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Channel: 山梨百名山から見る風景
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山梨県最果ての夕暮れダイヤモンド富士 鳥井立  平成28年12月19日

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 冬至が近くなり、太陽の位置はいちばん低い南側の軌道をとる季節である。道志村の奥、秋山村との境に鳥井立というマイナーな山があり、その山が冬至の時期にダイヤモンド富士となる一番北側、かつ山梨県で一番東側に位置する山となる。マイナーな山であり、歩く人も少なく、果たして富士山の眺望が得られるのかどうかが疑問だったが、ネットで調べてみると山頂付近で富士山の見える場所があることがわかった。カシミール3Dで計算してみると、冬至の前後3日間くらい、白山岳をかすめて夕陽が沈んで行くことがわかる。珍しく午後になっても雲が湧かずに富士山がスッキリと見えており、仕事を片付けて午後から出かけてみることにした。

 高速を使って都留まで行き、峠を越えて道志村から登山口の巌道峠に入る。この林道は全面舗装ではあるが道幅が狭く、しかも蓋がされていない側溝が道路脇にぱっくりと口を開けている。対向車が来ないでくれと祈るしかない。午後2時45分に巌道峠到着し、ここから鳥井立まで1時間弱、ダイヤの時間が4時ごろなので急がないと間に合わなくなってしまう。準備していると、車の近付く音が聞こえたかと思ったらガコンという音が響いた。何かと思えば、峠のところの側溝に軽自動車がタイヤを落としてしまった音だった。しかも前輪・後輪とも側溝にはまり込んでしまっている。脱出を手伝って車を押してみたが、タイヤは側溝の中で空回りするだけで全くビクとも動かない。あきらめてJAFを呼ぶこととなり、私は山に登らせてもらうことにした。時間はもう3時を過ぎている。急がないと間に合わない。


    巌道峠駐車場。右下に見えるのが側溝に落ちてしまった車。後ろ髪引かれる思いで山に登る。


    峠のすぐ上にある鉄塔が立つ展望地。


    富士山が見える。ここからも、時期を選べばダイヤモンド富士が見られる。


    鉄塔をくぐって上に登る。結構な急登の道、息が切れ切れ。


    傾斜が緩くなって小ピークを越えると電波塔の立つピークが見えてきた。あれが鳥井立。


    快適な道が付いているが・・・


    快適ならぬ最後の登り。


    電波塔が立つ鳥井立山頂に到着。


    山頂に掲げられている看板の文句が素晴らしい。そうです、今日は夕陽を見に来たのです。


    しかしこの山頂は展望が得られない。

 必死に登って40分ほどで山頂に到着。速い!と思ったが、GPSに書かれているコースタイムを見ると40分と書かれていた。つまり必死に登ってようやく並のスピードということだ。山頂は展望が得られず、富士山が見えるのは少し戻った斜面の切れ間だ。大きな夕陽が富士山頂に傾いていた。


    少し戻ったこの場所が富士山展望地。狭い。


    木が少し邪魔になるが・・・


    ズームをかければあまり気にならない。300㎜レンズ。


    ここまで距離が離れると夕陽が円く写ってくれる。


    ほぼ真ん中に着地。そして・・・


    白山岳で割れてくれるかどうか・・・?


    残念。若干右だった。


    赤く染まった富士山の夕空。


    雲が流れて行く。「私の心に浮かんだ風景はあなたと同じこの夕陽です」。

 美しい山梨県最果ての夕暮れダイヤモンド富士を堪能させてもらって下山する。巌道峠に到着するとちょうどJAFの車が到着したところで、10分ほどで簡単に車を引き揚げていった。軽自動車の運転手さんにダイヤが撮れたかと聞かれたので、カメラのモニターに撮影した画像を出して自慢して帰路についた。夕方までほとんど富士山に雲が巻かない日はそう滅多にあるものでは無いので、この日は素晴らしい景色にめぐり逢えて良い日だったと思う。

何故に割れないのか? 高下のダイヤモンド富士  平成28年12月21日 

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 天候は良好、ポジション取りも問題無し。絶対的な自信を持って撮影に臨んだ高下のダイヤモンド富士。しかし・・・何故??


    本日の撮影地は前方に邪魔者が無い好展望地。ほぼ狙い通りのポジションに三脚を構える。


    若干の霞が出ているものの、雲も無く雪煙がほとんど巻き上がっていない、割れるダイヤ撮影には最高の条件が揃った。


    絶対に割れる、と信じて時を待つが・・・


    先に白山岳左側に光が現われるはずだったのに出たのは右側、しかも予測していた場所よりも中央寄りだ。


    何故にここから現れるのか??頭の中はクエッションだらけ。


    完全に失敗。ポジション取りを間違ったか、カシミールの計算を間違ったか?


    しかし、撮影地のログから再計算したカシミール3Dで見る軌道では間違っていなかった。

 これは偶然なのか、必然なのか?今まではほぼ正確に軌道計算が出来ていただけに、また振り出しに戻った気分だ。

 それでも、綺麗な丸く出た高下のダイヤモンド富士は撮影出来た。


    真ん中に昇る高下のダイヤモンド富士


    同上

 この日で決着をつけて次のステップに移るはずだったが・・・決着つかず。もう少し通います。

夕焼けのダイヤモンド富士 高尾山  平成28年12月21日

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 冬至の時の高尾山には特別な思いがあった。山頂から見る夕暮れのダイヤモンド富士がほぼ真ん中あたりを通って白山岳に沈んで行く。さらに、立ち位置を工夫すると白山岳で2つに割れるダイヤの撮影が出来るかも知れないということだ。週末は激混みだろうから、計画的にこの日は休みをとらせてもらったのだが、予期せぬ事情で短時間ながら出勤することとなってしまう。

 朝の高下ダイヤモンド富士は見事に失敗し、かなりへこんでいた。さらにもうひとつ、もっとへこんでしまう失敗をやらかしていた。愛用していた200㎜望遠レンズが・・・どこを探しても見つからない。どうやら2日前に高下でダイヤを撮影した時に置き忘れてきたらしい。その時の撮影場所に足を運んでみるが、残っているはずもない。ダブルへこみでさらに天候はこれから下り坂、この日の高尾は止めようかとも思ったのだが、週末に行って撮影できる保証も無く、とにかく行ってみることに意を決して、仕事を片付けて高尾山口駅に向かう。


    ダイヤの時期だから駐車場は満車・・・と思いきや、ガラガラじゃん。場所を間違ったか?駅前にも駐車場があった。


    30数年ぶりの高尾山、本日は正面から正攻法で攻める・・・って、ケーブル使います。


    このケーブルは日本最大傾斜を誇る凄いケーブル。お~!と思いきやわずか6分で上の駅に到着。


    30数年ぶりで以前のことはほとんど覚えていない。ほぼ全面舗装の道。


    仏舎利塔。眺望無し。


    これが薬王院?


