じく空気湿度の高い富士山麓の広葉樹林の森にわずかに生育している。


    ツリシュスラン(富士北麓)


    平成28年は特別にたくさんの花を咲かせたがその翌年は葉のみで花は咲かせなかった。

 マツラン 別名ベニカヤラン(絶滅危惧ⅠB類):今年から新たに絶滅危惧種に登録された植物である。富士北麓の森に生育しておりハウチワカエデを好んで着生している。


    マツラン(富士北麓) ハウチワカエデの高い位置を好んで生育する。


    樹皮の隙間に根を延ばして着生する。


    ポリネーターの蜂が吸蜜している。


    花が終わりの頃には紅色に変わる。

 ムギラン(絶滅危惧種ⅠB類):2008年版のレッドデータブックでは絶滅危惧DD類(情報不足)だったが2018年版でⅠB類となった。南部町の川沿いに生えた木に稀に着生している。


    ムギラン(南部町) 


    木の幹にびっしりと着生している。


    豆のような偽球茎から葉を出している。まだ蕾の花茎も偽球茎から分枝しているように見える。

 マメヅタラン(絶滅危惧種ⅠB類):レッドデータブック2018年版から絶滅危惧ⅠB類に登録された植物。ムギランと同じく南部町の川沿いの木に稀に着生している。


    マメヅタラン(南部町)


    びっしりと花を付けるその姿は圧巻だが、距離が遠いので双眼鏡で覗かないとその姿は見られない。

 着生植物は高い木の上で生活するので食害とは無縁であるが、木が倒れたり枯れたりすることで生育が脅かされること、また数が少なく種を飛ばして木から木へ生育範囲を伸ばすことも確率的に難しいことが難点であろう。ただし、空気湿度を必要とするので地球温暖化には強い(むしろ好都合な)植物と言えるのではないかと思う。


 次に腐生植物についてである。名称が菌従属栄養植物に変わったようであるが、今回は使い慣れている腐生植物の名前を使わせていただく。

 トラキチラン(絶滅危惧ⅠA類):富士山山梨県側の寄生火山での生育が確認されているがそのほかに御坂山系や南アルプスでも見つかっている。いずれの場所も個体数は少なく年々減少傾向にある。


    トラキチラン(富士北麓)


    葉緑素を持たない腐生植物。半透明の花がなんとも言えない魅力的な美しさを持つ植物。

 キバナノショウキラン(絶滅危惧種ⅠA類):富士山麓で生育が確認されているが近年花数が激減している。ナラタケの菌に従属している。


    キバナノショウキラン(青木鉱泉)


    レッドデータブックに記載の無い場所でも発見されている。

 ミヤマツチトリモチ(絶滅危惧種ⅠA類):一見花とは思えないような形をしている。雌花は見つかっているが雄花は見つかっていないまだ不明なところが多い植物である。


    ミヤマツチトリモチ(青木鉱泉)


    一見キノコのようだがこれでも列記とした花である。こんなものを食べる虫も居る。

 腐生植物は従属する菌によって個体数が大きく変わるので、数的な変化を見るには何年か経過を見て行かないと推移を見極めるのは難しいかと思う。しかし、トラキチランに関しては山梨県だけでなく八ヶ岳界隈の生育地も明らかに数を減らしているように見受けられる。どうすれば保護できるのかは全くわからない。




 

植生の保護と保護柵の効果について(前編) ~三ツ峠勉強会③~

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 どこの山でも鹿の食害に悩まされていて保護柵の設置を余儀なくされている場所が多いと思う。山梨県では三ツ峠がいちはやく保護柵を設置し、はびこったテンニンソウや笹の除去を行い見事な植生の再生に成功している。その後櫛形山も設置したのだが、ほとんどアヤメの花が咲かなくなってしまってから設置したために遅過ぎたのではないかと懸念していた。しかし、すぐには植生は戻って来なかったものの保護柵設置後3年目あたりから植生が戻り始め、アヤメの数は年々増加してようやく紫色のお花畑が復活してきている。今回はそのような保護柵の設置の効果を経時的に撮影した写真データとともに考えてみたいと思う。


    平成18年6月、まだ山歩きを始めたばかりの頃に登った櫛形山裸山の風景である。前年のアヤメの花穂が残っているがこの年はアヤメはわずかしか咲かなかった。


    この時のアヤメの写真を見直してみると、アヤメの葉が食害に遭っているのがわかる。


    別角度から見た裸山のお花畑。ちらほらとキンポウゲが咲いているがアヤメはほとんど見当たらない。この時はまだ保護柵は設置されていなかった。


    この時に運命的な出会いをしたクモマツマキチョウ。あこがれていたこの蝶を初めて見て山に登るようになった。


    アヤメ平の木道脇に咲いていたキバナノアツモリソウ。平成18年6月を最後に櫛形山で元気に咲くこの花を見ることは無くなった。

 平成18年のまだ本格的な登山を始めていなかった頃に訪れた櫛形山は既に鹿の食害でアヤメが激減していた頃だった。山のことも植物のことも全く知らなかった私は櫛形山とはこんなところなのだろうと思っていたが、その翌年からアヤメがほとんど咲かなくなりアヤメ祭も行われなくなったということを聞いた。この時の目的だったクモマツマキチョウに出会えたことがきっかけとなって本格的に登山を始めるようになった。翌年も同じ時期にアヤメ平まで登っているがアヤメは数輪しか咲いておらず、クモマツマキチョウも出会えなくなってしまった。そして干からびたキバナノアツモリソウをその時に目撃して以来、登山道から観察できる範囲内では目撃することが無くなってしまった。

 ここからは保護柵設置後の櫛形山の植生の変化である。


    平成26年7月、保護柵設置後1年目のアヤメ平。手前にあるカニコウモリと思われる植物はことごとく食べ尽くされている。保護柵の効果があるのは明らかである。


    平成25年6月の裸山。アヤメ平よりも一足先に保護柵が設置されたこの場所はキンポウゲの再生が著しい。


    平成26年7月の裸山。テガタチドリが増えてきた。アヤメもちらほらと見え始める。


    平成27年7月の裸山。テガタチドリが爆発的に増えている。アヤメも数を増やしてきた。


    平成28年7月の裸山。テガタチドリは姿を潜めてアヤメが大部分を占めるようになる。


    平成29年7月の裸山。アヤメの復活が著しく、テガタチドリはあまり見られなくなる。


    復活した裸山のアヤメ。

 保護柵の効果が現われて裸山ではアヤメが復活したわけではあるが、それまでの過程としてキンポウゲ、テガタチドリの増殖があり厳しい植物界での生存競争に打ち勝ってアヤメが再生してきたと言って良いのではないかと思う。テガタチドリが減ってしまったのは残念ではあるがアヤメが復活してくれたことは嬉しい。


