八ヶ岳の上に輝く夏の大三角形と天の川を撮影するために何度も訪れている平沢峠から飯盛山にかけての界隈だが、満足に撮影できたことは一度も無い。その最大の理由が中腹にあるスキー場だ。ナイターの照明が明る過ぎてフレアが出てしまったり山が写らなくなってしまったりとなかなか好条件で撮影させてくれない。ずっと狙っていたのが八ヶ岳が初冠雪した頃でまだナイター設備が稼働していない頃の八ヶ岳である。先週良い具合に雪化粧してくれた八ヶ岳だったが、月明かりが明る過ぎて天の川が撮れるような夜空にはならなかった。しかしこの日の月は昇り始めるのが夜の9時ごろで、ちょうどその頃に八ヶ岳の上に夏の大三角形が沈んで行く時間になる。うまくすれば天の川と月に照らされた八ヶ岳の両方が撮影可能なまたと無い好条件の夜だ。
午後3時半平沢峠に到着し、装備をザックに詰め込んで準備を整える。本日はいつものEos7DのほかにEosM2とレンズ3本、三脚は2本持って出かける。7Dのほうはタイムラプス撮影のためにカメラを固定して1時間以上にわたってタイマーコントローラーでシャッターを切り続ける。もう1台のM2のほうが普通に星空と景色を撮影するために使用する。日没間近な午後4時平沢峠を出発、飯盛山まではさほど時間はかからないが、本日は夜の9時過ぎまで撮影を行う5時間あまりの長丁場だ。防寒具は多めに持って出かける。
日没間近な平沢峠からいざ出陣。
霜が解けてドロドロの道だったが、日陰ではまだ凍り付いているところや、少しだけ残雪もあった。
振り返ってみる夕暮れの八ヶ岳。
綺麗なアースシャドウが出た北東の空。
まずは平沢山に登る。残照の富士山を見たかったのだが間に合わなかった。日没の頃には霞んで見えた南アルプスの山並が綺麗なオレンジ色のグラデーションを背景にして聳え立つ。八ヶ岳もくっきりと見えてくれている。これならばきっと綺麗な星空が見えてくれるはずだ。
平沢山から見る夕暮れの南アルプス。
夕暮れの八ヶ岳。邪魔になるスキー場ナイターの灯りはここならば木の陰に隠してかなり減光出来そうだ。
日没後の金峰山・瑞牆山と奥秩父山塊。
夕暮れの富士山。左が飯盛山。
美しい夕暮れのグラデーションをまとった南アルプス。
八ヶ岳の上に輝くのはこと座のベガ。今宵はこの星の周辺を追いかける。
時間はまだ午後5時を過ぎたばかりだ。夏の大三角形が八ヶ岳に沈んで行くにはまだ3時間もある。三脚とカメラを担いだままゆっくりと飯盛山に向けて移動するが、ここからはあまり登りは無く40分ほどで飯盛山に到着してしまう。山頂付近は植生保護のために新たにロープが設置されており、山頂の標柱周辺はだいぶ狭くなっていた。
植生保護のためにロープが張られ、狭くなった山頂の標柱周辺。植物保護のためにはこれも止む無し。
山頂から見る夜の茅ヶ岳(右)と富士山。茅ヶ岳の上の光跡は旋回する飛行機。
山頂の上に昇った天の川とカシオペア座。白い筋は人工衛星。
10㎜超広角レンズで捉えた八ヶ岳と天の川。まだ星撮影用の17㎜レンズの視野では八ヶ岳の上に天の川は捉えられない。
こちらはプロソフトンBという拡散フィルターを装着して撮影した画像。明るい星が大きく写って夏の大三角形が良く見えるのだが、山の輪郭や町灯りがぼやけてしまうのが難点。
八ヶ岳を流れる天の川と夏の大三角形。
南アルプスの空。一体何機の飛行機が飛び交っているのだろうか?数えてみたら15機(EosM2画像)。