    う~ん、ヤクルト院?


    やっぱり薬王院。左の階段はなんとなく見覚えがある。これを登って山頂へ。


    山頂は激混み!? ではなくてガラガラだった。

 右往左往しながらケーブル駅から50分ほどで高尾山山頂に到着した。時刻は午後1時45分、ダイヤモンド富士の時間までまだ2時間半ある。平日ということもあって、想定していたよりも山頂は混雑していなかったが、大見晴らし台前方の良い場所は既に三脚が立ち並び、場所は確保できず一番左端になんとか一度は三脚を立てた。しかしこの場所、左側の木がどうにも邪魔で広角系のレンズはほとんど使えない。GPSを取り出して本日の割れるダイヤを撮れそうな場所を確認すると、三脚を立てた場所は12月23日のポジションで、本日はもう少し右寄りであることがわかった。場所を移動して階段の上のスペースに、前方の階段に座っている昔のお嬢様に許可をいただいて三脚を立てさせていただく。この場所は下方をカットすれば富士山の撮影には絶好の場所で、さらに右側にある木が前景となって山の高度感も出せる抜群のポジションだった。横に居た写真に詳しい男性とカメラやレンズの話にふけりながら時を待っていると、ダイヤの1時間前あたりから続々と人が集まり始め、私の周辺は私より少し年配の昔のギャルたちでいっぱいになった。高下のダイヤや竜ヶ岳のダイヤの話、高性能なEosMシリーズのカメラなどの話をしながら、朝のへこんだダイヤ撮影失敗などどこへやら、本日は舌好調!


    本日の撮影場所はこんな視野。下をカットすれば撮影には問題無し。


    雲が出ているが富士山は綺麗に見えている。


    ダイヤの時間まであと30分ほど、だいぶ人が集まって来た。


    迫るダイヤモンド富士。


    オレンジ色に焼けた夕空に大きな夕陽が富士山頂めがけて沈んで行く。


    感動的な夕焼け空のダイヤモンド富士になった。


    山頂にかかる夕陽


    白山岳でおそらくは割れてくれたと思うのだが、この日の雲では撮れない。


 10年ほど前に丹沢の大室山にダイヤモンド富士を撮影に出かけた時の夕暮れもこんな感じだった。いつかまたあの夕陽を見てみたいと思いながらもう何年も経ってしまい、ここであの時の夕陽が眺められるとは全く思ってもいなかった。感動的な夕焼け空のダイヤモンド富士だったが、この日はこれだけでは終わらなかった。


    夕空が赤く染まって来た。パトカーがやって来て、すぐに暗くなるので早く下山するようにと放送しているが、こんな夕焼け空を見て早く下山など出来ない。


    真っ赤に焼けた夕焼け空


    富士山の右には竜が舞うような飛行機雲が出た。


    凄い空


    う~ん、凄い!


    もうそろそろ終わり。 

 夕焼けの空が終わった夕方5時、撤収する。折角の高尾山なので稲荷山コースを歩いて夜景を見てから下山することにする。ちょうど稲荷山コースを本日登って来たという方が山頂におられたので、コース状況を聞いてから下山開始する。山道かと思いきや、林道のような広い道幅の登山道があることに少しばかり驚いた。


    稲荷山展望台から見る東京都の夜景。この日は霞んでしまっていて夜景の輝きはいまひとつ。


    東京スカイツリー


    新宿か?

 稲荷山で写真を撮っていると、この時間に単独で登ってこられた人が居たのには驚いた。昼間の高尾山は混雑するのでたいてい夜に登っているという方だった。写真家では無さそうだが、私と似たようなことをしている人が居ることに妙な親近感を覚えた。山頂から1時間40分かけて、無事に下山した。

 それにしても、朝の失敗をすっかり忘れさせてくれる素晴らしい景色にめぐり逢うことが出来た。山は本当に出かけてみないと何が起こるかわからないということを改めて思い知らされた。キャッツアイは撮影出来なかったが、今年の高尾はこれで満足、とも思う。しかし、天候が良ければ年内中にもう一度行くかも知れない。
    

軌道修正し高下へ  平成28年12月23日

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 12月21日の自信を持って撮影に臨んだ高下の白山岳ダイヤモンド富士は見事に失敗に終わり、太陽軌道をカシミール3Dで再計算し直して再び撮影に臨んだ。前日は深夜まで雨が降り、おそらくは朝までには回復しないだろうと思ったのだが、コタツでうたた寝して朝5時に目が覚めて富士山ライブカメラをチェックしてみると見事に富士山が姿を現している。眠いし、だるいし・・・しかしここで決着をつけないと来年に持ち越しになってしまうやも知れない。高下から白山岳で割れるダイヤが撮影できるのは12月29日までだが、年末が近付くにつれて混雑してくるのは目に見えている。出動する。

 現地に到着すると、想定していた以上にスッキリと美しい朝富士が撮ってくれと言わんばかりにたたずんでいる。甲府盆地を含めて低いところには昨夜の名残の霧が巻いているのが見える。紛失してしまったCanon200㎜望遠レンズの代わりに以前使っていた70-300㎜望遠ズームを使うが、これは焦点が若干甘いという難点がある。


    スッキリと晴れた朝。低地には昨夜の名残りの霧が巻いている。


    軌道を修正したことだし、これならば行けるだろうと思ったが・・・


    日の出の前ごろにはうっすらと雲が広がっていた。


    雪煙も少なく、条件は良好。そしてダイヤになる10秒前から連写を開始。約30秒間ひたすら切りまくる。


    予定通り、白山岳左から太陽が出現、しかし光芒が出ない。


    右の突出した岩の下にも太陽が現れているが、やはり光芒が出ず。


    ようやく少しだけ輝き出したが、想定したよりも輝きが半分ほどしか出ない。


    もう1台のカメラ画像


    白山岳にも薄雲が巻いているようだ。


    想定していた軌道通りに太陽が現れたが、後ろ側に出た薄雲でどうやら光が減弱してしまったらしい。


    太陽が完全に現れてもこの日はあまり輝かなかった。


    なかなか思うようには行かないものだ。

 軌道の修正は出来てダイヤモンドを割ることには成功したが、この日は薄雲に阻まれて思うような画像にはならなかった。満足なものはまだ1枚も撮れていないが、割れるダイヤは今回を含めて2回撮影に成功しており、これで高下のダイヤは2勝3敗となった。太陽軌道の計算はほぼ出来たのであとは天候の条件だけということになるのだが、年内中に満足なものが撮れるかどうかはかなり危うくなってきた。そろそろこちらではなくて、竜ヶ岳の剣ヶ峰と雷岩のダイヤのほうにステージを移したい。
(と言いながら、実は翌日も高下に行ってしまいました。)