    アヤメ平はまだキンポウゲが主体でアヤメがちらほらと混ざっている。これからアヤメが増えてくるだろうと予想される。

 しかし何でも囲えば良いというものでも無い。平成28年秋に人避けを主な目的として保護柵で囲ったホザキツキヌキソウであるが、あまりうまく行っていないようである。


    平成28年6月、保護柵設置前のホザキツキヌキソウ。大きな元気な葉を展開していた。シダとの大きさの違い、および下草の変化に注目していただきたい。


    当初は人に踏まれないように周辺に木の枝が置かれて囲ってあった。


    平成29年6月、保護柵を設置した翌年の様子。葉の大きさがひとまわり小さくなっている。


    平成29年7月、周辺の下草が大きくなって葉が隠れてしまっている。囲っていた木の枝が取り除かれたために下草が入り込んでしまっているようだ。


    平成30年6月、周辺の植物が大きくなり過ぎて完全に埋もれてしまっている。


    葉の大きさが小さいだけでなく数も明らかに減っている。


    花は咲かせているもののきわめてまずい状況に陥っている。

 人に踏まれないように、盗掘されないようにという配慮で設置してもらった保護柵であるが、ホザキツキヌキソウにとっては良く無かったようである。周辺にあった木の枝が周囲からの植物の侵入を防いでいたようで、また適当に人が来て周りを踏み付けていたことも植物の侵入を防いでいたかも知れない。いずれにせよ、周辺の草を除去する作業は最低限必要であろう。残念ながら今のところ勝手に手が出せない状況であるが、今年度から環境省の自然公園指導員という大役を仰せつかっており、環境省に直接意見が言える立場となった。意見書を作成して保護をお願いする予定である。


    

植生の保護と保護柵の効果について(後編) ~三ツ峠勉強会④~

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 今回は個人的に保護柵で囲った場所がどうなのか、その効果と植物の保護効果について述べたい。このブログの読者の方ならば私の行っている保護活動についてほぼご存知かと思うが、改めてここで総括してみたいと思う。

 個人的に保護ネットを設置した山域は4ヶ所あり、うまくいっているところもあればそうでは無い場所もある。まずは効果のあった場所2ヶ所について記載する。


 茅ヶ岳オキナグサ保護作戦

 本来は毒草のはずなので食害とは無縁だったはずのオキナグサだが、咲き始めの花芽や出始めたばかりの新芽が食害に遭うようになり1輪も咲かせること無く終わってしまった年があった。3年間食べ続けられると絶滅してしまう危険性が高く、昨年の平成29年4月に保護柵を設置した。


    平成27年5月、茅ヶ岳ではたくさんのオキナグサが咲いた。


    茅ヶ岳のオキナグサ


    ところが、平成28年4月には花どころか葉もほとんど見当たらない。


    良く見れば出始めた新芽が食害に遭っていた。これはまずい。翌年の春、新芽が出る前に保護柵で囲うことにする。


    平成29年4月に設置した保護柵。荷揚げと設置と補修のため3度現地に足を運んだ。


    平成29年5月、食害に遭うことなく花が咲いた。上を向いて喜んでいるように見える茅ヶ岳のオキナグサ。


    花数はだいぶ減ってしまっているがひとまずは保護に成功する。


    保護柵は冬を越せずに倒壊してしまい、平成30年4月補修作業を行う。


    補修して強化された柵。


    平成30年5月、この年も食害に遭わずに花が咲いてくれた。


    訪問時期が遅かったが、たくさん咲いてくれたオキナグサ。


    前年の2倍くらいの花が咲いた。囲った甲斐があった。

 茅ヶ岳のオキナグサ保護作戦は想定していた以上の効果が上がり、平成30年は前年を遥かに上回る数の花が咲いてくれた。直接の食害で花が咲かなくなった植物に対しては保護柵の効果が絶大であることがわかる。ただ、素人がやっている保護柵なので強化したつもりの保護柵だったが6月には既に部分的に倒壊してしまっている。食害に遭うのは新芽と花芽の頃なので今年はこれで良しとして、また来年の春に修復しなければならない。


 カモメラン保護作戦

 御坂山塊のカモメランであるが、盗掘も然ることながらそれ以上に鹿の食害による2次的な変化で山肌が乾燥化し、カモメランは花を咲かせなくなりさらには葉数も減少し始め、場所によっては消滅してしまった群落もある。人の踏み荒らしも目立つため平成29年5月に2ヶ所保護柵を設置して囲い込んだ。直接の食害は少なく、この囲い込み作戦でどこまで効果が出るのかはかなり疑問があったのだが、現時点でこれ以外に有効な手段は思いつかなかった。


    平成26年6月、かつてはたくさん咲いていた御坂山塊のカモメランだが、その後減少の一途をたどる。


    平成29年6月に設置した保護柵その1


    同その2。こちらの場所はユキザサやツルシロカネソウ、ショウマ類など種々の植物を囲い込んだ。


    平成28年に設置した人避けのロープ。人には有効だったが動物には全く無効だった。後に被害に遭うことになってしまう。


    平成29年5月に設置した保護柵だが、なんとか一冬越してくれた。平成30年5月に撮影したもの。その後修復、補強作業を行った。


    平成30年6月、保護柵の中のカモメラン。見事に咲いてくれた。囲う前の2年前が1株、囲った年の昨年が3株、そして今年は9株咲いてくれた。


    囲いの中はこの山塊に特有なちょっと変わったカモメランが咲いている。


    もう1ヶ所の柵の中も見事に咲いてくれた。


    明らかに昨年よりは増えている。


    それでは柵の外はどうなのだろうか?食害で食べられたと思われる花穂。


    直接の葉の食害も散見される。


    何よりも問題なのはこの乾燥化してしまった山肌だろう。


    そして保護ロープで囲った場所は・・・平成29年8月に大規模な食害に遭ってほとんど葉が見られなくなってしまった。


    平成29年8月の様子。足跡と思われる穴と食いちぎられたカモメランの葉。これで終わってしまったかと思ったが・・・


    平成30年6月の様子。花はほとんど咲かなかったが根は残っていたようで葉は出てくれた。それでも前年の半分ほど、70株くらいに減ってしまった。


    今後の食害を避けるために新たに保護柵で囲う。数年できっと復活してくれると信じている。

 この場所のカモメランを見にやって来る登山者に配慮して保護ロープだけ張っておいた最大の群生地は鹿の食害で大打撃を受けてしまったが、根だけは残っていてくれたようでまだ救いはありそうである。他の2ヶ所は明らかに保護柵設置の効果が出ており、おそらくは食害に遭った場所も数年で復活してくれるだろうと信じている。保護柵を設置した当初はどれだけの効果が出るのか疑問があったのだが、設置後2年にして明らかな効果が出ていることが証明された。



 花咲じじい作戦

 この作戦は平成24年6月に花を咲かせて以来咲かなくなってしまった某所のアツモリソウを復活させて咲かせてやろうという作戦である。平成27年から作戦が始動し、今年で4年目を迎えるが残念ながら思ったほどの効果が上げられていない。