午後8時を過ぎた頃、ようやく17㎜レンズの視野で八ヶ岳と夏の大三角形が捉えられる位置まで星が沈んできた。幸いなことにまだナイター設備の照明は灯らないようだ。ここでEos7Dは完全に固定してタイマーコントローラーを使ってシャッタースピード24秒インターバル1秒の撮影をひたすら繰り返すようにセットする。あとはカメラにお任せである。撮影したものはビデオソフトでつなぎ合わせれば動画に、編集ソフトで合成すれば星の光跡が空を廻る写真が出来上がるわけだが、こちらは今回のブログには処理が間に合わないので、別の機会にお見せしたいと思う。
八ヶ岳を流れる天の川と夏の大三角形。
こちらは10㎜超広角レンズ装着して撮影したEosM2画像。写りは良いのだがモニターには何も映らず構図を決めるのに苦労する。
同上、縦位置。
金峰山に昇って来たオリオン座。
午後9時27分、オリオン座と冬の大三角形の脇に月が昇って来た。
9時過ぎに昇って来るであろうと予想していた月は9時25分ごろに昇って来た。使っているソフトが東京の位置で計算しているために若干時間のずれがあるようだ。このオレンジ色の月に照らされて八ヶ岳も若干赤く染まっているように見える。
月が照らし始めた頃の八ヶ岳と夏の大三角形。月明かりで八ヶ岳が少し赤っぽく染まって見える。
すっかり月に照らされた頃の八ヶ岳。天の川の輝きがだいぶ薄くなってしまった。わし座アルタイル(彦星)はもう八ヶ岳の裾野に沈んでいる。
わし座アルタイルが沈みこと座のベガが山裾に近付いた午後9時40分、本日の撮影はここまでとして撤退する。まずまずの撮影が出来たと満足して夜の登山道を戻るが、山上は氷点下まで気温が下がったようでザックには霜が降りていた。ドロドロだった登山道も凍り付いて硬くなっており、おかげで歩きやすかった。10時半、平沢峠に到着。月明かりに照らされた平沢峠は自分の影が映るほどに明るかった。
月光に照らされた平沢峠と八ヶ岳。
花のシーズンが終わり星の撮影には良い季節になって来たはずなのだが、なかなか空が晴れてくれない。澄んだ秋空の日はこの秋に何日あっただろうか?山が見えない日ばかりが続いている。この日は比較的空気が澄んでナイターの明かりも灯らず、ラッキーな夜だったと思う。あと何ヶ所かこの冬に撮っておきたい場所があるのだが、果たして条件が整ってくれるかどうか?それ以上に出かける気力と体力が出るかどうか?いちばん問題なのは私自身であろうと思う。
午後3時半平沢峠に到着し、装備をザックに詰め込んで準備を整える。本日はいつものEos7DのほかにEosM2とレンズ3本、三脚は2本持って出かける。7Dのほうはタイムラプス撮影のためにカメラを固定して1時間以上にわたってタイマーコントローラーでシャッターを切り続ける。もう1台のM2のほうが普通に星空と景色を撮影するために使用する。日没間近な午後4時平沢峠を出発、飯盛山まではさほど時間はかからないが、本日は夜の9時過ぎまで撮影を行う5時間あまりの長丁場だ。防寒具は多めに持って出かける。
日没間近な平沢峠からいざ出陣。
霜が解けてドロドロの道だったが、日陰ではまだ凍り付いているところや、少しだけ残雪もあった。
振り返ってみる夕暮れの八ヶ岳。
綺麗なアースシャドウが出た北東の空。
まずは平沢山に登る。残照の富士山を見たかったのだが間に合わなかった。日没の頃には霞んで見えた南アルプスの山並が綺麗なオレンジ色のグラデーションを背景にして聳え立つ。八ヶ岳もくっきりと見えてくれている。これならばきっと綺麗な星空が見えてくれるはずだ。
平沢山から見る夕暮れの南アルプス。
夕暮れの八ヶ岳。邪魔になるスキー場ナイターの灯りはここならば木の陰に隠してかなり減光出来そうだ。
日没後の金峰山・瑞牆山と奥秩父山塊。
夕暮れの富士山。左が飯盛山。
美しい夕暮れのグラデーションをまとった南アルプス。