2匹目のドジョウは釣れたか?? 再び高尾山へ  平成28年12月23日

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 12月21日の冬至の日は、高尾山で素晴らしい夕焼けを見ることが出来た。もうあれで十分に満足し、今シーズンの高尾は行かないつもりだったのだが、雨上がりのこの日の朝はすっきりした青空が広がった。天気予報でも、雲画像を見てもこの日は1日中好天が続きそうだ。高尾山で心残りなのは富士山白山岳に夕陽が沈んで、そこで夕陽が2つに割れるキャッツアイという現象である。私の計算上ではこのキャッツアイが撮影できるのは冬至を挟んで前後2日、つまりこの日が最終日となる。高尾山のダイヤモンド富士ならばもう数日間は見られるが、キャッツアイは軌道がわずかにずれると撮影出来なくなり、21日の日と本日23日でも立ち位置が数十メートル変わる。3連休ということもあって場所取りが難しいことが予想され、午前中に山頂に到着できるように、高下でダイヤモンド富士撮影後そのまま高尾山口に向かう。

 ケーブルを使って、今回は名物の天狗焼きを買ったほかは寄り道せずにひたすら山頂を目指し、11時半に山頂到着した。その時間でも通常のダイヤモンド富士撮影にベストな場所は既に三脚が立てられていっぱいになっている。GPSで座標を確認し、狙っていたいちばん端のポジションは容易に確保することが出来たが、その1時間後にはもう場所取りの三脚でいっぱいになってしまった。


    11時半、高尾山山頂到着。21日の時よりはかなり人が多い。


    朝は綺麗に見えていた富士山なのに、この時間には雲隠れしてしまった。

 まだ4時間以上も時間がある。1時間ほど山頂付近をぶらぶらして時間をつぶしたが、さすがに飽きてきた。カメラバックとカメラと水を1本持って周辺の散策路を散歩してくることにする。


    ここから先は「奥高尾」と呼ぶらしい。ソバ屋があった。


    もみじ台。ここも三脚が並んでいてほとんどいっぱい。富士山の写真を撮り忘れた。


    その先にも少し富士山が見える場所があるが、スペースが狭い。


    富士見台展望台の休憩東屋。


    富士見台とは言うものの、富士山の眺望はあまり無い。


    林の隙間から少し富士山が見える場所もあった。

 小仏城山を往復するくらいの時間はあったのだが、それだけの根性は無く、途中で撤退してきた。脇道でカメラを構えて木の上を狙っている人が居た。このような撮影をしている人はバードウオッチングか植物マニアのいずれかだ。話しかけてみると、キジョランを撮影しているのだそうだ。今年は花が少なく、さらに前夜の雨でだいぶ落ちてしまったそうだ。高尾の植物についても教えていただき、白花だけでは無くてピンクや緑のハナネコノメが咲くのをカメラ画像を見ながら教えていただいた。いつか見に来る機会があればと願う。


    キジョランの綿実。望遠が足りない。


    見慣れないシダが生えていた。これはフユハナワラビか?


    この手の草(低木?)はさっぱりわからない。

 山頂に戻るとだいぶ人が増えてきていた。まだ1時間以上あるので山頂の向こう側にあるソバ屋で食事をとる。戻って時間が1時間を切ったところで三脚にカメラをセットする。直前になってセットを始めると周りでカメラを構えている人たちの迷惑になってしまいそうなくらいに人が増えてきた。


    一時は姿を現した富士山。


    これはいけそうだと思ったが・・・


    その後は再び雲が巻いてしまう。


    夕陽が迫って来た。富士山は現れてくれるのか・・・。


    富士山を巻いた雲が彩雲になっていた。しかし肝心の本体が姿を現さない。


    夕陽が迫って来た。


    もう少しで山頂。


    わずかに白山岳が見える。


    もう沈みかけている。


    同上    


    シルエットだけわずかに見えたが、富士山の形を成さない。


    白山岳のシルエットの裏に太陽の形が透けて見える。うまくすればキャッツアイの軌道だけでも確認できるかどうか・・・


    残念。暗い雲に阻まれてしまい、肝心のところは確認できず。


    富士山は雲に巻かれたまま陽が沈んで行く。

 前回が素晴らしかっただけに、さすがに2匹目のドジョウはゲットできなかった。写真はいまひとつであったが、彩雲が巻いた夕暮れ富士のハラハラドキドキ感を存分に楽しむことが出来て、これはこれで満足だった。最終的な確認は出来なかったが、おそらくキャッツアイの軌道はかなり近いところに迫っていると思う。また来年チャレンジだ。


    夕焼け雲

 東側の空がピンク色に焼けた。夕焼けに染まった雲を見ながら、沢沿いルートの6号路を下った。稲荷山コースのような幅広い道とは違って一応は登山道の様相をしていて、花の咲く時期の昼間に歩いてみたいと思った。

    

綿帽子雲のダイヤモンド富士 今期6度目の高下へ  平成28年12月24日

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 高下で撮影する、白山岳で割れるダイヤモンド富士の軌道修正もほぼ完了し、いいかげんに決着をつけたいのだがなかなか思ったように撮らせてくれない。この日も朝からスッキリと晴れる予報で、確かに早朝からスッキリとした青空が広がった。連日の早朝4時か5時起きでさすがに疲れてきたが、折角の好天の日を逃すわけには行かない。連休で混雑が予想されるのでいつもよりも30分早く現地に到着するが、既に撮影ポイントは車がいっぱいでだいぶ外れたところに車を止め、三脚とカメラを担いで撮影ポイントに入れさせてもらった。

 到着した時はスッキリとした富士山だったが、ダイヤまで1時間を切ったあたりから山頂に雲が出始めた。もはやこの時点で割れるダイヤはあきらめたが、綿帽子雲の上に出る面白いダイヤモンド富士が撮れそうだ。周囲に居たカメラマンたちとレンズの話や割れるダイヤの話などで盛り上がりながら時を待つ。2人分ほど離れたところに居たカメラマンの方は高下のダイヤモンド富士が毎年恒例の行事だそうで、昨年は割れるダイヤモンド富士の撮影に成功し、今年の年賀状に使うそうだ。