    平成24年6月、3輪の花を咲かせたアツモリソウ。


    今にして思えばこの時既に花の色が薄く元気が無い。危険信号を発していたのだろうが気付かなかった。


    平成25年6月、葉は出たが花芽は付いていなかった。


    平成26年6月、元気のない葉がなんとか出てくれたが・・・


    その前の年からテンニンソウやスゲの除去作業を開始していたが、平成28年6月、とうとう何も出なくなってしまう。鹿の食害跡が目立つ。


    平成29年4月、保護柵で囲い込む。


    平成29年6月、なんとか葉が出てくれて一安心する。


    平成30年6月、保護柵は破損無く一冬を越した。草が茂ったがテンニンソウが増えたように思う。


    昨年以上に元気な葉を出してくれるだろうと期待していたのだが・・・今年は葉が出ていない。残念無念・・・。

 前年の秋にもテンニンソウとスゲの除去作業を行ってはいたのだが、不十分だったのかも知れない。残念ながら今年はアツモリソウの葉が確認できなかった。株自体が年老いていて元気が無い可能性もあるのだがテンニンソウをはじめとする他の植物がはびこっていて栄養分を取られてしまっている可能性も高い。秋になったらもう少し丁寧に周辺の草を除去してまた来年に備えたいと思っている。

 保護柵の効果は期待できるのだがそれが全てでは無く、植生維持のための手入れをしてやることも必要なのだと思う。しかしどれをどこまで除去すれば良いのか?除去を行うこと自体が植生を乱しているのではないか?など、植物の保護はわからないことだらけである。これからも十分な観察を行いつつ多方面からの情報を集めて保護について考えて行動しなければならないと思う。





ヒトツボクロを巡る  平成30年6月17日

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 ラン科のヒトツボクロという花は富士山麓にしか無い珍しいものだと思っていたのだが、最近いろいろと情報をいただき、他の山にもあることがわかってきた。そのひとつが茅ヶ岳、もうひとつが甘利山である。いずれの場所も今年発刊された山梨県レッドデータブックに登録されているメッシュからは外れた区域である。絶滅危惧種Ⅱ類に分類されているだけあって、意外とあちらこちらの山に生育しているのではないかと思われる。今回は茅ヶ岳と甘利山の2ヶ所を巡って存在を確認してきた。


    夏草が茂ってきた茅ヶ岳の登山道。


    コアジサイが咲く。


    ヤブレガサはもうすぐ咲きそうだ。


    こんなところにもキッコウハグマがあった。


    居ました。ヒトツボクロ。聞いていた場所では見つからず(おそらく聞き間違い)周辺をうろついて発見。


    咲いていたのは2株だけ、葉の数はざっと見て10株くらいと数は少ない。しかし存在は確認できた。


    もう終わりかけていたヒトツボクロ。


    朝は隠れていた富士山が昼ごろから姿を現した。この季節にしては珍しい。

 途中で色気を出してあまり歩いたことが無い尾根に踏み込んでみたところ、本来のルートからだいぶ外れた場所に出てしまい1時間以上時間をロスしてしまう。駐車場に戻って甘利山に向かうが、途中で椹池に立ち寄ってみた。


    椹池のほとり。スゲの白い綿毛が生えている。


    ワタスゲ?とはちょっと形が違うようだが??


    おそらくこれはサギスゲだろう。初めて見る綿毛になった花。

 高地にある椹池はいろいろな植物が生えていそうである。ネットで見るとサワランが咲くらしく、季節になったら是非とも訪れてみたいと思っている。

 ヒトツボクロの生育する場所に移動する。


    ギンリョウソウが一輪だけ咲いていた。


    居ました、ヒトツボクロ。ちょうど見頃だが暗い場所の上に風で首を振って全く写真を撮らせてくれない。


    何10カットも撮影して大幅に時間を費やしてしまう。マクロレンズは揺れて使えなかった。


    ミヤマウズラ


    花芽を付けたラン科と思わしきこんな葉がたくさん出ていた。


    花が咲くのはまだしばらく先のようだ。どうやら正体はジンバイソウらしい。

 甘利山の山頂付近に到着したのは5時を過ぎてしまった。その時間になってもまだ富士山は見えていた。しかし、残念ながらレンゲツツジは既に盛期を過ぎていてほとんどが散ってしまっていた。


    甘利山から見る富士山。梅雨時にしては珍しく夕方5時を過ぎても富士山が見えている。


    残念ながらレンゲツツジはもう盛期を過ぎている。訪れる人も少ない。


    咲き残ったレンゲツツジを前景に富士山。


    同上。


    日没まで待ったが・・・


    富士山は次第に雲に隠れてしまい撤退。

 おそらくヒトツボクロは標高1,000mくらいの中・低山でも生育している可能性があるのではないかと思われる。特殊な山域にしか生育していないと思っていたのは私の思い込みだったのだろう。

ほころび始めたフガクスズムシソウ 富士北麓  平成30年6月22日

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 例年ならば7月に入ってから見頃を迎えるのだが花期の早い今年はもう咲いているかも知れない。過去に何度か訪れている場所であるが、Borgの新しいレンズではまだ撮影していないため出かけてみた。現地に3時過ぎに到着して木を見上げるが見当たらない。200㎜望遠レンズを装着して木の上を覗き込んでみるがどうにも見つけられない。


    オシャグジデンダ。これは絶滅危惧種のシダ。


    こんな感じの苔が生えた木の上に居るはずだが・・・


    どうにも見つけられない。


    ようやく見つけた小さな葉っぱ1枚。これは完全にフライングだったようだ。

 あきらめて戻ることにしたが、100㎜マクロレンズに変えて木の上を覗き込みながら戻り始めると、幸運にも咲いている株を発見することが出来た。


    やっと見つけたフガクスズムシソウ。以前にも見たことがある白花のようだ。


    ようやく出番が来た570㎜望遠レンズを装着する。やはり白花だ。


    さらにエクステンダー装着して1,140㎜望遠。


    これだけの解像度が得られれば上出来だが、午後の遅い時間で森が暗く光があまり入らない。


    位置と角度を変えて撮影。


    別の場所を覗いてみるとまだ蕾の株があった。

 もっとたくさん咲くはずなのだが、以前に訪れた際にGPSでマークしてあった木には残念ながら発見できず、その木はまだ時期が早かったようである。時間がとれるようであれば、満開の時にたくさん咲いている様子を撮影してみたいと思っている。ようやくBorg570mmレンズがしっくりと使えるようになってきた感じがする。

まだ早かった白いラン 富士北麓  平成30年6月22日

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 フガクスズムシソウがまだ時期が早かったので予定よりも早く下山した。もう時間は5時半になるが、日が長くなったのでもう少し花を見歩けそうだ。2週間ほど前に訪れた際にまだ蕾だった白いランがそろそろ咲いている頃だろう。場所を移動して富士北麓の森をもう1ヶ所訪れてみた。


    咲き始めたばかりのクモキリソウ。


    ヒトツボクロの葉がパラパラとある。昨年の花穂が付いているが今年は付けていない。


    ツルアリドオシ。赤い種がいくつか付いていたのでもう花が終わったのだと思っていたが昨年の種だったようだ。


    もうすぐ咲きそうなツルアリドオシ。


    くるりと巻いたコイチヨウランの花穂。


    見たかった白いランとはこれだが・・・


    残念ながらまだ咲いていなかった。


    まだ1∼2週間先になりそうだ。


    これはやはり再訪する必要がありそうだ。

 残念ながらこちらの花もフライングだった。折角の梅雨の合間の晴れ間だったのだが富士北麓の期待していた花は2つともまだ時期が早かった。時間を作って再訪してみたいと思う。

保護柵の効果を確認に行く 大蔵高丸からハマイバ丸  平成30年6月24日

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 櫛形山の保護柵の効果は設置されて3年目あたりから絶大な効果が現われ始めた。今回訪れる大蔵高丸からハマイバ丸の界隈も今年で3年になるはずである。昨年の秋に訪れた際にタムラソウやセイタカトウヒレン、さらにはヒメヒゴタイの大株など、見事に植生が蘇ってきたのを見てきた。この季節の花も復活を遂げているであろうが、今回は保護柵の中だけでなく、囲われていない場所の植生がどうなっているかを見たくて出かけてみた。


    湯ノ沢峠の先にある保護柵の扉。これを開けて中に入る。


    保護柵の中なのに食害の痕跡がある。そして何故にこんな場所に鹿道が?