八ヶ岳の上に輝くのはこと座のベガ。今宵はこの星の周辺を追いかける。
時間はまだ午後5時を過ぎたばかりだ。夏の大三角形が八ヶ岳に沈んで行くにはまだ3時間もある。三脚とカメラを担いだままゆっくりと飯盛山に向けて移動するが、ここからはあまり登りは無く40分ほどで飯盛山に到着してしまう。山頂付近は植生保護のために新たにロープが設置されており、山頂の標柱周辺はだいぶ狭くなっていた。
植生保護のためにロープが張られ、狭くなった山頂の標柱周辺。植物保護のためにはこれも止む無し。
山頂から見る夜の茅ヶ岳(右)と富士山。茅ヶ岳の上の光跡は旋回する飛行機。
山頂の上に昇った天の川とカシオペア座。白い筋は人工衛星。
10㎜超広角レンズで捉えた八ヶ岳と天の川。まだ星撮影用の17㎜レンズの視野では八ヶ岳の上に天の川は捉えられない。
こちらはプロソフトンBという拡散フィルターを装着して撮影した画像。明るい星が大きく写って夏の大三角形が良く見えるのだが、山の輪郭や町灯りがぼやけてしまうのが難点。
八ヶ岳を流れる天の川と夏の大三角形。
南アルプスの空。一体何機の飛行機が飛び交っているのだろうか?数えてみたら15機(EosM2画像)。
午後8時を過ぎた頃、ようやく17㎜レンズの視野で八ヶ岳と夏の大三角形が捉えられる位置まで星が沈んできた。幸いなことにまだナイター設備の照明は灯らないようだ。ここでEos7Dは完全に固定してタイマーコントローラーを使ってシャッタースピード24秒インターバル1秒の撮影をひたすら繰り返すようにセットする。あとはカメラにお任せである。撮影したものはビデオソフトでつなぎ合わせれば動画に、編集ソフトで合成すれば星の光跡が空を廻る写真が出来上がるわけだが、こちらは今回のブログには処理が間に合わないので、別の機会にお見せしたいと思う。
八ヶ岳を流れる天の川と夏の大三角形。
こちらは10㎜超広角レンズ装着して撮影したEosM2画像。写りは良いのだがモニターには何も映らず構図を決めるのに苦労する。
同上、縦位置。
金峰山に昇って来たオリオン座。
午後9時27分、オリオン座と冬の大三角形の脇に月が昇って来た。
9時過ぎに昇って来るであろうと予想していた月は9時25分ごろに昇って来た。使っているソフトが東京の位置で計算しているために若干時間のずれがあるようだ。このオレンジ色の月に照らされて八ヶ岳も若干赤く染まっているように見える。
月が照らし始めた頃の八ヶ岳と夏の大三角形。月明かりで八ヶ岳が少し赤っぽく染まって見える。
すっかり月に照らされた頃の八ヶ岳。天の川の輝きがだいぶ薄くなってしまった。わし座アルタイル(彦星)はもう八ヶ岳の裾野に沈んでいる。
わし座アルタイルが沈みこと座のベガが山裾に近付いた午後9時40分、本日の撮影はここまでとして撤退する。まずまずの撮影が出来たと満足して夜の登山道を戻るが、山上は氷点下まで気温が下がったようでザックには霜が降りていた。ドロドロだった登山道も凍り付いて硬くなっており、おかげで歩きやすかった。10時半、平沢峠に到着。月明かりに照らされた平沢峠は自分の影が映るほどに明るかった。
月光に照らされた平沢峠と八ヶ岳。
花のシーズンが終わり星の撮影には良い季節になって来たはずなのだが、なかなか空が晴れてくれない。澄んだ秋空の日はこの秋に何日あっただろうか?山が見えない日ばかりが続いている。この日は比較的空気が澄んでナイターの明かりも灯らず、ラッキーな夜だったと思う。あと何ヶ所かこの冬に撮っておきたい場所があるのだが、果たして条件が整ってくれるかどうか?それ以上に出かける気力と体力が出るかどうか?いちばん問題なのは私自身であろうと思う。