    富士山山頂に雲が出始めてしまった。朝日で赤く染まっている。


    時間とともに形を変え色を変えて行く雲。


    太陽が出現する頃には綿帽子雲になった。白山岳左側に小さく太陽が現れているように見える。


    白山岳の真後ろに太陽のシルエットが見えている。雲が無ければこの時点で2つか3つに割れていたはずだ。


    光芒が現われたのは雲を抜けて太陽が現れてからだった。


    綿帽子雲の上に輝いたダイヤモンド富士。


    狙いは外れたが、あまり見かけないダイヤモンド富士を見ることが出来た。


    もう1本のレンズ。円形絞りのためにダイヤが星型では無くてだらりとした円形になってしまう。


    ダイヤモンド撮影には不向きなレンズだ。

 ということで、またしても割れるダイヤは失敗し、これで2勝4敗、来られる日がもうほとんど無いことを考えると、今期の負け越しはほぼ決定である。しかし軌道はほぼ確実に修正できているのが今回確認できたので、あとは天候次第ということになる。1度だけでも狙い通りのカットを撮りたいが、果たして天が許してくれるかどうか・・・この場所で撮影可能なのは12月29日までだ。

白山岳で割れるダイヤモンド富士 高下最終章  平成28年12月28日

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 月齢28の細月が早朝東の空に昇って来るこの日は、端足峠から見ると富士山の白山岳の上に昇って来るはずだった。予定では端足峠経由で竜ヶ岳・・・だったのだが、前日風邪をひいたらしく、1日中鼻水と涙が止まらずにひどい思いをした。この日の早朝にはだいぶ回復していたのだが、さすがに山に登る気にはなれず、高下からこの細月を眺め、さらに割れるダイヤモンド富士を狙うことにした。月の出の1時間前に現地到着できるように目覚まし時計を午前4時にセットしたが、3時過ぎに目が覚めてしまう。もはや二度寝入りできるような時間では無く、そのまま準備して3時半に自宅を出る。

 4時45分ごろに目的地に到着すると、駐車場はまだ数代の車しか止まっておらず、GPSで位置確認して座標点通りのところに三脚を構える。若干雲が出ているがおおむね眺望は良好、しかしその後どうなるかはダイヤの時間まではわからない。


    10㎜広角レンズで捉えた星空。右上の明るい星が木星、その下にある明るい星はおとめ座のスピカ。


    新しく調達した70-200㎜f2.8レンズの調整を行う。解像度は申し分無さそうだ。


    富士山の裾野から月が昇って来た。 


    朝焼けの空に追われるように昇って行く月齢28の地球照の細月


    17-55㎜ f2.8 レンズ


    夜明けの明かりの中に地球照は次第に消えて行く


    やがて細い月も夜明けの明かりに消える。

 地球照の細月が夜明けの明かりに消えた後、ダイヤモンド富士の時間まで約1時間ある。寒いので車の中にいったん戻ってエンジンをかけて暖をとって時を待つ。しかし、その後富士山の周辺に暗い雲が出始め、時々富士山の山頂を隠してしまうようになってしまう。タイミングが悪いと撮影が難しい状況になってきた。さらに、この日は富士山の裏側に大きく雪煙が舞っており、割れるダイヤの撮影は難しい状況になってきた。


    雲が出始めたうえに、富士山山頂は雪煙が大きく出始めてしまった。


    こんな雲が湧いてしまってはダイヤモンド富士は無理か?と一時は思ったが、ダイヤの時間には雲が通り過ぎてくれた。


    白山岳が輝き出した。左側にはもう太陽が出ている。


    右側にも光が漏れているところだと思う。


    完全に2つに割れているはずだが、やはり雪煙が邪魔してしまっている。


    それでも、白山岳で割れていることは明らかにわかる。


    新調した70-200㎜レンズ(200㎜で使用)。


    8枚羽根の絞りは期待した通りに8方向の光芒が出てくれた。


    見事に割れてくれた。注目してほしいのは緑色に出ているゴーストの部分。白山岳の頂部に朝日が現われているのがわかる。


    もうそろそろ終わり。


    新調したレンズもフレアが出てしまうが、このくらいなら良しとしよう。


    一方、Borg300mm はレンズの構成が前後に2枚だけの単純な構造なので、フレアがほとんど出ない。ダイヤの撮影にはこちらのほうが有利である。

 何度か軌道修正し、高下ならば今回の軌道でほぼ確実に割れることが証明された。欲を言うなら、あと3~5mほど右に寄っても良いかも知れない。

 高下で割れるダイヤモンド富士が撮影できるのは明日の12月29日までである。本日はまだ激混雑とまでは行かなかったが、明日以降はきっと相当混雑することが予想される。高下での今年の撮影はここまでとして、明日は天候が許せば別の場所から割れるダイヤを狙ってみたいと思う。今期7度通い、撮影出来たのは3回、3勝4敗の負け越しだが、負けたうちの1回は完全に軌道計算のミス、2回は天候不良、1回は軌道は合っていたものの雪煙に邪魔されて撮れなかったもので、これは引き分けといっても良いかも知れない。納得の行く画像が撮れたわけでは無いが、軌道の計算と撮影の感触はほぼつかめたと言える。来期は気象条件さえ許せば、確実に撮影できると確信している。今回の高下攻略はこれにて終了である。

富士山頂に沈む本田・ムルコス・パイデュシャーコヴァー彗星 長池山  平成28年12月29日

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 2016年年末から2017年年始にかけて7等級前半まで増光すると予想されている彗星だが・・・7等級まで明るくなっているのかどうか?小さくて捉えるのが大変。


    Borg300㎜望遠で捉えた富士山頂。右側に小さく青い光が輝いているのが本田・ムルコス・パイデュシャーコヴァー彗星。


    200㎜望遠レンズ。F2.8の明るいレンズなので写り易いが、まだ小さい。


    追尾装置スカイメモSを装備して偶然写ってくれた1カット。モニターで確認したはずだが気付かななった。何となく長い尾が見える。

 再挑戦の予定。   

剣ヶ峰で割れるダイヤ ステージを変えて竜ヶ岳へ  平成28年12月30日

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 一発でうまく行くとは到底思っていなかったが・・・それにしても軌道がかなり外れた気がする。


    一応割れてはいるが・・・こんなもんでは全く満足できない。


    こちらはティアラ狙いのテレコンバーター装着600㎜レンズだが、改造絞りを持って行くのを忘れて星型の光芒が出ず。重ねて失敗。

 詳細は後日。

富士山頂に沈む本田・ムルコス・パイデュシャーコヴァー彗星 大平山  平成28年12月30日

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 前日長池山にこの彗星の試写に出かけたが、予想していた通りに7等級あるかないかの明るさの彗星は小さくて撮影が難しい。今まで撮影してきた彗星は4~5等級のものばかりで、ファインダー越しに彗星を探すとなんとか見えるものが多かったのだが、今度の彗星はファインダー越しには全く見つけることが出来ない。しかし、追尾装置スカイメモSとBorg300㎜天体望遠レンズを駆使すれば撮影は出来るのではないかと考えた。しかし、問題なのは山に持ち上げる機材の重量である。カメラ2台に三脚2本、レンズは1.4㎏ほどの300㎜と70-200㎜、それにスカイメモSが加わるわけで、ちょっとしたテント泊装備の重さに近い重量となる。遠い山の上まではとてもではないが持ち上げられる自信は無く、本日予定していた丹沢の大室山は中止してこちらに変更した。