    保護ロープを越えて鹿道をたどってみると・・・やっぱり。ネットが破れている。


    本日は補修作業は想定していなかったので何も道具が無く、とりあえずは繕って補修しておく。次回訪問する際は紐を持って来よう。


    保護柵で囲われた湯ノ沢峠お花畑。よくぞこれだけの広大な範囲を囲ったものである。まだ十分に回復しているとは言えないが、アザミ類の葉が目だって増えている。


    一方、保護柵の外は荒れたススキ野原になっている。


    シダの茂る斜面。こうなってしまうともはや末期的と言えるだろう。


    ハマイバ丸。

 ハマイバ丸で昼食をとり、その界隈にあるまだ囲われていない草地の中を上へ下へとさまよってみる。数年前にもこの界隈を探り歩いたことがあるが、目ぼしいものは何も見つかっていない。


    広大な草地が広がるハマイバ丸の界隈。同時に沢へ下りられそうなルートも探ってみたが、下りるよりも登って来たほうが良さそうだ。


    花はほとんど終わっているがクリンソウの群落を発見。


    水の流れるこの界隈はクリンソウのパラダイス。しかし鹿の水飲み場にもなっているようで、足跡と糞が多量にある。


    だいぶ下って今度は登る。ワラビだらけの斜面。


    これは鹿が寝た痕跡だろう。シカたね~?

 保護柵の外を2時間ほど散策して保護柵の入り口に戻る。嬉しい収穫といえばクリンソウ群落だが、他にも数年ぶりに確認できた嬉しい花があった。


    保護柵の入り口。外と中の植生の違いは明らかである。


    ヤマオダマキ


    ノアザミ。この花は初夏に咲き、良く似たノハラアザミは夏から秋に咲く。


    ノアザミは総苞片が粘っているのに対してノハラアザミは粘らない。


    大株のシモツケ


    特筆すべきはこのセイタカトウヒレン。


    これでもかというくらいに大増殖している。タムラソウはいずこへ?これから出てくるのだろう。

 期待していた通りの保護柵の効果が現われてきた大蔵高丸からハマイバ丸の界隈であった。鉄製の保護柵で囲ったハマイバ丸側のほうは申し分無いが、ナイロンのネットで囲った湯ノ沢峠側はどうやら鹿が角でネットを破っているらしく、見回りが必要なのではないかと思われる。あれだけ広大な範囲を囲っていると見回りと修復作業におそらくは人手が足りていないであろう。少しでも協力できればと思う。

保護柵の効果を確認に行く(続編) 大蔵高丸からハマイバ丸  平成30年6月24日

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 保護柵が設置されて3年を迎える大蔵高丸からハマイバ丸界隈は柵の中の植生はだいぶ回復してきている。特にアザミ類の復活は目を見張るものがあり、驚くほどの数のセイタカトウヒレンが姿を現している。その保護柵の中に今年見てみたいと思っていた花が咲いているのをブログ仲間の記事から知った。梨ヶ原あたりで運が良ければ見られるのではないかと思っていたのだが以外にもこちらの山域にも生育しており、山梨県レッドデータブックのメッシュには入っていない場所だった。


    見たかったのがこのヒメイズイ。梨ヶ原か高座山あたりにあるのではないかと思っていたのだが以外にもこちらにもあった。


    2008年版では絶滅危惧Ⅱ類だったが2018年版では準絶滅危惧種になった花。思っていた以上にたくさんあって驚いた。

 もう1種類フナバラソウという花を探していたのだがとうとう発見できなかった。

 さらにもうひとつ、存在を確認しておきたかったのがムラサキという花である。自身のブログの記録を検索してみるとこの花に出会ったのは平成24年6月で、その頃にはまだこの山域には保護柵が設置されておらず貴重な赤紫色のランの花が咲かなくなってきた頃でもあった。その数年後に保護柵が設置されたがムラサキを目撃した斜面は保護柵の外だったため、おそらくは食害に遭って消滅しているのではないかとずっと心配していた。しかし幸運にもその斜面には以前とあまり変わらずにその花が咲いていてくれた。


    食害による消滅を心配していたが以外にもあっさりと花が見つかった。


    周辺を見渡すとちょうど見頃の花が数株あった。


    ムラサキ。じっくりと見てみると美しい花。根が紫色の染料になるらしい。


    新調したEosM用の28㎜マクロレンズに変える。解像度は十分。小型で軽くて使いやすいのが良い。さらに暗い場所でも撮影可能なリングライトが搭載されている。


    スーパーマクロモード。超接写が可能となる。


    これだけ写ってくれれば十分。

 他の斜面にもあるのではないかと2時間ほど探してみたがこの場所以外では発見できなかった。山梨県絶滅危惧種ⅠB類だけあって、あまり数は多く無さそうである。

 もう1種類、ゴールデンウィークの頃に見た花がその後どうなっているのか立ち寄ってみた。シロカネソウの仲間なので鯖の尾のような種を付けているのではないかと興味があった。しかし、この季節になると他の下草が増えていてなかなか目的の花の葉っぱが見つけられずに一苦労する。


    薄暗い谷の中でようやく発見。探しものはチチブシロカネソウ。


    鯖の尾のような種では無かった。既に種がはじけた後のようだ。


    別株。まだ種が残っている。


    スーパーマクロモード。蒴果と呼ぶのだろうか?

 ヒメイズイと出会えたことも嬉しかったが、ムラサキが咲き残っていてくれたことは本当に嬉しかった。周辺にはワラビがたくさん生えているが食害と思わしきちぎれた痕跡が多数見られた。(あるいは人が採取していった跡か?)時間がとれるならば、秋にアザミの仲間が咲いている季節にもう一度訪れてみたい。

こちらの草原にもあるはずだ 高座山  平成30年6月25日

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 前日にハマイバ丸界隈の保護柵の中で元気に咲いているヒメイズイを見てきた。梨ヶ原にもあることがわかっているが、同じような植生の高座山の草地にもきっとあるはずだ。歩き始めが4時半と遅い時間になってしまったので一部分しか探せないが、登山道脇の草地にきっと居るはずだ。日没後の下山を覚悟で探しに入る。


    出発時間が遅く、広大な草地なので登山道を歩いたとしても全ては廻り切れない。


    オカトラノオの葉がたくさん生えていた。花は咲き始めたばかりだった。


    草むらの中にカイジンドウ。


    こちらは何本か固まって咲いていた。数はあまり多く無い。


    タツナミソウ。普通にある花だろうが、実は山梨県で見るのは初めてだ。


    オオバギボウシ。ほとんどが蕾だった。鹿にだいぶ食べられている。


    シモツケ。後ろの富士山は白とびしてしまった。


    セイタカトウヒレン。それなりの数はあると思われるが・・・


    発見した別株は食害の跡。鹿の好物らしい。


    このアヤメも食害の跡が目立ち、だいぶ数を減らしている。

 さて、探しもののヒメイズイだが意外と見つからない。この花は昨日見てきた様子では草地の中に生えるのではなくて、草地の端の少し草が薄くなって適度に日が当たるような場所を好んで生えているように見える。だから、あるとすれば草むらの中よりも登山道脇のほうが可能性が高い。


    それっぽいのが・・・しかしこれはチゴユリの葉。


    こちらは種になったアマドコロ。ずいぶん数が減ってしまったように感じる。


    そして発見。ヒメイズイ。


    予想通りに登山道脇の草が少ないところに固まって生えていた。


    花はもう終わって散っていた。

 予想していた通りにヒメイズイに出会うことが出来た。この季節には以前にも歩いているのでその気で見ていなかったか、あっても気付かなかったのだろう。まだ知識と花を見る観察力が足りないのであろう。この草原にもあるはずのフナバラソウも探していたのだがまたしても見つからなかった。


    ちょうど日没の頃に下山。富士山に巻いていた雲が飛んで全容を現した。

末期的な草地 帯那山  平成30年6月26日

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 保護柵の設置されている大蔵高丸からハマイバ丸、さらに保護柵が設置されていない高座山と、山梨県を代表する草地を巡り歩いて来た。保護柵の設置してある場所はススキ野原からアザミ類やキク科の植物が生える野原に変わりつつあるが、保護柵が設置していない山はやはり鹿の食害が目立ち、年々少なくなっている花が多い。今回訪れるのはかつてはアヤメがたくさん咲いていたと言われている帯那山山頂の草地である。しかし最近ではアヤメを見るためにこの山を訪れる人はほとんど皆無であろう。完全にススキ野原と化してしまいアヤメはほとんど見当たらなくなってしまっているからである。保護ロープは以前から張られているが保護柵は設置されておらず、鹿の餌食になったためと思われる。


    「アヤメ群生地」の看板はあるが、今では全くアヤメは見当たらない。


    頂上の建物。今はほとんど管理されていない。


    ほとんどがススキ野原で目ぼしい植物はあまり見当たらない。


    ススキの少ない場所に黄色い花。


    ミヤコグサ


    確認できたアヤメは折れかけた1本だけ。葉も見当たらない。


    大型のテンナンショウ属。いつも見ているいわゆるマムシグサとはちょっと違う。


    仏炎苞に少し光沢がある。


    葉より下か同じ高さに花(仏炎苞)が出る。これはオオマムシグサではないかと思われる。


    フナバラソウか?残念ながら花が付いていない。

 おそらくは、鹿の食害に遭ったまま何もしないとこのような荒れた草原になってしまうのだろう。この場所は末期的な草地を見ているのだと思う。もはや保護柵で囲ったとしても植生を取り戻してアヤメが生えてくるのは困難だと思う。

 ここからは自分の勉強のために撮影してきたイネ科の植物だが、図鑑を見ても何だかさっぱりわからない。


    カモガヤ?


    イヌムギ?


    上と同じ??

 そのうち、少しは同定できるようになる、かも知れないイネ科の植物。田んぼや畑の界隈には普通にいろいろなものが生えているが、全く分かっていないのは問題だろう。

ほころび始めたベニシュスラン 南部町  平成30年6月28日

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 昨年は7月10日ごろに見ごろを迎えていたはずだが、今年はもう咲いている頃なのではないかと思う。南部町まで足を運んでみた。中部横断道が増穂の先まで延びたおかげで以前に比べると甲府から南部町まで2時間くらいで行けるようになり、だいぶ行き易くなった。


    苔の中に生えるベニシュスラン。まだ1週間ほど早く、一部が咲き始めたばかりだった。


    ほころび始めたベニシュスラン


    こちらの株はあと3日もすれば見頃。


    別角度から。


    接写


    一株だけイワタバコが咲いていた。こちらもこれからのようだ。

 見ごろには若干早かったが、花も葉も美しいベニシュスランを堪能してきた。昨年発見したもう1ヶ所別の場所を訪れてみたが、沢が増水していて目的地まで行けずに撤退した。

 山梨県ではもう1ヶ所別の沢の周辺に生育が確認されているらしく、いつかそちらも散策してみたいと思っている。

富士南麓の植物探し  平成30年6月27日

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 蒸し暑かった山梨県南部町で目的の植物を観察した後、新東名高速を使って富士山の南麓に移動する。しかし、見上げる富士山は2合目あたりから真っ黒な雲が巻いていて雲の中に突っ込んで行くようなものだ。案の定、視界は20mほどしか利かない暗い霧の中に突入する。しかも霧雨時々雨、風が吹くという植物を観察するには悪い条件が揃ってしまった。これで目的の花は見つかるのだろうか?


    ハコネラン。咲いていてくれたのは良いが森が暗いうえに風で揺れてまともに撮らせてくれない。


    マクロレンズのリングライトを点灯して撮影するがこれが限界。接写はあきらめる。


    雨交じりの霧が立ち込める暗い森の中で着生ランを探す。探し当てた(探してもらった)までは良かったが・・・

 この場所はフガクスズムシソウが生育している森で、案内していただいて双眼鏡で確認したまでは良かった。しかし、いざ三脚を立てて撮影しようとすると、望遠レンズとカメラをつなぐコネクターを置き忘れてきてしまい撮影が出来ない。あったとしても暗すぎてまともには撮れなかったであろうが、それにしても不覚である。

 さらに移動してもうひとつの花を探しに行く。なんとなくしか場所を聞いていないので見つからない確率が90%(まず見つからないだろう)と思っていたのだが、とりあえずはどんな感じなのか様子を見に行ってみた。すると、2ヶ所目で幸運にも発見できた。


    本当にあった。ちょっと変わったクモキリソウ。


    唇弁の中央の根元あたりに紫色(というよりも黒っぽい)の点が入るクモキリソウ。


    葉にやや光沢がある。シテンクモキリ。

 何度か訪れてみないと発見は出来ないだろうと思っていた花であるが、幸運にも初めての訪問で出会うことが出来た。他の場所も探せばあるのだろうが、今回は咲いている株2株を見て十分に満足である。天候も悪いので撤退する。なんとなく咲いている環境はわかったが、ここは静岡県である。この花を山梨県で探し出すのが目標である。