 今回使うルートは長池から大平山に直登するルートで、以前から歩いてみたいと思っていたのだがなかなか機会が訪れなかった。湖畔の長池駐車場に車を止めて午後3時に出発する。1時間少々あれば到着するだろうと思っていたのだが、やはり荷物が重く途中でバテバテ、遠い山頂となってしまった。


    太陽はもうすぐ富士山に沈もうとしている。午後3時、長池駐車場を出発。


    案内板有り、ここから入る。しばらくはアスファルトの道。


    途中から登山道に入る。その先の右手に建物が立っていて、そのあたりから道が少しわかりずらくなってきた。


    登って行くと林の中の広場のようなところに出た。ここで道はどっちに行っているのかわからなくなった。

 途中まで看板を確認していたので道が間違っているとは思えないが、このまま真直ぐ登って良いものやらどうか?GPSで位置を確認し、左手に道(林道)があるらしいので道無き斜面を左手に登ると、明瞭な林道に出た。少し林道を進むと右手にルートを示す看板とやや不明瞭な道が続いていたので、どうやらあのまま真直ぐ進んでもこの林道に出たらしい。あとはこの林道に沿ってひたすら上に登るだけだが、足がクタクタ、息が切れ切れになってきた。


    立派な林道に出た。


    見えてきた大平山、山頂に電波塔が立っているのが見える。だいぶ歩いた気がするが、まだ遠いじゃないか!


    1時間半で山頂に到着。ちょうど日没の頃だった。

 山頂のベンチに重い荷物を降ろしてまずは休憩、息を整える。この日は月齢0.8という極細の月が日没後10分位で富士山山頂に沈むはずだったので、4時45分ごろからシャッターを切り始めたが、全く痕跡さえ写すことは出来なかった。月齢1以下の細い月はもっと距離を離して遠い山の上から写さないと撮影は難しそうだ。


    陽が暮れて金星が輝き始めた。


    山中湖の夕暮れと金星

 簡易赤道儀のスカイメモSをセットするには北極星を使って極軸を合わせなければならない。なかなか北極星が輝いてくれず、5時半過ぎにようやくセットが完了した。彗星が富士山頂に沈むのが6時18分ごろ、追尾撮影できるのは20分ほどしか無い。しかし、彗星の軌道と思わしき場所を再三撮影してもその姿をなかなか捉えられない。ようやく捉えたのは5時55分、あと10分少々で富士山の上に来てしまう。


    ようやく捉えた本田・ムルコス・パイデュシャーコヴァー彗星。Iso1600、30秒追尾。しかし冷え込んだ山頂は霜が降り始め、あっという間にレンズが結露し、数カットしか撮れず。


    富士山頂に来たところを撮ろうとしたが今度は富士山が見つからず。ようやく視野が合った時はもう沈む直前だった。


    こんなこともあろうかと保険をかけておいたのが200㎜レンズ。こちらは富士山頂で完全に視野を固定しておいた。山頂左上に小さな緑色の光が出現。


    あっという間に富士山頂。


    なんとか撮影することは出来たが、それにしても小さい。


    彗星が沈み、富士山頂付近まで金星がやって来たところで本日終了。下りは林道を使って別荘地の中を下山した。

 やはり6等級より暗い彗星の撮影は天体マニアの世界であり風景と一緒に写すのは難しいということがわかる。あまり追いかけても面白い画像は得られそうにないので、この彗星は無理に追うのは止めようと思う。現在夜明けの空でネオワイズ彗星というのが予想以上に増光しているらしく、うまくすれば5等級あたりまで明るくなりそうだ。年明けはこちらの彗星の撮影が出来ればと思うのだが、低空であり短期間で暗くなってしまううえに月明かりに邪魔されそうな様相である。撮影機会が訪れるかどうか、微妙である。
    

剣ヶ峰ダイヤモンド再び 竜ヶ岳  平成28年12月31日

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 なかなか思うようには行かないもの。本日は予定の座標点は展望無く、笹薮の中は霜が多くて進入不能。


    割れるには割れたが・・・今度は左に寄り過ぎ。


    霧氷と富士山


    彩雲が出ました。

月が輝く新春の夕暮れ 高指山  平成29年1月1日

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 新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 さて、例年ならば初日の出を見に行くところだが、竜ヶ岳連登で寝不足MAX、元日は昼までゆっくり寝て、お節料理をたらふく食べて午後から出動した。この日狙うのは月齢2.8の細月が富士山頂に沈んで行く景色、その上には金星が輝いている。

 東海自然歩道を登っても1時間とかからない高指山だが、本日はさらに短絡ルート(反則ルート?)の富士岬の頭に直登できる別荘地の上から高指山に至るルートを使った。富士岬の頭から下山するルートは確認していたが、どこに出るのかがわからなかった。ネットで見ると別荘地のいちばん上、10分ほどで下山できる場所に出るようだ。このルートならば夜中に歩いても全く問題無いが、駐車場が無いので路上駐車となり別荘地の住人の方に迷惑がかかってしまうのではないかという心配がある。本日は単独で車1台だけなので、路上駐車させていただいて富士岬の頭を経て高指山に登る。


    別荘地上の路上に車を止めさせていただく。


    富士岬の頭までは15分ほど。もう日没を過ぎている。


    富士岬の頭から見る山中湖の夕暮れ。


    空には細月と金星が輝く。


    鉄塔の脇を通過して高指山に向かう。鉄塔下から見る地球照の月と金星。

 真直ぐに高指山を目指せば30分ほどで到着できるであろうが、撮影しながら50分で到着した。もうすっかり真っ暗で、地球照の月の時間は終わっている。簡易赤道儀のスカイメモSを持って来たので、1台のカメラはスカイメモに載せて70-200㎜レンズを装着する。本日は富士山頂に沈む月の撮影であるが、このレンズの性能テストの目的もある。


    高指山から見る山中湖の夜景。この山頂は右手の木が山上に居る雰囲気をかもし出してくれるので気に入っている。


    同上。


    富士山頂に月が傾く。


    スカイメモSで200㎜焦点にして追尾した月齢2.8の細月。解像度は良さそうだが、このくらいの月の明るさでもフレアが出てしまっている。


    本田・ムルコス・パイデュシャーコヴァー彗星。月ではピントが合っているように見えたが星を追尾するとピントがずれていた。合わせているうちに彗星は沈んでしまった。


    さらにエクステンダー×2装着してみたが、全くピントが合わせられず。地球照の月が剣ヶ峰付近に沈むところ。

 彗星がなかなか見つからなかったり、月の動きが速かったりとバタバタしているうちにあっという間に月が沈んでしまった。レンズ性能のテストのはずだったのに、使い慣れていないレンズだったためにピント合わせが出来ないうちに終わってしまった。ピンボケながら彗星追尾の画像を見る限りでは、彗星の尾を描出するほどの解像力は無いのではないかと見ている。やはり彗星撮影にはボーグのほうが優れているようだ。