富士南麓の森を再訪  平成30年6月30日

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 先日訪問して着生植物の生育を確認してきた富士南麓の森だが、天候が悪いうえにレンズの接続コネクターを忘れて撮影が出来ないままで撤退となってしまっていた。前日から横浜に出張となっていたがこの場所の再訪のために車で出かけて帰りの際に立ち寄ってみた。時刻は既に午後4時を過ぎていたが場所がわかっているので撮影してくるだけならなんとかなりそうな時間である。


    ハコネラン。首の長いこの手の植物は風が吹くとなかなか撮らせてくれず今回も一苦労する。


    黄緑色の保護色で森に溶け込むように咲いている。


    唇弁にギザギザがあるのが特徴。

 目的地に到着して木を見上げるが肉眼では確認できない。双眼鏡を取り出して見てみると咲いているのが確認できるが、午後になると逆光になってしまい花にはほとんど陽が差し込まない。そのうえ風が強くて木が揺れており撮影条件はあまり良く無い。Iso感度を640に上げて何度も撮影を試みるが570㎜望遠レンズはほとんどがブレた写真になってしまった。


    こちらが前回確認してきた着生植物。固まって咲いている。200㎜望遠。


    フガクスズムシソウ。570㎜望遠。


    同じ木の別の場所。


    白花も混じって咲いている。


    白花が隠れて咲いている。


    何本か他の木を探してみたが、見つかったのはこの小さな1株だけだった。


    この木にはマツノハマンネングサが着生していた。


    マツノハマンネングサ。なんとなく白い蕾のようなものが着いている。


    下山したのはちょうど日没の頃だった。富士山に笠雲がかかっていた。

 もっとじっくりと観察すれば他の木にも生育しているのが見られるであろうが、本日は数本の木を探すのみで時間切れとなってしまった。周辺の森には他の着生植物が生育している可能性が高く、時間がとれるならば他の場所も探してみたい。

アヤメ咲く櫛形山を訪れる(前編)  平成30年7月1日

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 6年ほど前からアヤメが咲く季節のほぼ定番となっている櫛形山である。特に裸山のアヤメが再生しつつある過程はほぼ定点からの撮影でその様子を写真データとして記録してきている。今後の変化を予測するため、さらに他の場所の植生がどのように変化して行くかを予測するために重要なデータであると思っている。なのでアヤメが咲くこの季節の櫛形山は絶対に外せない訪問場所のひとつなのである。

 いろいろとコースを考えたのだが、気になっている南側の管理歩道を歩くには定番の池の茶屋から歩くのが時間的に最も有利である。9時に池の茶屋に到着すると予想していた通りに駐車場は満車で路上まで駐車されており、脇道の林道に車を止めて出発する。


    草の生い茂る池の茶屋の保護柵の中。もうすぐ咲きそうなクガイソウ。


    保護柵の中だというのに食害の跡があり鹿道らしきものも見られる。柵のどこかに破損があるようだ。


    櫛形山への登り道。またバイケイソウが増えたように見える。道標を右に曲がって管理歩道に入る。


    サルオガゼのついたカラマツ林が美しい。


    普通のマムシグサ


    種になったセリバオウレン。葉は地面の近くにある小さな葉で、周辺の大きな葉はトリアシショウマだと思う。


    コバノイチヤクソウ(右)とズダヤクシュ(左)


    イワキンバイ


    タカネグンナイフウロ


    タカネグンナイフウロとサルオガゼ。霧が湧いて良い雰囲気で撮れたと思う。


    気になっていたのがこの花。アオチドリ。


    昨年食害に遭っているのを確認していた。今年は株数が半分以下に激減しており残った株も食害に遭っている。おそらく数年で消滅するだろう。


    もう1ヶ所見ておきたかったのがこのクサタチバナ群落。


    クサタチバナ平と勝手に命名している。今年は立ち枯れしている株が多く花があまり咲いていない。


    圧巻だった昨年に比べると寂しい花付きである。


    バラボタン平のマルバタケブキ。ここのマルバタケブキが食べられている。よほど食べ物が無くなっていると思われる。


    花の終わったユモトマムシグサ。櫛形山で見かけるのはこれと先ほどのマムシグサの2種類である。

 普通に歩けば管理歩道を使ったとしても2時間半もあれば裸山に到着するであろうが、バリアンスルートを歩いてしかも右往左往して登って来たため4時間近くかかって午後1時にようやく裸山に到着である。たくさんの登山者が次々にやって来て、裸山の保護柵が設置されてからの植生の変化やアヤメの復活の様子について解説したりしているとあっという間に時刻は2時になってしまった。しゃしゃり出て登山者に解説するのはいかがなものかと思ったのだが、それなりに皆さん納得していただいたようで、「ありがとう」という言葉を複数の方からいただいた。


    ほぼ定点撮影の裸山のアヤメ。


    昨年に比べると若干花数が少ないように感じるが、花を咲かせていない葉はさらに増えているように感じる。


    新たに囲われた山頂側の斜面はまだキンポウゲやテガタチドリがたくさん咲いている。いずれはアヤメが主体の斜面に変わって来るだろう。


    エゾノタチツボスミレの白花。もう咲き終わりである。


    別角度から見る保護柵の中。クガイソウがたくさん生えており時期が変わると今度はクガイソウの青いお花畑になるのだろう。


    山頂側の斜面もだいぶアヤメが増えてきた。


    裸山山頂。相変わらず霧が巻いて景色は見えない。

 ここ数年の裸山の植生変化から見ておそらくアヤメが増えてきているだろうとは思っていたが、花数だけを見れば昨年よりも若干少ないように見える。しかし、アヤメ以外のテガタチドリやキンポウゲは減少しており、アヤメが勢力を強めていることは確実であろう。さらに遅れて保護柵が設置された山頂側の斜面も次第にアヤメが勢力を増しており3年後にはアヤメ主体の斜面となっていることが予想される。

 予定では12時裸山だったのだが2時間も予定時間をオーバーしてアヤメ平に向かうことになってしまった(後編に続く)。

アヤメ咲く櫛形山を訪れる(後編)  平成30年7月1日

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 池の茶屋を9時に出発して裸山に到着したのが午後1時、さらに裸山出発が2時過ぎとなりアヤメ平に到着したのは2時半近くになった。そろそろ登山客の姿も少なくなりほんの数人とすれ違っただけだった。さらに3時を過ぎた頃にはもう誰も居なくなり、アヤメ平のお花畑は独占状態となり三脚を出して存分に写真を撮らせてもらった。


    樹林帯の中に咲いていたマムシグサ。ユモトマムシグサは全て花は終わっていた。


    コバノイチヤクソウ


    アヤメ平に到着。もうほとんど人が居ない。


    だいぶ草が茂ってきてアヤメも増えてきた。


    キソチドリか、それともオオヤマサギソウか?


    アオスズランはようやく頭を持ち上げてきたところだった。


    避難小屋の前のキンポウゲ


    咲き始めたばかりのキンバイソウ


    200㎜望遠レンズで捉えたキンバイソウ。


    復活したアヤメ平のお花畑。素晴らしい!