    帰り際に、富士岬の頭から見る金星と富士山。この時間は飛行機だらけ。



朝焼けの空 竜ヶ岳  平成29年1月2日

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 もちろん満足な撮影が出来ていない剣ヶ峰ダイヤ狙いだが・・・素晴らしき景色。


    激焼けの空


   肝心な時間は雲が湧き上がり絶望的。


   そんな状況の中で奇跡的に撮れた太陽のシルエット。

月と金星が接近した夕暮れ 山中湖  平成29年1月2日

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 前日高指山でズーム撮影した月は見事にピンボケで撮影に失敗した。本日は再挑戦ということになるのだが、一番の目的は愛用している天体望遠レンズBorg67FL(300mm)のフラットナー調整である。フラットナーとはレンズの周辺収差を補正するためにレンズ後方に装着する2枚目のレンズで、昨年末に彗星を撮影した際に周辺の星が流れて変形しており、このフラットナーの調整がうまく出来ていないことがわかっている。

 早朝から竜ヶ岳に登って寝不足のため、下山後まず石割の湯に立ち寄って汗を流した後、少し仮眠をとることにした。ところが、石割の湯に行ってみるとこの日はボイラーが故障したそうでお湯の温度が37℃くらいまでしか上がらないらしい。係員に紅富士の湯に行くようにすすめられたが、既に眠気がMAXでもう運転したく無く、ぬるま湯でも良いのでここで入らせてくれと頼んで入浴することになった。確かに湯船の湯はぬるかったがシャワーの湯は普通に使えて、なにしろ入浴しているのが私一人だけという贅沢なお風呂に入らせていただいた。1時間半くらい、大いびきをかいて眠らせてもらい、4時半ごろに山中湖きららに向かう。そこにはみちほさんご夫妻が待っていた。


    月と金星が接近した山中湖の夕暮れ。湖面が揺れず綺麗なダブル富士になった。


    富士山頂に輝く月と金星。

 みちほさんがニューカメラの設定をいじりながらこの景色を撮影したが、おそらくあちらのカメラでもこれと変わらないか、それ以上の景色が撮影出来たことと思う。

 さて、本番はこちらだ。フラットナーを取り外してみると、300㎜のところで固定したはずのダイヤルがずれて最大になっていた。山に持ち運んだ際にダイヤルがずれていたらしい。こちらを調整し直して、簡易赤道儀スカイメモSに搭載して撮影してみた。


    月モードで追尾して撮影した月と金星。地球照の部分がかなりクリアに描出できる。


    オリオン座大星雲。簡易赤道儀でこのくらい描出できれば上出来。細い2本の筋は人工衛星。


    本田・ムルコス・パイデュシャーコヴァー彗星。Iso1250, 30sec追尾。ピントが若干甘いが、彗星の尾も少し描出されている。流れている景色は富士山。


    追尾中に小さな流星も写っていた。時期的には四分儀座流星群か?

 さらにIso感度を3,200まで上げてシャッタースピードを1秒以内に調整して富士山白山岳に沈んで行く月を捉えてみた。


    富士山に月が差し掛かったところ。


    富士山白山岳のシルエットと地球照の月


    白山岳に月が沈んで行く。この時に月の明るい部分がダイヤモンド富士のようにチカッと光るのではないかと考えたのだが、そうはならなかった。

 今回の月はあたりがもう真っ暗になってから沈んで行く月齢3.8の月だが、もう少し明るい時間に沈む月であれば富士山全体の形を描出しながら細い月を捉えることが可能である。さらに条件を変えれば、地球照の月光ダイヤモンド富士の撮影が出来るのではないかとも考えている。フラットナー調整後は周辺の星も流れておらず良好な状態に調整出来たようだ。

剣ヶ峰で割れるダイヤモンド富士 竜ヶ岳最終章  平成29年1月3日

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 軌道修正し、割れるには割れたが・・・全く納得はしていない。










 もうわずかに右寄りだった。しかし、竜ヶ岳山頂付近で剣ヶ峰から太陽が昇るのは1月5日まで。無念の最終章。

富士山頂に現れたC/2016 U1 ネオワイズ彗星 ふもとっぱら  平成29年1月5日

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 夕暮れ時は 0045P本田・ムルコス・パイデュシャーコヴァー彗星、夜明け前には C/2016 U1ネオワイズ彗星と、10等級より明るい2個の彗星が楽しめる時はそう滅多にあるものでは無い。しかし、いずれの彗星も7等級程度と明るいものでは無いため、風景と一緒に撮影するのは難しい大きさである。前者は既に3度撮影に成功しており、やはり思っていた通りに小さくて、富士山と一緒に撮影してもあまり絵にならなかった。後者のほうは当初予想していたよりも光度を上げているとの情報をネットで見かけたのだが、果たしてどんなものだろうか?5等級まで明るくなるのではないかという嬉しい情報もある。

 行き先は朝霧高原ふもとっぱら。早朝5時半ごろに富士山頂に姿を現すはずで、すぐに夜明けになってしまうので今回は追尾せずに富士山頂に現れたところを待ち伏せ撮影である。風が強くて寒い朝だったが、その分空気が澄んで星がすっきりと見える。


    200㎜望遠レンズ。予定時間に現れず、時間を間違えてもう昇ってしまったかともっと上のほうを探していたら、数分遅れて富士山頂に姿を現していた。


    薄明の空に小さな緑色の点が写っている。7等級有るか無いか、本田・ムルコス・パイデュシャーコヴァー彗星よりも小さく見える。


    これ。


    どんどん高度を上げて行き、


    あっという間に薄明の空に消えて行く。


    撮影出来たのはわずかに20分間。

 想定していたよりも小さかったネオワイズ彗星、やはり富士山と一緒に撮っても絵にならない。近日点に近付くにつれて高度を下げて撮影は難しくなり、山の上からの撮影も考えてはいたのだが、この大きさだと面白い画像にはならなそうだ。次にやって来る彗星に期待しよう。ちなみに、300㎜レンズは捉えきれなかったうえに風でブレて全て失敗。