    テガタチドリとアヤメが半々くらいだろうか。


    元気なテガタチドリ。


    咲き始めたクガイソウ


    テガタチドリ


    アヤメ

 裸山の植生の変化から見ると、現在のアヤメ平の様子は3~4年前の裸山と同じような感じである。おそらくは2~3年するとアヤメが増殖してテガタチドリが減少してくるのではないかと予想される。


    植生の変化に伴って年々減少しているのがこの花。


    当初はキソチドリだと思っていたのだが距が長くて前方に曲がる様子からホソバノキソチドリと思われる。まだ咲いていなかったのが残念。


    お花畑を良く見ると踏み跡があり、どうやら鹿の仕業らしい。食害の跡も見られる。ネットのどこかに破損があると思われる。


    保護柵の外と中ではこれほどの植生の違いが現われてきた。

 今年で保護柵が設置されて6年になるだろうか。絶大な効果が現われているアヤメ平であり、現在はアヤメが増殖する途中の段階にあると推定される。アヤメの花はまだ少ないものの幼弱な葉は多数出現してきており、次第にアヤメ主体の紫色のお花畑に変わって来ると予想している。それに伴ってテガタチドリやホソバノキソチドリは減少することになるであろう。自然界では植物同志の熾烈な生存争いが繰り広げられているのである。アヤメは強い植物だと思う。

 時刻は4時半を過ぎた。そろそろ撤退の時間である。モミジ谷を経由しての周回歩道を歩く予定だったが撮影に夢中になっていてストックを避難小屋の近くに置き忘れてきてしまったようだ。回収しながら東の空を見ると青空が広がっていた。ひょっとしたら富士山が見えているのではないかと淡い期待を抱いて、もう一度裸山に立ち寄って帰ることにする。(富士山編に続く)

アヤメ咲く櫛形山を訪れる(富士山編)  平成30年7月1日

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 池の茶屋を朝9時に出発して裸山、アヤメ平と廻ってきたが、さほどの距離を移動しているわけではないのにもう時刻は5時である。日が長くなったおかげでこの時間でもまだ空は明るい。お昼過ぎに訪れた裸山は霧が湧いて周りの景色はほとんど見えなかったが、夕暮れが近付くにつれて霧が晴れて青空が見えてきた。特に東側の空はくっきりとした青空が広がっている。これならば、ひょっとして富士山が見えるのではないだろうか?


    本日2度目の裸山に到着。


    もう誰も居ない。満開のアヤメを独占。


    裸山山頂に登って行くと・・・おお!見える。富士山だ。

 ここ5~6年は恒例になっているこの裸山だが、ここから富士山を見たのはもう10年くらい前に一度だけである。その頃はもうアヤメは鹿の食害で激減しており山頂付近ではほとんど咲いていなかった。植生が復活してきてアヤメが増殖し、いつかアヤメ越しの富士山が見られるようになるだろうと期待していた通り、ようやくアヤメと富士山のコラボレーションを見ることが出来た。手前のアヤメは既に陽が陰ってしまっており光量が足りず写真としてはいまひとつの出来であるが、この景色が見られるようになったことは大きな喜びである。


    裸山のアヤメと富士山


    同上。ズームで捉える。

 時刻は6時近くになった。櫛形山山頂を越えて下山する頃には日没になっているであろうが、折角見えている富士山を撮らずに下山するのはもったいない。櫛形山山頂で残照の富士山を眺めた後は三脚を担いだまま稜線上をゆっくりと富士山を眺めながら歩く。


    櫛形山山頂から見る夕映えの富士山。


    同上。櫛形山稜線から。


    アースシャドウの富士山。櫛形山稜線から。


    同上。


    夕焼け空の白根三山。展望台から。


    夕焼け空の北岳


    雲海に浮かんだ夕暮れの悪沢岳

 途中でヘッドライト点灯し、池の茶屋駐車場に到着したのは7時45分になった。さほど歩いたわけでは無いが、10時間近くも櫛形山界隈をブラブラしていたことになるが、それだけの時間を費やす価値のある山行だったと思う。

 本日の月の出は9時15分ごろだったはずだ。現在地球に接近している火星の赤い輝きが素晴らしく、本日の17夜の月と火星は横並びに接近して東の空から昇って来る。当初は朝霧高原を予定していたが富士山中腹に雲が巻いている様子を見ると近距離からの富士山は見えない公算が強い。高下か、丸山林道展望台か、あるいは櫛形山林道か迷ったが、明るい月を想定して町灯りが前景に入る櫛形山林道を選択して移動する。到着した当初は富士山が見えていたのだが・・・


    櫛形山林道から見る夜景と富士山。到着した8時45分ごろには富士山が見えていた。


    しかし、9時を過ぎた頃から富士山は雲に隠れてしまった。空にはうっすらと天の川が流れる。


    月が昇る。残念ながら富士山は見えず。


    雲の中にうっすらと火星が見える。富士山は見えず、これにて撤退。

 帰宅したのは11時になってしまったが、アヤメを前景にした富士山を眺めることが出来て充実した1日になった。

琥珀色のランを探しに 八ヶ岳へ  平成30年7月7日

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 山梨県でこの琥珀色のランに出会うのはなかなか難しい。今回は八ヶ岳の長野県側に足を延ばして探しに出かけてみた。既に花仲間がこの花を探し当ててきており、私よりも先行して入山している。仕事を片付けてから出発した私は数時間遅れてスタートするが、自力で発見できなくても先行したメンバーが折り返して下山して来る途中で出会えるはずだ。


    小雨が時折降る中を笠を持って入山する。目を引いたのがこの髭のような細い葉の小さな白い花。


    イトイ(イグサ科 イグサ属)。湿っぽい岩壁にたくさん咲いていた。


    花の終えたヒメムヨウラン


    まだ咲いていないキソチドリが登山道脇にたくさん出ていた。


    そのキソチドリと一緒にお目当ての花が咲いていた。

 こんな感じのところ・・・と苔の生えている斜面を覗き込みながら歩いているとお目当ての琥珀色のランに出会うことが出来た。想像していたよりも背が高くて花がたくさん付いており、最初はコケイランかと見間違えるほどの大きな株だった。この株の写真を撮っていると先行した仲間たちが下山してきたところに出くわし、さらにその上にある生育場所を案内していただくことが出来た。


    2株並んで咲いていた。琥珀色の花は景色に溶け込んで探しにくいが筋の入ったスラリとした葉は見つけやすい。


    想定していたよりも個体数は多かった。


    琥珀色のラン。花期は少し過ぎていた。


    こんな背高ノッポの株にも出会えた。


    唇弁の赤紫色の斑点がアクセントを添えている地味に美しい花。

 数株見られれば上出来と思っていたのだが今年は当たり年なのか10数個体に出会うことが出来た。葉の数を含めると30個体くらい確認することが出来、この場所は今の環境が保てるならば生育して行くには十分な個体数であろうと思われる。しかし、10年くらい前にこの場所を訪れたランに詳しい方の話を伺ってみたところ、かつては100個体くらい見られたそうで、数は減少しているのであろう。確かに笹が茂っている場所も多く見かけられ、一部は笹に飲まれつつあるうえに山の斜面に続いている鹿道もたくさん見られる。今後の植生の変化が心配な場所でもある。



八ヶ岳山梨県側に植物観察に行くが・・・雨に濡れてカメラが故障!  平成30年7月9日

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 前日の八ヶ岳長野県側に続いてこの日は山梨県側の八ヶ岳に花を探しに出かけた。天候が心配だったが予報では曇時々晴れ、しかし八ヶ岳には暗い雲が巻いていて登山口では小雨(霧雨)が降り、カッパを着ての入山となる。主に花の撮影で景色はほとんど見えないだろうとの予想でカメラは小型のEosM2だけ持って入山する。


    雨に濡れるイブキジャコウソウ


    エゾスズランは食害に遭っている株が多く、昨年よりも数が減ってしまっている。


    そしてこの花も・・・。ケブカツルカコソウも食われてほとんど無くなっているうえに残った株は倒れていた。ピンチ!


    大収穫だった花のひとつがこのヤマトキソウ。


    ススキの藪の中に隠れて目立たないように咲いていた。


    天候が悪かったが少しだけ開いた株もあった。

 この後も雨が降ったり止んだりでさほど強い雨にはならなかったのでカメラは首からぶら下げっぱなしにしていた。そしてキソチドリとミヤマチドリらしき花が現われた場所まで登ったところでカメラのスイッチを入れると・・・???あれ~、起動しない。レンズが結露していたので別のレンズに変えてみるがやはり起動しない。どうやら雨に濡れて基盤まで結露したらしい。他の場所では綺麗なニョホウチドリやお目当てだったタカネアオチドリなど諸々の花が見ごろを迎えていたのに、全く写真が撮れずに終わってしまった。しかし今回は花見だけでは無くて植物の調査も兼ねており、それなりの数のコハクランやタカネサギソウにも出会うことが出来た。今後保護柵設置に向けての個体数と植生調査としては多大な成果があったと思っている。集まったメンバーも最高だった。

ミッション 苔ごと脱落した着生植物を救出せよ!  平成30年7月初旬

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 山梨県ではなかなか見ることが出来ない着生植物が苔ごと木から脱落してしまったという情報が入ってきた。地上に落ちたままだと今年はなんとか生きたとしても来年まで持ちこたえることは出来ないであろう。この植物を救うためにはまた木の上に戻してやるしかない。しかし、脆い苔の塊をどうやって戻せば良いのか?針金で止めるのは目立ち過ぎるし、木にとっても好ましく無い。釘で打ち付けるにも苔が脆くてすぐに脱落してしまいそうである。植木屋さんでは無いし、良い方法は知らないのだが考えに考えて・・・これでどうだろうか?


    高い木の上には珍しい植物が着生していた。200㎜望遠レンズでこのくらいしか追えない遠い位置に居た。


    トリーミング。スギランというシダ植物。山梨県では絶滅危惧種ⅠA類。


    単葉のシダが群生している。


    トリーミング。ホテイシダ(ウラボシ科)だと思う。山梨県絶滅危惧種Ⅱ類。


    問題の木がこれ。小さな葉が付いているがその下の部分は苔ごと脱落している。


    別の場所。ここも大きく苔が脱落している。

 この木に着生している苔と着生植物は年々脱落して数が減ってしまっているらしい。樹齢によるものなのか、それとも環境によるものなのかは分からないが、苔が脱落してこの木の幹は乾燥化しているように見受けられる。この木に脱落した苔を戻すのは再脱落の危険が高く困難であろう。周辺の木を探して同じ種類の木で苔が元気に着生しているものを探して戻すことにする。


    預かったのは良いが管理が難し過ぎて葉が一部脱落してしまった。


    苔の生えた木に戻す。そのまま釘打ちしても生着しなそうなので麻の紐でネットを作って打ち付けた。

 苔が生着したからと言って付いている着生植物が生き残ってくれるとは限らない。なにせ初めての試み、どうなるのかは全く分からない。葉の状況から見て今年花を咲かせるのは困難であろうから、来年以降に期待することになる。生き残って花を咲かせてくれるのを祈るばかりである。


    帰り際の道路脇で背高のオニノヤガラが1本咲いていた。

 園芸の勉強も必要になってくるのか?とも思ってしまう。

八ヶ岳を再訪する(前編)  平成30年7月14日

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 先週訪れた八ヶ岳であるが、雨に濡れてカメラが故障してしまいほとんど花の撮影が出来ないまま終わってしまったのでもう一度訪れてみることにした。おそらくは終わってしまっている花が多いであろうが、まだ蕾だった見ておきたい花もあった。早朝に歩き始めて上のほうまで行ってみようと思っていたのだが案の定寝過ごして出発が大幅に遅れてしまう。予定していた山頂までは行けなかったが、それでもそれなりの花を見ることが出来た。


    先週はそれなりの数を見たヤマトキソウだったが今回はこの株しか発見できず。一人だとなかなか見つけられない。


    前回は見なかったラン科の植物を発見。


    花はまだ蕾。葉の形と花期を考慮するとミヤマモジズリと思われる。

 見たかった花の咲いている場所に到着した。先週は見頃だった何種類かは予想通りもう終わりかけていた。


    写真記録を撮っておきたかったひとつがこのタカネアオチドリ。まだ十分に見られる株もあった。


    最大の株はもう終わりかけていた。この界隈は有名になってしまったのか踏み跡が目立つ。


    こちらも花が痛み始めているがまだ十分に見られる。ニョホウチドリ。


    こちらはもう完全に痛んでいる。コハクラン。


    マクロ接写。


    別の場所で見た株ももう終わりかけだった。


    ヒメムヨウランも終わりかけていた。

 さて、ここからが見たかったツレサギソウ属の花だが、花の同定が間違っているかも知れないので参考程度に見ていただければと思う。


    いちばん見ておきたかったのがこの花。タカネサギソウ。


    もうひとつが先週はほとんど蕾だったこの花、ミヤマチドリ。


    タカネサギソウ(右)とミヤマチドリ(左)が豪華に並んで咲いている。


    タカネサギソウ。長い距がある。


    ミヤマチドリはほとんど距が無い。良く見ると丸い突起があるのだが写真では見えない。


    樹林帯の中で見つけたミヤマチドリは色が緑色で別物のように見える。


    もうひとつ、気になっていたのがこの花である。当初はキソチドリと思っていたがちょっと違うし、生育環境も草地の中である。


    萼片が反り返らない、距が長く、花の色がやや黄色っぽい。


    近くに咲いていた別株。この長く伸びた距はホソバノキソチドリだろう。


    こちらは樹林帯の中で見た典型的なキソチドリ。


    萼片が長くて反り返る、ないしは曲がる。距はほとんどが前方に湾曲し、やや短い。花の色も薄い緑色。

 こうして2種類を並べてみると、やはり前者はホソバノキソチドリと見て良いと思う。生育環境も草地の中と樹林帯の中と違っている。ツレサギソウ属は判別が難しく、間違っているかも知れない。

 今回取り上げたのはラン科植物であるがそのほかにもいろいろな花に出会うことが出来た。(後編に続く)






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