    薄明のふもとっぱらの富士山。強風で水面にさざ波が立ち、木の枝も揺れている。

新たな撮影への挑戦、月光ティアラは撮影可能か? まかいの牧場  平成29年1月12日

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 月齢15を過ぎて日没後1時間以上が経過してからの月を使って、月光ダイヤモンド富士の撮影はさほど難しくは無い。月光ダイヤモンドが撮れるのならば、剣ヶ峰で多重分割する月光ティアラの撮影も可能なのではないかとずっと考えていた。しかしそれにはいくつかの難関がある。その一つはシャッタースピードである。ダイヤモンド富士ならばシャッタースピードを速くして秒速4コマ以上撮影しても問題は無いのだが、真っ暗な中に昇って来る月はIso感度を上げたとしても1秒以内で撮るのは難しい。かつ、星のように輝く星型に撮影するには絞り込むことも必要になる。もうひとつは月の形だ。月齢15は満月だが、月齢16、17と進むにつれて月は欠け始め、特にティアラ撮影に不可欠な右上部のほうから欠けてくる。おそらく、ティアラ撮影に適しているのは月齢15から17までと考えている。

 この日は日没後1時間ごろに朝霧高原まかいの牧場あたりで月齢15の満月が富士山頂に昇って来るはずだ。例のごとくカシミール3Dで軌道を計算して剣ヶ峰の真ん中から現れる位置をGPSに転送する。座標点に行ってみると、若干木が邪魔にはなるものの200㎜以上の望遠レンズならば問題無さそうだ。近くであまりお目にかかったことが無い大砲のようなレンズをセットして月の出を待っているカメラマンが居たので話を聞いてみると、その方は朝霧高原のティアラ撮影の達人で、レンズの絞りの工夫の仕方や撮影場所のヒント、カシミール3Dの軌道のずれなどいろいろと教えていただいた。月光ティアラは撮影したことが無いそうで、今後挑戦してみたいと言っていた。

 Borg300㎜にエクステンション2倍を装着して600㎜にして剣ヶ峰を狙うが、セットする時間が遅くなってしまい暗闇の中でピントを合わせたので全くピントが合ってくれない。もう1台は200㎜レンズで絞りを開放にして撮影してみた。Borg
のほうはブレを防ぐために三脚を低くして先端部を近くにあったガードレールの上に乗せて固定した。


    赤く焼けた富士山。月の出まであと約1時間。


    Borg300mm+extension×2、ピントが若干甘いがこれ以上合わせられず。


    Canon200㎜試し撮り。こちらはきっちりとピントが合ったが、その後はスローシャッターだったために押すたびにブレた画像になってしまった。


    ほぼ定刻に月が現れ始めた。剣ヶ峰の右側がチカッと光るのが肉眼で見えた。改造絞り装着、Iso3200、シャッタースピード2.5秒。


    さらに右からも光が出て分裂したが、上に出た雪煙のため光が拡散してしまい、綺麗な月光ティアラにはならなかった。


    たぶん、4分割か5分割くらいになっていると思う。


    もう光が融合している。


    完全に月が出た。


    200㎜望遠レンズ。


    もう月が出ているはずだが、こちらでは全く割れない。絞らないと光が拡散してしまってチカッと光らないようだ。


    完全に月が出ている。

 雪煙が上がっていなければ、おそらくはBorgレンズのほうで分割する月光ティアラの撮影に成功していたのではないかと思う。しかし、撮れたとしてもそれはピント合わせがいまいちの不完全な画像だったであろう。もうひとつ収穫だったのは、太陽と違って月の軌道はカシミール3Dでほぼ正確に割り出せるということだ。これは山中湖で白山岳に沈む月を撮影した時にほぼ確認済みだった。この月光ティアラの撮影が本当に可能かどうかはまだわからないが、理論的には可能だろうと考えている。まだ挑戦は始まったばかり。


    剣ヶ峰のシルエットと十五夜の月も狙っていたが、最後までピントが合わず。

月光ダイヤモンド富士 朝霧高原  平成29年1月16日

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 パール富士は月が円く写ってこそパールだと思うが、今回撮影に出かけたのは円い月では無くてダイヤモンド富士のように月の光が拡散して輝く月光ダイヤモンドである。日没前後の月を撮るとパールになるが、日没後1時間以上を過ぎた満月に近い月を撮影すると光が拡散してダイヤモンドのようになる・・・はずだが??

 前日は夜の8時ごろに田貫湖でダブル月光ダイヤモンド富士になるはずだったのでライブカメラを見ながら待機していたが、空模様が悪く精進湖線の途中まで車で行って引き返してきた。この日も朝から富士山は雲隠れしていてほとんどあきらめていたのだが、日没近い時間になってから富士山にまとわりついていた雲が飛んで山頂が姿を現した。パソコンで本日の撮影場所を探してGPSに転送して、夜7時に出発。狙うのは月光ティアラだったが、座標点の場所3ヶ所はいずれも富士山の眺望が得られず、かつ富士山頂の裏側に雲が出ていて割れる月光ダイヤモンドの撮影はほとんど無理な状況だった。場所を変えて良さそうなところを探すがなかなか見つからず、月の昇る10分前にようやく撮影場所を確保して急いでカメラをセットする。本日の月は月齢17で、上部が欠け始めている。


    富士山頂に棚引く雲が月光で白く光っている。月の出はもうすぐ。画像が青っぽいのはホワイトバランスを白熱電球にしているため。


    雲の中に月が現われた。ダイヤモンド富士のようにチカッとは輝かないが、光が拡散してダイヤモンド富士のように写る。


    月光ダイヤモンド富士。ゴーストは邪魔だが、このレンズの性能なので止む無し。


    雲の上まで月が昇ったところ。面白いのはゴーストに月の紋様が映っているところ。


    露出を変えると写り方もだいぶ変わる。このくらい輝かせれば月光ティアラや割れる月光ダイヤモンド撮影も可能なのではないかと思う。


    こんな暗闇に昇って来る月も悪く無い。


    600㎜望遠で捉えた月の登り始め。ピントが甘いが、ブレてもいる。シャッタースピードが遅いのでカメラとレンズの固定方法を考えなければならない。


    月齢17の月は上部が欠けていて光り方がいまひとつに見える。月齢15か16あたりのほうが良さそうだ。

 長焦点のレンズを使った時の固定方法や、月齢による月の形の変化など、割れる月光ダイヤモンド富士撮影に向けていろいろと課題が見えてきた。1ヶ月後にまたチャンスがやって来るので天候に恵まれることを願う。

 大寒波がやって来ているためにこの日の朝霧高原は-10℃まで冷え込んでいた。しかし風が吹かなかったためにさほどの寒さは感じなかった。おそらく湖の湖面も静かなはずだ。月光のダブル富士山撮影には絶好の条件なので、精進湖に立ち寄る。そしてもうひとつ、試しておきたいことがある。


    月光のダブル富士。半分凍り付いた湖面に綺麗に富士山が映っていた。ホワイトバランス白熱電球。


    同上、縦位置。オリオン座と冬の大三角形がもう高く昇ってしまっていて、富士山の上に目立った明るい星が無かったのはちょっと残念。


    200㎜望遠、Iso5000、F2.8、2sec で撮影した富士山。月明かりに照らされて富士山はかなり明るく写る。


    こちらが全く同じ条件で撮影したオリオン座大星雲。シャッタースピード3秒以内ならば画像の流れはあまり気にならない。


    若干明るさを調整してこの2つを貼り合わせる。おそらくはこんな感じで富士山とオリオン座大星雲を写すことが可能だろうと思っている。

 富士山の上に輝くオリオン座大星雲の撮影はもう2年くらい前から考えており撮影地もほぼ確定しているのだが、高下と竜ヶ岳でダイヤモンド富士撮影に四苦八苦している間に朝霧高原での撮影時期を逸してしまった。これは今年の秋まで持ち越しか、あるいはもし時間がとれるなら、沈むオリオン座大星雲を丹沢まで撮影に行くことになるかも知れない。問題なのは富士山の明るさとオリオン座大星雲の輝き方のマッチングで、闇夜では無くて月明かりで若干富士山が浮かび上がるくらいのほうが良いのではないかと考えているのだが、これも撮ってみなければわからない。大マゼラン星雲も含めて、この撮影も今後の課題である。
 


彩雲流れる富士山 端足峠から竜ヶ岳へ  平成29年1月18日

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 この日は端足峠で剣ヶ峰のダイヤモンド富士になるはずだった。根原から行くのならば1時間少々で到着できるだろうと見て、6時に根原から登るはずだったのだが、駐車場の入り口を後続の車にあおられてうっかり通過してしまい、車を回すに良い場所が無く結局は朝霧高原道の駅近くまで行って戻ることになってしまう。出発したのは6時15分、ダイヤになる時間が7時43分なのでなんとか間に合うかどうかという時間になってしまった。A沢貯水池の分岐点で車のタイヤの跡に導かれて直進するところを右の道に入ってしまったのが失敗だったのだが、この時は道を間違ったとは思わずにそのまま進んでしまった。植林帯の中に道が続いているはずだがそれらしき道が見当たらず、さらに進むと雪の中に踏み跡があったのでそれを辿って行くと沢の中で踏み跡は無くなってしまっていた。あとにして思えば、あれは人の踏み跡では無くて鹿が水を飲みに行った足跡だったのだろう。GPSで現在地を確認すると本来のルートよりも東の沢の中に入り込んでいた。もはや戻って正規のルートを歩きなおすほどの時間的な余裕は無く、そのまま沢を登って尾根に取り付いてその上にあるはずの東海自然歩道まで強行突破を試みる。しかし、脛から膝のあたりまである雪に苦戦してなかなか足が進まず、東海自然歩道に抜け出て端足峠の分岐点に到着したのは7時10分になってしまった。ここから端足峠までは標高差で200m強、時間にして40分から50分くらいだろう。急げば間に合うか・・・と必死に登るが、先ほどの強行突破で既に足が疲れてしまい、思うように進まない。標高差にして残り50m弱、あと10分かからずに端足峠というところで足元に朝日が射し出してしまう。残念、間に合わず。剣ヶ峰に昇って来た太陽を林の中から眺めながら、ここで初めての休憩をとる。あとはゆっくりと目的地まで登る。


    残月と雨ヶ岳


    A沢貯水池付近から見る富士山。この時は道が間違っているとは全く思っていなかった。


    端足峠到着は7時50分。10分遅かった。


    本日は端足峠から少し竜ヶ岳側に寄ったこのポジションから剣ヶ峰で割れるダイヤを狙うはずだった。

 この日はカシミールで計算した軌道では剣ヶ峰で割れる可能性がきわめて高いポジションだったうえに、雲や雪煙が無く撮影には絶好の条件だった。残念、気分がへこんだが、収穫無しで帰るのも悔しい。端足峠から竜ヶ岳のルートは10年くらい前に一度歩いただけで、GPSのログも記録していない。ここは今後のために富士山の展望地をチェックしながら竜ヶ岳まで登ってみることにした。


    展望地をチェックしてGPSに記録しながら竜ヶ岳を目指す。


    端足峠コルから見上げる竜ヶ岳。


    残月と雨ヶ岳


    階段が整備されているが、この日はほとんど雪に埋もれていた。


    富士山展望地はあるが、窮屈な場所ばかり。


    道幅は場所によって狭く、本栖湖キャンプ場からのルートに比べると歩きにくい。


    裏側に見える南アルプス。


    年末・年始に何度も通った竜ヶ岳裏側の笹原に到着。


    太陽の位置はだいぶ高くなった。しかし、良く見ると雲の辺縁が色付いているような??

 1時間少々で竜ヶ岳裏側の笹原に到着、ここは年末・年始に割れるダイヤモンド富士撮影に何度も訪れている場所だ。ザックを下して休憩し、富士山を眺めていると・・・なんとなく流れてくる雲が色付いているように見える。鮮やかな虹色とは言えないものの、雲によってははっきりと色付いているのがわかる。


    やっぱり色付いている。


    鮮やかとは言えないが、彩雲。


    富士山頂が隠れてしまったが、大きな雲が色付いた。


    見上げる太陽と彩雲


    彩雲流れる富士山


    太陽が富士山から離れ、彩雲も終わり。

 30分ほど富士山の上を流れる彩雲を追いかけて下山となる。山頂には立ち寄らず、帰りはまともなルートを歩いて下山したが、少しばかり足が痛くなった。

 この日はうまく行くだろうと思って挑んだ剣ヶ峰ダイヤモンド富士だったが、いろいろ重なって失敗となってしまった。しかし、登ったなら登ったなりのご褒美があるもので、今期2度目の竜ヶ岳から見る彩雲を楽しむことが出来た。大満足とは言えないが、ほぼ満足。

夕暮れダイヤモンド富士 大平山  平成29年1月21日

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 ここのところ割れるダイヤモンド富士ばかりを追いかけていたが、今回はオーソドックスにほぼ中央に沈むダイヤを狙った。これだけが狙いではなかったのだが、良さそうな雲は夕暮れが近付くにつれて消失してしまい・・・


    雲を追いかけながら長池山から大平山を目指す。


    車を運転しながら見る雲はもっと色付いていたのだが・・・


    もはや小さな彩雲しか出ず。


    しかも完全に逆光。太陽をカットしてもフレアはカットできず。


    それでもほぼ中央に沈むダイヤモンド富士の撮影には成功。

 詳細は後日。   
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